---工藤新一---
俺は俺である。アイツが俺に何かを注入した。それ以降、俺は俺のままであった。そして、俺は釈放された。拘留期限を過ぎたから。家に帰り、父さんへ連絡をした。
『元に戻れたのか。良かったなぁ』
「それはそれで良いんだけど、蘭が見付からないんだ」
『心配だな。お前の愛しい者だからな』
「そうなんだよ」
『願っていれば、無事に戻ることはある』
「そうだろうけど…母さんの見舞いには行ったのか?」
『行ったが、意識は無いようだった』
「そうなのか…誰がやったんだ?父さんはどう思う?」
『どう?そうだな…手がかりが無さ過ぎるな』
手がかりか…父さんは締め切りが近いそうなので、通話は切れた。
確かに手がかりが無い。蘭は何の為に攫われたんだ?なんで、蘭の母親と俺の母親があんな目に遭ったんだ?分からないことだらけである。
灰原は、アイツの元にいるらしい。阿笠博士は、助手がいなくなった為に多忙らしい。誰か、ワトソンはいないかな?服部は、未だに上京は無理らしい。
「で、ボクなのか?」
世良を呼び出した。
「頼むよ、ワトソン君♪」
「って、言われてもなぁ~。手がかり無いんでしょ?」
「無いんだよ」
「手がかりが無いんじゃ、推理もヘチマも無い気がするけど」
蘭の失踪から1ヶ月…何の音沙汰も、手がかりも無い。警察も捜査を続行しているのだが…何か見落としがあるのか?
---マッキー---
戦場に戻ってきた。テッサと敵対していた組織を潰していく。
「お前か?テッサに酷いマネをしたのは?」
「何の話だ?」
パシュ!
リニアガンから発射された弾丸が、相手の指先を関節ごとに撃ち抜いていく。
「やめてくれ~!」
コイツの手下は全員殺した。後は、コイツだけだ。
パシュ!
撃ち抜ける指が無くなった。次はどこにするかな?
「本当に知らないんだ」
知らない?テッサモデルのオナホールが、多数あるのにか?
「これはどこで知って、どこで購入したんだ?」
「ミスリルの悪魔を陵辱したくないかってメールが来て…」
コイツらもか…
「金はスイス銀行の口座か?」
「そうだ」
パシュ!
脳天を撃ち抜いた。これ以上、情報を得られそうもないから。アイに戻ると、深雪が抱きついて来た。
「もう止めましょう。こんなことしても」
「どんなことをすればいいんだ?深雪を陵辱すれば、名案でも浮かぶのか?」
「それは…」
俺を心配してくれる深雪。それはそれで嬉しいが…だけど、手がかりが欲しいんだよ。
「アイ!次のテッサの敵を検索してくれ」
『了解です』
「深雪…少し寝る」
「わかりました」
俺はアミュスフィアを装着して、電脳世界へとダイブした。
-------
アスナの待つ家に戻る。
「おかえりなさい♪」
アスナが笑顔で迎えてくれた。リーファも、レンも、ピト、エヴァ、シノンもいた。
「どうだ?そっちの国は?」
「進展が無いわ」
哀しそうな表情のアスナ。
「ねぇ、次のコンサートは来られる?」
ピトが訊いてきた。
「無理だな。まだ帰国できそうも無い」
ここで、俺は乾いた心に潤いを得ていく。完全な殺戮者にならない為に…
「速く戻って来てくださいよ~」
って、レン。
「あぁ、早く、みんなとリアルで会いたい」
みんなと少しの時間ずつ抱き合い、リアル世界へと戻る。
リアルの世界では、全裸の深雪が全裸の俺を抱いていた。
「何をしているんだ?」
無言で俺と行為をしている深雪。
「深雪!」
「えっ!あれ?」
深雪が限界のようだ。何か幻覚でも見たのだろうか。俺と行為に及んだ経緯を覚えていないようだ。
「アイ!記録映像を見せてくれ」
『了解です、再生します』
最初は俺と添い寝をしていた深雪が、徐々に服を脱ぎ、服を脱がしていく。どうも、深雪が溜まっていたようだ。
「深雪、お前はもう無理だ。帰れ!」
「まだ、大丈夫です。ただ、少しでいいんです。愛をください」
「今の俺には無い…すまない」
「いえ…」
気まずい空気が流れていく。
---工藤新一---
蘭失踪から4ヶ月…何の手がかりも無い。アイツは、アイツなりに、手がかりを探しに行ったようだ。
俺の立場は危うい。以前はおっちゃんも目暮警部も俺を頼ってくれていたが、今では俺は完全に容疑者であり、鬱陶しい人物らしい。俺は偽槇村ってことらしい。それだけ、アイツへの信頼が厚いのだろう。
或る日、捜査から戻ると、俺の家のベッドに蘭がいた。お腹が僅かに膨れている。これって…俺の子供…
「新一…アンタを絶対に許さない。アンタが私を監禁したんだとね?子供を堕ろせなくする為に…」
有らぬ疑いを掛けられている俺。
「俺は知らない」
「知らない?アンタの子供だよ。槇村さんとは危険日にしていないから」
俺の子なんだ。取り敢えず、目暮警部へ連絡をした。蘭を発見と…
そして、蘭は病院へ、俺は取り調べ室へ…蘭の供述により、俺が監禁をしていたかもしれないって結論に達したようだ。蘭のお腹の中には双子がいるそうだ。4ヶ月目か5ヶ月目だと言う。
「最低のヤローだな…槇村君との子供を、夢見ていた蘭を騙して…」
怒り心頭のおっちゃん。まぁ、騙して子種を入れた事実は隠せない。だけど…
「俺は監禁なんかしていない」
「どうだかな…」
「責任を取って蘭と…」
ばきっ!
おっちゃんの拳骨が俺の顔を抉った。
「ふざけるなよ、小僧!蘭は槇村君と添い遂げたいって、夢を持っていたんだ。ソレを、嘘で固めて、蘭に子供を孕ませて、挙げ句結婚するだと?それって、蘭の気持ちに、どう責任を取っているんだ?」
それを言われると…責任逃れだな…蘭の思い描いた幸せを、俺は粉々にした。取り返しの付かない事態に追い込んだ。蘭が大事で大切であったのに…俺は…
---マッキー---
蘭が見付かったらしいが、蘭の腹の中には、工藤新一の子供が、二人も入っていたそうだ。
「凪さん…」
深雪の声が遠くから聞こえる。俺は…
「大丈夫ですか?」
意識がはっきりとしてくると、俺は深雪と寝ていた。
「急に大声で泣き出して、倒れたのには驚きましたよ」
そんなことになっていたのか。
「ありがとう…」
深雪の肌の感触…落ち着く。
「いえ…私で良ければいくらでも」
「相手は何をしたいんだろう…俺を追い込む為に、蘭に工藤新一の子供を孕ませたのかな?」
「追い込むなら、他に方法がありますよね」
深雪に触れて、深雪に入り、俺の闇が霧散していく。帰る場所を得た気がしたから。
「俺を追い込むなら、テッサのように…いや、メリッサのようにしないって。相手の意図が見えない」
「工藤新一の望むことをしているとか?」
なるほど、それは有るが、それは蘭に限ってことだしなぁ。テッサを自殺に追い込むことに、工藤新一のメリットが有るとは思えない。
「う~ん…出ちゃいそうなんだけど…久しぶりの快楽で…」
「出していいですよ。今日は大丈夫な日ですから」
では、お言葉に甘えて…大量に放出した。5ヶ月分の女断ちの結果である。
「随分出しましたねぇ~」
深雪が驚いている。で、相手のメリットかぁ~。いや、相手のデメリット…テッサに何かを感づかれたとか。不二子も何かを感づいたとか…可能性は有る。そうなると有希子と英里は?最後の二人が分からない。最初の冴子と美和子は、何かを見たのか?何をだ?
「帰国するよ。確認したことが出来た」
「はい♪」
妙に嬉しそうな深雪。はて?
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日本に密入国すると、蘭は6ヶ月目に入ったらしい。蘭は警察病院に入院している。監禁中に何かされた可能性があるので、検査入院を兼ねているらしい。
俺は、医療センターへ向かった。蘭のケアは工藤新一にまかせよう。
「冴子、何かを見なかったか?連れ去れる前にさぁ」
「何か?う~ん…何も不審な物は見なかったと思うけど…」
記憶が消された可能性も有るが、今の冴子に無理は出来ない。
「再生医療で出来るようになるらしいの♪」
出来るようになることが嬉しいらしい冴子。まぁ、性欲盛りであるからな。
「ごめん…もしかすると、俺のせいで…」
「謝らないで!マッキーのせいだなんて、思っていないから。だから、無理と無茶はしないでね。治ってもマッキーがいないんじゃ、意味が無いから」
リョウとするって選択肢は無いのか?次に志保に会いに行く。
「お帰りなさい、あなた♪」
俺に抱きつく志保。俺の臭いを嗅いでいるようだ。
「この臭い…土埃と血の混じった臭い…」
そんな臭いなのか、俺って…
「嘘、嘘。そんな臭いはしないよ」
うっ!騙された。少し凹む俺。
「その凹んだ表情が好きなんだよ」
「で、その後の結果は?」
「順調よ。工藤君も私も子供化する気配は無いわ」
「油断するな。毎日、検査を受けろよ」
「うん、ありがとう。心配してくれて」
取り敢えず、明るいので、俺も安心だ。次にテッサだ…テッサは未だに、集中治療室から出られないようだ。顔面の損傷が酷かったから…自発呼吸も難しいらしい。
テッサ…
『心配するな。いつも心は一緒だよ』
って、テッサの声が聞こえた気がした。次は不二子か…不二子の部屋にはクラリスがいた。クラリスが不二子の面倒を見ているそうだ。
「ジョン様…」
「元気そうだな」
「はい…でも、不二子さん、まだ意識が戻らないんです…ン」
自分のことのように心配するクラリス。しばらくの間、不二子の手を握り続け、英里と有希子の部屋へ…この二人が巻き込まれた原因がわからない。なんでだ?何をしたんだ?
蘭はどうして?陵辱されずに、孕まされただけ?う~ん…探偵では無い俺には無理かな?俺に出来ることは、敵を殲滅する事くらいだし。
「英里…」
英里の手を握る。不埒なことであるが、英里に蘭の面影を見ながら…
ここにいても、どうにも成らないので、一旦香さんの元へ戻った。
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「どうだった?」
香さんに訊かれた。
「テッサモデルを1000個回収、メリッサモデルは3個。不二子モデルは500個くらいかな」
「そんなに回収したのか?」
「あぁ…」
「一体、お前は何人くらい消したんだ?」
「所有者は全員だから、最低でも1500くらい。あぁ、でも所属部隊は殲滅したから、5000程度かな」
「お前の殺しって、桁違いだよな…」
リョウが呆れている。
「相手は戦争のプロだよ。油断したら、こっちが危ない」
特に拷問中に襲われると、危険が一杯だよ。
「で、収獲は?」
「連絡はメールのみ、金はスイスの口座だった。荷物の発送元は、全てデタラメの住所で、配達業者は存在しない法人だった。手がかりは無しだよ」
半年近く捜査したけど、手がかり無しである。
「こっちもダメだ。まるで手がかり無しだ。どこに潜伏し、何人くらいの構成員なのかもわからない」
ルパン達も空振りだそうだ。なんだ、この敵は?
「そうなると、相手はノーマークな人種ってことだな」
って、リョウ。ノーマーク?
「シンジケートやマフィアなどの集団なら、俺やルパンのアンテナに引っ掛かるはずだ。それが無いってことは、それ以外の職種の集団なんだろう」
苦手な集団かもしれない。武装組織で無いと、俺は行動が制限されそうだ。
「ここまでの捜査からわかったことは、相手は頭がキレるってことだ。ここまで手がかり無しって異常だと思うぞ」
なるほど…頭がキレるのか…
---工藤新一---
今日も蘭の部屋にいる。俺のことを睨むだけの蘭。相当怒っている。アイツは、ここに一度も来ない。俺の子供を孕んだ蘭は、アイツにとっての裏切り者なのだろうか?例え、俺が騙した結果であってもだ。
「蘭…俺はどうすれば良いんだ?」
「新一は新一でいいんじゃないの?それしか出来ないでしょ?」
感情の籠もらない蘭の言葉。それが俺の心を斬り刻んでいく。
「なぁ、蘭は、どうしたいんだ?」
「新一に騙される前の私に戻りたい…ンそれだけよ」
そうだろうな…そうなんだけど、それは無理ってもんだ。
「子供…どうするんだ?」
「産むよ…堕ろせないでしょ?もう6ヶ月だよ」
そうだな。
「だから、産んだ後だよ」
「お父さんに、責任を取って、私と結婚するって言ったんだよね。でも、私は…約束したんだよ、槇村さんと一生添い遂げたいって…それが無理なら、子供は新一にあげる。責任を取って育てなさいよ。私は…消えるよ」
消える…死ぬ覚悟なのか?なんで、そこまでアイツのことを…
「なんで、なんだ。なぁ、蘭!なんで消えるんだ?」
「だって…約束が果たせないんだよ。他の男との間に子供がいるのに、添い遂げられないよ。槇村さんは、許さないと思う」
悔しそうに手を握り、涙をポロポロ流す蘭…こんな痛々しい蘭を見ていられない…俺は部屋を出ていた。
俺はアイツの元を訪れて、アイツへ土下座をして頼んだ。
「蘭と逢ってくれ…蘭の心を癒やしてやってくれ」
「おい!何を言っているんだ?蘭を孕ました男のセリフとは思えないなぁ」
怒りを孕んでいるが、抑えているようだ。
「俺が何を言われようと、それはそうだと思う。だけど、蘭には罪が無いだろ?」
「君は蘭に、どう責任を取るんだ?」
「子供は引き取って、俺が責任を持って育てる」
「はぁ?君が?どう育てるんだ?そもそも、お前は有希子の心配をしていないのが、気に喰わない!」
うっ!母さんかぁ…蘭のことで手一杯だから…
「英里の心配はしないのか?」
「蘭のことで一杯一杯だよ」
「そんな奴に子供は育てられない。蘭のことが心配で、育児放棄になりそうだよな」
それは…反論が出来ない。俺には育児の経験も、知識も、頼れる親もいないんだから…