「《火炎流石弾》!!」
「小娘の魔法如きに後れを取るな、我らの力を見せつけろ!」
「いえーい、皆見てるー?」
「ブレスの代わりに昨夜のハニー吐いているのが此方です」
「ヴぉぇ」
「あ゛あ゛あ゛、マジでハニー吐いているこいつ―――!」
ブレスの代わりに一体、ゲロを吐いて何時の間にか食っていたハニーを吐き出しているドラゴンも居るが、支援隊として参上したドラゴン達がメガラスにターゲットされないように、うし車に速度を合わせながらブレスを吐き、地表を薙ぎ払っている。それに合わせて放たれる魔法の豪雨が地形を変形させながら、徹底して魔王領国境付近を焦土へと変えて行く。連続で発生する爆発と硝煙が空間を歪めて行き、そこに更に《ガンマ・レイ》で攻撃を圧縮貫通させて爆散させて行く。連続で放たれる魔法の必殺技の連打が即座に溜め込まれたアイテムによって魔力を回復され、連射できるように態勢を整えて放たれる。
「《ガンマ・レイ》! 《ガンマ・レイ》! 《タワーオブファイヤー》! 《クールゴーデス》!」
「見事にバスワルドちゃんからパクったな大将……」
「俺が!! 人類で!! 一番偉いからな!! GL大魔法《ラグナロク》ッッ!!」
ラ・バスワルドは流石にまだ破局を
なら消滅や消去みたいな干渉は通じない。……まぁ、マギーホアも新しい弟子を取るのを楽しそうにしていたし、それは良いのだ。ただ、そうなるとロリっている間、ルドぐるみでぶん殴れない自分が暇になる為、
ラ・バスワルドから魔銃を強奪してきた。
若干泣いてた気もするが気にしない。何時もはルドぐるみを浮かべている術をクールゴーデスとタワーオブファイヤーにも適用し、それを浮かべながら遠隔操作する。その威力はラ・バスワルドが使っていた時よりも大きく落ちるが、それでも《ゼットン》や《絶対零度》クラスの射撃を行える武器は、非常に凶悪だ。近接主体で戦えない分は、これでカバーする。
《ガンマ・レイ》と合わせ、三色の砲撃を連続で黒部へと向かって叩き込んで行く。
その上半身が消し飛び、続く《火炎流石弾》と《黒色破壊光線》に《疾風一矢》の連続必殺技コンボに下半身が吹っ飛ぶ。
「消し飛べッ!」
「必殺ぷちハニー吐き」
「お前どんだけハニー食ってきたの」
「あの焦げたコロッケみたいな感じが忘れられなくて……後胃の中で爆発するぷちハニーの感触心地好くない?」
「ねぇわ」
「えー……」
「そのクッソ緩そうな会話を止めろお前ら!! 感触が気になるわ!!」
黒部の上半身と下半身を消し飛ばした空間を更にドラゴンの砲撃が連続で空間そのものを爆裂して吹き飛ばす。消し飛んだ肉体の破片を更に分解して消し飛ばす様に削りながら消滅させようとして―――しかし、咆哮が虚空から響いてくる。大蛇が大地を這う様な音がする。妖怪大津波の中腹が孕む様に肥大化し、
破裂した。
「お、お、お、お、ォォォ―――! 俺をはァ―――!!」
黒部が産み直された。その肉体は更に大きく、更にグロテスクに、触手や異形の肉体を生やし、体から更に体を生やしながら空へと向かって咆哮する。その異形の姿は
「カムイ・デックス、突貫します!」
「ッ! 勇者が突っ込むぞ! 援護しろ!」
「拙者も参ろう」
「一番槍はずるいぞ坊主!」
その瞬間を機と見た瞬間、前衛勢が一瞬でうし車から射出される様に飛び出した。このまま距離を保って砲撃を続けるか? いや、それではまた繰り返すだけかもしれない。だとしたらここで、一気に殺すのが正解だろう。二挺の魔銃を仕舞いながら右腕に魔法陣を纏い、GL大魔法を放つ為の発動段階を進めて行きながら、戦場を眺める。
「エスクードソード! はぁぁああ―――!!」
「ゆくぞ日光」
「俺もなんかかっこいい名前の武器が欲しいぜ」
「俺も俺も」
勇者を筆頭とした人類最強グループの人間が、黒部へと突貫した。一瞬で更に巨大化、肥大化、異形化した黒部へと接近し、その巨体に斬撃を刻む。その衝撃が空気を割りながら音を超え、空間を超えて響いてくる。それに合わせ一瞬で魔法使いが砲撃とサポートにシフトをチェンジする。そしてそれに合わせ、ドラゴンが援護を作る動きへと変える。直接黒部へと攻撃するのを止め、その周辺、背後―――つまりは勢いが削がれた大津波へと向かったブレスの砲撃を行い始めた。
黒部の足が止まり、それが飛び出した前衛に集中する。それに合わせ大津波が動きを止め、ドラゴンの咆哮に削られていく。普段は動きを止めない大津波ではあったが―――黒部復活のリソースをどうやら、大津波から捻出している様だった。
つまり、
「
「承知ッ!」
エスクードソードと日光が閃く。交差する斬撃が複数生えた黒部の頭を切り落とす。それでも黒部は死なない。新たな頭を生やしながら前進し始める。それを槍が足を貫いて大地へと固定させ、新たな槍が腹を貫通して背後の津波へと繋がる。
「お、ぉ、ォ―――! は、はははハハハァ!!」
首を断たれながら再生した黒部が笑いながら上半身を二つ生やしながら腕を八本にまで増やし、脊椎を引き抜いたような斧を自分の体から引き抜いた。そして、狂いながらそれを振る。
それだけで大地がひっくり返り、荒れ、吹き飛び、そして粉砕される。
響く狂笑の中で、八本の脊髄斧を振り回しながらオロチの力を引き出す黒部は完全に壊れた姿で重力にも干渉を始める。凄まじいまでの重圧が一帯を覆い込み、それを津波が飲み込もうとする。
「ざけんじゃねぇ! 黙れ! うるせぇ! それは俺の専売特許だ!」
重力に対して此方からカウンターを仕込み、重力結界を相殺する。一瞬だけ生まれる重力の束縛から解放され、前衛の姿が薙ぎ払われ―――回避する。
「ひゅー! 危ねぇ!」
「だがこれならいけます―――殺し切れます!」
「ならば往くのみよ……!」
俺も、元の体のサイズに戻れたらなぁ、と悔しさを僅かに覚えながら野郎共が前衛として黒部の連続攻撃を回避しながら笑い、斬撃を刻んで黒部の体を少しずつ削って行く姿を確認する。そしてその体の部位が切り飛ばされるたびに、
「良し、来た!」
それを最上位魔法で迷う事無く消し飛ばす。
その連携を続ける。
ドラゴンが津波が前進しない様に全員で咆哮し、それを吹き飛ばし続ける。その間に前衛が切り込んで回避しながらなるべく受けようとはせずに、いつの間にか10へと増えていた黒部の腕と脊髄の斧を回避しながら斬撃を刻み、体の部位を切り飛ばして行く。そしてそれが斬り飛ばされた瞬間、
「《ソリッドブラッド》ッ! 流石にこうも連発すると辛くなってくるわね」
それを迷う事無く消し飛ばしていく。スラルが愚痴る様に言葉を放ちながら前衛にマルチタスクで同時に《四重魔法バリア》を張って保険をかけて行く。攻撃と同時に支援を行う彼女の存在を頼もしく思いつつも、横から隊員達の声が聞こえる。
「ごめん、魔力が切れたわ。補給する」
「じゃあ交代だな」
「いや、補給しながら戦うわ」
エスクードソードが音速を超えて何度も何度も斬撃を重ねる。勇者の姿が霞んでは攻撃を足場のように、完全に見切りながら前に踏み出し、攻撃を繰り出す。だが日光の場合は全く違い、攻撃そのものを斬撃で斬り殺しながら前進し、黒部へと直進しながら踏み込み、すれ違いざまに真っ二つにして殺す。そしてそれを成し遂げた瞬間に散開する。
「っしゃああ、来た! 《ラグナロク》!」
黒い暴風が発生地点を飲み込んで、更に後方の大津波を真っ二つに割いた。大地を飲み込んで消滅させながら黒部を跡形もなく消滅させ―――津波が圧縮しながらその姿を変貌させて行く。強大な妖力が生物の形へと変わって行く。
鱗を生やし、尻尾を持ち、頭を複数持った―――黒部の犬の様な妖怪の姿と、オロチを混ぜたような、中間の、凄まじい巨体の姿を。
「《ラグナロク》!!」
ストックしてあるカラークリスタルを割りながら第三の目を開く。そしてそのままノータイムで無詠唱でGL大魔法を放った。生み出された全ての妖力を圧縮して作成された魔人の姿に大魔法を叩き込むも、復活した《無敵結界》に攻撃が阻まれる。ファック、と叫ぶのと同時に超広範囲に重力結界が生み出される。
「ファック! ユー! 重力操作で俺に勝とうなんざ数千年早いんだよ!」
「流石おばあちゃん!」
「今なら合法ロリ!」
「お前ら終わったら絶対に地獄見せてやるから覚悟してろよぉ―――!!」
放とうとしていた魔法を全てキャンセルし、魔力と思考リソースを全て重力結界の相殺に対して向けた。50倍重力の死をそれで相殺する。ナイチサ、魔人対策に思いついた手段をまさか使われるなんて考えもしなかったが、あの頃の失敗が無ければ即座にカウンターでブレイクさせる事も出来なかっただろう。そう思いながら重力の干渉合戦を黒部と行う。
その間に、他の皆が戦う。
この戦いはラ・バスワルド戦とは真逆の方向を進んでいる。
あの戦いはひたすら俺だけが頑張った。俺だけが戦った。
だが今はどうだ。
「それは、もう見切りました―――!」
言葉と共に勇者が黒部の多重に放たれる、完全にランダムな斬撃を全て回避しながら接近し、攻撃を叩き込んだ。それに合わせ、斬撃に重ね合わせる様に槍と弓を連続で放ちながら日光で斬りかかる武士が接近し、武器を破壊しながら黒部の頭を粉砕した。それに合わせ槍が再び四肢を拘束する様に貫通し、連続で放たれる弓が体を後方へと押し出す。
「忘れられては困る」
そしてその姿を背後からノスが体当たりで粉砕する。黒部の体が粉々に砕けようとして、妖力が体を繋ぎ合わせ、再生する。
だが殺せば殺す程、その速度は落ちていく。ドラゴンと悪魔が混じっているとはいえ―――主力はメインプレイヤー、
人間だ。
人間が己の力で魔人を相手に勝っている。
本来、ありえない事だった。
「お、ららららら―――ウラララララァァ―――!」
雄たけびを上げながら斬撃を加速させながら剣士が切り込んで行く。斬撃そのものが結界となって攻撃を弾きながら直進し、その合間を仲間が突撃して行く。素早い突撃で攻撃を重ねながら、後続から続く仲間たちに次への攻撃をバトンタッチして行く。
「こいつで、どうだ!」
「はーっはっはっは!」
「ライコウさん!」
「勇者殿、合わせよう!」
「おいおい、おっさん抜きで進めるのは寂しいぜっ、と!」
「人間に遅れるな者共」
一撃を受ければ間違いなくそのまま死ぬであろう攻撃をしかし、回避し、時にはガードがそれを受け止めて流しつつ、ダメージを《魔法バリア》で軽減し、《ヒーリング》で回復しつつ、
しかし、恐れる事無く前に進んでいた。
その一番前に立つのは勇者カムイ、JAPAN最強の武士と、隊の中でも年長の部類に入るエルドの三人だった。三人が率先して隊全体を引っ張っている。危険の中へと飛び込みながら黒部に突撃し、後続の攻撃を導いている。その姿を見ながら叫ぶ、
「仲間をやらせるんじゃねぇぞお前ら……!」
「ここで、私達がミスったら格好悪いにもほどがあるものね。あ、一人ダウンした」
「回収! 回収しろ!」
黒部の攻撃を受けてダウンした仲間を素早く回収しながら入れ替え、黒部に攻撃を行ってゆく。それが通るたびに少しずつその体を覆う妖力が削れて行き、異形化が悪化して行く。だがそれを恐れる事無く進み、削り、そして消し飛ばして行く。一人で軍団規模はあった大妖怪、妖怪王、魔人黒部は、
その巨体を失い始めていた。
鱗はその体から剥がれ、ぐずぐずの肉が腐り落ち、
「石丸……すまない、石丸、俺は、俺はァ……」
それでもずっと、藤原石丸への謝罪を続けていた。狂気の奥底、戦い続けて死を目前とした黒部の前に晒されるのはそれだった。謝罪―――罪悪感。藤原石丸を魔王の絶対命令権で縛られ、動かされても、
それでももう戦えない盟友を自分で殺した事への罪悪感。
今でもずっと、二度と来ない許しを求めて狂気に陥っていた。
「
それを、エスクードソードを逆手に握ったカムイが看破し、宣告しながら踏み出す。
「死人は何も語りません。戦友が死んで望む事なんてもう解らないんです。だから納得するしかありません。僕は初陣で一緒に戦った、名も知らない戦友が死んだ時にそう学びました―――貴方もそうじゃなかったんですか……?」
だがそれに黒部は応えない。残された一本の腕で巨大な骨斧を振るう。薙ぎ払う様に妖力で全てを薙ぎ倒し、破壊しようとする。
「ほい、《魔法バリア》」
「追加で《火炎流石弾》」
「おまけの《ガンマ・レイ》だ!」
それを三人の魔法の連撃でカットし、粉砕しながら道を作る。守り、砕き、そして貫く。連携を取って戦う事こそが人類の強み。それを発揮する様に黒部の攻撃に超魔力を三人で発揮する。それに合わせ、ドラゴンのブレスが一斉発射された。それを咆哮する黒部が武器を破壊しながら相殺し、
その背後を日光を構えたライコウが取った。
反対側を挟む様に、勇者が取る。
「自分で許せる……そんな日が来れば良かったんですけどね……」
「だがもう遅い―――手遅れだ」
一切の慈悲のない斬撃が振るわれる。土壇場で目覚める、助かる、奇跡が起こるなんてものはこの世界には。故に当然の様に斬撃は振るわれた。エスクードソードが体を割り、日光がそれを更に分割した。斬撃の通った黒部の体は今度こそ動きを止め、血の涙をその目から流した。
「お……ぉ、ぉお……俺は、これで、石丸に、謝りに―――」
黒部が放つことのできる言葉はそこまでだった。今度こそ、完全に妖力の尽きた黒部は再生する事もなくその姿を変えた。
魔血魂へと。戦いが終わり、大地に転がった魔血魂を前に、誰もが静かになり、浮遊しながらそれに近づく。それを浮かべながら拾い上げる。
―――石丸の魂は月餅へ、妖怪に魂はないんだ。死んでも会えないんだけどな……。
最後まで、全く救われない魔人だった。とはいえ、勝利は勝利だ。
魔血魂を掲げながら宣言する。
「俺達の勝利だっ!!」
その宣言に一瞬で大地が沸き立った。歓声と咆哮が空に轟き、魔人を殺害するという偉業に全ての人の心が躍った。
これにより―――魔王城へと繋がる道が、漸く生まれた。
という訳で最初の脱落者、というか死亡魔人は黒部くんに。メディウサ? あいつは開戦前に死んだ魔人の恥さらしよ。
魔人の死自体は前時代にもあった。だけど人間が主体で魔人を殺害する、というのは《無敵結界》実装以降ではメインプレイヤー初の快挙だったりする。やはり勇者と偶に出て来るバグスペックの人間は強い。
そして!! ウル様が!! ロリで!! 支援絵を貰ったよ!!
しかも秒速でAA化されてたよ! 表情差分も増えたよ!! どういう事だ!! しかし嬉しい!! ありがとう!
喜びで溺死しそう。