※この作品はR-18です。

そっくりなアイツ   作:もっち~!

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直江津から来た女

喫茶ポアロで平和を満喫中である。しかし、2皿目のナポリタンと共に、仕事の資料を持って来た安室。

 

「ナポリタンを食いながら、惨殺死体は見たく無い…」

 

「まぁ、そう言うなよ。今日のお代は経費で落としておく」

 

ならいいか。鋭利な刃物の斬られた高校生、夫婦。

 

「これ、2件とも同一犯で捜査しているんだっけ?」

 

「あぁ、発生が同じ日と思われているからな」

 

凶器が異なるんだが…

 

「で、高校生の方が問題でね。同業者の息子なんだよ」

 

サツカンの息子が惨殺死体か…廃ビルで…何をしていて殺されたんだ?

 

「高校生の方は容疑者が浮かんでいるんだが、凶器が見付からないし、否認されている」

 

凶器はカマのような物で、滅多切りである。夫婦の方は鋭利な刃物で首筋をかぁ。

 

「夫婦の方は、娘さんが難を逃れたんだけど、余程の恐怖だったのか、黒髪が、真っ白になったそうだ」

 

それは恐い思いをしたんだな。

 

「これがリアル死体なのね…」

 

何故か、俺の膝の上にエルザが座っている。

 

「お前、仕事はいいのか?」

 

「当分、コンサート無いよ。次のコンサートは、彼女と二人で招待するからね」

 

コイツに懐かれてしまった。ヤッテくれるまで、別れないって、妙な事を言う。彼氏とやれば良いと思うのだが…何故、俺?

 

カラン♪

 

ドアベルが鳴った。

 

「安室さん、ケーキセットお願いします」

 

「はい」

 

何故か、香蓮も通ってきているし…

 

「今夜はどうですか?食事、用意しますよ」

 

「これを喰ったら、出張だよ。2,3日は戻れない」

 

「どこにですか?」

 

「直江津だって…」

 

「あぁ~、直江津の連続惨殺事件の捜査ですね♪」

 

そんな名前の事件なのか?

 

「週刊誌に載っていますよ」

 

トートバックから雑誌を出してみせてくれた。

 

「容疑者は高校生の彼女か…夫婦の方はまだ容疑者が浮かばず、同一犯という見立てのようだ」

 

食い終わったので、エルザを降ろして、席を立った。

 

「うん、じゃな」

 

「うん♪」

 

「いってらっしゃい」

 

二人と安室に見送られて、直江津に…

 

---------

 

関越道を北へ…愛車ビートルで走っていく。沼田を過ぎた頃、スマホに入電。ヘッドセットを操作して、通話モードにした。

 

「今、どこ?」

 

香さんだ。

 

「安室の依頼で直江津に向かっている」

 

「そっか。出張代も貰えるわね。経費のレシートを受け取り忘れるなよ!」

 

たまに忘れる。

 

「はい」

 

「それで、その件が終わったら、次は女子高校の教師として、潜入して貰うから」

 

耳を疑う俺。

 

「俺…中卒ですよ」

 

「うん?女子高校生の家庭教師をこなして、更正させたでしょ?あんな感じでいいのよ」

 

いやいや、家庭教師と先生では違うでしょ?

 

「依頼主は理事長先生だから、多少のことは目を瞑ってくれるから。依頼内容はねぇ、孫娘を更正させて欲しいって」

 

どうして、俺の案件先には問題児が湧くんだ?

 

「更正って?」

 

「不良ってことでは無いんだけど…百合らしいんだよ。だから、更正って…そういうことだ」

 

先生と生徒のイケナイ関係か?

 

「なぁ、後引く案件はいやだよ~」

 

ただでさぁ、後を引きまくっている俺。後を引かなかったのは、家庭教師の案件くらいか…

 

「これも仕事だよ。だって、揉めた事は一度も無いだろ?マッキーと後引いている女性との間でさぁ。リョウだと、揉め事ばかりだから…じゃ、予定に入れて置いてね♪」

 

通話は切れた。気が重い…スィーパーって、こんな感じなのかな?殺し屋ってイメージで就職したんだけど…傭兵でなくても…そう、あのコナンってガキを元に戻せば、安泰になるのか?アイツに全てをなすり付けて…俺は戦地へとトンズラ…悪く無い方針ではある。

 

--------

 

直江津著に着いた。捜査責任者と会う。

 

「あの槇村さんですかぁ~」

 

どのだ?

 

「で、これが死体検案書です」

 

高校生の方はナタのような物で確定だが、夫婦の方は…鋭利な刃物…カミソリのような…いや、カミソリよりも刃先が長く薄いのか。深くまで入っている。

 

「これ…たぶん、爪を研いだんだろう…」

 

「爪ですか?」

 

「あぁ、娘の爪は、発見時どうだった?」

 

「え…いや、わからないです」

 

「全裸で見付かったんだよな?」

 

「はい…」

 

「風呂場のルミノール検査結果は?」

 

「へ?」

 

想定していないのか?初動ミスだな。

 

「娘が第一容疑者。首筋の頸動脈を、迷わず一太刀でいっている。相当な量の返り血を浴びたはずだ。全裸だったのは、洗い易いから。後、毛染め液は見付かっているか?」

 

「なんでですか?」

 

初動ミスだ。

 

「始めから白髪の可能性がある。黒く染めていた可能性だよ」

 

スパイは、染めやすいように金髪、銀髪、白髪が多いと聞くし。

 

「スグに調べさせます!」

 

「そこまでの知能犯なら、証拠は処分されているだろ?もう発生から2週間だし」

 

凹んでいる捜査責任者。

 

--------

 

現場を見に行く。廃ビルには規制線すら無い。現場となった3階へ行くと、一人の少女がいた。

 

「被害者の彼女か?」

 

俺が声を掛けると、振り返り様、カッターナイフで襲い掛かって来たが、手首をねじ上げ少女を制圧した。

 

「なるほど、好戦的だな。捜査員に斬り掛かったって?」

 

それで、容疑者になった訳だ。

 

「初動捜査ミスだ。犯人は両手にオノらしき物を持ち、滅多斬りにしている。お前のようなカッターナイフ、ハサミ、コンパスでは無理だよ」

 

「あなたは誰?」

 

「サツチョウから依頼されて、調査に来た者だ」

 

安室に貰った、いや、公安から発給してもらった身分証を見せた。

 

「公安調査室、槇村凪?」

 

「そういう身分だ。なぁ、容疑者の見当はついていないか?」

 

はっとした少女。見当は付いているんだな。

 

「話したくなければ、話さなくていい。報告書には初動捜査ミスとだけ、書くから」

 

少女の手首を放し、その場を後にしようとすると、俺の背中に抱きついてきた。

 

「どうした?」

 

「傍にいて…私が私で在る為に…」

 

「復讐をしようと思うなよ」

 

「一人でいると、殺したくなる…あの女を…」

 

女?まさか、高校生で三角関係で殺人?う~ん…

 

---------

 

ホテルの部屋で、彼女、戦場ヶ原ひたぎから、事情を訊いている。

 

「で、三角関係って、ソッチのなのか?お前は両刀ってことか?」

 

「私はノーマルよ…ただ、彼女が私を…普段はかわいい後輩なのよ」

 

俺の上に載り、俺の首筋に抱きつき、俺の耳元で囁くように、供述をしているひたぎ。俺は、彼女の腰を優しくホールドして、彼女のしたいようにさせている。

 

「ねぇ、私を護ってくれる?お礼に、私があなたに尽くします」

 

「尽くさないでもいいよ。護るのは仕事だから」

 

「尽くしたいの…だから、仕事としてではなく、あなたの女として護って」

 

俺の女?随分いるんだけど…でも、スルーすると、コイツは殺しをしてしまいそうだ。困ったなぁ…

 

「善処するよ。で、元カレはどんな男だったんだ?」

 

「知らない女性にも優しいの。だから、トラブルに囲まれていたわ」

 

耳が痛い話である。明日は我が身か…テッサが寝首を掻けば、終われるのに…

 

「他の女性ともトラブルがあったのか?」

 

「ご両親を殺された羽川さんとか…」

 

あぁ、そこでつながるのか…同一犯の可能性…

 

2時間経ったので、ひたぎを家まで送り、彼女のかわいい後輩に会いに行った。彼女の家はデカいお屋敷だった。小淵沢の家くらいの大きさがありそうだ。インターフォンで用件を伝えると、ボーイシュな少女、神原駿河が出て来た。

 

「公園で話そう…」

 

彼女の後を付いていく…が、突然、豹変したように俺に襲い掛かってきた。両手にカマ…応戦する、両手にナイフの俺。軍用ナイフの前では、カマは単なる日用品である。峰で受けると、刃がボロボロになっていく。そして、首筋に峰打ち、意識を狩り取り、親指拘束した。

 

なんで、豹変したんだ?うん?右腕に包帯が巻かれている。これが原因か?彼女の祖父に連絡をすると、事故で右腕を失い、移植手術をを受けたそうだ。だけど、男の腕だったらしく、普段は包帯で誤魔化しているそうだ。これが、原因か?移植すると移植前の人格が芽生える時があると、マンガで学んだ。BJの『瞳の中の訪問者』とか、『エンジェル・ハート』とかだ。彼女の祖父にその話をして、病院で検査を受けさせたいと伝えると、承諾をもらった。取り敢えず、愛車のトランクに投げ込んでおく。

 

--------

 

次に羽川って少女か…廃ビルに向かった俺。なんとなく、そこにいるような気がしたから。廃ビルの現場へ行くと、白髪の入院着姿の少女がいた。

 

「羽川翼か?」

 

「にゃんのこときゃにゃ?」

 

猫言葉か…

 

「お前が両親を殺したんだろ?」

 

「にゃんのこと?しらにゃいにゃ~」

 

振り向いた彼女の目付きはイッていた。これって、ダブルキャラか?多重人格の可能性がある。エンジェルダスト投与後の目付きにも、似ている。マズい状況だ。

 

素早い動きで、指に何かを嵌めた。つけ爪か…銃を手にして、つけ爪の刃の部分だけを撃ち抜く。

 

「にゃに…」

 

その行動に驚く猫川さん。生じた隙を見逃さずに、意識を狩り、コイツも親指拘束だな。そして、愛車に詰め込み、小淵沢の医療センターへ向かった。

 

-------

 

「どう?」

 

「凪様の見立て通りです。腕は殺人者の腕でした。今、彼女の祖父の承諾を受けて、移植した腕を切断して、再建、修復術をしております」

 

戦争や紛争で、身体の一部を欠損した者達の為に、再建、修復な医療の研究をしている。結構、需要が有るようで、実験段階であるが、予約が殺到しているそうだ。

 

「もう一人も見立て通りです。彼女の両親は血の繋がりが無いそうで、虐待を受けていたようです。その過程で人格が増えた可能性があります」

 

母親の連れ子として、親が再婚したのだが、母親が死に、血の繋がらない父親の連れ子として、親が再婚した為に、そのような関係の親子関係になったそうだ。

 

「二人とも頼めるか?治療費は…ローンで…」

 

「お金の心配はしないで、大丈夫ですよ。凪様には負担させません」

 

「いや、だって…冴子、美和子、クラリス、後、明日奈の治療も頼んでいるし」

 

心苦しいです。最先端医療をタダ受けさせてもらう訳には…

 

「院長が研究費で治療するようにって、おっしゃっています。凪様達を救えなかったことが、心残りなんですよ、院長は」

 

院長は俺の叔母である。でも、戸籍の無い俺にとっては、戸籍上は他人であるし。

 

「戸籍の問題は、気にしないでください。ここでは、凪様は凪様ですから。いつでも頼って下さい」

 

昔、俺の主治医をしてくれた先生、今は外科部長らしい。

 

「ありがとう…」

 

「いえ…」

 

---------

 

俺は帰路に着いた。帰って来て、まず香さんに報告書とレシートの束を渡し、喫茶ポアロに向かった。

 

「ナポリタンとブレンド…」

 

どこかで見たことのある少女が、旅行カバンを手にして、誰かを待っているようだった。

 

「凪さん…」

 

旅行カバンから手を離し、俺に抱きついて来た少女。誰だっけ?

 

「したぎ?」

 

「ひたぎです!」

 

あぁ、そんな名前だったけ?

 

「何しているんだ?」

 

「駆け落ちをしに来ました♪」

 

「誰と?」

 

「凪さんと…」

 

「なんで?」

 

「約束したでしょ?私はあなたに尽くしますって…」

 

安室を見ると、ナポリタンを淡々と作っている。助けてはくれないらしい。こいつ、感情的になると斬り掛かるんだよな…どうするかな?

 

カラン♪

 

ドアベルの音…誰だ?

 

「うん?またですか?」

 

蘭の声だ…

 

「まぁ…」

 

「うん?彼女は?」

 

ひたぎに訊かれた。

 

「彼女の親公認の彼女…」

 

「そう…じゃ、宣言します。私、戦場ヶ原ひたぎは、槇村凪さんに尽くします」

 

「お願いしますね。そうか、メイドさんかぁ」

 

って、蘭。根性が座っている。

 

「め、め、メイド…私が?」

 

「だって、彼に尽くしてくれるんですよね?なら、彼専任のメイドですよね?」

 

蘭の思考は正しいが、優位性により歪んでいる気がする。

 

「そうなるのか…いいわ。いつか、彼の心を奪ってやる!」

 

「がんばってねぇ~。安室さん、ケーキセット1つ♪」

 

他人事のように言う蘭の勝ちだな。

 

-------

 

ナポリタンを3皿喰った~。うまかった。しかし、この店のカオス的な雰囲気はどうにからないか?来る奴来る奴にひたぎが凄むのだが、誰も動じない。寧ろ、心の弱さを、暴力的でカバーしてきたひたぎの連敗である。GGOという世界で、暴力に対峙してきた海千山千の連中だしなぁ。

 

「えぇ、駆け落ち?一人で?勇気あるなぁ~」

 

って、エルザ。

 

「住処はどうするんですか?無計画すぎだよ」

 

って香蓮。そうだと思います。

 

「学校はどうするの?」

 

って、心配する余裕がある詩乃。

 

「家は、まぁ、あのマンションの空き部屋にでも、入れておくよ」

 

「あぁ、あそこなら、人間丸くなれるわね」

 

って、蘭。まぁ、殺し屋が多い、マンションですから、暴力で脅せる相手は、いないし。既に、ひたぎは借りて来た猫状態になっている。直江津ではキャラが立ったかもしれないが、ここ喫茶ポアロでは、存在感は薄いのだった。

 

「香蓮、テストが近いんじゃないのか?」

 

「大丈夫です。勉強をしてから、ここに来ています」

 

「エルザは、新曲は?」

 

「ここで、作っているから、大丈夫よ」

 

安室を見ると、お店的には、こいつらのケーキセット消費で、儲かるらしいので、笑顔であった。

 

 

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