ドンキーから帰ると、リビングではリョウと知らない女性がいちゃついていて、香さんが二人に冷たい視線を浴びせていた。
「香さん、どうした?」
「マッキー、お帰り。今日は何を買ってきたんだ?」
ドンキーで買った物に興味が移った香さん。
「TENGAっていうのを買ってみた。よくわからないけど、一度使えば病み付きだって」
「たぶん、それはマッキーには必要は無いと思うよ」
そうなのか?
「で、あの女性は?」
「隣に越してきた探偵事務所の所長さんで、身辺警護の依頼をしにきた客だ」
なるほど…
「うん?そちらの彼もスィーパーなの?」
「あぁ、彼は新人です。お嬢さんのような方は、私、冴羽リョウが担当します♪」
「腕利きのスィーパーが担当だと、心強いわ」
って、名刺をくれた女探偵さん。名前は野上麗香…はぁ?野上?
「ねぇ、冴子の妹さん?」
俺の発言で、三人が固まった。どうした?
「姉さんを知っているの?」
「え?冴子の妹…」
「あぁ、姉妹は似るよね」
って、三人三様な反応だ。見た目は似ていないけど、リョウを女子力で使う辺りは、似ているかな。
「じゃ、俺、TENGAって言うのを使ってみる」
部屋を出ようとすると、麗香が背中に抱きついて来た。
「姉さんとどういう関係なの?」
「知り合いだよ」
「どんな知り合い?」
「あぁ、ソイツは冴子のセフレだよ」
って、リョウ。
「うそっ!姉さんにセフレがいるなんて…有り得ない。あの堅物に…」
「おい、冴子を鰹節みたいに言うなよ!極上な焼きプリンみないな食感なんだからな!」
「しょ…かん…食べたの?姉さんを…」
何を言っているんだ?
「セフレってそういうもんだろ?じゃ!」
「あぁ、待って!マッキー。あなたに仕事が入っているの」
って、香さん。仕事の資料の束が渡された。部屋に持ち帰り、中身を見た。仕事内容は、人探しと要人警護とある。依頼者はテレサ・テスタロッサ…あのテッサか…。探し人は2名。これはどうにかなるが。テッサは何をしに、この国に来るんだ?
テレサ・テスタロッサは相良宗介の上司に当たる人物である。この国で戦争の続きか?
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翌日、羽田空港へテッサを迎えに行った。アッシュブロンドの髪…目立たない。戦場では良いが、都会では地味では無い野か?
俺を見て固まるテッサ。
「どうして…あなたがここに?」
「アナタを担当する槇村秀幸です。よろしくお願いします」
「え?あなたが私の担当者…偶然?それとも必然?」
「さぁ、こちらへ…」
駐車場へ…ここの駐車場は地上なので、少し安心だ。地下駐車場だと、隠れる場所が多いので、ガードがしにくい。
車は特注である俺の自家用車。VWのビートルにポルシェ930の台座を載せたスポーツカーである。テッサの荷物を積んで、助手席に座らせた。そして、出発…ホテルは西新宿のホテルを抑えてある。
車庫付きのホテルにインした。よく利用するので、顔も効くので、更によく利用している。要人仕様の部屋へテッサを連れ込んだ。
「ここって…ラブホ?」
「正解♪」
「私をどうするつもり…」
「ここにお前の会いたいヤツを呼び出している」
「えっ?!ここに?」
暫くすると、かなめがやって来た。
「初めてのデートがラブホなの?」
って、デートと思い込んでいるかなめ。
「テッサ、彼女が千鳥かなめ。宗介の相思相愛の君だ」
「えっ…もう見つけたの…」
テッサがかなめを見つめている。そして、
「ごめんなさい。彼を無事に帰還させられなくて、彼の上司として謝罪します」
かなめに深々と頭を下げたテッサ。
「宗介の上司…」
突然のことでかなめが混乱している。
「俺は外にいるよ」
部屋から出ようとすると、
「お願い…一緒にいて…」
って、かなめが俺の手を掴んだ。
「どうして、あなたが千鳥さんを知っているの?」
って、テッサ。
「宗介の遺品を届けたからだ」
かなめが宗介のネームプレートをテッサに見せた。
「だから、無かったのか…死体に…」
で、もう一人の件が問題だ。
「ねぇ、真実を訊きにきました。宗介と何があったの?あの時、あの場所で…」
テッサが俺に訊いた。
「俺は事実を話した。もみ消したのは、お前らだろ?」
「もみ消した?この前の話は事実では無かったの?」
かなめが俺に縋り付き、訊いて来た。
「知らない方が良い事実もあるんだ。知られたくないから、もみ消したんだろ?なぁ、テッサ」
テッサの顔からさぁ~っと血の気が失せていく。
「じゃ…私の受けた報告は…事実ではなかったんだね。やっぱり…」
テッサも薄々気づいていたようだ。
「知れば、テッサと言えでも、消されるぞ」
「そうだろうね。部下はそれを危惧して、もみ消したんだろうから」
「ねぇ、どういうこと?宗介の死には、何かあるの?」
かなめがしつこく訊いて来た。
「かなめは、宗介が本当に、非戦闘員の少女の心臓を撃ち抜くと思うか?」
「思わない。いくら上司の命令だからって…」
いや、正確に非戦闘員では無い。俺の隣で戦うことを夢見ていた見習い兵士であった現地の少女。宗介にも憧れ、俺より宗介を好きだった。
「アイツの上司は、アイツの一線で留まる性格を粉砕したんだ」
「まさか…」
テッサは正解に近づいたようだ。第2シナリオの…
「エンジェルダストを、宗介は投与されたんだよ。エンジェルダストは魔法の薬だ。痛みを感じなくなるんだよ。実際は幻覚剤で、神経と精神が麻痺をするんだ。理性なんか木っ端微塵の上、簡単に洗脳されてしまう。俺の前にいた宗介は、既に宗介ではなかった。効果が切れるまで放置は出来なかった。ただでさえ化け物クラスの宗介がラスボス状態なんだから。戦車の砲弾を受けても死なないし…だから、俺が宗介を始末した。どっちみち、俺が殺した事には変わりは無い」
「理性を無くした宗介を、助けてくれたんだね…」
かなめが俺に泣きすがった。
「違う。俺はアイツを助けていない。殺したんだ。ソレが事実だ」
「ごめん…使用禁止薬物を使ったなんて、知らなかったんだよ…ごめん」
テッサが何度も俺に謝っている。俺はそんな対象じゃないのに…
「俺は宗介を殺した。それが事実だ。その事実は消えない。更に言えば、俺が彼女を殺したような物だ。彼女と親しくならなければ、俺にとっての人質にならなければ、彼女は死ななかった」
「そんなことだと思ったよ…君が宗介を殺すって…なんの理由も無く殺すって有り得ないから。敵同士だけど、仲は良かったよね?」
「忘れたよ」
テッサの持ち出した昔話はスルーしたい。ボロが出そうだから。
「だから、私がどこの誰だか、知っていたのね」
かなめが俺を見つめている。
「死ぬ前に訊いたんだ」
「エンジェルダストを投与されたら、会話をするだけの知性も無いはず。嘘はダメだよ」
って、テッサ。俺は追い込まれているのか…宗介の亡霊に…宗介が笑っていそうだ、彼女と一緒に、間抜けな俺のロスタイムを見て居るのかな。
「ねぇ、この国での任務を終えたら…一緒に生きていい?」
テッサが妙なことを言う。一緒に生きる?
「代わりにはなれないかもしれないけど、君の妹分になって、君を助けたい」
はぁ?なんだ、その申し出は…女っ気無しのミスリルの魔女には、言われたく無いことだ。
「私も高校を卒業したら、一緒に生きる。宗介の代わりに一緒に生きてね♪」
かなめ…お前も発想がおかしいぞ…
「俺は宗介にはなれない。俺はあそこまで脳筋でないし、俺はあいつと違い、女性が大好きで、手癖が悪いぞ♪」
何故か、二人が笑顔で俺を見つめている。なんで…どうして…
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翌日、テッサの任務に付いて行く俺。昨日より彼女の視線が何故かまろやかになった気がする。テッサの向かった先は、横須賀…海軍か?罠の臭いがプンプンと…
海軍本部へと向かうのだが、途中、案の定襲われた。トラックから出てくるエンジェルダストを投与されたと思われる軍人達。
「どうするの?」
「突っ切る♪」
アクセルを踏み込む俺。ターボエンジンがうなりを上げていく。フロント部分は強化してある。チョバム・アーマー仕様である。人体が幾ら強化されようが、問題無いレベルだ。
そして、無事にテッサを海軍本部へ連れて行き、責任者に重要書類を手渡した。
「これで、明日から一般人だよ♪」
嬉しそうなテッサ。だけど、それは、無事に明日を迎えられればな…
帰り道…武装ヘリが襲って来た。たぶん、狙いは重要書類では無く、テッサの命だろうな。女性士官の割りにカリスマ性が高いし、退官しても信奉者が多いだろうし、軍にとっては退官するテッサはジャマ者なんだと思う。
武装ヘリ相手では、分が悪い。フロント部分しか強化していないし…リアエンジンなので、後部を壊されると走行は難しい。
「テッサ、運転できるか?」
「うん♪バイクから潜水艦まで、なんでもオーケーだよ」
走行している車内で席を交換する俺達。これだけでも、命の綱渡りである。交換し終わると、屋根を開けて、使わないと決めていた銃を手にした俺。ナイフではさすが、分が悪すぎるから。
照準はローター部のネジの頭。俺の銃は、狙撃距離を優先した為、威力がそんなに無い。だけど、ネジの頭くらいは粉砕出来るはずだ。
ほぼ無音で発射される弾。上から降り始めるヘリの部品達…墜落し始めたヘリが巨大ミサイルと化して俺達の車を追って来た。速度はヘリの方が速いだけど、トンネルに入った車。トンネルの入り口で見える炎…うん?黒い点が2つ追ってきた。激突寸前にミサイルを撃ったのか?カーナビに視線を移し、次のカーブまでの到達時間を計算した。間に合う。あのミサイルが追尾タイプでなければ…そして、運命のカーブ。車は右へ曲がっていく。ミサイルも右へ旋回しようとするが、山肌に激突。大きな火柱が2つ上がった。ソレを確認して車内に戻り、屋根を閉めた。
「80キロまで落として」
「了解♪」
「次の料金所で降りて。高速では上から狙いやすい」
「はい♪」
何故か嬉しそうなテッサ。どうした?
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翌日…目覚めると、テッサが隣にいた。なんで?どうして?
「なんで、ここに?」
「一緒に生きるの♪」
「なんで、俺?」
「宗介の代わり♪」
それはかなめに言われた気がするが…起きると、シーツが血で染まっていた。
「ごめんね…初めてだったから…」
って…
「交わった記憶はないぞ」
「うん、熟睡していたよね…」
寝込みを襲われたらしい。
「マッキー、一流のスィーパーは当分無理だな」
って、香さん。確かに…テッサが殺し屋なら、俺は死んでいる。
「で、テッサ…潜水艦から戦艦まで運転出来るって…そんな技能は要らないんだけど」
って、香さんが、テッサの履歴書に目を通している。ここで働くらしい。
「あと、技能って無いかな…あぁ、ヘリと戦闘機も操縦できます。宇宙船は経験は無いですけど」
スィーパーとして、必要では無い技能である。
「まぁ、いいや。マッキーのマネージャーをしてくれ。女性とのトラブル回避優先で頼む」
「了解です♪」
採用決定のようだ。リョウがあんな感じなので、この会社?組織か?は香さんが仕切っていた。今朝も、リョウは夜遊びから帰って来ていない…
---江戸川コナン---
鍵の掛かった引き出しに入れていたのに、携帯電話が盗まれていた。蘭とのメール専用機なのだが、無くなっていた。誰が盗んだんだ?まさか、蘭か?着信音もバイブもオフにしていたので、気づかれないはずだけど…
そうなると、偽工藤新一か?どうやって、アレの存在を知って、アレの隠し場所に気づいたんだ?う~ん…
---マッキー---
喫茶ポアロに来ている。降谷零、この店では安室透を名乗っているようだ。
「悪いな。協力を感謝します」
「いいって…さっちょうと和解したし」
さっちょうとは警察庁のことである。今、安室さんの顔のデータを収集中なのだ。新しいマスクを作る為である。
「偽工藤新一でなくて、そっくりさんとは…すまない。偽物扱いをして」
「いえ、俺も驚いています。ソックリな人物が実在したとは」
「で、オーダーは?」
「ナポリタンの大盛りとブレンドで、お願いします」
ケーキが有名らしいのだが、俺はナポリタンばかりである。そして、食べ終わり会計をして外へ出ようとして固まった。マズい…見付かった。
カラン♪
ドアが開き…
「新一…来るなら来るっていってよね~!」
蘭に見付かった。この店の難点は。上に蘭の家があることだ。何か気づいた蘭の顔が迫ってきた。なんだ?店先でキスか?大胆だろ?って、俺の予想外の行動をする蘭。口の周りを舐め始めた…
「もう、またナポリタンを食べたのね。口の周りが汚れていたわよ♪」
って、舐めて拭き取ったのか…店の外には蘭の友人らしき少女が2名、蘭の行為を見て固まっていた。
「あ、あ、安室さん…また来ます」
「待っているよ」
って、安室の顔が苦笑い状態だった。
「蘭…いつから、そんな大胆になったのよ~」
性格が悪そうな少女が訊いて来た。
「園子…あのね…初めてのをねぇ…捧げてから…」
返答して真っ赤になる蘭。大胆なことを口にしたな…往来の上で…
「捧げた…えぇぇぇ~!この探偵ボウズに?」
「えぇ…まぁ…」
恥ずかしそうに答えている蘭。肌クロの少女が俺を見つめている。値踏みというより、何かを探るような視線だ。
「ねぇ、新一…今日も仕事?」
「あぁ、これから刑事さんと打ち合わせだよ」
「そうか…忙しいんだね…」
「メールの返事遅くなって、ごめんな」
「ううん、2日に一度でもいいよ」
「なるべく毎日出せるようにするよ。あぁ、そろそろ行かないと…」
「気を付けてね♪」
蘭達と別れた。しっかし、蘭の周囲は胡散臭い連中が多いなぁ…