21時劇場 「けものお水」 4話
ヒグマちゃんと送迎の車に乗り、その時初めて「ラウンジ サバンナ」へと足を踏み入れた。
カウンターとボックス席が3つある店内は大いに盛り上がっていた。
ボックス席は占領されているのでカウンターに座る。
こういう店は幾度と利用しているが、あまり好きでは無かった。
しかしラウンジ サバンナは違った。まず服装が過激すぎる
ちょうど俺の前にヒグマちゃんが立ったので聞いてみる
「あの子の服装って大丈夫なの?」
「どのこ?ああコツメカワウソちゃんね。あれがあの子の自然な姿なんだ」
「フレンズがニュースで話題になった時聞いたぞ、プラズマかなんかが服や耳や尻尾を作るんだっけ?」
「そんな感じ。ここは女の子全員がフレンズなのが自慢だから、フレンズらしい恰好をしてもらっているの」
言われてみれば、目の前のヒグマちゃんも普通の洋服では無かった。
スパッツに短すぎるスカートという、サンドスターのセンスに脱帽してしまう。
「でもあれだろ?その気になれば服も耳も尻尾も消せるんだろ?」
「この店で働くフレンズの条件は…どれだけ酔ってもフレンズの姿を維持できる事だよ」
「じゃあ服が消えるまでお前たちに飲ませればいいって事か」
「わたし達を酔わせる気?お兄さん?いいよ、どんどん注文入れちゃうから」
「冗談だ冗談。酒飲みのプロに挑んだら財布がカラになる。
俺はビールだけでいいから、ヒグマちゃんは何を飲む?」
「じゃあワインで。一緒に乾杯しようね」
俺のビールと、ヒグマちゃんのワイングラスがカチンと鳴る。
こういう店は好きじゃないが、こうして女の子と酒が飲めるのは本能が喜ぶ。
ぼーっとしていると、ヒグマちゃんはボックス席で接待していた。
カウンターにはあの過激な格好の子が立っていた
「お酒呑むのたっのし~。お兄さんビール好きなの?どんどん注いじゃうからね~」
尻尾とお尻を揺らしながらビールを注ぐフレンズ。
やばいやばい、この店楽しいかもしれない。
「君、なんていう名前なの?」
「私はコツメカワウソだよ!ねえねえ一緒に歌おうよ!
曲は!ようこそジャパリパークへ!歌えるよね?」
笑顔のコツメちゃんにマイクを渡されると断りづらい。
その辺の接客テクニックがプロであり、店の利益のためだと知っていても
俺はマイクを握りどったんばったん大騒ぎした。
この店は楽しいかもしれない。フレンズとかかわった事は無かったが、この子たちは凄い可愛いのかもしれない。
「悪くないな」と呟いて、カウンターでビールを喉に押し込む。
騒ぐフレンズに、大喜びする客に、話せないほどの喧騒と、花火のような盛り上がり。
これが「ラウンジ サバンナ」か。
ぐだぐだ呑んでいたら閉店時間まで居座ってしまった。
帰ろうとする俺にヒグマちゃんが、俺にしか聞こえない声で耳打ちする
「また私に家に来てくれるよね?待っているからね」
そう誘うヒグマちゃんの目つきが、彼女との劣情を思い出させ、俺の足は自宅とは違う方向へ向かう 続く