龍田さんが身も心も提督に捧げる軽い読み物です!
※本番?はありません(ありません?)

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龍田、その羽化に際して

「あーぁ、せっかく改二になったんだから綺麗な体、見せられると思ったのになぁ……期待して損しちゃった」

 

 残念そうにしながらも、龍田は普段よりも少し恥ずかしげにバスローブを脱いだ。

 

 窓から差し込む仄明るい月光で、無駄な肉のないするりとしたシルエットが照らされる。

 

 その体を提督は同じく裸で迎え入れた。

 

 青白い闇に浮かぶ美しい四体には、深くえぐり取られた傷や、弾丸が体内に残ったままの銃創、皺になってもう治ることのない火傷の痕が、全身くまなく刻まれていた。

 

 提督が両手で傷ついていない全身を撫でる。

 

「そう、そこにも、そこにも傷があった。改二で消えちゃったけどね」

 

「綺麗になった」と提督がつぶやくと、龍田は下腹部にある乱雑な手術痕に左手をやる。提督もそこに手を重ねた。

 

「ここは治らなかった……でもね、右目が見えるようになったの。ようやく両目であなたの顔を見られる」

 

 細長い薬指に差し込まれている指輪を大事そうに包み込む。歪んでねじ切られた継ぎ目の部分に指を沿わせる。

 

「これも新しくしないか?」そう囁く口を龍田が指で塞いだ。

 

「だーめ、大切な思い出なんだから。ふふっ」

 

 笑いながらベッドに飛び込んだ。続けて提督も横に腰を下ろす。

 

 龍田は枕に顔を埋めて、その表情を見せないようにため息をつくと、くねらせながら振り向く。

 

「えっとね、今日はいつもと違って、改二になったから、その、私……」

 

 互いに熱い目線があって見つめ続けるが、龍田は顔を背けた。

 

「ごめんなさい。私の体、どこも綺麗じゃない……」

 

 龍田の手を取る。「何を言うんだ」少し強い口調で言い放つ。「こんなに魅力的だ」か細い女の体を背中から抱きしめた。

 

「……硬いのが当たってる。ホント変態なんだから」

 

 灼けた鉄のように熱を帯びた根に龍田が手を添える。ビクビクとした生命の脈動と、濃厚な雄の匂いがむせるほど伝わってくる。

 

「あのね? 私、まだ汚されてない部分が、ひとつだけ、あるの」

 

 腰にある艤装接続ユニットを触る。

 

「ここだけは、処女……」

 

 提督が異様に真剣な面持ちでいることに気づいて、龍田は慌ててシーツで包まった。

 

「ごっ、ごめんなさい。気持ち悪いわよね。いつも通りでいいわ。いつも通り――」

 

 言い終わる前に提督が強く、強く龍田の両肩を掴んだ。「君の処女が欲しい」ただまっすぐな視線だった。

 

「本当? 自分で何言ってるかわかってる?」

 

「言い出したのは君だろう?」龍田の涙を指先で掬いながら笑う。

 

「ほんっとうにバカなんだから」

 

 先ほどの不安の表情は消え、ようやく笑顔を浮かばせた。

 

 

 

 

 

 カシャカシャと三重のシャッターが一枚ずつ開く。

 

 心臓の鼓動にあわせて蠢く肉と金属。脳と全身に繋がる剥き出しの神経細胞と機械回路がここに詰まっていた。異物が入ってはいけない艦娘の聖域である。

 

「ここも捕まった時に壊されそうになったんだけどね。この防壁が守ってくれたの」

 

 口淫での前戯も終わり、コンドームをつけてなお、どろどろで今にも爆発しそうな獣の猛りが、その異質な穴に向けて狙いをつけている。

 

「ねえ、わかる? 私もう人間でも女でもない。あなたはこれからモノを抱くのよ」

 

 寝そべって背中を向ける龍田の声はかすれ、小刻みに体を震わせていた。

 

 提督は体勢を崩した。どうしたのかと龍田が起き上がろうとすると「ただのモノはこうやってキスしてくれるか?」そのまま優しく唇が触れ合う。

 

 どちらともなく舌を求めて絡み合い、ねっとりした甘露がふたりの間に糸を引く。

 

「ずるい人」

 

 震えは止まっていた。

 

「本当にいいんだな?」と聞く提督に、龍田は子供のように小さくうなずいた。

 

「私、本当に壊れちゃうかも知れない。でも、壊れるまでしてほしい……」

 

 お互いに姿勢を戻す。提督はただ一言「入れるぞ」と。

 

 衝撃が走る。痛みではない。快楽でもない。しかし何かが上り詰めてくる。享受したくてもできない、気絶したくてもできない、そんなモノが龍田の脳内を巡って全身を痙攣させた。

 

 触れることの許されぬ剥き出しの内臓と端子を小突き、幸せの異物が引いては押し寄せる波に似たリズムで、心臓が早くなって遅くなる奇妙な感覚が繰り返された。

 

 浅いストロークにも関わらず、声をかけても痙攣してばかりで反応しない様子に疑問感じ、竿を抜いて枕に伏せていた顔を見ると、白目を剥いて布にかじりついたまま泡を漏らす龍田の姿があった。

 

「づっ! はぁ……はぁ……だ、大丈夫。意識は、ある、から」

 

「やめるか?」心配そうに伸びてきた提督の手を胸の中でぎゅっと握って首を横に振った。

 

「頭がおかしくなりそう。でも、もっとして欲しい。もっとあなたを感じたい。もっと私で感じてほし……」

 

 少し口ごもった。

 

「……ねえ、私、気持ちいい?」

 

「不思議な感覚だけど気持ちいいよ」思ったまま素直に話す。

 

「うふふ、お世辞でも嬉しいわ」

 

 龍田は床に両膝を折ってベッドに寄りかかった。何かの液体がどろりと垂れてくる開口部を見せつける。

 

 提督も続けて背後にまわると、急に後ろ手が伸びてくる。ずるりと引っ張って赤熱した芯を覆う薄い外皮を剥がした。

 

 下腹部に入っている弓なりの切開痕を触る。

 

「お願いよ……この体を孕ませて」

 

 カウパー液を滴らせる隆起が硬さを増す。

 

 艶めかしい腰をぐっと提督が掴む。「お前に俺の全てをやる」そのまま一気に根元まで挿入した。

 

「あっ……あっ……がっ……」

 

 汗が、涙が、鼻水が、涎が、小水が、愛液が、腸液が、ありとあらゆる穴から液体が噴出して、接続されたところから血と油が漏れ出ていた。

 

 ゆっくりと引き抜く。吃逆でもするように黒目になって龍田の意識は戻る。再び突かれる。白目を剥いて泡の飛沫が霧になって吐き出される。

 

「ひゅー……ひゅー……きっ、ぎぎっ」

 

 喘ぎ声ではなく、壊れた機械の音が口から出ていた。

 

 提督の腰使いが止まらない。否、止められない。

 

 妙に柔らかくフワフワした肉質と、配線のコリコリした固さ絡みつく。一突きごとに逸物を伝わって龍田の精神が流れ込んでくるようであった。

 

 これまではただお互いに求め合い、肌を重ね、温もりを享受しているのみだった。

 

 ふたりはこの時はじめて『繋がっている』ことを意識したのである。

 

「ぎっ……ぎもっぢ……いっ! もっ、もっと!」

 

 この異質な状態に対して龍田の脳は確実に順応し、ありえないほどのアドレナリンを出すと、ついにはこれを快楽であると誤認させるまでに至る。

 

「孕ませてっ、やるっ!」全身を抱きしめてピストンの速度が上がって行く。龍田はかたかたと力なく揺れ動きながら、提督にもたれ掛かって上半身のすべてを預けていた。

 

「あっ、はっ、ていっ、とくっ、すっ、すきっ、しゅきぃ」

 

「受け止めろ!」一段、大きく深く突き刺す。体内に生える電極で亀頭が傷つき、血液を吹き上げながら遺伝子の塊を放出した。

 

 繊細な神経細胞に発動機の大電流が乗って全身を焼き尽くす。龍田は解剖されたカエルに電気を流した時のように痙攣を繰り返す。

 

「おぁぁぁ……」

 

 肉棒のコネクターを抜くとシャッターが閉じて白濁したものを封じ込める。限界まで耐えていた吐瀉物と不浄なものまで、龍田の体内のものが全て外に漏れ出していた。

 

 龍田の中はからっぽになった。

 

 注がれた精液を除いては。

 

 

 

 

 

 翌日、龍田は改二フィッティングのため出撃をする。

 

 艤装が背中に迫る。防壁が一枚ずつ開いて、接続端子を受け入れた。

 

「えっ? あっ……うぐっ!」

 

 全身が震えて立っていられなくなってその場にへたり込む。僅かにだが勢いよく漏らしてショーツを汚す。

 

 ぐちゃりと音を立てて開口部から跳ねた粘液は、綺麗に光っていた真新しい艤装に飛び散って、黄ばんだ色に染め上げた。

 

 長刀を突き立てて立ち上がる。

 

「はっ、あはっ! ……うふふふふ」

 

 確かに龍田は孕んでいた。

 

 おぞましいものを、その身に宿していたのである。


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