※この作品はR-18です。

ルドラサウム転生異聞録   作:てんぞー

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XXX年 大陸騒乱

NC693年

 

藤原軍戦況報告

 

≪≪≪≪≪≪≪≪

 

 藤原軍、大陸進出。数年の停滞の後、漸く藤原軍はJAPANという狭い土地を飛び出した。この時、最後まで天満橋で藤原軍の大陸進出を阻んでいたのは旧・カラー王国の女王だったという話が残り、最後まで藤原石丸の力を引き出す為に戦っていたという話でもあった。それにより、石丸の力は更に洗練され、それをもって大陸に飛び出したJAPANの帝は、一気に大陸にその姿を走らせた。

 

 大陸へと飛び出した石丸は手始めに天満橋周辺の国家を飲み込んで併合し、JAPAN以外に対してはそこまで強くなくとも、それでも多少は影響のある帝の力を使って、飲み込んだ国家の疑心暗鬼の心を取り払った。これによって魔王城に最も近い地域の国家が急速に安定した。人類の魔軍に対する防衛戦線が急激に力を取り戻し、魔軍に対するJAPANと連合した防衛軍が展開する様になった。今までは活動しなかった魔軍がこれに対して活動を開始、魔王城南の地域で人類と魔軍の戦争が数百年ぶり、SSの時代より再開される。

 

 

NC700年

 

藤原軍戦況報告

 

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 藤原軍、更に西へと向かう。大陸に攻め込みながら連戦に連勝を重ねる。勢いに乗った藤原軍はもはや止められる存在が居なかった。純粋な人間というカテゴリーで評価するのであれば、間違いなく藤原石丸という男は既に人類最強と呼べる領域に立っていた。もはや彼の進軍を止める事の出来る国家と人間は、大陸には存在していなかった。故に藤原石丸の進撃は続く。この大陸に覇権を広げつつ。

 

 それとまた同時に、JAPAN文化が大陸に広がって行く。文化の融合と言語の壁を取り払われる事等が行われ、藤原石丸の行いの中でも、最大の偉業だと言われる言語の統一化が行われた。これによってどの地域に行っても、訛りなどは別として、同じ言語で人類が喋る様になるのは、この先の未来で発生する事でもある。JAPANの文化や出身の物が大陸に溢れ、名称等もJAPAN風の物がこれより広がる事となる。

 

 

NC705年

 

藤原軍戦況報告

 

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 魔軍に動きアリ。ついに魔軍が行動を開始する。魔王城周辺の地域に対して激しい攻勢を見せて、大陸の半分を支配した藤原軍を強制的に召集させ、激しい戦場へと発展する。また、魔人ザビエルが戦場に出現し、藤原石丸との勝負が目撃される事になる。この際、事前に用意されていたように《粘着地面》やハニーを利用した徹底した防衛戦術で魔人ザビエルを釘付けにする軍隊による戦術が考案され、これがカラーのザビエルダークに始まり、藤原が受け継いだ後世にまで残る一つの対魔人遅延戦術としての始まりとなった。《無敵結界》故に倒せない魔人に対して、人数を用意して徹底した遅延戦術を行う事で被害を極限にまで減らすという行いであり、その間に魔人周辺のモンスターを押し返す事で、戦線を確保する戦術であった。

 

 

NC707年

 

藤原軍戦況報告

 

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 戦線に魔人ザビエルだけではなく、魔人レッドアイが投入される。これによりついに常勝無敗を重ねてきた藤原軍がJAPANにまで押し返される。また、これには魔人レッドアイが妖怪王黒部の肉体に寄生する事に成功したという事実もある。これにより妖怪王黒部は魔人レッドアイに洗脳される形で鹵獲された。そしてそれが藤原石丸の判断を誤らせた。救出しようとした石丸が逆に撃退され、深手を負った。ほぼ致命傷に近い形の傷を負った藤原軍はJAPANに引き篭るしかなくなった。そしてこれによって藤原軍の壊滅、そして遠征は終了するのだった。

 

 

NC710年

 

藤原軍戦況報告

 

≫≫≫≫≫≫≫≫

 

 魔人黒部誕生。その最初の命令は藤原石丸の殺害であった。これによって藤原石丸の時代が完全に終了する。そして藤原石丸を支え、無二の友として戦場を駆け抜けた妖怪王黒部が妖怪魔人黒部として魔軍に加わった。魔王による絶対命令権には逆らえず、友を自分の手で殺す事となった黒部は発狂し、その正気を失った。もはや完全に獰猛な妖怪となり、見る命全てを憎んで殺す怪物と成り果てた。魔王ナイチサの悪辣な手腕が見え隠れする内容だった。とはいえ、魔軍側もこの時は完全に被害を抑え込めた訳ではなく、最終的には魔人ザビエルの封印を行い、魔軍側の戦力を大きく削る事に成功した。

 

 藤原の没落―――しかしこれで人類は終焉した訳ではなかった。黒部の魔人化、藤原石丸の死。それによって一つの時代が終わっても、次の時代が既に芽吹き始めていた。藤原石丸が育てた230万を超えた軍隊、それによって齎されたのは新たな文明と文化の開花であった。彼の雄姿に魅せられたのはJAPANの人間だけではなかった。藤原石丸が居なくなったことで一時的に空座となった大陸南半分の支配領域に、新たな王が現れた。

 

 これにより、南部はその名を【大オピロス帝国】へと名を変えた。栄光ある人類の歴史が新たに広がる。

 

 

 

 

「んで、これが後で東部オピロス帝国に割れる、って訳か」

 

 石丸君、正史だとザビエルに首を跳ねられて2カ月でJAPANに撤退する運命だったため、レッドアイを引きずり出しつつ数年持たせたのは純粋に凄いと思う。ただ君が古臭いカラーの使った対魔人遅延戦術なんてものを使うからザビエルにすっげぇキレられてしまったではないか。まぁ、アイツ封印されたからいいけど。ザビエルの復活周期に関しては、月餅を通して天志教が完全に管理している。アレがランス君の戦国での大冒険まで出て来るような事は心配する必要はないだろう。

 

 木陰に腰を下ろし、背を木の幹に預け、足を伸ばしながら目の前の景色を見た。

 

「にゃああぁぁぁぁぁ―――」

 

 堕天エンジェルナイトがドラゴンパンチで殴り飛ばされ、手裏剣の様に回転しながら飛んで行く。中々エキサイティングな遊びをしているじゃねぇか! と思いながら、自分の部下である堕天AK部隊のドラゴンとの奮闘を眺めている。翔竜山に近い森の端、開けた森の広場でドラゴンを相手に、堕天AK達が頑張っている。無論、レベリングと技能トレーニングが目的である。

 

 完全神造のエンジェルナイトは恐ろしく強い。それこそ魔人に匹敵する強さを持っている。だけど残念ながらこいつらはそうではない。神々が天使と悪魔を調達する為に作った種族、カラー、そこから変化して天使となった子達がベースとなっているエンジェルナイトである。つまり完全に神によって創造されたエンジェルナイトと比べると、この子達の能力はそれなりに下がるのだ。だからタイマンで魔人の相手をした場合、普通に蒸発する。

 

 強さとしては身体能力の高い人間、ただし《無敵結界》の対象外。それぐらいの強さしかない子達なのである。まぁ、カラー時代だった頃と比べれば肉体も底上げされているのだが。それでも強さが足りない。なので鍛える必要がある。つまりはレベリングである。そして自分の一番のレベリング相手は大体、翔竜山のドラゴン達である。

 

 必然、ドラゴンスパーリングを堕天AK達に経験させる。

 

 ドラゴン達、またエンジェルナイトと戦えるのかぁ、と喜びの声が出る。

 

 あいつら精神状態おかしいよ。

 

 そう言う訳で―――また一人、殴られて空を飛んでいる。ブレスなしでこれだからやはりマギーホアの側近やってる親衛隊ドラゴンは能力がおかしいと思わされる。どことなく動きに合理性とかが見える。ドラゴンの体で武術的な要素を取り入れているのかもしれない。もしやこいつら、素直に野生に還してた方が可能性としては安全だったのでは? とは思ってしまうも、

 

 既に、魔軍には妖怪魔人黒部が増えている。あちらが強化されているのを考えると、此方も此方で強化案を進めないと駄目だ。しかしこうなると、ノスが魔人にならないし、魔人戦争ではレキシントンが死ななくなりそうだ。そうなるとGIの時にレキシントンが健在のままだ。これはこれで激しく盛り上がりそうだと思える。

 

 人類と魔軍、その両方を盛り上げて強くしなければならない。一方だけではなく、両方だ。その方が間違いなくルドラサウムが喜ぶ。その為にも色々と手を突っ込んだり、調整したり、暗躍したりする必要が出て来る。

 

 今のオピロス帝国に何か、手を出しておくかどうか、という事も地味に悩む要素ではあるのだ。だけどオピロス帝国の滅亡が勇者の覚醒とナイチサの失墜の事を考えると、流石に手を出す事が憚れる。何せ、魔王は真面目に割とどうにもならない案件なのだ。アレだけは何をどう足掻いて頑張っても、対処が不可能だ。マギーホアと頑張って抑え込んだ隙に《無敵結界》を貫通出来る奴で殺すという方法もあるが、【カオス】や【日光】の様に根本的に《無敵結界》を破壊している訳ではないから、現実的ではないのだ。

 

 いっその事、俺が天使か悪魔に転生すれば話は早いのかもしれない。だけど転生すると記憶を失う、という話も聞く。そうなると割と困ってしまう。いや、ランス君が活躍し始めた辺りだったら別に、記憶を失う事自体に何か思う事はない。寧ろその方が楽しそうだ。だけどその前に記憶を失うと仕込みの準備が出来なくなってしまう。それは大変困るのだ。

 

「どーしたもんか……」

 

 呟き、藤原軍の壊滅によってぽっかりと空いた歴史の休憩時間の中で、どう行動するかを考えていると、

 

「ウル様、今年の貢ぎモノという事で村の方から様々な物を受け取って来ましたが」

 

「地主でも何でもないって何度アイツら言えば解るんだ……」

 

 外に出していた堕天AKの一人が両手いっぱいの野菜を見せながら此方の意見を伺ってくる。その背後には台車が見える。本当にご苦労様。ここから買い物に行くとなると一番近いのがゼス方面なので、そっちの方へとちまちまと、村を回りながら顔を出すとやっぱり、カラー時代の件から妙に敬われて困る。代わりに堕天AKの中でも一番優秀なルシアという黒い翼の子をお使いに頼んでいるのだが、なんだか今度は貢ぎモノを持ち帰る様になってきている。

 

 別に統治も何もしてないのだが。困ったもんだった。とはいえ、確かに周辺の山賊やら盗賊をぶっ飛ばしたのは事実だ。あまり、翔竜山とかの方に近づかれても困るからぶっ飛ばしているだけなのに、いつの間にか地主みたいな事になってないだろうか? 大丈夫? ここの地主たぶんマギーホアだよ?

 

 ……まぁ、いいだろう。近場でちょくちょく少量の買い付けとか、日用品の買い付けで近寄るのだ。そのついでに色々と面倒を見ればいい。思えば、こういう風に無駄に苦労を背負う様になったのは何時頃からだろうか……いや、間違いなくスラルのせいだ。あいつが友達だとかいうのが悪い。おかげで今、完全に素面じゃないか恥ずかしい。

 

 ま、どちらにしろ、未来に向けてコツコツと積み上げる事だけは決めたのだ。となると今から色々と未来に向けて仕込みを始める必要もあるだろう。

 

 これから死滅戦争がやってくる。これによって人類は絶滅率が50%をマークする。そしてその結果、歴史で初めて勇者がその動きを見せる事となる。その結果、勇者が魔王を倒せる事実がわずかばかりに、認知される様になる。そしてそれが終われば、

 

 ナイチサが最悪の魔王、ジルを見つける。

 

 ジル、全人類の家畜化に成功した魔王。それによって勇者を生まれた時から家畜として管理する事で一切その力を振るう事を禁じ、完全なる無力化に成功した魔王でもあった。歴代の中で最も強いのはククルククル、恐ろしいのはナイチサといえるだろう。

 

 だが最も悍ましいと表現できるのは恐らく、ジルだろう。彼女は魔王に就任してたった数年、それだけで人類を家畜にして管理出来てしまったのだから。アレが出現するとなると、相当なレベルで防備を築いても無意味だ。それでも何とか、防衛体制を構築しないとならない。或いは隠れ家を用意するか、

 

 それとも翔竜山の上の方に逃げるか。

 

 どちらにしろ、ジル対策になんかしておかなきゃ、自分まで家畜管理されて卵を産むだけの機械にされてしまいそうだ。その前にナイチサにメリークリスマスと叫びながら顔面を殴り飛ばしてやりたいし。

 

 ……こう考えると、意外とやりたい事は多いのかもしれない。

 

 まぁ、今まで欲望を抑圧して生きてきた分、もはや自重するつもりは―――ちょっとだけある。まぁ、少しは。未来を完全に変えない程度には。それでも絶対に《決戦》が発生する様には動く。それが一番楽しい舞台である事は誰が見ても解るからだ。

 

「あわわわ―――……」

 

「ホームランですね」

 

「場外ですね」

 

「たーまやー」

 

 まぁ、それにしてもまずは部下の育成等があるのだが―――世の中、愉しみ出せば飽きる事なく生きて行けるもんだと思える。その内、《魔法Lv3》でも捕まえて、ゲートコネクトの魔法で異世界探索とかしてみるのも悪くはないのかもしれない。

 

 ほら、ゲートコネクトすればパラレル地球にもいけるし。

 

 ジルからの避難先としてはある意味ベストかもしれない。




 さぁ、歴史が徐々に変わってきたぞ。創作やっていて少しずつ乖離し、歴史や流れが変わって行くその感じが楽しいのよね。まだ一歩目、だがきっと大いなる一歩なのである。

 という訳で妖怪魔人誕生。死滅戦争ももうすぐだし、盛り上がってきたな。
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