---工藤新一---
一般病棟で1週間を過ごし、異常無しと診断され、退院となった。支払は保険でと…何?足り無いだとぉぉぉぉ~!
「あなたと、あなたの父親、あなたの母親の分を合算すると足りませんが…」
会計の人の口から出た金額…億超えだった…
「工藤家の財産管理をされている弁護士の方と協議した結果、工藤優作氏の印税と所有する建物、土地などの不動産と有価証券と預金を差し押さえさせてもらいます」
だと言う…どんだけ、手厚い看護されているんだ?って言うか、無一文ではないのか、俺は…ショックのあまり、待合室でボンヤリしていると、
「工藤君、退院おめでとう」
って、声を掛けられた。振り返り声の主を見ると、灰原の元の人がいた。名前は…
「あぁ、ここでは宮野志保って名乗っているわ、工藤君」
そうだ、宮野姉妹の妹の方だ。
「君には、蘭ちゃんへの慰謝料の支払い義務があるのよ」
蘭への慰謝料?
「怪訝そうな顔ねぇ。身に覚えが無いってことかな?受精して堕ろせなくなるまで監禁して、解放って、犯罪よ。ストーカーとしてね」
そうだ。蘭は身重のはずだ。
「蘭はどうしている?!」
「元気よ。凪が子供達を自分の子供に認知してくれたって、嬉しそうよ」
俺の子供…
「俺と蘭の子供だぞ!」
「あら?聞いていなかった?君はストーカーとして、堕ろせなくなるまで監禁していたのよ。ほら、警察の人がお迎えに来たわよ」
知らない刑事達…捜査一課では無いのか?
「これから、罪を償い、借金を返す人生が始まるのよ。がんばりなさいね」
って、他人事のように言う灰原…なんで、こんなことに…
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取り調べ室。まさか、容疑者、被疑者になるとは…この俺が!
「じゃ、認めるね。槇村さんに似ていることを利用して、毛利蘭さんと関係を持ち、堕ろせなくなるまで監禁していたって」
前段は認めるが、後段は俺で無く、俺の父さんのしたことだ。なので、否認をした。
「君の家の隣、阿笠博士の家から、毛利蘭さんを監禁した証拠は出ているんだ。観念して、認めた方が心証は良いぞ」
だが。やっていない。だから、否認した。
「じゃ、次の件だが」
まだ、俺の容疑があるのか?
「妃英里弁護士、工藤有希子さん、つまり君の母親を含む襲撃、誘拐、監禁、暴行事件についてだ」
それはえん罪だろ?
「オナペット板への書き込み…お前の家からだと判明したぞ」
何?俺の家…
「お前の家には、お前しか住んでいなかったよな?」
そうだけど…父さん…何をしているんだ?!
「父さんがしたことだ!」
「認めるんだな。お前達父子の共犯って」
そうなるのか?くそっ!状況が悪い。
「まぁ、書き込んだだけだから、共謀罪程度かっ!三人の女性の人生を無茶苦茶にして…その程度の罪かっ!」
「俺は被害者だぞ!銃撃をされたんだ」
「我々としては、仲間割れと見ている」
なんだと!仲間割れ?そうか、父さんは向こうサイドってことか。
「後、槇村さんには感謝しろよ。彼の適切な判断が無ければ、お前とお前の父親はダメだったぞ」
アイツが俺達を救ってくれたのか…じゃ、俺と父さんの会話を聞いていたのか。巨大な権力を手に出来ることを知って、アイツはどう動くんだ?
「まぁ、時間は一杯あるぞ。じっくりと自白を待つからな」
目の前の取り調べ官は、公安か?
---桐ヶ谷和人---
工藤新一について、調べた。ここ数ヶ月は行方不明らしい。かの有名な探偵である毛利小五郎とは親しい間柄のようだ。奴の家へ行くと、入口が封鎖されていた。周囲を見回し、家に侵入をした。犯罪の証拠を見つける為だ。隣の家は規制線が貼られていた。隣家に何かしたのか?
室内に入ると、いきなり手首に金属の感触が…
「住居不法侵入の現行犯逮捕だ」
はぁ?罠か?
「う~ん、近所の悪ガキか?少年課へ連行してくれ」
俺は…警察へと連行され、事情聴取を受けた。そうだ、ここでアイツの犯罪を告発すれば良いのか。
「アイツは俺の妹に手を掛けたんだ」
ぽっか~んとしている捜査員。
「いつの話だ?」
「2週間位前だ」
「う~ん…そうなると…お前の妹さんから、アタックしたんじゃないのか?あの人は、自分からナンパはしないし」
ナンパをしない?なんで?
「どうして言い切れるんですか?」
「それは守秘義務だ」
「守秘義務って?」
「我々警察の協力者だ。だから、守秘義務だ。今回は初犯だし、帰っていいぞ。但し、次は無いからな」
警察とグルなのは、本当のようだ。
---マッキー----
警察とか軍が依頼者になるケースが増えてきた。香さん的には、コネが出来て、取りっぱぐれもないので、ホクホクらしいのだが…
登山中の遭難者の捜索に、呼び出された。う~ん…これダメな気が…
「まるがいを発見…クレパスに落ちていますが…」
『救助できるか?』
「生きていない気が…」
『救助できるか?』
「損壊せずに引き上げは困難です」
こんな狭いクレパスに入ったら、二重遭難だよ。
『地点を報告せよ』
座標点を報告し、帰投した。
「お帰り♪次は警察庁へ向かってくれ。送迎の依頼だ」
冴子だな。
「あ、いってきます」
なんか、スィーパーらしくない依頼ばかりだ。リョウは何をしているんだ?
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冴子の元に着くと、冴子の顔色が良くない。
「どうした?」
「大丈夫よ」
俺に笑顔を見せようとする冴子。
「いつから、こんな状態だ?」
冴子の部下達に訊いた。
「朝からです」
そうなのか。感染症か?疲れか?医者では無い俺に判断は難しい。
「冴子、再入院も覚悟しておけよ」
冴子を医療センターへ搬送した。
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「かずえ、どうだ?」
冴子の検査結果を訊いた。
「子宮だな。問題は…卵巣…どうにかしないと…脳は正常から、卵巣に排卵を促しているんだけど、無いからねぇ。生理不順になるのかな…」
無いのに不順なのか…う~ん…
資料室に向かう。そこには母さんの残した膨大な資料が保管されていた。再生医療の一人者だった母さん。こういう場合の対処って、研究していないのかな?
ふと、父さんの残した資料が目に入った。そうか、交配関係と考えれば良いのか…父さんの残した資料にも目を通していく。
iPS細胞…健康な人の細胞を元に、臓器を作り出せる細胞増殖技術…これなら、卵巣も…
「おい!しっかりしろ!」
あっ、寝ていた。涙を溢している志保が、俺を揺り起こしていた。
「どうした?」
「どうしたじゃないだろ?3日も飲まず喰わずで何をしているんだ?」
あれ?そんなに経ったのか…1枚のメモを志保に渡した。
「これで、どうだろうか?」
メモに目を通す志保。
「これって…卵巣の再建法か?」
「あぁ、父さんの資料にあったよ。ダメ元で、冴子に試そう。いや。試して下さい」
俺の意識はそこまでだった。
頬をペタペタ、頭をパシパシされる感触で目が醒めた。
「お父さん♪」
ナミ…左右にはラムとレナ…二人がペタペタ、パシパシしていた。ここは?
「夜更かしはダメだよ~」
って、ナミ。あぁ、夜更かししたよな。
「産まれたよ。深雪さんの子供。私の新しい妹がさぁ♪」
はぁ?妹?なんのことだっけ?
「あっ!目覚めたんだね」
蘭が声を掛けてきた。
「まぁ…」
まだ、ぼぉ~っとしているんだけど…
「はい」
産着を着た赤子が手渡された。誰の子?
「名前を付けないとダメですよ」
って、叔母がいて、言われた。
「誰の子?」
「お前の子供でしょ?深雪との間に作った」
あぁ、安全日詐欺に遭った時の…
「お前の見つけた処方…いけるかもしれないわ」
俺の見つけた処方?なんだっけ?
「まだ、寝ぼけているようね。ほら、貸しなさい。落としたら大変よ」
俺の手から赤子が奪われた。まぁ、いいか。
意識がはっきりしてきて、事態を理解した。俺は4人の子供父になったらしい。
で、母親の作り上げた細胞増殖装置で、子宮の再建に成功したらしい。父親の残した交配器官の成り立ちの資料を基に、俺が考えた方法で…
「冴子さんに移植中ですよ」
って蘭。そうか、冴子をモルモットにしてしまった。自己嫌悪一杯の俺…
---槇村香---
凪を核心から遠ざける為、毛色の違う仕事を割り振ってきたけど…
「どう?」
「う~ん…凪の父親は配合の研究の果てに、クローン技術に行き着いたようだ」
リョウには、凪の件を探ってもらっていた。凪には、もっと生きて欲しいから。アニキのように、プライドの為に死に急いで欲しく無いから。
「そうなると、生きている可能性は?」
「ある。健康な時に、自分のクローンを作ったおき、万が一の時に、臓器を交換して、生きながらえる技術を構築した可能性がある」
優秀な人間に永遠な命をかっ。
「母親も可能性がある。ただ、どこの組織が後盾なのかが、わからない」
そこが問題である。小松崎グループも一部門の可能性があるし。工藤新一の父親の意識回復が鍵か。
「工藤優作の新作の裏取りをしたわ」
って、麗香。
「概ね、正解だった。だけど、肝心の組織については言及されていない」
「どんな組織が考えられる?」
かなめちゃんが訊いた。皆、凪には関わって欲しくないと思っていたので、アイツの留守中に会議をしているのだった。
「研究機関、それも権力を持っているところねぇ。財力も…現状、当てはまるのは…四葉財閥…」
まさか…凪が信用しきっている後ろ盾じゃ無いか…
「だけど、四葉はクローンの研究をしていない。だから、違う。クローンの研究をしている処で考えると、九島財閥が考えられる」
九島財閥が敵だとすると、マズいなぁ。あそこって軍需部門もあるし…米軍と仲良いし…
「まぁ、徐々に探るしかないだろう。相手が悪過ぎる」
リョウですら、迂闊には手を出せない相手だ。だけど、凪が知れば、アイツは、戦場へ向かう。躊躇無く…
「凪には内緒だぞ。ペーパー類は残すな。頭に入れておけ」
知られたらまずい。
---桐ヶ谷直葉---
お兄ちゃんが補導された。住居不法侵入の現行犯だと言う。特に被害も無く、初犯だったので、厳重注意の上、解放されたそうだ。
「なんで、そんなことをしたの?」
「スグ、明日奈、詩乃が心配だからだよ。アイツの本名は工藤新一って言うらしいぞ」
え?工藤新一?まさか…
「なんで?根拠は?」
「探偵に依頼して調べてもらったんだけど…」
一冊の雑誌を私に見せた。そこには、『高校生探偵、また警察に協力。難事件を解決へ』という見出しがあり、凪さんの写真が載っていた。え?高校生?探偵?傭兵じゃないの?あれ?
「アイツは身分を偽って、明日奈達に近づいたんだよ」
「メリットは?」
メリットが無い。デメリットの方が多い。普通、引くって…
「メリット?偽りの自分を見せる為にだ」
お兄ちゃん…それって、経験談じゃ無いの?
「私的には、この記事の方がいいなぁ」
はっとしてようなお兄ちゃん。
「だって、同じフィールドで生きている人の方が、より良いもの」
「そうだよな…じゃ、何の為に偽ったんだ…」
なんででしょうね?
---マッキー----
冴子の経過は順調である。これで、生理が起きれば、成功であるのだが。結果は1ヶ月待ちだそうだ。
「すまない。モルモットにしてしまって…」
冴子に謝る俺。
「顔を上げなさい。いいのよ。これで良くなればいいし。ダメでも…ダメ元だったし。凪君は、必死に見つけてくれた方法だよ。試さない理由にはならない。寧ろ試さないといけないのよ」
冴子の足の筋力低下問題は、まだ解決しない。死にかかった細胞をどうすれば、健常に出来るのやら。
「ありがとう…私につきっきりで…子供が出来たのに、傍にいられないよね」
寂しそうな冴子を抱き締めた。
「冴子の方が大切だよ。産まれたばかりで、実感が無い子供より…」
「ありがとうね。でも、深雪さんが哀しそうな顔になるから、ダメだよ」
振り返ると、赤子を抱いた深雪がいた。
「ごめんなさい…勝手なことをして…安全日って偽って…でも、欲しかったんです。凪さんの生きた証が…」
それは、俺に死亡フラグが立ったってことか?
「冴子、また会えるといいな」
「えっ!どういうこと?」
俺に縋ろうとしている冴子を病室に残して、深雪と共に病室を出た。
「で、俺はどういう風に殺すんだ?テッサと同じようにか?」
「殺しません…殺せません…」
「誰の命令だ?叔母か?」
「叔母様が出す訳無いでしょ?凪さんを実の子供のように思っていらっしゃるのに」
「じゃ、誰?」
「軍部ですよ」
物陰から深雪の兄の達也が現れた。
「あなたの身体能力は化け物クラスだ。だから…」
「始末しろと?母さんと父さんも軍部にか?」
「…」
否定はしないのか…
「どう殺す?」
空気の振動…狙撃か。反撃すれば、深雪と子供が危ない…無抵抗が一番かぁ。遅れて、乾いた音…テッサ…かなめ…脳裏には二人の女性の顔が…