※この作品はR-18です。

そっくりなアイツ   作:もっち~!

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神のみが知ること

---マッキー---

 

「そんな中、君の話を聞いたそうだよ。エンジェルダストを受けても化け物化しなかった傭兵がいるって話をね」

 

あの時、テッサが抱き締めてくれていたから、俺は俺でいられただけだ。

 

「何をすれば、その傭兵は化け物化するのか、知りたくなったらしい。彼はその傭兵が、君だとは知らなかったようだが」

 

俺を化け物にする為、俺を追い込んだのか?

 

「まさか、宗介の件もか?」

 

テッサの身体がピクッと反応した。

 

「あぁ、相良宗介だっけ?君のライバルにして親友だった男は。そう、君の弟子の女の子に、エンジェルダストを投与するとどうなるか、実験を依頼したらしい。だけど、あの国の兵士は腐っていた。正常な状態で打てと命じたはずが、回した後に打ったらしいな。相良宗介は巻き込まれただけで、犬死だったと言っていたよ」

 

犬死だと…テッサが拳を強く握り絞めている。ここで、コイツを殺すより、情報を訊き出すのが、得策だとテッサも考えているのだろう。

 

「テッサは…コイツはなんでこんな目に遭ったんだ?」

 

テッサが俺に強く抱きついている。俺が暴走しないように、彼女自身が暴走しないように…

 

「潜水艦だよ。ミスリルは潜水艦を持っている。引退したとは言え、彼女には指揮権があるらしいからな。君も知っているが、組織は潜水艦で研究、開発をしていたから、発覚を恐れての犯行らしい」

 

そんな理由で…

 

「その後、殺されかかったのは、別組織の犯行だよ」

 

事故じゃ無いのか…あの女…嘘を吐いたのか…

 

「落ち着いて!コイツが真実を話しているとは限らないよ」

 

って、テッサが小声で囁いてきた。優作に聞こえないように。

 

「冴子?美和子はどうしてだ?」

 

「見てはいけない者を見たと思ったからだ」

 

見てはいけない者?誰だ?

 

「誰のことだ?」

 

「それは言えない。自分で考えろ」

 

「話は終わりか?」

 

「後は自分で考えろよ。息子よ♪」

 

勝ち誇ったような優作の笑み。許さないよ。

 

「アイ、コイツに天誅を与えろ」

 

『了解です』

 

ここまで勝ち誇った表情をしていた優作の表情が崩れた。

 

「何をした?」

 

「アイには、病院のシステムをリンクしている。お前のメディキュボイドに介入して、脊髄を破壊した。脳は安全だよ。ただ四肢は二度と機能しない。脊髄は再生出来ないからな」

 

骨格系は再生出来ない。金属や樹脂のパーツに置き換える修復なら出来るが。

 

「貴様…」

 

「俺にも、お前の悪魔の血があるようだからな。テッサ、こんな俺だが、今後も相棒でいてくれるか?」

 

「当たり前でしょ?相棒で無いと、約束が叶えられないよ」

 

だな。

 

俺はログアウトした。そして、テッサの元へ行く。

 

「遅いぞ!」

 

テッサが目覚めていた。さっき感じたテッサの身体の異変。あれはリアル体が反応した挙動だったようだ。

 

「動けるか?」

 

「リハビリは必要だよ。そこまで、人間が出来ていないから」

 

はっとして口を押さえたテッサ。それは人間では無い、俺への配慮か?

 

「テッサ♪」

 

「なに?気持ち悪いよ」

 

テッサの元に看護師、医師達が集まってきた。意識を取り戻したことを、測定器が知らせたようだ。

 

---------

 

深雪の部屋を訪れた。

 

「どうしましたか?そんな恐い顔で…」

 

深雪を強引に拘束した。

 

ドスン!

 

首元に手刀を叩き込もうとした達也の手首を掴み、投げ飛ばした。

 

「どうしたんですか?仮想世界で、何か有りましたか?」

 

投げ飛ばされても動揺しないで、平然を話掛けてきた達也。さすが、軍人だな。

 

「この国の軍部は、テッサがジャマだったんだな?そうだろう?なぁ、深雪」

 

胸を弄ると、身を捩って逃げようとしている。いつもは積極的な彼女は、達也の前だと、いつもと違う反応のようだ。つまり、そういうことか。

 

「で、俺との間に子供を作るのは、任務なんだろ?本当は俺のことを愛してはいない」

 

「そこまで、知ってしまったんですね」

 

達也が代わりに答えた。当てずっぽうで言ってみたのが、ビンゴだったらしい。

 

「任務ですから…」

 

達也がナイフを手に俺に襲い掛かってきた。ナイフで応戦する俺。

 

「もう止めて下さい、お兄様!」

 

深雪の声で、達也に一瞬隙が生じ、俺は達也の意識を狩った。

 

「お前の愛しているのは、コイツか?」

 

力無く頷く深雪。

 

「もう俺に関わるな。次は迷わず、脳天を撃ち抜くからな」

 

俺は部屋を出て、叔母の部屋へ向かった。

 

-------

 

叔母の部屋には、先客がいた。リョウと安室と知らないオッサンだ。

 

「凪…」

 

叔母の哀しそうな顔。

 

「この部屋の人物だけが、信用できるのかな?」

 

頷く叔母。

 

「仮想空間での会話、モニタリングしていた」

 

って、リョウ。そうなのか…

 

「俺は人間では無いんだな?」

 

あれ?誰も頷かない。なんで?

 

「お前は人間だぞ、凪」

 

って、リョウが優しく言葉を投げて来た。

 

「だけど…」

 

「成り立ちは関係無い。俺達にとっては、凪は人間だ。それじゃイヤか?」

 

って、安室。

 

「イヤじゃないけど…俺は…誰の子なんだ?優作の言ったことは事実なのか?」

 

叔母の目を見て訊いてみた。

 

「神様から授かった子…それじゃダメ?」

 

叔母の優しい声…

 

「深雪との子供は、軍部が取り上げ、管理、研究をしているわ」

 

「この国の軍部は敵ってことだな?」

 

「達也達を許してあげて…軍人である以上、上からの命令は絶対なの」

 

「テッサを殺そうとしたのにか?許せると思うか?」

 

「ならば、深雪を好きにしなさい。達也は軍部へのスパイにする。深雪は人質扱い、あなたの奴隷でかまわないわ」

 

奴隷?まぁ、少し愉しむか。嫌がる女囚を責めるのは好きである、寧ろ、積極的な女性は苦手だったりする。エルザとか直葉とか…

 

「で、四宮守明はどこにいる?」

 

「消息が掴めないんだ。四葉、七草の情報網を駆使してもね」

 

知らないオッサンは七草弘一という、安室の上司クラスらしい。

 

「四宮守明の組織については?」

 

「それもわからない。おかしいわ。何かがおかしい。こんなにも捜索しているのに、手がかりが無いなんて」

 

先程と違い、叔母の表情は固い。なんか苦しそうだ。考え抜いても、まだ見付からないて感じだ。

 

「そうなると裏の世界にいるのか…もしくは、別人になっているか」

 

クローン技術がある。部分的なクローンで身体のパーツを入れ替えたとしたら。脳ミソは入れ替えは出来ないはずだから、それ以外のパーツか…

 

「そうだ。見てはいけない者って?」

 

それが鍵のはずだ。

 

「あの時、現場は混乱していた。警視庁、警察庁、公安の捜査員までいたからな」

 

って、安室。待てよ。死んだ者がいたとしたら…

 

「現場の写真ってある?」

 

「全て紛失だそうだ。使ったカメラもだ」

 

う~ん…たぶん、美和子と冴子が知っている人物だよな。父さんと母さんの写真は残っていないから、見た事無いはず。後は…

 

「叔母さん、クローンって俺だけか?」

 

皆、はっとした。そうだ。あの現場に俺か、工藤新一にソックリの人物がいたとしたら…工藤新一は警察の協力者で、現場にいてもおかしくないが、あの時点ではまだ、江戸川コナンだったはず。

 

「そうか…凪のソックリがいたのか…たぶん、それが四宮守明だな」

 

って、リョウ。叔母と弘一の顔から血の気が失せていく。こいつらも、俺の製作に関わっていたのだろうな。

 

「凪、終わっても消えるなよ。香や冴子が哀しむから」

 

って、リョウ。

 

「後追いが増えると厄介だ。だから、消えるな!」

 

って、安室。だけど…俺、この世界にいちゃダメな存在だと思う。

 

「凪、生きなさい。いいわね」

 

って、叔母。だけど…

 

『消えないで…』

 

スピーカーから美和子の声がした。なんで?

 

『完治したら、デートしてよね』

 

って…

 

『先生、消えないでください』

 

今度は柚子の声…どうして?

 

『お父さん、私を置いて、消えないでよぉぉぉぉぉ~!』

 

ナミの泣き叫ぶ声…そうだ、ナミがいるんだ。道連れにするには幼すぎる。もう少し、生きて欲しい。ナミが二十歳になったら、無理心中かな…

 

『凪さん、私の子供達の父親になってくれるんですよね?名前まで付けてくれたのに…消えないでください!』

 

蘭の声だ。何が起きたんだ。俺は部屋を出て、美和子達のいる部屋へ向かった。

 

 

奇跡が起きていた。意識が無かった者達の意識が戻っていた。今日搬送した者達は、未だに目覚めないようだが。

 

「何が起きたんだ?」

 

「ジョンの為に起きてって、お願いしたの。起きないと二度と逢えなくなるよって」

 

って、テッサ。そんなことで起きたのか?はぁい?

 

------

 

テッサを始め、目覚めた姫様達は、全員リハビリ中である。弱った筋力を元に戻す為に。そして、細胞から卵子を作り出すことに成功した。いや、成功していたと言うのが、正確な情報である。

 

俺の母親…精子化したから父親になるのか?が、細胞から作られた精子と卵子で産まれた試験管ベビーだったそうだ。

 

俺は、あんどーちゃんの事務所に来ていた。薬を密売してもらう為に。あんどーちゃんの実家は薬屋さんであるので、必要な薬剤を密売して貰っている。

 

「媚薬系とバイアグラか?これは催淫剤か」

 

呆れたように次回の薬剤リストを眺めているあんどーちゃん。ちなみに、あんどーちゃんは薬の信奉者であり、胃腸の問題を外科的に治そうって言っても、薬で治すと言って、譲らない、頑固者である。

 

「ねぇ、凪君。暇かな?」

 

あんどーちゃんの奥様の京子さんから声が掛かった。彼女は、この探偵事務所の所長の娘であり、経理担当である。

 

「工藤新二だって言ってあるでしょ?」

 

「なんで、コロコロ名前を変えるのよ!結婚詐欺でもしているの?」

 

「してないですよ。で、なんですか?」

 

「依頼が入ったの。クッキーと行って来てね」

 

俺、ここの所員で無いのに…ただ働きか?薬代だして貰えばいいか。

 

 

 

クッキーと向かった先は、胡散臭そうなトンネルである。

 

「出そうだな」

 

「出るらしいよ」

 

「そうか…」

 

あいにく、俺もクッキーも霊感は無い。なので出ても、感じないだろう。

 

「依頼は?」

 

「資料に寄ると、デートをしていたカップルの女の方が、トンネル内で消えたって」

 

クッキーが案件の内容を説明してくれた。ようするに女の子探しのようだ。

 

「先に家に帰ったとかでないの?それとも、他の男と駆け落ちとか?」

 

「えぇっと…彼女の財布、スマホの入ったカバンが、自転車の篭にあったようだよ」

 

そうなのか…消失事件だね。

 

「警察の捜査は?」

 

「行方不明になった日に行われたが、トンネル内に痕跡はなかったようだ」

 

トンネル内に入ると、真っ暗だった。

 

「クッキー見えないぞ」

 

「見えませんね」

 

クッキーが赤外線ゴーグルを手渡して来た。これで見えるが暗い…

 

「昼間でも暗いのか…警察は投光器とかで照らしたのか?」

 

「懐中電灯だけみたいだな」

 

見えないだろうに…

 

真ん中くらいまで来た。水滴の垂れる音と足音しかしない。

 

「クッキー、自転車はどこにあったんだ?」

 

「まさに、この辺りのようだ」

 

この周辺に隠れる場所は…うん?ドラム缶が置いてある。なんで、こんな場所に?

 

「このドラム缶は捜索したのか?」

 

「えぇっと…開けて中を見たけど、何も無しってだって」

 

そうなのか?これ、どう見ても怪しいだろう?缶の中を覗いてみた。小さい穴しか無いので、見えない…

 

「こんな小さい穴から入れる人間はいないって」

 

そうなんだが…これ、蓋が外れるのかな?ヘリを掴み持ち上げて見た。蓋だけ持ち上がらずに、ドラム缶ごと持ち上がった。そして、ドラム缶のあった場所には穴があった。

 

「なんだ、この穴は?クッキー、なんて書いてある?」

 

「うん?記述は無いなぁ。見落としたようだな」

 

小石を穴に入れてみた。すると、ポッチャンって音がした。そこには水があるようだ。

 

「クッキー、行方不明になって、どれ位?」

 

「1週間以上…警察の捜査に進展が無いので、依頼してきたようだ」

 

1週間かぁ…イヤだなぁ~

 

「クッキー、穴の中の捜索して」

 

「はぁ?まさか…1週間だよね。う~ん…」

 

二人で唸る。もし想像通りだとしたら、惨い状態になっていそうだ。半腐敗の身体って、夢に出て来そうなレベルである。

 

「ジョン、じゃんけんにしよう」

 

う~ん…負けてしまった。じゃんけんには拳銃は無いらしい。

 

「じゃんけんすら忘れたのか?大丈夫か?」

 

最近、記憶力が危ない。歳かな?などと考えながら、穴に入っていく。ゆっくりと降りられるが、途中、崩れた痕があった。最悪な展開が脳裏に浮かぶ。兎に角底を目指した。

 

って、言うか。これ、何の為の穴だ?トンネル内の見にくい場所に…あのドラム缶は蓋代わりか?

 

底に着いた。水は思ったより深く無い。で、少女もいない。周囲を見ると横穴があった。

 

「クッキー、横穴がある。東南方向に伸びているようだ」

 

時計に内蔵された方位磁針を見ながら、無線機で連絡をした。

 

『了解』

 

「穴を進んでみる」

 

しばらく進むと、水の無い場所に出た。女性の衣服が散らばっている。

 

「着衣を発見した」

 

『了解』

 

「ここって、どこだ?」

 

『どこかの屋敷の下辺りか?』

 

住宅街ってことか…更に進むと、光が上から差し込んできた。

 

「光が差している。上を目指すが、嫌な予感しかしない」

 

『俺もだよ』

 

昇れそうな場所を探して、上へと昇っていく。着いたのは、どこかの家の床下か?上には板が見えるし。そして、板と板の隙間から光が差し込んでいる。

 

「床下に出た。クッキー、補足できるか?」

 

『あぁ、規制線の張られた家のようだ』

 

あぁ~、犯罪が起きた現場かよ~。ダメだろう。板が外れそうな場所を探して、家の中に入った。

 

「おい!貴様、誰だ!」

 

留守番役の警官に見付かった。公安から支給されている身分証を見せた。

 

「公安の調査員ですか…どこから入ったのですか?」

 

「トンネルにあった穴を通ったら、ここに出たんだが」

 

「トンネルですか?どこの?」

 

どこの?あぁ、管轄が違うのか…

 

「ここでは何が起こったんだ?」

 

「はっ!一家惨殺の強盗事件です。不可解なのは、強姦された身元不明の全裸女性の死体があったことです」

 

あぁ、それがそうだな。

 

「写真ある?」

 

警官に写真を見せて貰った。あぁ、ビンゴだ。

 

「見付かったよ」

 

『そうか…』

 

「所轄の死体安置所へ向かってくれ。あぁ、隣の管轄だぞ」

 

『了解…』

 

そして、彼女は親元へと帰ることが出来た。

 

 

 

 

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