Day Walker 作:美砂
「おかえり、テン。」
いつからか、返事をしなくなった。今、四年生。反抗期かな?と思って、触れずにいた。
テンが、屈んだ拍子に教科書が散らばった。
教科書は・・・落書きだらけ。
『バケモノ!』
『日本人のクセに金髪!』
『近寄んな!』
『死ね!』
「テン、これ、どうしたの?学校、虐められてる?」
「・・・五月蝿い!関係ない!」
テンが弾けた。泣きながら、自分の部屋に篭った。
「蓮、今、話できる?」
「うん、何?」
「テン、学校で虐められてるみたい。教科書、落書きだらけ。罵詈雑言の嵐だよ。」
「虐めか。想定内だけどな。少し話してみるか。」
「想定内?何で?」
「金髪で、両親が男2人だよ。もしかしたら、能力、学校で使ったかもしれない。」
「・・・そうか。俺より蓮の方が良いかもね。」
「テン、入るぞ。」
テンの部屋に蓮が入って行った。
防音がしっかりしてるから、会話は分からないけど、落ち着かない。
「終わった?」
「あぁ、虐められてるな。全部聞いた。」
「そっか。先生と話す?」
「いや、それはしないでくれって。余計酷くなるからって。」
「そうか。分かった。テンの思うようにしよう。」
「それで良いと思う。」
テンへの虐めは、かなり続いた。だけど休んだりせずに、五年生に上がった。
「はい、そこ!道からはみ出ない!」
遠足。つまらない。友達も居ないし。でも休んだら、2人とも心配するし。
少し先をいつも虐めてくる隆達が、グループでふざけながら歩いてる。道路にはみ出してる。別にどうでも良いけど。
「コラッ、危ないから2列になりなさい。」
先生が、注意に来た。
先生の背後に、トラック。変な走り方。フラフラしてる。
運転手が手を横に振ってる。先生は気がつかない。隆達は、トラックに気がついたけど、動けない。トラックが突っ込んでくる!
咄嗟に手をトラックに向けて、
「止まれっ!」
叫んで、隆達と先生の前に走ってた。必死だったから、力使っちゃ駄目って言われてたけど、使っちゃった。
トラックは、少し地面から浮いて止まってる。ゆっくり降ろす。
僕も力が抜けて、ペタンと地面に座った。
「良かった、間に合った・・・。」
「ケ、ケガは?ケガ無いっすか!」
運転手が、慌てて降りて来た。
座り込んでる僕に先生が駆け寄る。
「大丈夫です。ケガはありません。」
「すいません!ブレーキが効かなくて。はぁ、良かった。すいません。」
「天馬君、大丈夫?ケガしてない?」
「はい、ケガしてないです。」
「今の、今の天馬がやったの?」
隆達が聞いてきた。
「うん。そう。バケモノだからね。」
いつも、バケモノ扱いされてるから、嫌味言った。
「バ、バケモノなんかじゃねーよ!カッケーよ!スゲ~!」
カッコいい?何処が?こんな力要らない。
「命の恩人って、ヤツでしょ?先生!」
「そうだな。天馬君の不思議な力無かったら、先生も死んでたかもしれない。」
その後から、僕に対する姿勢がガラッと変わった。遠足も、隆達と一緒に歩いたり遊んだり。力見せてって、言わない。バケモノっても言わなくなった。アレは特別な時だけ使うんだっていったら、そりゃそうだよ!って。
「ただいま!」
「おかえり、遠足楽しかった?」
「うん、ちょっと危なかったから。力使っちゃたけど、誰もバケモノって言わないんだ!カッコイイって!特別な時だけ使うんだって言ったよ。」
「そうか!そうだね。特別な時だけ。偉いね。」
「でね、笑ったら、可愛いって、女の子から言われた。」
「あはははっ、マジか。テン、モテ期が来るぞ。」
「蓮!余計な事言うな!」
「な、天馬ってスゲ~な。あの力、カッケー。」
「それに笑うとこ初めて見た。」
「うん、俺も。」
「俺も。」
「・・・・めっちゃ可愛くなかった?」
「可愛かった・・・。」
「うわー、クソ、なんで男なんだよ!あんな可愛いのに!女子なんか比べ物になんねーよ!」
「禿同。」
「禿同。」
「も、弄るのやめよーぜ。バカバカしくなってきた。」
「な、仲良くなった方が良いと思う。」
「俺も。」
「確か、とーちゃん?女かと思うくらい美人だよ。」
「じゃ、天馬はとーちゃん似か。スゲ~。」
もう、テンの顔に陰りがない。毎日、楽しそうに学校に行って、帰ってきたら1日の出来事を話す。良かった。乗り越えたね。
六年生、もう直ぐ中学か。早いなぁ。
「ね、ホラ、毎日お手紙貰う。下駄箱に一杯。」
ありゃ、本当にモテモテじゃないか。俺もモテてたけど、これ程じゃない。
「あ、あのさ、好きな子いるの?」
「え~、秘密!」
教えてくれない。うーん、男の子だし、早めに性教育必要かな。うん。
ダイニングの上に手紙忘れてった。悪いかなと思いつつ、差出人の名前・・・・。
「どうした?何これ。」
「テンに来るラブレターの山。」
「で、何で凛が固まってんの?」
「差出人の名前、見ろ。」
「ふむ。・・・・。」
「な、固まるだろ。やばくね?」
「殆ど、男子じゃねーかよ。」
「テンは、お手紙って言ってる。ラブレターって思ってないよ、多分。」
「テンは、天然のテンかよ。六年生だろ?気付けよ。」
「多分、俺達、見てるから、同性に抵抗ないのかも知れない。どうしよ。」
「なるようにしか、ならんよ。」
「忘れ物無い?」
「うん、大丈夫。確認した。」
「じゃ今日は、早く寝なさい。楽しみだね。修学旅行。」
「うん。隆達と同じ部屋なんだ。ベタベタ触って来るヤツらから、助けてくれる。」
「え?そ、そんな事されてんの?」
「うん。プロレスって言うんだけど、技かけないで抱きついたりして来る。」
「て、その隆って子に助けてもらってんのか?」
「うん。だって、本気で嫌がったら力でちゃうし。だから、抱きつこうとしてきたら隆達の所に逃げたら追い払ってくれる。」
「おー、俺、分かったかもぉ。テン、隆の事、好きなんじゃない?」
「ち、違うよ!バカエロ親父!友達!」
「そうだよな。馬鹿は、無視しろ。さぁもう寝よう。」
「うん。おやすみなさい。・・バーカ。」
ゲラゲラ笑う蓮。もう、思春期だぞ。発言気をつけろよ。
修学旅行は、ナイト達が守ってくれたらしく、風呂も寝る場所も助けてくれたらしい。うーん。姫的位置?ヤバくない?
六年生も終わり頃から、しきりに早く中学に上がりたいと言う。2つ上に仲のいい子がいるらしい。入学したって1年間だけ一緒なんだけどね。
中学に上がって、春休み。毎日、遊びに出掛ける。その新三年生、葵って子と遊んでるみたい。うん、いいね。引き篭もるより、外で遊ぶ。健康的。
たまたま、今日は蓮と2人で市街地までお出かけ。もう、テンも中学だし、留守番位出来る。
「ちょっと、遅くなったかな。食事どうする?」
「外で食うか。テン、呼んできて?俺、車に居るから。」
「うん、分かった。呼んで来る。」
「テン、ただ今~。遅くなってごめん。ご飯外で食べ・・・。」
ノックせずに、テンの部屋を開けた。開けたらね、全裸のテンと身体が一回り位大きな男の子。彼も全裸。そんでもって、合体中。静かに扉閉めました。
家を出て、車に乗る。
「?テンは?」
「さ、最中だった。」
「最中?何の?」
「せ、SEX。」
「はぁ?まだ12だぞ?どうしたの。」
「静かに扉閉めてきた。」
「へ?止めないで?閉めてきたの?」
「だって、もう合体してたもん。」
「はい?マジかよ!なんで止めねーの!」
車から飛び出そうとした蓮の腕を掴む。
「なんで、引き止めんだよ!やめさせなきゃマズいだろ?女の子、責任取れねーぞ!」
「ち、違う。違う。」
「違う?何が違うんだよ?」
「相手、男の子。テンが、その、あれだ。下だった。」
「・・・マジかよ~。」
マジです。はい。モロ、俺達の影響かと思います。
ね、どうしたらいいんでしょうか。俺達にも分かりません。