※この作品はR-18です。

Day Walker   作:美砂

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Day Walker 9

 「だからさぁ、何で親のデートに娘が付いて行かなきゃいけないのよ、前にも言ったでしょ!」

 

 いや、デートのつもりじゃなくって、ここの所色々あり過ぎて、気分転換に街で買い物でもと思ったんですが、すいません。

 

 そういえば蓮とデートらしいデートをしていなかった。ベッド買いに行ったくらいか。

 それじゃ、華のお心遣いに甘えて蓮と2人で行く事にしよう。蓮にメールしたら直ぐに返信。お前の仕事って自由過ぎないか?

 蓮の愛車で市街地へ。いやぁ目立つ。信号で止まる度、視線を感じる。フェラーリの真っ赤なスポーツカー。蓮の身体には小さい気がするが、小さい物が好きだからか?因みに俺の愛車は、軽の中古車。いいじゃないか、小回りも利くし、4人乗れる。スポーツカーのバックシートなんてお飾りだろ?

 

 クリスマスに浮かれた人々が、繰り出す日曜日。平日にすりゃ良かったかな。凄い人出だ。

 天気が良くても12月。寒さに弱い俺は完全防備。顔も半分マフラーに埋まってる。

 「そんなに、寒いなら無理して外出しなくても良いのに。」

 いや、俺が出たかった。だってクリスマスでしょ?蓮にプレゼント買いたかったんだ。高い物は買えないけど。一緒に選んだりしたら楽しいじゃないか。

 俺が楽しいのが伝わって蓮も安心したみたいだ。

 アーケード街に入ると寒さも和らいだ。マフラーも外して、街ブラする。に、しても。視線を感じるなぁ。確かに蓮は高身長だし、イケメンで体格も良い。通りすがる女性達が、チラ見していく。俺だってそんなにチビではないが、10cm違うとこうも反応が違うのか。多少凹む。

 「何処か、ひと息つこう。」

 うん?蓮、人混み苦手なのかな?

 女神的なキャラがアイコンのコーヒーショップへ。ここは、甘いドリンクが充実しているから大好きだ。スィーツも結構あるし。

 蓮がなんだか不機嫌だ。コーヒー飲みながら周りに近づくなオーラを出している。

 「どうしたの?人混み苦手?」

 蓮は、大きな溜息をつく。

 「凛、気がついてないの?マジかよ...」

 「何がだよ。蓮がチラチラ見られてるのは気がついてるよ。」

 「はぁ?俺じゃねーよ。凛だよ。凛目当てに数人付いて来てた。」

 「え?何で?俺なの?」

 「....歩き方、変えても付いて来てたから、店に入ったんだよ。」

 

 そういや、ジグザグに歩いたり、立ち止まったりしてた。

 だけど何でオマケ的な俺なの?蓮自身に付いて来たんじゃないのか?

 理解出来てない俺に。

 「じゃぁさ、試しに向かいのCDショップ、1人で行ってきて?」

 「うん、分かった。」

 蓮を残して、店をでて言われた通りに行ってみた。周りに注意しながら。

 

 あれ?何か気配がする。何気に振り向くと男性が、何人か立ち止まっている。

 ま、まさかね。CDショップに入ると....やっぱり立ち止まってた男性達が後に続いて入店して来た。一通り店内を歩くと少し距離を置いてついてくる。何だか怖くなって立ち尽くしていたら、ついて来た1人が、俺の後ろを通り過ぎるタイミングで.........尻を撫でて行った。

 

 ち・痴漢?冷や汗が出てきた。同じ男に触られただけなのに。髪が少し長いから女と間違えたのか?確かに俺には男臭さってのが無い。顔付きも母親似で女顔かも知れないけれど。それに付き合ってる相手も男だけど訳が違う。痴漢ってこんなに怖いのか。身体が動かない。顔も熱い。

 残っている男共の視線も痛い位に感じる。帰りが遅くなったからか、蓮が店に入ってきて固まってる俺を見つけた。

 

 「...付いてきたの分かった?....どうかしたの?」

 「.....ケツ、触られた.......」

 「ハァ?マジで?誰だ!どいつだ!」

 

 蓮がキレた。ヤバイ。変身してしまう。

 「蓮、落ち着け!俺大丈夫だから!ディウォーカーになるぞ!」

 出来るだけ小声で、落ち着いて蓮を諭す。

 

 取り敢えず1人でこの人混みを歩くのは止めよう。最初の目的を忘れる処だった。

 

 「蓮、何か欲しい物ある?高いのは無理だけど。(^ ^)」

 空気が重いが、気にせず話かける。

 「そうだねぇ.....」

 蓮も折角のデートをオジャンにしたく無いみたいで、気分を切り替えて欲しい物を考えてる。

 「そういや、ここ九州なのに関東より寒いよね。......そうだ。マフラーが良い。新しいマフラーが欲しい!」

 そうか、マフラーか。近くに老舗のデパートがある。早速行ってみよう。シーズンだけに、沢山あって目移りしている。柄、手触り....。

 「値段気にしなくて良いから、気に入ったの選べよ。」

 (3万円以内で宜しく!)

 と本音を思ってみた。

 「これが良い。カシミアか。手触りも良いし、かさ張らないのが良いね!」

 蓮はベーシックなカラーの上品なマフラーを選んだ。センス良いなぁ。育った環境からかな?値段は...ギリギリ予算内だった。一安心。

 「じゃ次は凛のだね、何が欲しい?」

 う~ん、物欲乏しい俺は何にも考えてなかった。何でも良いって1番困るよね。

 すると蓮が、何かに気が付いた様に

 「手袋は、どう?」

 そう俺は寒いのが苦手。いつもハァ~って両手を合わせて温めてる。よく見てるなぁ。気が利く男はこうも違うのか?

 売り場についたら、これまた沢山ある。う~ん、どれにしよう。悩んでいたら、蓮がこれ良さそうだよって、幾つか持ってきた。有難い。この中から選べば良い。

 「この軟らかい皮の奴良いね、中はボアだから、暖かそう。」

 値段は見ない。怖いから。

 蓮が支払いを済ませて早速着けたら、暖かい。寒がりなのに手袋持って無かったから嬉しい。

 

 買い物も済んで外に出るともう日が傾いてきている。そろそろ帰ろうか?って話してた時。

 

 嗅いだ事がある臭いがした。人混みで様々な臭いはするが、これだけ強く感じるなんておかしい。

 

 そう血の臭いだ。

 

 俺達は、その臭いの元を探す為に街を歩き回った。徐々に強くなって来る。メインストリートから、少し離れた脇道に入る。

 

 ゴミの山だ。ここから臭って来る。

 

 少しゴミを漁ってみる。デカイポリバケツが出てきた。蓋が付いているがこれから臭ってくる。蓋を開けるのには、多少勇気がいったが、ここまで来たんだ。覚悟して開けた。

 

 其処には、まだ十代らしい少女の遺体があった。何も着ていなかったから、身体の傷もハッキリ分かる。見覚えのある傷跡。 俺が蓮や華に付けたあの傷跡。

 

 ヴァンパイアだ。

 

 しかも、傷跡が多い。少女の身体は血液を吸い尽くされたのか、真っ白だ。

 

 蓮は警察に連絡している。

 

 俺は。

 俺は怒りで身体が震えていた。我が子と年端も変わらない少女を死ぬまで血を吸い尽くすなんて。それに複数でだ。

 

 俺は既にヴァンパイアモードだ。怒りに満ちている。

 日も完全に沈み、暗くなった。

 蓮も俺と同じく怒りに満ち、ヴァンパイアモードになっていた。

 感覚が鋭くなる。メインストリートの方から、生臭い、そうあのナイトウォーカーの臭いがして来た。

 

 

 ガブリエルが伝えた俺達の役目が、今始まる。

 

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