※この作品はR-18です。

そっくりなアイツ   作:もっち~!

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朦朧とする意識の中で

 

仕事の合間に四宮タウンを調べて行く。安室よりも先に、研究施設と製造工場、そして、研究データの在処を見つけないと。俺の方が遅ければ、きっと、公安と言えでも、捜査は暗礁に乗り上げるだろう。

 

アイに搭載された赤外線カメラなどを使い、四宮タウンを丸裸にしていく。その結果、地下には、とんでもない構造物がありそうである。センタービルは、煙突のダミーのようだ。屋上の排気口からは、あの程度のビルの排気量よりも多い空気が吐き出されていた。煙突は複数ある。柱の中央に排気用のパイプが通してあるのか?

 

県境にある小高い丘も調査した。いまだに、どこからか土が運び出されていた。土質からして、地下100メートルより地下の物のようだ。いまも、拡張しているのか。まるで蟻の巣のようだな。

 

アイのネット検索能力を使い、あのビルの設計図を盗み出す。最上階の部屋が、ヤケに厳重であることがわかった。防弾ガラスに、防弾シャッターで護られている。ヘリからの狙撃は無理か。たぶん、そこに元凶がいるはずだ。

 

そうなると、ビルを完全に崩壊させて、地下も殲滅か。最下層に爆弾でも仕掛けるか?う~ん…

 

◇

 

俺は叔母の元へ向かった。無理なお願いをする為に。

 

「凪の望む事は何でもするわ」

 

俺は叔母の前に、ある物を置いた。それを見て、後ずさりしている。

 

「その生首を再生して欲しい。骨格は特殊樹脂の人工骨で、残りはその生首の細胞からiPS細胞で作りだしてくれるかな?出来る?」

 

「えぇ、出来るわ…」

 

「後、サプライズプレゼントを作りたいんだよ。定期検診の時に、埋め込んでくれるかな?」

 

俺は蓋に名前を書いてある容器を複数、叔母の前に置いた。

 

「その細胞から、受精卵を作って欲しい。組み合わせのリストと納入先は、これだ」

 

叔母の前に書類を置いた。

 

「あなたは、どこに行こうとしているの?」

 

俺を心配そうに見ている叔母。

 

「どこだろう。何も無い世界がいいかな。いや、ナポリタンは欲しいかな」

 

脳裏に栄依子を思い出す。アイツがいればいい…いれば…

 

「ねぇ、見つけたの?」

 

「あぁ、最期の獲物を見つけた。俺の獲物だ。誰にも渡したくない」

 

「終わったら、一緒に暮らせない?」

 

「みんなと暮らしたい。だけど…たぶん…俺はそういう存在だから」

 

叔母は俺を見つめている。叔母の視線に心が折れそうだ。もっと、いたいって気になる。だけど…

 

「俺は俺の人生に決着をつける。人でも無いのに、人生っておかしいけどね」

 

俺は叔母の部屋を後にした。

 

◇

 

計画を立てていく。それに伴い、必要な物を手に入れていく。薬物関係はあんどーちゃん頼みである。かずえや志保に頼めば、彼女達を巻き込み、心配を掛けさせてしまう上、情報が漏れる可能性がある。あそこに司波兄妹がいるし。

 

「なぁ、こんなに爆薬をどうするんだ?」

 

リョウにバレた。そして、ルパンにも…

 

「凪…一人で終わらせるのか?俺達も手伝わせろよ」

 

調べた相手の戦力のリストを二人に見せた。

 

「最低でもそれだけいる。それも上層部にだ。中層部、下層部、深層部には更にハードなやつがいると思う」

 

二人は絶句している。上層部にエンジェルなガーディアンが100体以上いるから。1体でも倒すのは難しい。

 

「調べた結果、心臓を撃ち抜くのは難しい。女性で乳房部分に特殊な液体が入っているようだ。推測するに、緩衝材だと思われる」

 

「全部、女性なのか?」

 

「あぁ、そうだ。使えなくなった女性達を保存してある。栄依子もそこにいたが、彼女の胸は普通だった。だけど、この前、潜入した時には、胸がパンパンになっていた」

 

敵も防御を固めているようだ。安室達の動きを警戒しているのかもしれない。

 

「爆弾で吹き飛ばすのか?」

 

「爆弾程度で死なないだろ?それこそ、核でも落とさないとダメだ」

 

だけど、都市部である。そんな物は使えない。だから…

 

「エンジェルにはエンジェルで対抗する」

 

俺を見つめるルパン、リョウ。

 

「お前、効かないんじゃ?」

 

「原液を手に入れた。これなら効くはずだ」

 

くすねたエンジェルダストを精製して、濃度をあげてある。一緒にくすねた生成方法の書類から、更に作って精製してある。

 

「お前…人間を辞めるつもりか?」

 

「ルパン、俺は人間では無い。だから、愚問だよ」

 

「なぁ、この天空の城壁はどうするんだ?」

 

リョウが、一緒に置いた最初の段階の計画書に目を通していた。

 

「手立ては考えてある。協力者が納得してくれれば、問題は無い」

 

「まさか、テッサを使うのか?」

 

ビンゴなので、スルーをする。

 

「ICBMか?あれでは地下まで届かないだろ?」

 

「あれだけではね」

 

もう1つ使う。あの排気塔は粉砕しないと、巣にいる蟻達の全滅は難しいだろう。酸素をなくさないとダメだ。

 

「問題は関係無い者達を巻き込むことになる。思ったより蟻の巣が広範囲なんだよ」

 

栄依子の実家の地下までも浸食していた。隣の町も粉砕することになる。

 

「前もって避難はさせないのか?」

 

「させない。バレるだろ?戦争と同じだよ。数千人の犠牲で、数億人が助かるなら…そんな理屈だ」

 

こんな手は使いたくないが、バレたら、せっかくの消すチャンスを逃してしまう。

 

「だから、抵抗があるなら、手は出さないでくれ」

 

リョウにもルパンにも、こんなことに手を染めて欲しくない。

 

「いや、逃がすチャンスはある。付近を停電させれば、動きはバレないだろ?まぁ、天空の城壁が消えないとダメだが」

 

停電かぁ…

 

「まぁ、それはこっちで面倒をみるよ。お前は破壊工作だけ考えろ」

 

そう言い残すと、ルパンが、去っていた。

 

「凪…」

 

「そういうことだ…リョウ」

 

俺は立ち去ろうとすると、

 

「かなめに会わないのか?」

 

「まだ、彼女へのプレゼントが完成しないんだよ。完成したら、会うことになるだろうな」

 

今度こそ、立ち去る俺。

 

◇

 

英里のマンションに来てしまった。

 

「何をしているの。あがりなさいよ。まだ、出来ないけど」

 

英里の笑顔…それを見つめているだけの俺。

 

「どうしたの?私の顔に何か付いているの?」

 

鏡で顔をチェックし始めた英里。

 

「いや…あの…今度、ヨーロッパ戦線に戻るかもしれないんだよ」

 

「うん?長期不在になるの?」

 

車椅子を器用に操縦して、俺に近づいて来た英里。

 

「自力で立ち上がれるようになる頃、戻って来て欲しいな」

 

「努力はするよ」

 

「ねぇ、蘭には話したの?」

 

「いいや…」

 

「どうして?」

 

怪訝な顔付きで俺を見る英里。

 

「何となく、会いづらいから」

 

「凪君は何も悪くないのよ。悪いのは、あなたにソックリな探偵小僧なの」

 

「俺が、アイツに似ているせいで、蘭はあんな目に…すみませんでした」

 

俺は英里に頭を下げて、その場から逃げる様に去った。

 

◇

 

テッサ久しぶりに逢った。これが最期かもしれないけど…テッサと二人きりになるために、アイに連れ込んだ。

 

「どうしたの?」

 

「テッサに頼みがある」

 

何かを警戒するテッサ。

 

「テッサの望むように、もう俺は、テッサやかなめに殺される事を、夢見ないことにした。その代わり、船に戻り、ある目標を破壊して欲しい。テッサの手で」

 

「私は軍人を引退したんだよ」

 

「ミスリルには、正式な依頼をする。だから…俺の任務を終えれば、テッサにはプレゼントをあげる。テッサの望みを叶えるプレゼントだよ」

 

俺の言葉に嬉しそうな顔のテッサ。ごめん、テッサの望む方向では無いんだ。本当にゴメン。

 

◇

 

叔母から連絡が届いた。完成したらしい。俺は、叔母の元を訪ねた。

 

「どう?」

 

出来上がった者をチェックしていく。仕上がりは良い。表面が、継ぎ接ぎ状態ではあるが、問題は無いレベルか。

 

「ありがとう…叔母…いや、お祖母様」

 

のはずだ。血統的には…

 

「凪…」

 

叔母の顔は悲しそうだ。

 

「どうせ、もう長くないよ。だから、そんなに哀しまないで、叔母さん…」

 

叔母は言葉を発しず、俺を見つめている。

 

「これは神様が決めたことだと思う。存在しちゃダメな俺に、存在してはいけない技術を消すこと…これをする為に産まれたんだと思う」

 

「勝算はあるの?」

 

俺は1本のアンプルを見せた。

 

「エンジェルダストの原液だよ。やっと組成と製造方法がわかってね」

 

「無理やり、活性化なんかしたら…あなたは…」

 

「どうせ、もうダメなんだから、最後くらい限界まで活性化して見るよ。うっ!」

 

いきなりの吐き気…口から色々な物が蒔かれていく。限界かな…ダチの肩を借りる俺。

 

「終わるまで、保たせるよ」

 

胸ポケットから注射器を取りだし、首元に注入した。

 

「これは細胞分裂の遅延薬だ。崩壊へ加速している細胞を鈍らせる効果がある」

 

俺を…こんな俺を心配そうに見つめる叔母。

 

「叔母さん…ナミを頼みます。ガールフレンド達も…蘭と子供達も…はぁ~」

 

なんか苦しい。長いは無用だな。

 

◇

 

記憶が曖昧になってきた。ここはどこだ?どこかに浮かんでいる感じがする。何も見えない。

 

『起きて下さい。着きました』

 

誰の声だっけ?う~ん…アイかな。目の前にはオレンジ色の球体が見えた。オレンジ色の腕を俺達の方へ伸ばしてきている。

 

『いえ、これからも、いつまでも一緒にいられます。凪様の細胞の灰を、私の金属物質が包む筈ですから』

 

何を言っているんだ?これは夢かな?あれ?テッサはどうしたんだ?

 

『最期のスキャンデータを送信します』

 

また、意識が朦朧としてきた。

 

◇

 

「凪…」

 

遠くから叔母の声が聞こえる。

 

「起きて…お願いだから…」

 

目をゆっくりと開く。叔母の顔が…昨日見たよりも、随分と歳を重ねているように見える。

 

「ここは?どこ?テッサは?」

 

「ここは、医療センターの研究棟よ」

 

研究棟…俺は実験台にされたのか?

 

「どう?身体の具合は?」

 

身体?手の感覚、足の感覚がある。朝立ちは無い。性欲は無いようだ。

 

「うまく動かないけど…」

 

うん?俺は舌を動かさず、口を動かさずに話している。どうしてだ?

 

「俺は…どうなったの?」

 

「アナタの残してくれたデータで、アナタを再建しました。どう?新しい身体は?」

 

新しい身体?

 

「新しい?」

 

「そうよ。以前とは違い、安定した細胞になっているの。どう?」

 

叔母が優しい口調で話し掛けてくれている。

 

「凪様…」

 

深雪が目の前にいる。

 

「深雪?」

 

「え?私はアイですよ」

 

アイ?あれ?俺は夢を見ていたのか?

 

「じゃ、深雪は?」

 

「もういないわ。あの子達は」

 

って、叔母。いない?

 

「あの子達の細胞を使って、アナタの不安定な細胞を安定化させたのよ。アイの身体にも、凪の細胞を使っているのよ」

 

俺のiPS細胞か?

 

「いないって、どういうこと?」

 

「あの子達は守明の送り込んだ2重スパイだったのよ。だから、粛清したの」

 

あぁ、だから、いないのか…

 

「あれ?胸の傷が無い…」

 

「今の凪は達也にそっくりよ」

 

工藤新一のソックリでは無いのか…

 

「あの兄妹の戸籍を利用するので、その顔なのよ」

 

なるほど…

 

「後ねぇ、言いにくいんだけど…サイボーグなの。凪もアイも…だから、ナポリタンは食べられないのよ…」

 

え?!それはショックすぎる…そうか、消化器官が全損だったのか。そして、舌も声帯も…傷みやすいからな、ホルモン系は…

 

一部でも残れば、再建は出来るのだが、全損の場合は難しいらしいって、本で読んだ気がする。

 

「かずえさんに、研究をしてもらっているわ。だから、ちょっと待ってね」

 

かずえは元気なのか…

 

「志保は?」

 

「元気よ。みんな元気。かずえさんと志保さんは、凪に直接精子を貰いたいって、受精卵を拒否しているのよ」

 

頑固だからなぁ、あの二人は。

 

「リハビリをしましょう。自力歩行が出来ないと、みんなに会えないでしょ?」

 

そうだね。心配されるのは好きではないから。

 

 

 

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