※この作品はR-18です。

【NTR】奥手なエロゲー主人公の代わりにヒロイン全員攻略してみた   作:悠木仁

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第3話 恋の館

 

 

 

その日の夜、響は自室の机の前で考え込んでいた。

 ――風見凪への復讐について。

 誰にでも優しく振舞い、その気にさせといて自分は知らんぷり。そんな彼に響は怒りを覚えていた。とはいっても、おそらくこの怒りの半分、いやそれ以上はただの嫉妬によるものなのかもしれない。だが、それでもよかった。たとえ相手が親友であろうとも、あの子のためならばどんな悪行もやってのける。そう決意した。

 肝心なのは復讐の方法だが、そちらはもう決まっていた。『風見凪に好意を寄せるすべての女性を自分のものにする』。それが響の決めた復讐の仕方だった。あの男に自分と同じ気持ちを味わってもらう。いくら鈍感な彼でも、周りにいた女が全員響に夢中になれば、さすがに違和感に気が付くだろう。問題なのは、自分にそれが可能なのか、という点だ。恋をしたこともなければ、当然誰かと付き合ったこともない。そんな自分が、女性を堕とすなんてことができるのだろうか。

 響は何かにすがるような思いで、おもむろにスマホを取り出した。検索エンジンを使い、恋のノウハウについて調べ始める。しかし、どのサイトにも書いてあるのは曖昧なことばかり。とても参考にはならない。

 

(そもそもそんなものがあるなら、誰も苦労なんてしないんだよな……)

 

 無造作にピンッとスマホの画面を弾くと、ずらりと並んだ恋愛サイトが上へ上へと流れていった。そしてその流れが自然に止まると、画面には先程までと同じように3つの恋愛サイトが映し出されていた。そのうちの一つに、響は注目する。『心理カウンセラーによる恋愛ノウハウ!』『恋愛本はもういらない!』そんな見出しが並ぶ中に、一つだけ異質なものが紛れ込んでいた。

 

「『恋愛の館』だって……?」

 

 胡散臭い占い屋の店名のようなタイトルだが、妙に惹かれる。これが占いにハマる女性の気持ちなのだろうか。響はわずかに躊躇したが、特に期待もせず画面をタップした。すると、画面には派手なピンク色の背景が表示され、その中央には真っ白な文字の入力欄が置かれていた。さらにその上には『相談内容』の文字。

 

「ここに相談を書けってことか?」

 

 まさかこの館の主が直接相談を聞いてくれるのだろうか。響はますます疑いを強くする。しかし、彼にはもう他に頼れるものはなかった。

 

「ものは試し、だな」

 

 少しずつ丁寧に、欄を文字で埋めていく。このサイトを作った主が、まだこのサイトのことを覚えているのかはわからない。もしかしたらこの行動は無駄になるかも知れない。それでも、こうやって状況を整理するだけで何かが見えてくかもしれない。そう思ったのだ。

 

「よし、こんなもんか」

 

 空白だった欄が、文字でびっしりと埋め尽くされた。響は満足しながら、『送る』と書いてあるボタンを押した。

 

***   ***   ***

 

 恋の館に相談を送った翌日、学校を終えて帰宅した響はベッドに横たわると、スマホを起動した。そして、昨夜のうちにブックマーク登録しておいた『恋の館』を開く。画面に表示されたのは昨日と変わらず、空白の文字入力欄だった。

 

「やっぱりダメか……」

 

 ふうっと溜息を吐く響。画面を閉じようとする――その時だった。よく見ると、画面の一番下に昨日まではなかった赤い文字が表示されていた。そこに書いてあったのは『回答』の二文字。

 

「嘘だろ、ほんとに返信が来たのか!?」

 

 響はすぐにその文字をタップする。すると画面が切り替わり、無地の真っ白な背景にずらりと文章が表示された。響はそれを読み上げる。

 

『相談ありがとうございます。まず最初に、どうしてあなたではなくあなたの友人が選ばれてしまったのか。Mさんを好きでいたはずのあなたがどうして選ばれなかったのかをお教えしましょう』

 

 Mさんとはましろのことだ。本名を出すわけにもいかないので、下の名前のイニシャルを使用した。他にも凪を『N』、唯を『Y』、凛祢を『R』と表記してある。

 

『あなたの敗因は、N君と同じ土俵で戦ったことです』

 

 館の主は丁寧な言葉で、淡々と告げる。

 

『教室の隅で自分をまじまじ見つめてくる童貞とモテモテでヤリチン野郎のN、女性の目から見てどちらが魅力的かは一目瞭然です。』

 

「ヤリチンなんてどこにも書いてねえよ! いや知らないけども!」

 

 どうやら前言撤回が必要なようだ。徐々に主の口調が悪くなってきた。

 

『わたしでも抱かれるなら後者を選びます』

 

 しかも主が女性であることが発覚した。なおさらもう少し言葉使いに気を付けたほうがいいのではないだろうか。

 

『それでもあなたが積極的にアピールできていれば、N君の先をいけたかもしれません。しかし、あなたは引いてしまった。彼と同じように』

 

 はっと何かに気がつく響。たしかに、自分よりモテる相手がいるのに相手と同じ行動をとったのは愚策だった。いや、むしろ凪の方が世役として関わっていた分、自分よりも積極的だったかもしれない

 

『であれば、あなたができることはたった一つ。N君が引くというのであれば、あなたは押すのです。押して押して、押しまくるのです』

 

 館の主は続ける。

 

『ですが、Mさんは性格上、少し難易度が高いかもしれません。まずは手ごろなところから確実に落としていきましょう』

 

 相談にはましろと唯と凛祢の3人のことしか書いていない。ましろを除くとなると、残るは妹の唯と幼馴染の凛祢。どちらも手ごろとは言い難いのではないか。そんな響の懸念をよそに、館の主は告げた。

 

『最初のターゲットは、Rさんです』

 

 

 

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