※この作品はR-18です。

ルドラサウム転生異聞録   作:てんぞー

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カラー王国 ターントップ

NC310年

 

国家状況報告

 

≪≪≪≪≪≪≪≪

 

『うるせえ、俺が新生カラー女王ウル様だ。それはそれとして10年以内に国家解体するから絶対に邪魔すんじゃねぇぞ、絶対にだからな! ネタでもフリでもないからな! 喧嘩は! 敵を見て! 選べ!』

 

 その挑発に乗って東西国家が同盟しカラーに襲い掛かった。その最大の理由は両国家が密かに発見した、カラーのクリスタルは蒼くなった後であれば、凄まじい魔力を秘めるアイテムとなる事であった。それによってカラーという種族そのものが非常に質の高い魔道具の素材としての価値が出て、一種のモンスターという認識さえ生まれてくるようになった。国家の対応に当然新カラー女王、ウル・カラーは激怒。攻め込まれない限りは手出しはしないと誓いながらも、毎年行われるカラーに対する略奪や拉致に対応する為に人材登用を始める。先代女王とは全く違う人間とカラーの融和政策を取り、国家解体に乗り出すと宣言する。特に北部の人間を至急取り立てて、北部の屈強な男たちを前に、背後からカラーによる弓と魔法の援護という軍隊化を臨時で行った。その最大の理由は両国家に対する対応だった。なお女王ウル・カラーは解体事業を進める為に身銭や私物等を全て売り払ってまで資金源として投入する様子を確認されており、その様子から部下たちからの人気は高かった。

 

 

NC330年

 

国家状況報告

 

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『敵を! 見て! 戦争しろつっただろ!! 魔軍と戦えよ!』

 

 国家解体事業、進まず。聖獣オロチが新たな浮遊大陸、JAPANを生む。だがその混乱の中で部下が暴走、隠れ里を作る為の筈の資金を国家を運営する為の資金に回す事で国家の解体が遠のいた。常識的な政策と本人が言う政策の数々は先進的ともとれるものであり、また民あってこその国家という考えのもと、無理に事業を進めず、まずは生活を安定させつつ進めるという無茶をやっている結果人望が生まれ、それが裏切って国家の運営を続けようとするので一種のドツボにハマっていた。なおJAPAN誕生の混乱の中で再び、国家間の戦争が開始。今度は備えていたカラー防衛隊の手によってひたすら罠にハメて撤退戦術を繰り返す事で損害を減らして撤退に追い込む。ここまで来るともはや慣れたものもあった。

 

 

NC340年

 

国家状況報告

 

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 ザビエルダーク発生。魔人ザビエルが襲撃する。ザビエルとの戦いの為にウル・カラー・及びハンティ・カラーは数か月に及び超長期防衛線を展開、少数精鋭による遅延戦闘を繰り返す事で戦線を進ませず、常に停滞させて戦闘を進めない事で対応する他、捕獲したハニーを盾にする事でザビエルの魔法に対処する。それに便乗する様に多数の国家が襲撃、カラー人口の5分の1がザビエルダークに便乗した国家侵略によって死亡、拉致、狩られる。カラーの王国は大きくその力を減らし、他の国家から狙われる立場となる。また、1年間続いたザビエルダークは最終的に魔人ケッセルリンクの介入によって終了する。魔人ケッセルリンクと魔人ザビエルの間で発生した会話は不明、しかし唯一理解されているのは魔人ケッセルリンクは時折、不幸な女性を助けに来るという話であり、今回のカラー虐殺に際して自身の元の種族、そしてそのザビエルダークの余波として発生したカラー虐殺に対して介入したという説になる。

 

 

NC350年

 

国家状況報告

 

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 東西両国の国王、暗殺。真相を知る者はいないものの、ほぼ同時期にダークの影響で虫の息となっていた国家を攻め込んだ2国、その王が同時に死亡した。それと同時に軍事拠点に爆破と隊長、将軍格のみを集中的に狙って連続暗殺が発生する。これにより一時的に軍事が完全崩壊、3国家全てが疲弊する。だがその中で元々攻められ慣れていたカラーの国が即座に立て直す。徐々に国家の端からカラーの姿が消えていく。

 

 

NC360年

 

国家状況報告

 

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 国家解体完了。国王暗殺と将軍暗殺で東西の国家が混乱している間に事業は完了された。これによりカラーの王国というものは最後の女王ウル・カラーの手腕だけを残して歴史に二度と国という形を見せる事無く消え去る。この後に、両国家は残された大きな土地をカラーを求めて奔走し、衝突し、そして勝手に争って滅ぶ事となる。

 

 

NC450年

 

国家状況報告

 

≫≫≫≫≫≫≫≫

 

 隠れていた一部のカラーが決起。再びカラーの王国を目指そうとするが、カラーの価値を知った人類によって見つけ次第狩られるというありさまに。国家という枠組みによる守護がなくなった今、人類によるカラー狩りが本格的に始まる。見つけ次第カラーを犯して狩るというのが一種の一般的な認識となる。このため、カラーが表舞台に出て来るような事は極端に少なくなる。

 

 

 

 

「ま、こんなもんか」

 

 ゴーグルにスカーフを装着した状態で、魔法を使った状態で額のクリスタルを隠している。これで自分がカラーであるとは見ただけでは解らない。これを見抜けるようなやつは高度な魔法技能を保有した奴に限るだろう。未来で自由都市と呼ばれる地域、その中にある大きな都市の一つ、その広場で新聞を足を組みながら浮かべて頁をまくっている。手を使わずに頁をめくるもので、一種の大道芸の様な光景からか、軽い視線を集めている。魔法を発動させて声が届かない様にしているので、どれだけ声を零そうとも問題はない。防諜用に開発した魔法の一つだった―――ハンティが。やっぱ魔法のLv3技能は恐ろしいなぁ、と思う話だった。こいつ、何時の間に《瞬間移動》を開発してたんだろうか。俺もほんと使いたい、《瞬間移動》。ただ時空干渉系統の魔法は完全にLv3系統の特権なので、自分では駄目だ。根本的な魔力も足りない。

 

 まぁ、俺は俺で《槌戦闘Lv3》あるからそれで我慢しよう。勇者王も足りないものは勇気で補えと言っている。

 

「姉さーん。アイス買ってきたよ。珈琲味の」

 

「お、待ってました」

 

 ベンチで座りながら新聞をめくっていれば、ハンティが戻ってくる。此方も今はカラー迫害の強い時代である為、クリスタルを魔法で隠している。それ以外でカラーを判別しないから、雑っちゃ雑だよな、とは思う。まぁ、カラー狩りはGL歴が始まれば人類そんな余裕もないし、問題はないだろう。

 

 いやぁ、ジルは本当に怖いなぁ……。

 

 全人類家畜化完了を数年で成し遂げるってなんだろうね、本当に……。

 

 未来の恐怖に震えながらハンティからコーンに乗った珈琲アイスを貰い、それを一口食べる。この甘さと苦さが好きだ。やっぱり旅をしたときはそこでなんか、現地のモノを食べたいよなぁ、と思う。こっちは珈琲豆が結構いいのがあるらしいので、袋単位で購入するのも悪くはないのかもしれない。

 

「ハンティは何味にした?」

 

「私? ライチ味。中々美味しいよ」

 

「どれどれ……お、ほんとだ」

 

「そっちは……んー、好みじゃないかなぁ」

 

 そうかなぁ? 珈琲の味もいいぞぉ? ただし紅茶も楽しい。紅茶も珈琲も、それぞれ楽しめば良いのに派閥だなんだ、と争うのは馬鹿々々しい。美味しいものは全部それはそれとして楽しめ、というウル・ガルティア派閥を是非とも見習ってほしい。食に関する事で大体の意見はガルティアと納得できるが、未だにスラルのドラゴンさえ腹を壊す毒料理を美味しい美味しいと食う事だけはギャグ補正かなにかで乗り越えてるんだと信じさせて欲しい。

 

 試しにノスお爺ちゃんに食わせたらそのまま昇天しかけたし。あれ絶対おかしいよ。

 

「んー、こっち来ると日差しが丁度良いなぁ」

 

「あっちは暑かったからねぇ。あったかいのはいいけど、流石に暑いのはねぇ」

 

 アイスを舐めながら新聞を浮かべていれば、ハンティの視線が新聞の方へと向けられ、カラーの殺害事件の事を捉えたらしい。アイスを食べる手を止めた。そして口を開こうとして、

 

「必要だった」

 

「……でも」

 

「必要だったんだよ、犠牲は。なるべく犠牲の出ない方向に軟着陸させたけど、ここら辺が俺の限界かなぁ。もう二度とやらねぇけどな」

 

 まぁ、なんというか、

 

「人は考える動物だよ」

 

「……考える動物?」

 

 そう、一番簡単に表現するならそれが楽だ。だから考える動物だ。

 

「賢い動物だから経験さえすれば大体の事は理解してくれる生き物でもあるのさ。だけど同時に、出血してまで経験しなきゃ学習しない愚かな獣でもあるのさ、人も、俺も」

 

 俺も、色々と経験してきた。狂気、苦しみ、涙、助け、変革。そういうものを一つ一つ、少しずつ経験して行くことで人間として熟成されて行くのだと思っている。俺も少しずつ、本当の意味で大人として、そして一人のウル・カラーという存在として、この世界に立つようになってきている。だからいつかはルドラサウムとも―――いや、今はこれはいいだろう。

 

「カラーの歴史は人類に比べたら浅いんだよ」

 

「それは……うん、解る」

 

「やっちゃいけない事を経験しない限りはどうしようもないんだ。人類は人類でスラルとナイチサを経験しているから、大体やっちゃいけない事ってのが解ってきた。だけどカラーは今まで、歴史の表に出て来る事がなかった。そしてこいつだ」

 

 額を叩く。無論、クリスタルの事である。

 

「俺が抑え込める範囲で何とかなっただけ幸せだと思った方がいいぜ。まぁ、何もかもが救える程この世界は優しく出来てないしな」

 

「言いたい事は解るんだけど今一そこら辺納得いかないんだよねぇ」

 

 まぁ、気持ちは解らなくもない。すっきりしないと言えばそうだろう。結局のところ、俺だってザビエルダークが原因でカラーの被害を予想よりもかなり多く出してしまった。その時に狩られたクリスタルは暗殺ついでに回収できるだけしてきたが。それでも使われたクリスタルや、行方不明のクリスタルなどは見つけられていない。俺のミスだし、出来る事なら狩られたカラーのクリスタルは全部回収したい所ではある。

 

「姉さんのそういう割り切れる所、私は羨ましいな。政治とか、誰を切って捨てるとか、そういう判断がちょっと苦しいかな」

 

「別に、全部自分で出来る様になる必要はないんだよ。お前だって《瞬間移動》とかいう反則技持ってるじゃねぇか。俺だって出来たらそれが使いたいわ」

 

 だけど出来ない。人は完璧ではない。出来る事と出来ない事がある。

 

「だから姉妹で協力できるんだろ?」

 

「うん、そうだね」

 

 まぁ、俺もそうやって誰かに助けを求めるというか、考えるのに至るのに物凄く悩んだ。物凄く悩んだ結果泣いて助けを求めてしまった。今でもたまにネタにされてからかわれるので翔竜山の連中はマジで一回殴り飛ばしたい。

 

「ま―――これは終わったことだ。あのクッソ忙しい火の車経営、もう絶対に二度とやらないって誓わせるには十分な50年間だったわ」

 

「最初は10年の予定だったんだけどね」

 

 何だよ、貴女こそ理想の女王です! って、そんなリアクション求めてないんだよ。サンドバッグ代わりにマッハ呼び出してみたら大爆笑してたし。絶対ハーモニットになって見てただろお前。何だよ、国家解体用に隠れ里建設資金を回してみたらそれが国家運営の為に循環されてたって。俺そんな事一度も求めてなかったんだけど。さっさと国家を解体したかっただけなのに玉座に押さえつけようとするのほんとやめて欲しい。

 

 ちょくちょく煽りに来るスラルが割とイラっと来る。

 

 あいつの魔王時代の苦労、今なら解るかもしれない。あの苦しみが10倍の長さで続いたと思うとそら苦しいだろう。

 

「ま、漸く待ちに待ったフリータイムだ」

 

「ずっと解放されたがっていたもんね」

 

「ケツが玉座にくっつくかと思ったぜ……ま、今ではいい思い出だけど」

 

 しっかり落ちまでついてくれたし。そう思いながら新聞を閉ざす。とりあえず、必要な情報はこれで大体確認できた。やっぱり一番近い地域で調べものするのが一番楽だというのがこれで分かったし、これで大体の状況も解ってきた。

 

「で、これからはどうする予定なの?」

 

 アイスを片手に、ベンチから立ち上がりつつそりゃあ勿論、とハンティの言葉に答えながら笑った。

 

「Go East、東の果てで新たな冒険が俺を待っているぜ」

 

 折角世界が拡張パッチで広がったのだから、それを確かめないなんてとんでもない。原初のJAPANの様子、折角だから存分に楽しむ為にも遊びに行かせて貰うに決まっている。

 

 団子。妖怪。オロチ。鬼。三種の神器。そして和服。

 

 楽しめる要素は腐る程あるんだ。

 

「ここしばらく忙しかったのをぱぁっと遊ばせて解消させて貰うぜ」

 

 なに、自分がどう生きるかを選ぶのは自由なのだから。




 国家解体事業達成。

 優秀な結果、中々部下の方が解体させようとせず無駄に長引くとか完全に逆に笑う連中がいたとさ。次回からはJAPAN漫遊かな? まだまだ若いJAPANだけど。
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