新魔王ナイチサ、消極的な虐殺のみを行う。魔王城周辺の領域を自分の領地として、戦線を西の方へと広げ、寒冷地帯へとその勢力圏を伸ばしつつ、そこで勢力を安定させ、兵の増産と安定を図る。魔王スラルよりも遥かに消極的な動きに対して人類が束の間の平穏を感じる。だがスラルとの戦いの経験から決して油断出来ない事も理解しており、魔王が動きを見せない間に人類国家側の安定のために動き出す。
人類国家が二つ陥落、地図から消える。その原因は魔王ナイチサによって翻弄され、狂った王が人類同士での戦争を始めた事に原因が存在していた。かつて、人類同士で戦争をする事は小規模であれ、存在していた。だがお互いが滅ぶまで戦争するのは初の経験であり、これまでは存在しない出来事だった。魔王ナイチサはただ戦争をするのではなく、人類を自滅させる為に苦しませるという手段を取る事がこれによって発覚した。この50年間、就任から動きがないのは魔王ナイチサがその仕込みをする為の時間であると発覚した。また、魔軍がほぼ手付かずで残っている為、兵力も増大している事実があった。人類と魔軍は戦争をしておらず、拮抗している状態であったが、それでも嫌な予感しか人類側には流れない。
人類国家、小国が四つ陥落する。その原因は一人の姫を巡るものだったとされる。余りにも美しい姫を手に入れる為に彼女の願いを叶える為、周りの人間が次々と狂いながら自滅し、絶望の声を上げながら滅んだ。原因はナイチサが悪魔を魔人にしたことだった。DDWを見つけたナイチサは悪魔の持つ力に注目、悪魔を魔人として登用する事でその契約の力を強化した。それを利用する事で人類を破滅させる手段として詐欺染みた能力を駆使する事を決めた。これにより美姫が生まれ、それを求めて魅了された国家が滅んだ。その情報が終わった後で広まり、魔王ナイチサに対する恐怖が始まる。魔王ナイチサに魔軍なんて暴力は必要なかった。狡猾かつ残虐、歴代魔王の中で最も恐ろしい魔王であり、暴力なんてものは飾りであるという事を認識させた。
魔軍、依然動きはない。だがその間、人類国家は常に疑心暗鬼に陥る。人間同士での衝突が増え、それによって小国が増えるというケースが出てくる。また魔人ケッセルリンクが人類国家で目撃されるケースが発生される。他にも時折魔人が人類圏を歩き回っている様な姿が発見され、魔人が人類圏を闊歩し、事件を起こす様子を誰かが名付けたのか【ダーク】と呼ばれる様になった。魔人の姿を見るだけでナイチサの策略の可能性を考えて国は自分の首を締め上げる様な行動にさえ出始める。今までの時代とは違う絶望と恐怖、苦しめる様な痛みが人類に広がる。
魔王ナイチサの恐怖の陰でカラーがついに立ち上がった。肉体的にはほぼ人類と同スペックではあるが、魔力はそれこそ人類を上回るカラーは魔法的な優位性を誇っている。それ故に南西部、熱帯地域に王国を築く。カラーを優性種としたカラーを至上とした国家をそこに建国する。これにより歴史の中で初めてカラーの国家というものが完成された。旧選民思想を引き継いだカラーの国家は魔法を優遇しており、それにより悪魔等を結界の内側に入れない様にする事で魔王ナイチサ対策とする事としていた。人類はカラーのこの行いに難色を示す事となった。カラーはこの時、自らが優性種とする事を主張しつつ、人類の一部を支配し、また人間を奴隷とする方針を見せたからだ。
NC300年、魔王ナイチサは未だに魔軍を動かさずにいた―――だが人類は魔王に踊らされていた。
「地獄かよ」
重力魔法で持ち上げていた新聞を閉ざしながらそれを掴んで、ベッドの上へと放り投げてから立ち上がり、背筋を伸ばす。ここ300年の療養で本調子ではないものの、大体は傷が治ってきた。それでも本調子ではない。その為、レベルが大きく下がっていてレベルが234はレガシオ戦であったのが、半分以下の101まで落ちてしまっている。これでもドラゴンという種族がベースだからレベルが下がり辛いというのもあって何とかここでレベル低下をストップ出来ているが、それでもマギーホアとの地獄の特訓で上がったレベルが大体消えてしまったのはショッキングだ。
またマギー‘sブートキャンプをレベル200超えるにはしなきゃいけないのか、と思うと絶望したくなってくる。
「にしても、歴史通りレッドアイ、パイアール、ザビエル魔人化はいいが……悪魔の魔人ってのは聞いた事がねぇな。なんだろうなぁ」
この300年のNC歴を振り返り、それが自分の中にある唯一のイレギュラーだった。まぁ、スラルを助ける為に派手に悪魔界を巻き込んだ結果、悪魔の知名度が上昇してしまったというのは事実だ。実際、一時的に悪魔側のノルマが増大して地上に出勤する頻度上がったらしいし。そういう流れで増えたのかもしれない、悪魔の魔人は。
「やっぱナイチサの事だし、魔人の増員は更に増えそうだな……」
ナイチサという魔王は残虐で狡猾だ。直接まだ見ている訳ではないが、レベルが下がった今の状態でナイチサを確認するのは危険だ。最低限、ザビエルが封印された後ではないと辛いと思う。それまでに150レベルぐらいまではレベルを取り戻したくも思う。それはそれとして、ナイチサが今、魔軍を一度も動かさずに各地を混沌と絶望の坩堝に叩き落している手腕を見れば、ナイチサは個人の実力というものをそこまで重視していないのが解る。あくまでも手段の一つでしかないのだ、強さは彼にとって。そもそも《無敵結界》がある影響で、無駄に強くなくても人類ぐらいはあっさり殺戮出来るのだから、余興として楽しんでいるフシがある。
ナイチサマジサイコパス。
だからナイチサは魔人を多く生み出せる。自分の血を分け与えて魔人を生み出して弱体化しようとも、そんな力が無くても人間を絶望させる事が出来るからだ。昨今の流れ、そしてドラゴンという戦力をスラル時代にナイチサは見た事があるだろう。それを考えるとまだ魔人を増やしそうな気がする……。
「完全に俺がはしゃいだ結果だな」
しゃーない、と呟く。軽く体を捻り、
「誰かに自分のケツを拭いてもらう趣味はねぇしな。自分でやったんなら自分で始末をつける。そうだろ? ルドちゃん。その方が楽しそうだしな」
という訳で、
「拠点フェイズだ、拠点フェイズ。だが食券も誰もいない!」
食券フェイズ欲しいなぁ。身内とコミュ取りたいなぁ、と呟いていると、自室の扉が開き白髪のショタが扉を開けた。
「なんだ? 寂しいのなら悪魔界で遊ぶか?」
「レガ君、自分が支配者階級だって思い出してから帰ってね」
「だから悪魔界に来るかって誘ってんだよ。傷、大体治ってきただろう? また遊ぼうぜ」
「お前の遊び致死性なんだよ。部下待たせてないで帰れ」
「そうか……」
レガシオ君ご帰還。君の食券にはまだちょっと早いから悪魔界で大人しくしててね。俺の心臓に悪い。ただし悪魔としての姿があれなのに、人間に擬態すると白髪ショタとかいうギャップは絶対に許さない。まぁ、そんな訳で拠点フェイズ終了? ちょっとだけ首を傾げる。まぁ、バランスブレイカーはALICEに取り上げられなかった代わりに、幾つか技能を奪われてしまったから、これからは何をどう使うか、ちょっと気を付けなくてはならないな、と考えながら着替える。
部屋の中ではだらだらといつも下着姿なので、旅装に着替える。
バランスブレイカーのブーツとスカーフはそのまま。下は動きやすいデニムのハーフパンツ、上は黒のキャミソール系ではあるものの体にフィットするのを―――乳袋系、アレ胸にフィットして支えてくれるので実に動きやすいのだ。というか胸が揺れない。固定してくれるので、胸が大きいと地味にアレで助かるのだ。その上からポケット多めの茶色のジャケット。
頭にゴーグルを装着し、《時の忘れ物》で左髪の房を飾っておくのを忘れない。メギンギョルズも右手の中指に装着しておき、腰に《蒼炎のランタン》をぶら下げてお着替え完了。かなりの軽装だがゼス方面へと移動するなら、これぐらい軽い方が移動しやすい。後はウェストポーチに食料やら水を叩き込めば問題なし。これでどこに出ても恥ずかしくない最強カラーの完成である。やべぇ、アームズ・アークにレアアイテム狙われそう。
あとは自衛用の武器だ。
「んー……こいつ持ってくか」
部屋の壁に立てかけてある鎚、《勝利の鍵》を握る。名前は鍵だが、見た目はハンマーだ、長剣サイズの。普通にそのまま振るう事も出来るが、これを掲げた状態で“こいつが勝利の鍵だぁ!”と叫ぶとなんと、ハンマー部分が消し飛んで超光波分解ハンマーに変形、そのままハンマー部分が巨大化して周辺一帯を“光になぁぁぁれぇぇぇぇぇ!”が出来る優れものである。
そう、勇者王である。
アリスソフトさん、パロディ好きだよね。
《ユグドラシル》の代わりとしてレガシオの宝物庫から賠償金代わりに貰って来たもんである。Lv3技能を本気で運用するとなると、ドラゴンパワーと合わせてバランスブレイカーでさえ破壊される。そう言う訳で一番頑丈な武器をレガシオからパクってきたのだ。元々再生機構付きのこいつであれば、ぶっ壊しても安心である。
ぶっ壊さない、という選択肢はない。
スクラップ&スクラップ、ウル様は既存の常識を破壊する事に喜びを見出すのだ。
「あー……俺に残された技能は後
最終的に《槌戦闘》《ドラゴン》《魔法》ぐらい残ってくれれば後の技能が消えても特に問題ないのだが。それでもALICEちゃんが警告してくれたのだから、そこら辺は肝に銘じておこう。
「防具は……まぁ、マッハさま呼び出して盾にすればいいか」
「我輩を呼び―――待って、我輩今防具扱いされなかった?」
「気のせいっすよマッ盾ハ様」
「名前に盾混じってる……」
マッハ様、光の速さで逃亡。でも呼び出されたら絶対に対応してくれるそういう職務に対してだけは忠実なスタイル、嫌いじゃない。
「うーし、出発前のお着替えはこんなもんか。後は皆が遊びに来た時を想定して置手紙ぐらい用意しておくか……」
指を滑らせ、魔法で羽ペンを操って手紙を書く。
「えーと……そうだな……最近運動不足を感じてちょっとニート生活にも飽きたので、軽い運動の為におでかけします。御用の方は残り香で我慢しておいてください……っと。よっし、消臭スプレーで臭いを消しとくか」
ぷしゃー、と出かける前に部屋を掃除と消臭する。俺が残り香なんて残すわけないだろ。ちなみにウル様の臭いはフローラルだ。殺してきた敵の臓腑の匂いがして物凄い落ち着く臭いをしているという設定だ。
「良し」
何が良し、なのだろうか。まぁ、とりあえずこれで問題はないだろう。レベル100を超えた戦略兵器をどうにかできるのはこの時代、魔王とその魔人ぐらいだ。その魔人にしたって大半は弱点を網羅しているので逃げるだけなら大体問題はない。一番問題ある敵である天界は、ルドちゃんが抑えているのか、そのせいで襲われる事はないし。
でもALICEちゃん可愛いヤッター! という事だけは心の中で叫びたい。
だけど調子に乗り過ぎたら100年耐久魔物レイプ! 苗床にされたウル先輩! みたいな事になりかねないので、調子に乗る事だけはしないようにする。そもそも神々側のスタンスというか、何を求めているというのが不透明すぎる。
だからこそ悪魔側と仲良くしたり、連携したりするのだが。
「……ま、何時までも妄想しても仕方がないか」
勇者王ハンマーを片手で担ぎながら扉を抜け、足で蹴って扉を閉める。カラーの森から見える翔竜山へと視線を向け、
「それじゃ、ちょっと旅行行ってくるな、皆」
声をそうやって拾えるかなぁ? 拾えないよなぁ、と思いつつ、カラーの森を出て行く。
目指す先は南。南西。
熱帯地域―――即ち未来ではゼスと呼ばれる場所。
今現在、カラーの王国が建国されている場所。そこへと向かって斥力跳躍を行いながら、リハビリがてら小旅行へと向かう。プラチナブロンドを正面から吹いてくる風に乗せて後ろへと流し、蒼いリボンが風に揺れる。
NC歴、最初の冒険の開始だった。
なんだかんだで、こうやって冒険するのは嫌いじゃないのだ。
という訳でNC歴、カラー王国をみたり、JAPANを見て回ったりしようぜ?
この時代は自分kなら動かなくても色々とイベントが発生しているし。まぁ、それはそれとして既にゆがみが発生して未来が変わりつつあるけど。
確かに変えなければよい未来があるかもしれない。
だけど変えないなら原作! を! やれ!
で終わってしまう。二次をやる以上、ガンガン良くも悪くも変えて行こうぜ。