※この作品はR-18です。

いろいろ狂った少年が欲望を満たすために世界を創り、物語を作ります   作:黒椿

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第二章開始です


第二章 二つ目の物語
戻ってきたつまらない世界


 綿先輩を彼女の自室に戻した後、僕は即行で自分の家に戻りベッドに寝転がって目を閉じる。そして、元の世界に戻るように設定をし、こっちの世界に来たのと同じ方法で意識を沈める。すると、意識が闇に落ちていき、すぐに白い光に包まれていく。

 意識がはっきりすると同時に目を開くと自室のベッドの上にいた。先ほどと全く変わらない光景だが、さっきまでいた世界じゃない。正真正銘の現実世界だ。このつまらない世界に戻ってきたのだ。

 

 

 だけど、別に何も思うことはない。思ったほどうんざりもしなかった。一応、時計を見てみると六時半を指していた。学校の始業時間は向こうもこっちも変わらず八時二十分。つまり、学校が始まるまであと二時間あるというわけだ。

 

「だいぶ早いな。かといって二度寝するほどのものでもないし……。まあいいか」

 

 別に眠たいわけでもないし、少しボーッとして時間を潰そう。ついでに初実験の成果について確認もしておきたいしね。

 

 

 今回の実験。何度でも言うが、間違いなく大成功だ。もちろん出来としては拙いし、文句の付け所も山ほどあるがそれでもここまでやれた自分を褒めてやりたい。

 だけど、自画自賛ばかりしていられないのも事実だ。もし、これを本当に実用化のレベルまで持っていこうと思うなら、せめてあともう少し精巧に物語を作れるようにならなくてはならない。まぁ、別に実用化する必要はないんだけど。

 

 

 にしても、試作品(プロトタイプ)だから仕方のない面があるとはいえ、あれはどんなに好意的に見ても物語として成立しているとは言いがたい。突然謎の組織が現れ、女子生徒たちに不可解なゲームを強要し、彼女たちはそのゲームで勝つために頑張ると聞けば、それなりに面白そうに見えるが実体は僕の欲求を満たすためだけの茶番だ。ひたすらゲームをして、一定数勝てば僕とセックスするだけの物語。ストーリーもへったくれもあったもんじゃない。

 どうせ僕しか参加しないのならアレでも構わないが、一度物語を形だけでも作ることに成功した身としてはもう少し物語性が欲しくなる。別にプロの作家が書いているような素晴らしいできばえじゃなくていい。破綻も矛盾も後付けもどれだけあっても構わないから、多少なりとも流れが欲しい。

 

「プロットを作る必要があるな」

 

 物語を作る上で欠かせないものの一つがプロットだ。これで指定した流れの下で物語は進行していく。

 先ほどまで楽しんでた物語はどちらかというと――っていうより、完全にキャラクター偏重だったからな。プロットなんて全くといっていいほどなかった。それゆえか初めてにしてはそこそこキャラを作り込めたんじゃないかとは思うけど、どんなにいいキャラを作れたとしても物語が進まなければ、ただの人形に成り果ててしまう。

 

 

 その辺もきちんと考えておかないとな。それに他にもやってみたいことはあるし。ただ、それは次の物語で反映するのは少々難しいだろうけど。それはまた、おいおいやってこう。

 

「まだ七時にもならないか」

 

 大して考えてないから予想はついてたけど、起きてから十分も経っていない。この方法で時間を潰すのはあまりよろしくなさそうだな。

 

 

 仕方ない。あとは漫画なり何なりで時間を潰そう。

 

 

 

 

 

 ○○○○○

 

 七時半になった。朝食も取り終え、身だしなみも整えて、学校の準備もとうにできている。僕はさっさと学校に向かうとした。

 ちなみに朝食風景もいつもと変わらないごく平凡なものだ。平凡こそもっとも幸せという言葉は真理だとは思うけど、同時に間違いだとも思う。今まで平凡(それ)に触れていない者にとっては素晴らしいものかもしれないけど、慣れてる僕にとっては至極当たり前のことだからだ。人は近すぎるものの価値を理解することができない。

 人は失って初めて大切なものに気付くと言うけど、それと同じことなんだろうな。だからどうということもないけど。

 

 

 そして、高校に向かう途中に可愛い幼馴染みの女の子と会うこともなく、下駄箱で可愛いクラスメイトと出くわすこともなく、僕は一人教室に向かう。

 教室に入るといつも通りの平凡な(つまらない)光景が広がっていた。リア充グループと呼ばれるスクールカースト上位のグループとカースト下位のグループに分かれ、それぞれ話している。そのいずれのグループにも入っていない者たちは予習しているか、寝ているか、本を読んで過ごしている。いつもの光景だ。

 やっぱり、架空の話の方が面白いな。何なら、今日中にでも二つ目の物語を始めたいくらいだ。ただ、まだどんな話にするのか決めてないけどな。

 

 

 教室に入って自分の机に鞄を置くと、隣の席で話していた茶髪の男子高校生が話しかけてくる。

 

「よぅ。おはよう、空井」

 

「ああ。おはよう、君永(きみなが)」

 

 今、話しかけてきたのは君永淳(あつし)。そこそこ長い付き合いの男だ。初めて会ったのは小学校の入学式の時だったかな?

 そんなことを思っていると君永の話し相手である眼鏡の男子生徒が話しかけてくる。

 

「珍しいな。今日はやけに早いじゃないか」

 

「早いっていったって、せいぜい十五分かそこらだろ? いつも、八時には来てるんだからさ」

 

「そうだけどな。ただ変わったこともあるもんだと思っただけだ」

 

 まぁ、確かにいつもより少し早いか。ちなみにこの眼鏡の男は矢田辺(やたべ)俊哉(しゅんや)。こいつとも小学生の頃からの付き合いだ。

 

「別にいつもより早く目が覚めただけだよ」

 

「そうかよ。そんなことよりもよ、お前、聞いたか? 例の話」

 

「何の話?」

 

「そりゃ、決まってんだろ――」

 

 その先は特筆すべきことなんて何もない。ただ中身のない話で適当に駄弁ってただけだ。

 そして、授業が始まった。一応ノートはとっておくが内容は聞き流す。別に聞かなくてもこの力を使えばいくらでも結果は出せるからね。そういう意味では学生には喉から手が出るほど欲しい代物なのかもしれない。

 

 

 午前中の授業はあっという間に終わり、昼休みになった。僕は君永と矢田辺とともに昼飯を食べることにする。

 三人で一緒にご飯を食べていると不意に声をかけられる。

 

「おい」

 

「はぁ……。んだよ?」

 

 君永がどこかうんざりとした表情で反応する。だが、正直言えば反応してほしくはなかった。するだけ、時間の無駄だからだ。

 

「実は今日金持ってきてなくてよ。俺にちょっとばかし貸してくれねえか」

 

 そう言い放ったのは金髪を刈り上げ、ピアスをしたいかにも不良といった風体の男子生徒だ。いや、前時代の不良って言うべきか。今時、こんな容姿してる不良なんかそうは見ない。まぁ、もっとも見ないってだけで案外こういう格好してる奴は多いんだけど。

 ちなみにこいつは趺坐木(ふざき)壌《じょう》って名前だ。別に覚えなくていい。

 

「何でオレらに言うんだよ。いつもみたいに蒲池(かまち)とかに聞けばいいだろうが」

 

「それがよぉ。蒲池も右城(うじょう)も金持ってねえって言うんだよ。締め上げて調べてみりゃ本当でよぉ。かったりぃから、てめえらさっさと貸してくれや」

 

 その言葉を聞いて蒲池たちの方を向けば、案の定ボコボコにされて呻いていた。さっきから、うるさいと思ってたけど想像以上にやられてるな。まぁ、いつものことだから同情はしないけど。

 

「うるせえなぁ。消えろよ、飯の邪魔だ」

 

「んだと?」

 

 君永が手で追い払うような仕草を取ると趺坐木が突っかかってこようとするが、その前に僕と矢田辺は拳を趺坐木の両頬に突きつける。

 

「聞こえなかったのか? 消えろと言ったんだ」

 

「ていうか、何調子に乗ってるのか知らないけど、お前程度の腕で僕らをどうこうできると思ってんの?」

 

 確かにこいつは不良だけど、喧嘩はそう強くない。ていうか、そもそもここは県内でも上位に入る進学校だ。そんなところの不良なんてたかが知れてる。一応、これでも僕ら三人は結構荒れてた中学を出てるからね。外見だけで弱いものいじめしかできない雑魚を潰すぐらい造作もない。

 まぁ、それだけ荒れてた学校を出たおかげで、僕は遠慮なく力を振るえるようになったんだけどさ。

 

「くっ……。覚えてろよ」

 

「おーおー。覚えててやるよ。お前にそれだけの頭があるならな」

 

 君永はそれだけ吐き捨てると再び昼食を取りはじめる。さすが。喧嘩慣れしてる奴は肝が据わってるね。僕らも人のことは言えないけどさ。

 

「ぷっ。ダッセ。自分から仕掛けてあっけなく返り討ちに遭ってるとか…… ぷっ!」

 

「しっ。笑っちゃダメ! …… くくっ」

 

 趺坐木がコソコソと教室から出て行く後ろ姿を見送って笑う者たちが教室にチラホラと現れる。彼らがスクールカースト上位グループだ。といっても、趺坐木がいなくなってから笑ってる時点で正直そう大したものではないんだろうけど、そのわりに結構うざったいんだよね。ビビって関わる度胸もないくせに、僕らを不良だとヒソヒソしたり、学校中にいい加減な噂流したりさ。

 この世界で力を使ってしまえば容易に黙らせられるけど、そこまでするほどのことでもないし、そもそも、それをするほどの価値がこいつらにはない。

 

 

 そうだ。いっそのこと、このクラスごと僕の創った世界にご招待してやろうか? 少し前に何かで見たクラス転生みたいな奴を実現させてさ。いや、直接こいつらを異世界に移す転移の方がいいか?

 

 

 …… やめておこう。まだ一回やっただけだ。他の人間を僕の創った世界に招待することはできるが、異物を入れた上で物語を進められるだけの技術や経験がまだ僕にはない。せめて、あと一回物語を一段落させてからだ。

 そうなると、やっぱり次の物語をどうするかってところに戻るんだよな。

 …… 学校終わってから考えるか。

 

 

 今日も問題なく学校は終わった。君永と矢田辺とともに適当に道草を食いながら下校した僕は家の近くで別れ、帰宅する。そして、挨拶も適当に自室に入り、制服を着たままベッドに転がる。

 

「はぁ……」

 

 本当につまらない。お世辞にも上手く出来たとは言えないあの世界とは比べものにならないほどに退屈だ。やっぱり、現実はクソゲーだ。

 

 

 とはいえ、いつまでも現実(この)世界についてグチグチと言ってても仕方ないか。別にその気になれば、この世界だって理想郷に変えることはできるんだから。

 それよりも次の物語をどうするかだ。最初の物語を下に考えるんだったら、無難なのは僕が主人公で苦難から女の子を助け出して惚れさせていく従来のハーレム物がいいんだろうけど、今はそんな気分じゃないな。

 となると、逆の発想でいくか。適当にハーレム主人公をでっちあげて、主人公から女の子を奪っていく寝取り物。それなら、今の僕の気分にぴったりだ。

 

 

 ただ問題が一つ。寝取り物はいいけど、それをする気なら祭り上げる主人公をある程度しっかり作り込まないとダメだ。女の子たちはあっさりと心変わりする尻軽でも問題ないけど、主人公は一歩間違えれば俗に言う踏み台転生者になりかねない。まぁ、それはそれでアリだとは思うけどね。

 

 

 とはいっても、判断基準が分からないな。どうすればハーレム主人公で、どうすれば踏み台転生者になってしまうのか。あまり、そういうのは見ないからな。

 

 

 …… 適当でいいかな? いや、でもある程度はしっかりしておかないと前回の二の舞になる。

 今はまだ六時前。寝るまでにまだ五、六時間はある。焦ることはない。可能な限り作り込もう。

 

 

 さて、どうしようかな……。

 

 

 

 

 

 ○○○○○

 

 午後十時五十五分。日付が変わるまであと一時間と五分。前回は日付が変わると同時に動いたけど、今回は午後十一時に始めてみようと思う。ぶっちゃけ、何時に始めようが関係ないしね。

 

 

 物語のプロットが固まってないのに時間を早めるなんて頭がおかしいと思われるかもしれないけど、一応この数時間である程度話はできた。

 まぁ、寝取る相手がハーレム主人公なのかどうかは個人の主観に依(よ)るからなんともいえないけど、少なくとも僕はこれで大丈夫だと思っている。場合によっては僕自身が踏み台転生者になるかもだけど、そうなったらそうなったで何も問題はないし。

 

 

 というわけで、早速始めていこうと思う。僕の性癖をメインに推していくとして、他にも入れられたらいろんな性癖を入れてみたいな。

 

 

 そうこうしているうちに、すぐに時間になる。僕はベッドに寝っ転がると、前回と同じ要領で意識を沈め、転移に備える。

 

 

 さぁ、第二の物語。スタートだ。

 

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