※この作品はR-18です。

いろいろ狂った少年が欲望を満たすために世界を創り、物語を作ります   作:黒椿

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息抜きとネタで書きました
タグで警告したとおり特殊な性癖がメインとなりますのでご了承ください


第一章 一つ目の物語
プロローグ


 皆さん、初めまして。僕は空井(そらい)創(そう)。よろしくね。

 さっそくだけど、僕には不思議な力がある。神とかそういう何か特別な存在に力を与えられたというわけでなく、生まれたときから特別な力を持っていた。誰も追従できないとてつもない力を……。

 別に厨二病ってわけじゃない。確かにまだ高校二年生だからそういう年頃にギリギリ入るとは言えなくはないけど、それでも思春期の妄想などではない。本当に僕は凄い力を持ってるんだ。

 

 

 とは言っても、こう何度も何度も自分の力を持ち上げる言葉だけを言ってると説得力をなくしちゃうよね。でも、構いやしない。どうせ、信じてもらえなくたって何の問題もないんだから。

 だから、さっさと僕の力のことを言っちゃうよ。

 僕の力。それは夢の中で何でも好きにできるということだ。

 

 

 …… これだけ聞いてると、え? それだけ? って思われるかもしれないね。こんなの誰でもできるし、やっぱり、こいつ相当アホだと思われるかもしれない。けど、そう思ってる連中は何も分かっていない。

 確かに夢はその人の願望を映すと言われているけど、君たちは本当にその夢を自在に操ることができるのかい?

 

 

 ぶっちゃけ、願望を映すなんて聞こえはいいけど、実際のところはその人の考えをそのまま反映してるだけだからね。その人の望みが叶うなんて一言も言っていない。それどころか、その人の考え次第で夢は平気でどんなものにでも変わってしまう。

 だから、悪夢なんてものを見るんだ。つまるところ、願望を映すなんて嘘っぱちだ。結局その人の心の底にあるものを無条件に脳内に浮かび上がらせてるだけにすぎない。そんなものをどうやって自在に操るというんだ。夢を好きにできるというのは決してチャチな力ではない。

 それに僕の力の真髄はそんなところにはない。夢を好きにできるというのは使用頻度が最も多いというだけであくまで僕の力の一端だ。

 僕の力は人智や物理などはるかに越えた先にある。それを今から説明してやる。

 

 

 僕がこの力に気付いたのは七歳くらいのころだった。とはいっても使い始めたのは物心ついたあたりから。そのときは何も知らなかったからせいぜい夢をちょっといじって(・・・・)楽しむ程度だった。現実世界では特に何もしていなかったし、仮にこのことを口にしたって羨むことはあってもおかしいと思う者は誰もいなかった。僕もちょっと変わった力が自分にはあるんだなぁと呑気に思ってた程度だ。

 だから、そのときはこんなとんでもない力があるなんて夢にも思っていなかった。

 

 

 契機となったのは僕が小学校に入ってしばらくしたあたり。僕はその頃に一度誘拐(・・)されたことがある。いや、実際には誘拐されかけたと言うべきかな。

 そのときは途中までは集団下校で帰っていたんだが、家の近くの十字路で他の子供たちと別れた。それから、家まで歩いていたら急に後ろから車が走ってきて僕の横に止まった。僕に横付けしてきた車の窓から一人の男が話しかけてきた。

 その男が言うには道に迷って困っているので、よかったら一緒に乗って案内してほしいということだった。今にして思えば誘拐の常套文句にしか思えない言葉だったが、当時の僕はまだそういった対応というものを学んでいなかったので親切心から何のためらいもなく車に乗ってしまった。

 車に乗ってしばらく走らせたところで、急にその男は車を止めた。そこはあまり人気のない公園横の道路だった。僕は不思議に思って話しかけようとしたけど、同時にその男は態度を急変させた。

 

 

 男は醜悪な笑みを浮かべて掴みかかってきた。僕は抵抗しようとしたけど、ナイフを突きつけてきて、動くな、刺すぞと脅してきた。ナイフの恐ろしさを知っていた僕はそこで頭が真っ白になった。僕はできる限りの力で暴れて男の手から逃れようとした。男は怒鳴ってきてナイフを振り上げてきた。僕は暴れながら向こうへ行けと心の中で強く思った。その後のことはよく覚えていない。

 そして、気付いたら男の姿がなくなっていて、代わりに運転席のドアがなくなっていた。僕はおそるおそる後部座席の窓から外を覗いた。そこには先ほどの男が首にナイフを刺された状態で絶命していた。

 僕は怖くなって目をぎゅっと閉じて家に帰りたいと強く思った。そして、目を開けたらなぜか自分の部屋にいた。

 しばらくの間、僕は恐怖で布団にくるまって震えていた。

 僕は悪くない。悪いのは全てあいつだ。そう思いながら布団の中で怯えていた。いや、むしろ、あれは夢だったのではないかとさえ思った。あの時の僕は確かに夢の中でなら大抵のことは思い通りにできてたけど、全てを思うがままにできてたわけじゃない。きっと、あれも思い通りにできなかった悪夢だったのだと自分に言い聞かせた。

 そう考えればいくらか気は楽になった。落ち着いてくるとお腹がすいてきて、ちょうど夕飯の時間になったので食事を取ろうと思って一階に下りた。でも、やっぱり割り切るのはそう簡単なことでもなくて親に顔色について心配されたけど生返事で返して晩御飯を口につけていると、ふとテレビで流れていたニュースが目に入った。

 そこには僕にさっき襲いかかった男が公園横の道路で遺体になって発見されたと書かれていた。そのニュースを見て、僕は夢で遊ぶときに使っていたこの力が現実でも使えるのではないかということを考えざるを得なかった。

 

 

 それから、僕は慎重に検証してみた。小学生に考えられることなんてたかがしれてるけど、何とか怪しまれない範囲で検証には成功した。そして、僕の立てた仮説は正しかった。僕の力は現実でも通用する。夢だけでなくこの世界すらも好きにできる。その気になれば、この世界の全てを僕のモノにすることも可能だ。

 

 

 しかし、それが分かったところで僕に何かをしようという気は起きなかった。おそらく、あの誘拐事件のトラウマもあるのだろう。何しろ、人一人の命を奪ったのだ。世間どころか親にすら知られていないとはいえ、あの一件は僕の心に大きく傷を残した。

 今でこそ、その傷もだいぶ癒えてはいるが、それでも現実世界であまり力を使いたいと思わないのは事実だ。検証だってバレないように必要最低限の力を使っただけだ。事件から一年くらい間を置いて、やったというのにそれでも充分きつかった。だけど、そんなことをしなくても望みを叶えるだけならいくらでもできるということもこの数年で分かった。

 そして、その手段というのが夢と新たな世界の創生だ。それならば、僕は遠慮なく力を振るえた。何しろ、夢や新世界ならあんな奴はいないんだから。とはいっても、現実世界以外で存分に力を振るえるようになるだけでも相当時間かかったけどな。

 けど、今はもうそんなことはない。現実世界でさえなければ思うがままに力を振るえる。その気になれば人を殺めることもできる。

 昔はダメなことだと戒めてたけど、今の僕はこの強大な力を振るえるようになるまでの過程で完全に壊れてしまっている。だから、人を殺すことにはもう何も思うことはない。ただ昔のトラウマがまだほんの少し残ってるせいで現実世界で力を振るう気があまり(・・・)起きないというだけで、必要とあらば現実世界でも力を使える。このままではダメだと一念発起して自分に課した荒療治のおかげだろう。

 それがよかったのか悪かったのかは今でも分からないけど。

 

 

 ふう。ぐだぐだとしゃべったけど、ここまでを客観的に見ると我ながら相当痛い奴だな。まあいいや。どうせ、僕以外誰も分かりやしないんだし。心の中くらい好きにさせてくれ。いや、好きにしてるんだけどさ。

 

 

 さて、いい加減やるかな。今の時間は午前零時まであと五分ちょっと。そろそろ動き出すか。

 僕はこの力を散々使ってきた。だけど、実は今日まで試していなかったことが一つある。それは世界を創って、そこに物語を作り出すというものだ。

 もちろん、その物語は自由に作れる上に展開も事象も創造者の思うがままだ。つまり、誰も歯が立たないくらい凄い力を持ってその世界で無双することもできれば、年齢問わずにハーレムを作ることもできる。そこに法律も倫理も一切関係ない。女は知らないけど、思春期の男なら誰もが夢見るはずの光景だ。

 

 

 当然、僕も興味がなかったわけじゃない。むしろ、今の今まで待ちわびてたくらいだ。だけど、ここまで実行してこなかったのには理由がある。

 情報がまだ足りてなかったってのもあるけど、これを実行するのは少々面倒だったというのが最大の理由だ。

 何でも思い通りになるということは、逆に言えば思い通りにしかならないということでもある。だから、これを実行するにはその物語の設定からキャラからストーリーから何もかも全てを自分で決める必要がある。簡単そうに聞こえるけど、厨二病の大半は物語の設定作りまでで満足してしまうものだ。そこから、キャラを動かしストーリーを作るというのは意外と面倒な作業だ。だから、僕は自分の望みを叶えるためにある程度ストーリーを考える必要があった。

 唯一の救いは設定やストーリーに破綻や矛盾があっても問題なく動いてくれるということか。それはここまでの過程で分かっていることだ。だから、人に見せるために話を書く商業作家に比べればはるかに気楽だ。矛盾があったところで指摘する者など誰もいないんだから。

 

 

 説明も終わったところで時間もあと数十秒というところまで迫っていた。僕はベッドに潜り込むと目を閉じる。

 今から僕がやろうとしているのは先ほども言った世界の創生だ。どんな世界を創るかについてはもう決めてある。

 今から楽しみで楽しみで仕方がない。そんなことを思っている間に午前零時になった。僕はそれを確認すると、僕の欲望を満たすために静かに意識を沈めた。

 




のんびりといこうと思っています
とはいえ、最初までそう時間をかけるつもりもありませんのでご安心ください
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