それから100年とたぶん100年か数十年ぐらい雑にケーちゃんとは冒険した。ドラゴンは時間感覚がかなり曖昧なのでもしかして数百年かもしれないし、数十年かもしれない。そこら辺は本当に感覚がない。とりあえず、それなりに冒険した。ケーちゃんは強さに貪欲なリスであり、成長はかなり遅いものの、元が進化し続ける丸いもの出身だけあり、長い時を経れば恐ろしいほどの強さに成長するだろう。何より、ケーちゃんの精神性がその成長を許す。強さに貪欲なケーちゃんは黄金像を探す為に冒険に出る自分と共に、ダンジョン攻略などを行って地味に経験値を溜めて行く。とはいえ、レベルアップの儀式も行えない身である為、どこかでレベルアップしなければならない。
少なくとも丸いものとドラゴンは第一と第二のメインプレイヤー。これが魔物になると自然とレベルが上がるのだが、メインプレイヤーは絶対にレベルアップの儀式を受けないとレベルが上がらない。その為、ケーちゃんは数百年ほど経験値を溜め込んだ所でお別れとなった。レベルアップしに別れたのだ。
ただ、それだけではない。
大陸にそびえる4700メートルという巨大さを誇る原初の魔王、ククルククル。6000年以上生きて、一級神に最も近いと言われた存在が漸く疲弊する様子を見せたのだ。大陸全体からすれば東南の方角に立つククルククルとドラゴンたちの大戦争は、山程の死骸を生み出し続けたドラゴンの数の暴力が少しずつ、ククルククルに迫り始めるという形で結果を見せ始めていた。時折ブレスやドラゴンの姿がククルククルの触手を掻い潜って、その体に届き始めている。ルビー色の体のキングドラゴン・マギーホアも接近しては攻撃を与え、離脱しているのが見える。
ククルククルの死が近い。彼に生み出された魔人として、ケーちゃんが恐らく、何らかの行動を取りに行ったのだろう。遠い未来の彼はともかく、今のケーちゃんはまだどことなく、リスとしての側面というか、可愛らしさがある。だがそれもじきに消えるだろう。そして未来へと繋がる、最強最悪の魔人ケイブリスとなるだろう。まぁ、死んでいる未来の話なので今はどうでもいい。ククルククルが生み出した魔人はケーちゃんを除き全てドラゴンに狩られているのだ、
後はククルククルが死亡すれば、前時代は完全に終了する。そして始まるのは次の時代だ。
それも長くは続かないのだが。
それはともあれ、ククルククルや新しい魔王の誕生には一切の興味が湧かない。なのでそれを無視するとして、ケーちゃんと別れてから再び黄金の像を探す為の活動を再開する。100年もあればレベルぐらい上がってそうなものだが、中途半端なままカラーの森に帰るのもちょっと面倒だった。ケーちゃんと大陸を冒険している間に少なくとも黄金像を二個見つける事が出来たため、飾りではなく真面目にちゃんと、神の扉が機能している、或いは設定が存在しているという事は確認できた。物凄い勢いで前世の年齢を乗り越えた事は特に気にせず、
今日も、アイテムを求めてダンジョンに突撃する。
「おーっし、ダンジョンめーっけ。宝箱からハイパー兵器は出てこないかなぁー?」
大陸最西部、将来的には魔物界と呼ばれる土地を飛行していれば、ダンジョンを発見する。此方側はドラゴンの活動圏の外側である為、此方はモンスターやら独自の生活を繰り広げる生物が多い。特に強く育ったアロエの群生地は軽く地獄で、恐ろしく頑丈な上に割と真面目に狂暴で困る。とはいえ、ブレスが吐けるドラゴンからすれば焼き払えばそれでいいだけの植物である。アロエに覆われたドラゴンでも入れそうな程広い入り口の洞窟だ。小さいとがりがり採掘しながら進まなくてはならないので、地味に困る。
「がおー……よしよし、焼けた焼けた」
口から光と熱のブレスを吐き出して入り口を封じるアロエを焼き払い、洞窟の中へと進んで行く。ケーちゃんに頼んで作って貰ったポシェットが首からぶら下がっており、黄金の像はその中に入れてある。その中に黄金像がちゃんと入っているのを再確認してからプチ《火の矢》を唱え、それで軽く洞窟を照らしながらダンジョンの中に踏み込んで行く。
「お宝を用意して待っていろよー! 後経験値もなー! ただしハニーキングはマジ勘弁な!」
流石にハニーキングとかちょっと勝てる気がしないし。とはいえ、ダンジョンの内部からハニー達のひぃ、という声が聞こえた。これはアタリかもしれない。そう判断し、翼をたたんで洞窟の中へと飛び込む。
それと共にトラップが発動し、地面が粘着地面へと変貌する。
「ずどーん、ずどーん、つよいぞー。かっこいいぞー! がーっはっはっはー!」
トラップを踏み潰して粉砕する。足元が多少粘着しようが一瞬動きが鈍るだけでドラゴンの巨体にはほぼ無意味だ。脳味噌を半分緩めながら笑い声を洞窟の中に反響させ、軽い竜の咆哮を轟かせる。それだけでほとんどの生物は恐怖を覚え、竦み上がる。それだけドラゴンという生物がこの時代においては絶対的という事だ。故に無理矢理突破し、ダンジョンを荒らす様に踏破する。壁をがりがりと削りながら奥へと進んで行き、目の前に飛び出してくるハニーやちゃつみ、ちゃそば等のモンスターを踏み潰し、体当たりで粉砕し、そして握り潰して始末する。ドラゴンという種族が誇る、基本スペックの暴力。
それでひたすらダンジョン
扉を見つけたらドラゴンパンチで粉砕して罠諸共吹っ飛ばす。宝箱はブレスで周囲を薙ぎ払ってから安全確認して開く。そして中身を獲得し、それをポシェットの中に押し込んで再びダンジョンを進む。露骨に侵入禁止するような階段は体当たりで粉砕して強行突破し、地下へと向かう。そうやって下へと向かえば、逃げようと、隠れようとしていたモンスターを目撃できる。
「がーっはっはっは! 死ねぇ―――!」
笑いながら虐殺して進む。モンスターの血と陶器が散乱し、死骸が道となる。それを踏みつぶして塵にしながら悲鳴を一切無視し、奥へと突き進んで行く。そして蹂躙に蹂躙を重ね、圧殺する様に全てを轢き殺してダンジョンの奥に到達する。ここで一度、奥の部屋の壁にブレスを叩きつける事を忘れない。偶にお宝を防衛する為にハニー共が壁を偽装したりする場合がある。大抵の通路の壁なんかは、突進の衝撃で砕け散るので、探す必要はない。
ともあれ、今回のダンジョンは奥の奥へと進めば、宝箱は置いてあるものの、別段黄金の像でもなければ使えそうなものでもなく、隠し通路もないクズダンジョンだった。がっかりに思いながら壁を削る様に振り向き、というかその動きで壁や天井を破壊しながら翼を広げ、物理的に崩壊させながら飛び出して脱出した。
「あー、派手に暴れた。次はどうしよっかなぁ。近くにダンジョンないかなぁ」
頭を振るって埃や土を落としながら体を揺らし、ダンジョンの瓦礫を落としていく。やはりドラゴンの体は頑丈でルールに縛られない、良いものだ。ただし交尾するなら人間の可愛い子とさせて? という気持ちだった。個人的にはカミーラさん、中々にストライク。童貞卒業には丁度良い相手なんじゃないか? とは思わなくもない。だがその場合、ドラゴン規模のハイパー兵器で入るのだろうか……?
いや、マギーホアが散々犯してるんだからそりゃ入るか、と自己解決する。
それでもサイズ差が酷すぎるが。というか現時点でカミーラが生まれていないので超年下ではないか、あの子。これではただのロリコンだ。やっぱ同世代のカラーに童貞卒業する時は頼もう。そうしよう。
「うーし、ハイパー兵器求めて冒険再開じゃあ―――!」
意思を新たに、宣言する様に言葉を放った瞬間、
ルドラサウム大陸そのものが震える様に鳴動した。驚きのあまり空から落ちそうになるのをなんとかバランスを取りながら衝撃の波が放たれた方角へと視線を向ける。ドラゴンの両目で捉える遠くの景色、そこでは巨大な機構の様に伸びていた魔王の姿が、大地に倒れている姿を晒していた。
魔王ククルククル、死亡。
「そっか、今はKuku2014年だったのか」
呆然と魔王ククルククルが死亡した光景を眺めていた。大陸の反対側からでも目撃出来る程に巨大な魔王だったが、生物として恐らくは最も神に近づき、そしてそれだけの力を得ていたククルククルだったが、それでも死んだ。1000年を超えるドラゴンによる猛攻に疲弊し、そしてついに陥落したのだ。これによって6000年魔王として君臨したククルククルの時代は終焉し、
次世代へと時代は変わる。つまり丸いものからドラゴンの時代へ。
魔王ククルククルの死亡と共に新たな魔王、アベルの誕生した時代へ。
Kukuの終焉、そしてAV歴の始まりだった。
「あーあ、アベルの時代始まっちゃったかぁー」
アベル自身、まだ出会った事のないドラゴンだった。だが魔王としてはいい所なしとしか表現できない。何せ、自分の欲望を満たす為にカミーラを攫い、そしてその結果マギーホアにキレられて敗北、アベルが集めた魔軍諸共滅ぶからだ。そしてそれがドラゴン時代の終焉へと繋がる。
アベルの時代は確か60年で終わる。正確には700年近くあるのだが、その内魔王アベルが活動していたのが60年だけで、残りの600年近くはほとんどエンジェルナイトによるドラゴン狩りの時間だ。
「つまり俺がハイパー兵器を入手するまでのタイムリミットも後60年かぁ……これ、間に合うのか……?」
ケーちゃんとタッグを組んで黄金像を探し、そして2個入手するまでにかかった時間を考えてみれば、ちょっとこれ、ラストウォーまでに間に合わないんではないだろうか……?
「んー……方向転換するか。森が騒がしくなってそうだし」
流石にこのままのんびりと冒険をしている訳にもいかない。魔王が死んだのでは体制にも大きな変化があるに違いないだろう。それに魔王アベルの動きも気になると言えば気になる話だ。そこにはケーちゃんの姿もありそうだし。とりあえず、ラストウォー勃発まであと60年、その間にどうやってハイパー兵器を手に入れるかを考え直す為にも、
一旦、進路を切り替えて翔竜山麓のカラーの森へと戻って行く事にした。
カラーの森へと戻って来れば、当然の様にお祭り騒ぎだった。数千年間の間ずっとドラゴンに敵―――というか標的にされ続けてきたククルククルが死亡したのだ。それを祝う様にドラゴンもドラゴン・カラーも盛り上がっていた。というか盛り上がり過ぎていた。
カラーの森が大乱交祭りに発展していた。上空を通るだけで漂う濃いドラゴンの精液の匂いに思わず顔をしかめながらも、ゆっくりと着陸の為に下へと降りて行く。そしてそこに同世代生まれのカラーが雄にバックで犯されている姿を見つけた。
「ククルククルが死んだみたいだから帰ってきたんだけど調子はどう?」
「イキそう……!」
「そっかぁ……会話にならねぇなこれ……」
そこらじゅうで喘いでいるカラーとドラゴンの姿が見える。ドラゴンの図太い逸物がドラゴン・カラーの秘部を割り、その中に侵入して犯している。まぁ、数百や数千では測れない数をククルククルに殺されているのだから、ドラゴンもドラゴン・カラーも、一大ベビーブームなのだろう。凄い景色だった。ドラゴンが艶めかしく大乱交パーティーを繰り広げてずっこんばっこんしている。
欠片も興奮する要素がねぇ。
俺に対する一切の得が存在しない景色だった。AV歴のAVは実はアダルトビデオのAVだったのでは? とトリップし始めるレベルには欠片も興味の湧かない景色だった。しかしこれは恐らく、数年はセックス漬けでどうしようもないだろう。
帰ってくるだけ時間を無駄にした。この様子じゃ翔竜山の方もどうせ、大乱交状態だろうなぁ、と軽く予測がつく。戻ってこないでそのまま冒険を続けてりゃあ良かった、と嘆く。ともあれ、この様子では時間の無駄だ。
去ろうとした所で、
「お、君……綺麗な鱗をしているね……どうだい? セックスしない?」
「悪いけど俺、女にしか興味ないんだ」
「そんな事を言わずにさ、雄の良さを体に教えてあげるからさ、優しく」
完全に発情している雄の逸物が勃起しているのが見える。相手するだけめんどくさい。翼を広げてそのまま空へと飛び上がり、逃亡する。大乱交大会が繰り広げられているドラゴンの生息地を離れ、とりあえずは空を飛翔する。
「さーて、北と西と南には行ったし……東に行くか」
将来的にはリーザス、そして自由都市と呼ばれる地域。そして同時にJAPANと呼ばれる土地がある場所。今はまだ大陸の一部となっているその場所へと向かって飛翔する。
なにせ、魔王アベルとか割とどうでもいい存在なのだから、関わる理由も探す理由もない。
俺が欲しいのはハイパー兵器のみなのだから。
新しい魔王が誕生しました。これよりAV歴となります。お忘れなきよう。
まだまだ狂気、まだ狂気。
このお話は大体NC歴、つまり魔王ナイチサ辺りから本番と考えているお話。それまでは下積みだったり、フラグ建築だったり、色々と狂気の中に埋めている作業。サクサクとNC歴まで進めたい所なんだよなぁ。というかSS歴にまで行かないと人の姿にならない……。