部屋に戻るとテッサとかなめがいた。俺を何故か睨んでいる。
「何?何か用か?」
「今日こそ、真実を話してもらいたいの」
って、テッサ。真実?何の真実だ?
「この前の話…矛盾があるのよ」
「矛盾?俺の記憶が曖昧だからな。それはあるだろうよ」
「あんたの妹分は左胸を撃たれたのよね?」
あぁ、そういうことか…宗介は右利きだものな。
「宗介が撃てば、右胸が被弾するってことか」
「そう…どういうこと?」
「じゃ、俺が撃ったんだよ。宗介のせいにして、すまなかった」
「アンタ…左利きでしょ?」
何故知っている…狼狽える俺。ニヤリとしたテッサ。
「あと、もう1点…宗介はエンジェルダストを打たれていたんだよね?」
「そうだけど…」
あっ!俺はやらかしていた。
「気づいたようね♪」
勝ち誇った表情のテッサ。押し倒してヒィヒィ言わして黙らしたい。だけど、かなめがいるので、そんな目眩まし的な誤魔化しは出来ない。
「宗介の死体は綺麗だった。首筋を斬り裂かれた以外はねぇ…」
あぁ、そうだ。俺に出来るのはそれくらいだ。
「あれを打つと肉体増強され、体格すら変わるはず。後、首筋を切った程度では死なない」
どう誤魔化すかな?
「真実は何?」
テッサの睨みはそうでも無いが、かなめの睨みは堪える。何かに耐える様な視線を送ってきている。
「本当は宗介が彼女に打ったんじゃないの?」
俺は無意識に天を仰ぎ見てしまった。
「そうなんだ。どうして、宗介が打ったの?」
「あのバカにエンジェルダストは効果がなかった。鎮痛剤程度の効き目だったようだよ」
「へ?マジ?」
テッサの質問に頷く俺。
「で俺と宗介がタイマンで戦っている処に、彼女が割り込み、宗介が誤射しちゃったんだ。怪我じたいは命に別状の無い程度だったけど、物凄く痛そうな声を出してね。動揺した宗介が鎮痛剤代わりに打ってしまった」
目が点になっているテッサとかなめ。エンジェルダストを鎮痛剤代わりに使うヤツなんて、宗介くらいな物だ。リョウでさえ変貌し、禁断症状に苦しんだそうだし。
「打った瞬間、彼女の肉体は変貌した。そのことに宗介は更に動揺して…アイツは彼女を…俺が仕留めようとした。だけど、ナイフではまるで刃が立たなかったんだ」
絶句状態の二人。まぁ、そのくらいの衝撃だよ。相良宗介というヤツが動揺するなんて、俺も信じたくないし。
「そして、モンスターを退治した後、アイツはしでかした事の重大性に気づき、自ら…だけど、自殺したら地獄行きだ。だから、アイツが引き金を引く前に、俺がナイフで喉をかっきった。それが真実だ」
彼女の変貌振りを見て気づいたんだと思う。軍部はアイツを更に化け物にしようてしていたことに…
二人を残してリビングへ降りた。
「自殺しなくても、傭兵は全員地獄行きだ」
って、リョウ。
「気休めだよ。リョウだって、海坊主に、塩をおくるだろ?」
「まぁ。1つ訊く。お前は復讐を望んでいるのか?」
「望んでいない。今の生活を大切にしたいだけだ。それをジャマするなら、全力で排除する」
「わかった。じゃ、リョウちゃんは夜遊びに行きま~す♪」
夜遊びなぁ…ドンキーにでも行くかな?
---江戸川コナン---
朝早くから事務所で揉めている声が聞こえた。盗聴器で会話を盗み聞きしている。
「警部殿…アイツ、生きているんですか?」
「毛利君、あの時のことを想い出しくれないか?」
「逮捕しましょう!アイツが犯人に違いない」
「それは無いわ」
知らない女性の声。
「どうして?」
「彼には証拠資料を隠滅せる動機も手立ても無い」
「いやいや、戸籍を売られたって、それこと信憑性が無いだろ?」
「今、特捜部で再捜査を始めましてね、当時の証拠品を1つ1つ再検証しています。それでわかったのは、自殺した少年のDNAサンプル及ぶ分析結果の資料が消えていたの。これはどういうことかしら?」
「アイツが処分したんだろ?」
「彼にDNAサンプルを提出して貰って、科捜研で調べてもらったら、心中した両親の子供であるって証明されたわよ。あぁ、これがその結果」
「なんだって…じゃ、あの死体は?」
「だから、それを知りたいの。あの死体は誰?で、彼が戸籍を奪われたことは、証明されたってことよ。そうでしょ、目暮」
え?あの女性、目暮警部より、上の階級なのか…
「えぇ、彼が戸籍を奪われたことは認めます。今更でしょうけどね…」
「そうよ!今更、認めても、彼の失った物は、もう戻らない。失った戸籍は二度と戻らない。妃弁護士、そうでしょ?」
蘭の母親もいるようだ。
「えぇ、無理ですね。前代未聞なこと。最高裁で審議しても結果が出るまで10年、20年はかかるかもしれない。前提条件として、警察が捜査のミスを謝罪することが必要です」
誰の話で揉めているんだ?
「彼が生きている間に戻る可能性は低いと思う。だから、特捜部としては、彼に犯罪被害者保護プログラムを適用させます。担当弁護士に妃英里を指名します。今後、彼に直接接触はしないでくださいね」
「はぁ?犯罪者かもしれないんだぞ!隠蔽するのか?」
おっちゃんがエキサイトしている。
「じゃ、訊きます。彼の両親のDNAデータは科捜研に残っていました。だけど、あの少年のDNAデータは残っていなかった。そもそも、科捜研ではあの少年のDNAを検査した記録が無いの。毛利元刑事に訊きます。どこで検査したんですか?」
「え?鑑識か、科捜研だろ」
「鑑識でDNAの検査は出来ない。それとも警視庁の鑑識は優秀で出来たんですか?ねぇ、目暮!」
「出来ません…せいぜい、血液型の検査程度です」
目暮警部が追い込まれている。誰だ、あの女性は?
「毛利元刑事、これは大事なことですよ。彼の戸籍を買った人物が誰なのか?そして、あの死体は誰なのか?で、どこでDNAの検査をしたのですか?この資料にはあなたの署名入りで、両親と死体の少年は親子関係であると断定しています。あなたは、どの資料を見て断定したのですか?」
まさか、おっちゃん、えん罪事件を起こしたのか?
「DNAの検査結果を踏まえてだ!」
「だから、どこで検査をしたのですか?」
「科捜研か鑑識に決まっているだろ?」
「はぁ~、目暮、千日手なんだけど…」
「すみません。毛利君、では誰がサンプルを、検査機関に持ち込んだのかね?」
「それは…捜査員の誰かでしょ。自分は持っていってません」
「目暮、誰に持っていけって、命じたの?」
「え?私は命じていません。毛利君の資料を見て、断定したんですから…あっ!」
「やっと、目暮も分かったわね。そう、偽の検査結果を紛れ込ましたヤツがいるのよ」
「では、再度、サンプルを得れば」
「はぁ~、今度はそこなの?目暮…いい?じゃ、訊くけど、あの少年の遺骨はどこにあるの?あと、彼の両親の遺骨はどこ?まだ、彼に返却されていないんけど。もっと、言えば、彼のお姉様の遺骨も返還されていないわ。どこに保管してあるの?」
「それは、墓地でしょ?」
「彼の両親が入る予定だった墓地はもうないの。お寺が処分したそうよ。何も入っていないし、相続人もいないから」
「なんですって…」
「だって、唯一の相続人の彼は戸籍が無いのよ。相続する権利さえ無いの。警察の犯した失態のせいでね」
「う~…」
「警察専用の無縁墓地は?」
「その4人が納骨された記録は無いの。持ち込んでいないってこと。どこに、持ち込んだの?当時の捜査陣は…ねぇ、目暮!」
ますます、目暮警部が追い込まれていく。この女は誰だ?
「妃弁護士、わかったかしら?再捜査しようにも、資料が残っていないのよ。どうすればいいの?」
「なるほど、警察内部で、何かあったってことですね」
「そうよ、理解が早くて助かるわ。そこの元刑事は使い者ならないし」
「なんだと~!」
「だって、そうでしょ?アンタの作った資料で、被疑者死亡で事件が終わったんだから。この節穴刑事め!」
「ねえ、お母さん…彼はどうなるの?」
何?なんで蘭がいるんだ?
「聞いた通りよ。最大限に手助けしても、犯罪被害者保護プログラムさえも受けられないかもしれない。これが現状…ごめんね。力になれなくて…蘭…」
まさか、アイツが、えん罪被害者なのか…
「でも、できる限り、彼を護れるようにする。だから、蘭は彼を支えてあげなさいね」
「うん♪」
どういうことだ?アイツは犯罪者でなくて、被害者なのか?
---マッキー---
いつもの様にドンキー詣で…今日はテッサもかなめもいない。なので、欲しい物を物色できていた。が…乾いた音、咄嗟に避ける。目の前の客の額に穴…吹き出す血液。店内は一瞬でパニック状態である。
店内で狙撃?どこのバカだ?
店を出て、ホテル街へ逃げ込む。乾いた音、避ける俺。目の前を走行していたトラックが爆発炎上している。狙撃手は3名か?トライアングル射撃?たぶん、俺を公園に誘導しているんだろう。巻き添えの被害者を避けるはずと読んでいるのであろう。
公園に急ぐ俺、ブルートゥースのヘッドギアを付け、香へ連絡をした。
「狙撃された。今のところ2発が誤爆だ」
「ドンキーのあれは、誤爆か?」
「そうだ。あと、西口で誤爆によりトラックが爆発炎上中。俺は公園に向かう」
「了解。反撃できそうなら、誤爆はするなよ♪冴子には連絡しておく」
「後、安室も…」
「あぁ」
よし、公園へ到着。俺だったら、あのビルの屋上か、ヘリ…ローター音が近づいて来た。それも民需用では無いローター音だ。相手は戦争のプロか?まさか、宗介の仇討ちでテッサか?
応戦できそうな場所を探す。
スマホに着信…安室だ
「生きているな。10分後に行ける」
「軍用ヘリが近づいている。機体はまだ目視できていない。スナイパーもだ」
「なるべく、応戦はするな。逮捕はしたくない」
「死ねばいいのか?」
「それはもっと困る。生き延びろ!」
通信が切れた。スマホを見ると圏外だった。アンテナを破壊しているのか…、そうなると、あのビルか?
乾いた音、振動する空気。俺は、反撃をした。
---キャンティ---
漸く、この日が来た。あのベルモットのお気に入りの工藤新一を消し去る日が♪スコープで彼を捉えている。確実の額に穴を開けてやる♪
引き金を指で引く。距離は1500…問題無い距離だ。
バリン!
有り得に音…有り得ない激痛…なんで…誰に狙撃されたんだ?破壊されたスコープが目に入った。スコープを撃ち抜いたのか、効き目から流れる血液、遠くなっていく意識…
---コルン---
有り得ない…軍用ヘリが…墜落している。ビルの屋上に目をやると、血の海にキャンティが倒れていた。あの距離で狙撃したのか?短銃で…有り得ない。墜落するヘリからヤツを狙い、ヒットする…目の奥に走る激痛…地面に激突するヘリ…俺の意識はそこまでだった。
---安室透----
現場に着くと、ヘリらしき物が大炎上していた。アイツの姿はどこにも無い。生き延びてくれたようだ。狙撃手のいたポイントへ行くと…血の海の真ん中にキャンティが倒れていた。効き目を撃ち抜かれ、弾丸は後頭部へ抜けていた。スコープは単なる筒になっている。まさか、アイツって…
凄腕のスナイパーの噂を聞いたことがある。狙撃専門のスナイパーでは無く、ガード専門のスナイパーだと言う。彼は相手のスナイパーのスコープを撃ち抜き、効き目から弾を入れて脳を貫通させて、相手を倒す凄腕らしい。『スナイパーキラー』と呼ばれているそうだ。
キャンティが相手ってことは、黒の組織は、彼を工藤君と誤認したのであろう。バカなことをしたもんだ。戦争のプロを相手に選ぶなんて…
次にヘリの検証をする。消火されたヘリを捜査していく。体格からするとコルンもやられたのか。スコープを見ると撃ち抜かれていた。アイツ、ドンキーに行ったんだよな?何を使って、逆狙撃したんだ?
うん?ヤジ馬達の中に冴羽を見つけたので、近づいた。
「相手は誰だ?」
冴羽に訊かれた。
「工藤新一君の命を狙っている黒の組織だ。ソックリだから誤認されたんだろう」
「そうか…どんな理由でさえ、俺達にケンカを売るなら、買うだけだ」
「おい!東京を戦場にするなよ」
「しない。アイツが哀しむ。ドンキーがなくなるとな♪」
そうだな。アイツはドンキーとポアロのナポリタンが大好物だし。
「それよりも、アイツは護身用に何を持っているんだ?」
「ナイフ…後、とある軍が開発した短銃タイプのリニアガンだ」
リニアガン?
「リニアモータを応用した、あれか?」
「そうだ。アイツ専用にカスタマイズされている。最大狙撃距離は10キロで、銃口からの射出速度は500キロを超える。へたすれば音速でターゲットを撃ち抜くぞ」
「スコープは何を使っているんだ?」
通常のスコープでは10キロなんて遠距離は覗けない。
「使っていない。銃の発射音と空気の揺らめきから、敵の位置を把握して、撃っているだけだ。あいつの位置把握能力は化け物クラス。難点は、反撃しか出来ないことだ。カウンタースナイプ専用だよ、あいつはな」
なるほど…ガード専門って、そういうことか…
「アイツを狙撃することは不可能だ。接近戦も難しいだろうな、あのナイフスキルは化け物だし」
「無敵だな」
「そうでもない。女に寝首を掻かれて死ぬと、俺は思っているよ♪」
あぁ、手癖が悪いもんな…アイツは…
マッキーの得物がちょっとSFチック…(^^;