※この作品はR-18です。

けものお水   作:満足あき

1 / 21
けものお水1話

21時劇場  「けものお水」 1話

この現代日本においてジャパリパークの存在は、慎重に隠れされていたが、

たつき監督によるドキュメンタリー「けものフレンズ」によって広く国民に知れ渡ることになった。

それからしばらくして富士山が大噴火し、大量のサンドスターを放出したことにより、

日本中に大量のフレンズが誕生していった。

最初は国宝並みに優遇されていた彼女たちも、10万人を超えたあたりから

「人権」を与えるように世論が動き、

いまでは外国人を見かけるより、フレンズを見かける事が多いほど

生活に溶け込み自然な存在になっていた。

権利があれば義務もある。「労働」をすることになったフレンズたちは

ありとあらゆる職種へどんどん進出していった。そんな今の日本の物語である。

 

彼は暇だった。名は「としあき」という。失業手当を使い果たし、そろそろ行き詰っていた彼は、

習慣のように夜の繁華街を歩くのが好きだった。ここからは彼に語ってもらおう。

 

俺は焦っていた。収入が尽きて未来が見えない今でも、下半身の誘惑には勝てない。

出会いは求めるもの。軽いお兄さんとしての性分は、いくらお金に困っても変わらなかった。

夜明け近い深夜、最近大人気の、フレンズとお酒が飲める店が立ち並ぶ

「フレンズ横丁」の近くにあるコンビニのイートスペースで、無料Wi-Fiをつかって暇をつぶしていた。

金払って楽しい時間をすごすことはできないが、こういう町の喧騒が好きだった。

ぼんやりしていると、コンビニ店員と誰かがモメていた。

あの見た目…フレンズだ!

「お客さん困りますよ、ここで寝たらダメです。」

優しく説得する店員を、そのフレンズはうなだれながら手で追い払っていた。

「お客さんは常連だからボクも困るんですよ…酔いつぶれているなら誰か呼んでもらえませんか?」

その子は酔いつぶれていて、誰かを呼ぶことすらままならないようだった。これはもしかすると、

いや、あの真面目な店員のために俺が一肌脱ごう。

「あ、この子は俺の知り合いなので家まで送ります」

そう言って酒臭いフレンズに肩を貸す。もちろん知り合いなのは嘘なので、

曖昧な彼女の話を聞いて、家まで送ることにした。

本当に酔っているようで、住所を聞き出すのが大変だったうえ、

ふらつく足が危なっかしくて、彼女を守るように抱いて歩く。ついた家は簡素な2階建ての借家だった。

彼女のポケットから鍵を取り出してドアを開けベットに寝かせる。これでもう大丈夫だろう。

帰ろうとしたが、彼女は俺を抱きしめて離さなかった。

「帰っちゃヤダ」と言い酒臭い息を俺に浴びせながら

しばらく黙っての胸元に顔を埋めている。俺も抱き返すと、彼女も答えるかのようにギュッとしてくる。

そのまま俺たちは抱き合い、鼻が当たる距離で見つめあい、

当たり前のように唇と唇が合わさる。

「君、なんて名前なの?」

「私はヒグマ…」     それが最初の出会いだった。

俺とヒグマちゃんは、唇を会わせたまま、抱きあいながらベッドに倒れこんだ  続く

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。