※この作品はR-18です。

ルドラサウム転生異聞録   作:てんぞー

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AV歴
1年


「嘘だろお前」

 

 滅茶苦茶簡単に黄金像を見つける事に成功した。ケーちゃんと回っている時は数百年かかったのに、ククルククルが死亡して東部へと移動できるようになった瞬間から問題なく見つける事が出来た。東部の丸いものの集落、ククルククルを信仰していた種族だったらしいがその奥にある祭壇に二つとも祭られていた。そう、セットで設置されていたのだ。おかげで二つ同時に入手する事が出来た。

 

「まぁ、ごちになっとくか。住人含めて。げっぷ」

 

 丸い者を全て食べつくしつつ、黄金像を二つとも回収完了した。経験値と黄金像ごっつぁんでした。しかしこんな風に設置されているとなるとまるで事前に用意されているみたいでちょっとだけ、気味が悪い。とはいえ、黄金像による神への謁見は自分の考えうる解決策の一つだ。ハイパー兵器が欲しいという願いだったらバランスもクソもないし、プランナーでも叶えてくれるだろうと思っている。まぁ、それはともあれ、

 

 いよいよ、これで神への謁見が行える。クソ虫プランナーへと謁見すればこれで晴れて雄になれる。後は可愛い子で童貞を捨てるだけの事になる……!

 

「うへ、うへへへ、へへへへ……俺はハイパー兵器を手に入れるぞ……!」

 

 ドラゴンなんて雄雌の差がチンコあるかないかの差しか性差が薄い。カミーラの様な人間体が出現すれば話は別だが、AV歴1年ではまだ、カミーラは生まれていない。つまり見た目が爬虫類のドラゴンしか存在していない。おっぱいもケツのラインの概念も存在しない世界だ。その代わりに鱗の輝きとか角が艶めかしい……! とかいう表現を使うからやっぱ異種族というか異世界だわって思える。

 

 まぁ、どうでもいい話だ。気持ちよく童貞を卒業出来たら後は死ぬだけだ。それぐらいにはこの世界を堪能して死んでおけばいい。神やらエンジェルナイトからは逃げられないのだから。だから黄金像を掴んでポシェットの中に押し込み、これで黄金像を四つ入手する事に成功した。これにて神の扉を開く条件が満たされた。

 

 神に謁見する事が出来る様になった。良し、と爪の生えそろった手で拳を作り、さっそく神の扉が存在するマルグリッド遺跡へと向かう為に振り返りながら翼を広げようとした所で、

 

「―――そこまでだ」

 

 空に響くような威圧感のある声で、飛び立とうとした動きを制された。感じる、自分よりも上位のプレッシャーに動きを止められ、翼を広げようとしたところで停止してしまった。だがそれを振り払い、上空へと視線を向ければ、赤い色のドラゴンがゆっくりと降下し、正面に着地する姿を目撃した。その姿に一歩下がりながら、頭を下げた。

 

「これはこれはマギーホア様」

 

 赤い―――或いはルビー色とも表現できる色のドラゴンはドラゴンという種最強の存在である、キング・ドラゴンと未来では自称するマギーホア。魔王アベルでさえ正面からの戦いを拒否するという程の実力者であり、魔王ククルククルとの戦いでは初期の頃から常に戦い続けていた歴戦の猛者でもある。正直、勝てる相手でもない。もしかしてシステム抜きの話であれば神クラスの実力者であるかもしれない。

 

 未来では正気を失っているクイズ狂いではあるものの、今は普通に正気を保っている姿が解る。いや、これから狂うのだ。ドラゴンの未来を自分が滅ぼしてしまったという事実を知って。それまではマギーホアはある種の最強君主でもある。何せ、大陸国家を統一して世界平和を成し遂げてしまったのだから。自分の様にどこにでもいる様なドラゴンとは、まるで違う。

 

「いやぁ、マギーホア様も散歩ですか? それとも丸い者でも摘まみに? 翔竜山に戻ればモテモテですし忙しそうですよね。まぁ、俺は雄の相手なんて死んでも嫌なので逃げて来たんですけど。あ、別にそれはドラゴン社会を捨てたという訳じゃなくて雌を捨てたという事でして」

 

「若きドラゴンよ、神に近づくべきではない」

 

「……うぐっ」

 

 何時からかは解らないが、どうやら黄金像を求めて飛び回っていたことがバレていたようだった。まぁ、特に隠していたりしてないのだから、博識なマギーホアであれば何をしようとしているのかは解るのかもしれない。そもそもこいつ自身、異様に強すぎるのだ、ククルククルを相手に1000年以上戦え続けていたのだから。最初期に創造されたドラゴン、おそらくはある程度世界に関する知識を得ているのかもしれない。

 

 まぁ、その事に関しては考えるだけ無駄だ。

 

 マギーホアが()()()()()とだけ解っていればいい。

 

「駄目ですよ、マギーホア様。俺は叶えたい夢があるんですから」

 

「神へと近づく事は貴様だけではなく、ドラゴンという種全体を滅ぼす事に繋がる。それを手放し、そして封じろ。まだ会う前ならば間に合う」

 

 そう言ってマギーホアが威嚇する様に翼を広げた。従わないのであれば殺す、と明確に脅迫している様なものだった。だがそれは困る。いや、死ぬ事自体はそんなに怖くない。生まれてからずっと、死ぬ事を前提に生きてきたのだから。だけどそんな事よりも、死ぬ前に童貞を捨てられない事の方が問題。

 

「ま、待ってくださいマギーホア様! それでも俺は叶えたい夢があるんです!」

 

「ならん、神への謁見は破滅しか待っていない」

 

「でも俺チンコが欲しいんです!!」

 

「身に余る願……い……は……ん??」

 

「俺は! チンコが!! 欲しいんです!!」

 

 マギーホアが翼を広げたまま、動きを停止し、首を傾げ、そして此方へと視線を向ける。

 

「もう一度」

 

「この身にハイパー兵器が欲しい……!」

 

 その言葉にマギーホアが翼を畳んで、腕を組み、首を傾げ、此方へと視線を向け、

 

「雌であるな?」

 

「雌です」

 

「だがチンコが欲しい」

 

「立派なハイパー兵器が欲しいですね。自分の竜生の全てを賭けてます」

 

「そうかぁ……」

 

 物凄く、物凄く困ったような表情をマギーホアが浮かべた。恐らく生まれてから一度も浮かべる事はなかった様な表情で、俯きながらチンコかぁ、と呟いているキング・ドラゴンの様子は恐らく、歴史上確認された事はないだろうし、この先発生する事もないだろうと思う。少なくとも、こんな困った様子のマギーホアはこの瞬間だけだろう。こいつ、数十年後には発狂するし。だからサムズアップでチンコが欲しいですと訴えかける。

 

「チンコか……そんなに欲しいのか……?」

 

「その為なら死んでもいい」

 

「うん……まぁ、それぐらいなら歪む要素もないし大丈夫か……?」

 

「さっすがマギーホア様! 話が解る!!」

 

 ドラゴンの長直々の許可をもらったので、もう続く言葉を待つ必要もない。マギーホアがマジかぁ、という感じの表情を浮かべている間に翼を広げて大地を蹴り飛ばし、一気に空へと駆け上がり、そのまま北部、マルグリッド遺跡へと向かって風に乗りながら一気に加速する。

 

「マギーホア様――! 夕飯までには戻って見せに行きますから!!」

 

「見せなくていい」

 

 そんなやり取りをしながら一気に今までにはない、力強さを感じつつ一気に加速する。そう、夢にまで見たハイパー兵器獲得が、ドラゴンの王様の後押しを受けてついに可能となるのだ。これほど興奮する事もないだろう。エネルギーが全身に漲り、もはや魔王でさえ自分を止める事は出来ないであろう。加速したまま、一気に地形を超えて真っ直ぐ自分の記憶の中にある遺跡の場所へと向かった。

 

 

 

 

 昼夜問わず飛行し続け、眠気をアドレナリンで吹っ飛ばしながらそれから、未来・ヘルマン領に到着し、マルグリッド遺跡の前にクラッシュランディングする。土砂を巻き上げながら着地しつつ、アルティメットなドラゴンパンチで遺跡の上層部を殴り壊し、吹っ飛ばす。神々の創造した遺跡なら破壊できない可能性もあったのだが、そんな事はなかったらしい。

 

「兵器! 兵器! ハイパー兵器っ!」

 

 今、自分で最高に頭の悪い歌を口にしているなぁ! と自覚しながら遺跡の上層部を破壊してから地下へと向かう道を発見し、その周りの空間をブレスで吹っ飛ばす。ドラゴンに律義にダンジョン構造を守るという概念は存在しないのだ。故に粉砕しながら道を作って部屋を破壊し、神の扉の前までやってくる。事前知識の通り、地下1階の目立たない所にそれは存在していた。

 

 緑の岩戸の様な扉で、魔法陣によって封じられている扉だ。そのそばには祭壇が設置されており、そこに黄金像をセットすれば良いのだというのが解る。

 

 言わ猿型の黄金像。

 

 ひょうたん型黄金像。

 

 ひまわり型黄金像。

 

 盆栽型黄金像。

 

 神様のほんとデザインのセンスねぇなぁ、と納得できるラインナップの黄金像。それらを全てセットする事で神の扉は開く。祭壇にそれぞれ、集めて来た黄金像を興奮と共にセットして行き、

 

 犬座りで神の扉の前に座った。

 

「……」

 

 わくわく、どきどき。胸を弾ませながら今こそ、夢が叶うのだ! という想いを胸に静かに神の扉が開くのを待つ。きっと神様も演出をこらせているに違いない……。そう思いながら数秒間程ゆっくりと待つ。

 

 開かない。

 

 数分ほど、待つ。

 

 開かない。

 

 数時間ほど待つ。

 

 まだ開かない。

 

「そうか……神様だってお化粧の時間必要だもんね。たぶんそれで時間がかかってるんだ。良し、開くまで待つか!」

 

 そう、条件は整えたのだ。きっと神様も事情があるに違いない。今まで散々ディスってごめんね? と謝りながら扉の前でキャンプをする準備を整える。と言ってもドラゴンなので焚火をするだけである。故にゆっくりと休める様に寝床をセットしつつ焚火を用意し、この寒い中でも長期間滞在できるように準備を整えた。なぁに、生物と少しだけ時間感覚が違うだけなのだろう。

 

 その内出て来るに違いない。

 

 黄金像をちゃんとセットしているか再びチェックし、ちゃんとセットされているのをチェックしてから座り込み、

 

 じっと眺める。目を放した隙に黄金像を盗まれても困るからだ。故にじっと眺め、長め、

 

 そこから数日間、ひたすら眺め続ける。

 

 やはり、扉は開かない。

 

 無言のまま、扉の前に座り込み、首を傾げる。

 

「……なんで?」

 

 扉を開く為の条件を全てクリアした筈だった。少なくともこれ以上の条件を自分は知らない。だから首を傾げ、腕を組み、そして扉そのものに近づき、ノックした。

 

「もしもーし。プランナー? ハーモニット? ローベン・頭がパーン? 誰かいませんかー? いないのー? チンコ寄越せー。俺にチンコを寄越せぇ!」

 

 ノックしながら叫んでみるけど反応がない。アレ? おかしいなぁ、と思っていると、

 

……鍵ヲ手二入レタダケデハ……我二会ウ事ナラズ……

 

「は?」

 

 頭の中に直接声が聞こえた。しかもこの数百年間の努力を全て否定する言葉だった。は? と再び言葉を零しながら、思わない返答に思考が真っ白になり、そして首を傾げ、

 

「は??」

 

 半ギレの様な言葉しか口からは出てこなかった。え、なに? もしかして苦労……は特にしなかったけど集めたのにこの仕打ち? しかも次はノーヒント? これ以上必要なものとか全く不明なのに?

 

「ざっけんなオラァ!!」

 

 ドラゴンキックを扉に叩きつける。だが当然の様に神の創造物はその衝撃に揺らぐ事もなく耐えた。ヤクザキックを連続で叩き込みながら、言葉を叫ぶ様に吐き出す。

 

「ざけんなボケェ! 黄金像持って来たのなら開けよ! ルールは守れよ! お前らどうせ見てるのは解ってるんだぞ! 此方とら何時死んでも何時消されても良い覚悟してふざけまくってんだ! 怖いものは何もないぞオラァ!!」

 

 ドラゴン狩り前に天罰で死亡? 上等である。こうなれば戦争である。

 

「この指が見えるか? そう! 中指だ! こっちの指見えるか? そうそう、逆の指! そう! 中指だよ! 中指と! 中指を! 突き立てて! Fuck! You! そう! Fuck Youだ! 異世界の言葉でくたばれこのクソがって意味だよ! 少し賢くなったなぁ!」

 

 ヤクザキックを扉に繰り返しつつ、これぶっ壊せねぇかなぁ、と完全に切れながら両手を持ち上げて中指を突き出しつつそれでバッテンを描く。殺すのなら殺せ、それ以上に酷い目に合わせるのもカモン。どうせ滅ぶのだから怖いものなんて何もない。ひたすら扉へと向かって挑発を繰り返す。

 

「それともなに? お前らチンコ一つ創造できねぇの!?」

 

 言葉を放った瞬間、超高速で顔面に叩きつけられるものが来た。その衝撃に後ろへと吹き飛びながら遺跡を破壊し、転がりながら顔面に衝突した物を取って、掴み上げた。

 

 それはうっとりする程太く、

 

 それは力強い硬さを持ち、

 

 曲がる事無く真っ直ぐと伸びた、

 

 ―――まさしく、ハイパー兵器なチンコだった。

 

「誰が別売りチンコを寄こせつったんだよ!! コントか!!」

 

 この曲解の仕方、間違いなくプランナーの手腕だろう。全ギレしながら別売りチンコを神の扉へと叩きつけて、大きく息を吐き出す。

 

「はぁー……」

 

 そしてそのまま、横に倒れた。間違いない、神様連中は自分の知識を知っていて放置している。その上でそれを楽しんでいる。そして知識があった所でどうしようもない、という事を理解してまで放置している。最初からどうにもならないとは自覚していたが、それでもその現実を直視するとちょっと、絶望感が違う。横に倒れたまま、深く息を吐きつつ、

 

「……なにやってんだろ、俺」

 

 僅かに、正気に戻りそうになってしまった。だけどダメだ。正気に戻ったらだめだ。発狂したままでないと駄目だ。正気に戻ってこの世界の事実を知っていると、それだけで永遠に絶望し続けられる。終わりのない絶望に心が蝕まれる。生まれて、そして死んでも永遠に救われないという事実を直視してしまう。

 

 だから駄目だ。

 

 正気を殺す。

 

 狂気に浸る。

 

 また狂気の檻に自分の心を落とす。

 

 そうしないとこの世界では生きて行けない。

 

「あー……どうやってチンコ生やそうかなぁ……」

 

 マギーホアがクイズ狂いになったのも、ホ・ラガが世界の果てで誰とも会わなくなったのも、この世界の仕組みを理解してしまえば当然の話だろう。まともなままでは生きて行けない。生きていたらルドラサウムを楽しませる為の娯楽の道具として絶望と悲鳴を献上する。死ねばルドラサウムの一部に戻り、そして再び次の命で輪廻して玩具にされる。

 

 終わりのない、ルドラサウムのおもちゃ箱。

 

 それを知って希望をもって生きられる程、誰も強くはない。

 

「あー……今度は魔法の方で探ってみるかー……」

 

 性転換の魔法。モロッコはまだ存在しないし、それが妥当なラインだと思う。ともあれ、ドラゴンが絶滅するまでに性転換か、或いはハイパー兵器を生やす方法を探し出さなくてはならない。最悪の場合、アベルに頼んで魔人化して貰うかもしれない。でも魔王アベルもドラゴンだし、魔人化したら間違いなくレイプされそうなんだよなぁ、というのが問題だった。

 

 まぁ、今は考えるのが疲れた。

 

 しばらくの間は何をやってもどうせ無駄だと解り切っているこの絶望感に浸って、無言のまま倒れたまま、目を瞑る事にした。

 

 少しだけ、休みたい。




 神様からチンコを貰う(パーツ別売り)。

 ルドラサウム大陸は悪い神様がたくさん。だけど同時に彼らがシステムでもある。よーし、転生者の僕が悪い神様をやっつけるぞー!

 とやると、そのまま世界が消える。

 魂=ルドラサウムの一部なので、そもそも生まれた時点で救いのない世界なのである。真実にたどり着いた連中は大抵発狂している。
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