---工藤新一---
身元引き受け人が現れたので、仮保釈だそう。室内着から私服に着替え、塀の外へ…父さんの自白待ちで、未だに拘留中の俺。妃弁護士への強姦教唆の容疑があることから、弁護士達からも敬遠され…未成年だから出してやれって声は上がらないらしい。まぁ、強姦の容疑である。シロかクロか確定しない限り、灰色のケダモノを警察として野に放てないのであろう。まして、蘭への強姦容疑はほぼ確定しているし…
真っ白なスポーツカーをバックに、俺ソックリなアイツが待っていた。
「よぉ、元気そうだな」
「まさか、お前が身元を引き受けるとはなぁ」
警戒心マックスである。コイツ、何かをやらかす為に、俺を呼び出した気がする。
「まぁ、乗れよ」
助手席に滑り込んだ俺。乗り込んだではなく、滑り込んだ感覚である。なんだ、このシートは…
「悪いなぁ。乗り心地が最悪なんだよ、これ」
車高の低い車。ほぼ寝そべったような姿勢である。エンジンが耳元で吠えているし。
「ミッドシップなんだよ。この狭い室内なのに。走り出すと、ジェットコースター感覚だしなぁ」
う~ん、阿笠博士のビートルに慣れたせいか、これは酔いそうな感じだ。鋭い加速、地べたを這うような走行、機敏なコーナリング…これって、レースカーではないのか?
「一応、君が好きな英国のメーカーなんだよ、これ」
そうなのか…
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久しぶりの車酔いの果てに着いたのは、俺の家だった。治療費の代わりに差し押さえられた家である。
「ここに今住んでいるんだけど…ちょっと問題があってね。で、相談なんだが、お前の双子の弟の工藤新二として生きていいよな?」
はぁ?俺の弟だと!
「ここまで似ているんだ。いいだろ?」
「俺のメリットは?」
そこが問題である。
「俺が生きている限り、毎月100万をお前にやる。但し、50万は蘭への慰謝料、50万は医療費で消える」
う~ん…俺の手に残らないのか…
「手付けとして、今回の仮保釈2日間をもぎ取ったんだぞ」
この仮保釈はそんな意味があるのか…
「断ったら?」
「その選択はして欲しく無いが、どうしてもって言うなら、逃亡をしたので、射殺したと報告する」
そうだ…コイツ、警察の関係者だったなぁ。銃を携帯しているのだろう。
「わかった、手を打つ。但し、蘭と子供に会わせろよ」
意外って感じの表情のアイツ。
「蘭と子供なのか?お前、父親と母親とは会わないでいいのか?」
あぁ、そうだった。父さんと母さんはどうなったんだ?
「まぁ、いいや。5人共、同じ医療センターにいるから、連れていってやる。但し、蘭が会うかどうかは、蘭に決めて貰う。いいな」
まぁ、それが妥当な線だろうな。俺は頷いた。
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医療センターへは、先程の車では無く、ビートルで行くようだ。乗り慣れた車もあるんじゃん。って…なんだ、このビートルは…エンジン音がまるで違う。足回りも換装したのか?全然違うぞ。結局、再度、車酔いになった俺…
着いたのは、小淵沢だった。俺が入院していた病院じゃないか。四葉総合病院って言うのか、ここは。
「ここの特別病棟にいる」
アイツを先頭に付いていく俺。ロビーを抜けて、奥にある受付で面会手続きをしている。厳重な警戒をしている印象である。この奥に何があるんだ?その奥へ進むと、
「先ず、エアシャワーを浴びて、雑菌を洗い流してもらう。その際、X線で身体検査もする。持ち込み禁止の物が多いからな」
アイツが手本として、先に廊下状のシャワー室に入った。入口で、手荷物をトレーに載せて、それも洗浄させるようだ。銃が1丁に、ナイフが二降り…それにキーケースに財布か。
エアシャワー室での検査を終え、特別病棟へ入った。先ず、父さんの病室。俺もいた部屋だ。呼吸器を付け、身体中にチューブを付けた父さんが横たわっていた。続いて、母さんの処…特殊なベッドに横たわれっている母さん。
『新ちゃん♪来てくれたのね~』
スピーカーから、母さんらしき合成音声が聞こえた。
「母さん、大丈夫か?」
『うん、身体が動けるようになるまで、電脳世界で英里と過ごしているのよ~』
なんか脳天気そうで、安心である。
そして、面会室で蘭と面会…子供はいない…俺と蘭の間には防弾ガラスの窓がある。面会中に何かされないように、医療機関としての配慮だそうだ。DV被害者も入院しているそうだから。
「新一…私はあなたを許さない!あなたの父親も許さない!」
蘭の目は怒りで満ちているようだ。
「なぁ、俺達の子供に会わせてくれ」
「私は…凪さんの子供が欲しかったのに…お前達親子のせいで…」
「アイツとは別に作ればいいだろ?」
「ふざけたことを言わないで…作れないよ。作れば、私は差別しちゃうから…だから…そんな姿を彼に見せたく無い。絶対に…」
俺との子供は…ジャマなのか…
「じゃ、俺達の子供は俺が引き取る」
「本当に、新一は母親似で、脳天気だよね?塀の中で子供をどうやって育てるの?無一文でどうやって育てるの?無職でどうやって育てるのよ~!ここの三人分の医療費の支払がローンなんでしょ?」
蘭の目から、ポロポロと涙が零れている。
「くやしいよ…凪さんとの子供が持てないんだから…こんなにも傍にいてくれるのに…なんでよ~!」
「蘭、俺達、やり直せないか?」
「無理よ。私はここで働いている。子供は凪さんの娘さんが、面倒をみてくれているの。彼女は妹と弟が出来たって喜んでくれているし」
アイツの娘?子持ちだったのか…
「彼女が私を『蘭母さん』って呼んで、慕ってくれている。だから、ここを離れたくない。私は凪さんの帰りをここで待っているんだよ。だから、新一とは…もう過去の事よ」
決意が固そうだ…蘭は昔から頑固だからな。
「お前の気が変わるまで、待つよ♪」
俺は面会室から出た。
「どうだった?久しぶりの再会は?」
アイツは、後から来た。子供達と逢っていたのだろう。
「俺の子供を返せ!」
「あぁ、そのうちな」
うん?返す気があるのか…
「俺がいなくなったら、蘭と子供達を頼むよ。まぁ、そんなに遠くない未来の話だが」
いなくなる?コイツ…死ぬ気なのか。コイツ、何と戦おうとしているんだ?
---冴羽リョウ----
凪の母親と睨んだ女性と、漸く面会が出来た。
「凪はお前の子供だよな?」
いきなり、ストレートな質問を投げ込んでみた。
「凪はそうよ」
彼女の言い方に違和感が…アイツは違うのか?
「アイツは、凪じゃないのか?」
「出産したかって意味でだと、違うわ」
何?前提から崩れているのか?
「彼は…はぁ~…」
何かを懺悔するような表情の彼女。
「アイツは誰の子なんだ?」
「交配的に言うと、誰の子でも無いわ」
おい…何を言うんだ…それって…
「彼は凪のクローンよ」
四葉総合病院の院長で、四葉財閥の総帥である四葉真夜の口から、とんでも無い言葉が飛び出した。
「完全体なのか?」
完全体とは、部分的なクローンでは無く、完全な人間としての身体を有するクローンのことである。倫理的な問題が有る為、製造実験すら禁止にされているのだが。
「えぇ、この国では、既にクローン人間の製作は始まっているの」
さすがの俺も絶句状態である。既にだと…倫理的な問題はどうしたんだ?
「ただ、彼は普通のクローンでは無いの。本来の凪の母親は、私とある方の細胞を、卵子と精子に変えて受精させた無交配で出来たのよ」
iPS細胞か…卵子と精子に作り替えての受精だと?すでに神の領域に入っているってことか…
「そんな娘に、頭脳明晰な工藤優作の細胞を精子化させて、受精させたのよ」
ここまでくると悪魔の領域か…
「そんな凪で、クローンを作った。万が一の際の予備として。それが彼よ。だけど、手違いが発生して、本物とクローンが入れ替わってしまった。気づいた時には、手遅れだったわ。あの戸籍喪失事件の時に、判明したの」
じゃ、あの自殺死体が、本物の凪か?
「自殺した死体のDNAを検査した結果、本物の凪と一致したのよ。生きている凪のDNAは、クローンの物と一致して…」
うん?
「なぁ、クローンと本物でDNAが違うのか?」
「違ったのよ。原因は疑似精子か疑似卵子に、本来は入らないDNAが、残っていたのかもしれない。完全体クローンの製作成功で、舞い上がっていて、その辺りの検証が疎かだったのは事実よ」
「本物が消された理由は?」
「当初、クローンだと思っていた凪は、特殊な施設でバックアップとして、養育していたのだけど、脱走して、本来彼が手にするはずだった戸籍を奪ったのよ。それとは別に、小松崎の三男が凶悪事件を起こし、小松崎がクローンの処分を兼ねて、罪を彼になすりつけ、殺してしまったのが、真実なの。後でわかったことは、凪の脱走を手助けし、本来の戸籍を与えて、凪を犯罪者にして葬る計画を立てたのが三男だったそうよ」
「じゃ、今いる凪は?」
「クローン体の方よ。戦場でエンジェルダストを投与されたことで、細胞が活性化しているかもしれない。完全体とは言え、不安定の細胞で出来ている身体…それが活性化しているのよ」
マズい状態のようだ。
「アイツ…あとどのくらい保つんだ?」
「わからない。だから、残りの時間…彼に協力してあげたいの。本物の凪より、まっすぐで、優しい子に育ったから。今も仲間の為に、可能性を探している。冴羽さん、彼を助けてあげて」
助けるって…どうすればいいんだ?
「で、アイツを消したい勢力の情報は?」
「クローン技術を研究している組織よ。成功体である彼がジャマなの。世界初の完全体のクローンを目指していたから」
「アイツの育ての両親は?」
「私の娘はもういないわ。亭主だった男は、彼の敵対組織にいる」
「母親の死因は?」
「三男が殺したそうよ。彼を護ろうとして、三男の逆鱗に触れたらしいわ」
あのヤロー!
「そうだ…深雪って女がアイツの子供を産んだが…今までの話を理解すると、アイツは人間との間に子供は作れないはずだが、その辺りはどうなんだ?」
ナミの母親も普通の人間では無いので、アイツの子供は出来るが…
「深雪は…彼の子供を身籠もる為に生まれた調整体なの」
はぁ?調整体?
「調整体ってなんだ?」
「彼の精子と受精出来る卵子を作れるように、卵巣を調整してあるの…種を繋ぐための処置と思ってください。だけど、問題は…女性しか産まれ無いのよ」
まだ、実験をしているのか…
「もう、アイツを冒涜する行為は止めろよ」
「彼が或る結論に達すれば、卵巣を無くした彼女達に、プレゼントはしたいわ」
iPSでの卵巣製造をするのか…調整をした上で…まぁ、アイツが喜ぶならいいか…
「もう1つ…アイツと交わった女が、他の男と交われなくなるのは、どうしてだ?」
「それは、あの子の魅力…も有るわ。後、考えられるのは、不安定な細胞が、相手の子の細胞とシンクロし易いのかな。よりスムーズに絶頂に達しやすいのかもね。その件は、何も仕込んではいないの。後、空気の振動を感じる能力も仕込んでません。神は人間に二物を与えないけど、彼…人間では無いのかもしれない」
真夜は哀しそうな表情を浮かべ、顔を伏せた。アイツが愛おしいのだろう。だけど、アイツは存在しちゃいけない存在であるのも事実だ。俺はどうすればいいんだ?俺もアイツが愛おしい。弟のような存在である。手癖に問題があるが、修羅場にならないのは、アイツの能力の為せる業か?羨ましいやら…ズルいやら…
---マッキー---
久しぶりのドンキーへ買い物に行ったら、中学の時の同級生に会ってしまった。
「凪君、元気だった?」
十倉 栄依子…中学時代からすでに大人の女性の香りを放っていた。さらに、イイ女になっているし。
「あぁ、どうにかな」
「うん?どうしたの?その胸の傷は?」
「ちょっとドジを踏んで…」
「ふ~ん…」
う~ん…俺の胸の傷を興味深そうに見ている。
「栄依子は何をしに、ここに?」
「ウィンドウショッピングよ。凪君は?」
「同じだ」
「そう」
こんな場所で立ち話も何なので、どこかで昔話をすることに…ここだと、俺の部屋が近いが、張られているだろうし…駐車場へ栄依子と向かった。今日の愛車は、荷物が一杯詰めるカウンタックもどきである。ドンキーでアレコレ買おうと思っていたから。
「スゴ~い、カウンタックだぁぁぁ~」
もどきなんだけど、テンションが高くなる栄依子。助手席に座らせて、いつものアソコへ…
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「何故、ラブホ?それも、エスエム系の部屋だし…」
受付で普通の部屋って、言ったのに、凪さん専用ですよって、ここの鍵を渡した女性捜査官見習い。くそっ!趣味はモロバレである。
「ふ~ん、色々な道具があるのねぇ。って、私はそんな安い女じゃないわよ!」
「昔話をするのに、お前の価値が関係するのか?」
コイツ、その手の商売しているのか?
「え?!話をするのに、なんでこんな場所に連れこんだよ!」
「ここなら、安全で、声が漏れないからだ。お前の身体に興味は…無いことにしておく」
栄依子が、ベッドに座っている俺の隣に腰を下ろした。
「興味無いの?」
「ガールフレンドは、間に合っている」
蘭だけで手一杯で、明日奈を入れるとオーバーフロー状態である。
「意外…凪君って、奥手だと思ったのになぁ~」
いや、ナンパはしたことが無い。そういう意味では奥手だと思う。開襟シャツを脱いだ俺。
「お前の興味は、この傷跡なんだろ?」
「うん♪」
傷跡を指でなぞっている栄依子。
「ねぇ、これって、何の傷?」
「銃弾の痕だ」
「銃弾?だって、ここ撃たれたら、死んじゃうよ~」
驚いた顔で俺を見上げた栄依子。
「おかげで、生死の境を彷徨ったよ」
「何で…撃たれたの?」
「無抵抗な少女を護る為だ」
「それって、刑事さんってこと?」
「俺は傭兵だよ」
「…」
目を見開いて俺を見つめている栄依子。
「なんで…傭兵なの?」
俺の仕事が意外だったのかな?まぁ、将来の夢に傭兵って上げる奴はいないな。
「それしか仕事が無かった。俺は中卒だし」
「なんで、中卒?クラスで一番だったのに…」
なんか、俺に興味を抱いていないか?俺は栄依子の服の下に興味が有るんだが…
「色々有ったんだね、凪君も…」
俺の傷跡を舌で舐める栄依子。栄依子から漂う香りが、性欲をそそる。ここは耐え無いと、後腐れが恐い…
「ねぇ、私のこと、興味無い?」
服を脱ぎ始めた。魅惑のボディーが…そうでも無いか…ナイスボディ系を見慣れた俺には、普通にしか見えない。蘭とか深雪とか不二子とかと比べてはいけないと思うが。今までが、贅沢すぎたと実感した俺。
「どうしたの?」
俺のズボンを脱がせ始めた栄依子。されるのはイヤだな。主導権は持ちたい方である。なので、栄依子の意識を狩った。
マッキーの同級生に成りそうなキャラを投入する為、『スロウスタート』をクロスします。年齢設定は原作よりも上で、マッキーと同い年なので、25歳前後を想定しています。