※この作品はR-18です。

そっくりなアイツ   作:もっち~!

53 / 62
SS:ボーイ・ミーツ・ガール

 

 

---千鳥かなめ---

 

何だろうか…胸騒ぎがする…

 

寝てすぐに目が覚めた。何かの胸騒ぎを感じる。何が起きているんだろうか?階下にあるリビングへと向かうと、ちょうど香さんが階下へと降りていくところだった。私は香さんの後に続いた。

 

階下のガレージには数名の男性達がいて、車に武器、弾薬を積み込んでいた。その中の一人の顔を見て、一瞬固まった私。そこには、ここにいるはずの無い、絶対に忘れたくない人物がいた。なんで…幻かな?夢かな?後悔はしたくないので、大声で彼の名前を呼んだ。

 

「宗介!」

 

振り返った彼。間違い無い。私は彼の元へと駆け寄った。

 

「ねぇ、本物の宗介?」

 

「肯定だ、千鳥」

 

この話し方は宗介だ。咄嗟に彼へ抱きついた私。でも、おかしい。死んだはずだ。お墓もあったし。

 

「宗介…死んだはずでは?」

 

「それも肯定だ、千鳥」

 

え?!死んだのに、なんで…生きているの?彼の身体は冷たくない。首筋で脈も感じられるし。混乱する私。あれ?

 

「ジョンに助けられた。俺の首から上を培養液で保存をして、人工血液を循環させて、俺の脳を、死から護ってくれたんだ」

 

「でも、墓があったよ」

 

「ジョンが言うには、髪の毛は大食らいだそうで、全て剃って、墓に入れたそうだ」

 

ジョン…ありがとう…って、そうだ。ジョンはどこだ?彼は、知らない男性と二人で、武器、弾薬を車に積み込んでいた。

 

「ジョン…」

 

彼の名前を呼んで息を飲んだ私。彼の顔色は良くない。とても、つらそうである。何かあったのか?立っているのも、つらそうである。だけど、黙々と車へと荷物を積み込んでいた。

 

「かなめ、宗介は返した。今後はテッサと取り合いを再開だな」

 

彼の言葉…もう、ここへは、帰って来ないってことに思える。だって、テッサは宗介で無く、彼を…

 

「ねぇ、もう帰って来ないの?」

 

「当分、無理かな。今日の作戦後、異国へ行くんだよ。相棒と二人でね。だから、何時帰れるか、わからない」

 

相棒って、あの男性かな?

 

「ここに、帰って来てくれるんだよね?」

 

「かなめは、宗介がいれば良いだろ?お前、欲張りは良く無いぞ」

 

笑顔の彼…だけど、どこか寂しそうだ。

 

「宗介の首から下は無かったんでしょ?」

 

そう、一番の疑問を訊いて置かないと。

 

「あぁ、iPS細胞で作って、組み合わせてあるよ。よく見ると、まだ傷が継ぎ接ぎ状に残っている。骨は作るのが困難だから。特殊樹脂で作ってある。後、性器も困難だから、僕のクローンだよ」

 

コイツ、発想が規格外過ぎる。なぜ、性器を自分のクローンで作ったのだ?ジョンのは、見慣れているから、違和感無くて良いと思うけど。

 

「組み合わせは得意なんだ。俺の育ての父がそうだったから」

 

「ねぇ、テッサには話をした?」

 

ここにいない親友のことを訊いた。

 

「今回の作戦のバックアップを頼んである。相棒らしいマネが、出来ると喜んでいたよ」

 

「そうじゃなくて、しばらく帰れないことよ」

 

「言えない…言える訳無いだろ?」

 

ジョンの目には涙が…

 

「すまない、決心が揺らぎそうだ」

 

首元に衝撃を感じ、意識が狩り取られていく。

 

 

 

---槇村香---

 

「敵のアジトを見つけたのか?」

 

「あぁ、見つけたよ。あれは見付からない訳だ」

 

「どういうこと?」

 

「蟻の巣みたいなアジトだ。入口には全然関係無い建物を置き、地下に巨大なアジトを集約していた」

 

地下にか…

 

「でも、巨大な地下構造物なら、建築中にバレるんじゃないのか?」

 

「だから、土地開発の造成中に、地下構造物の基礎を埋め込んだようだ。掘り出した土は、近くの山に捨てる構造になっていた」

 

そうなると、すごい前からの計画なんだな。

 

「あと、見てはいけない者の正体も分かった…槇村さんだったよ」

 

何?!アニキに化けていたのか…

 

「捜査に冴子が来ていて、マズいと思ったのだろう。槇村さんと冴子は恋人同士だったから。でも美和子は、槇村さんとは面識が無いけど、相手はそんなことは知らず、冴子と一緒に捜査していた美和子も攫ったのかもしれない」

 

凪は一人でここまで調べたのか…執念だな。色々な仕事の合間に…

 

「あぁ、そうだ。香さんには、今までのお礼に、リョウとの子供をお腹に入れてあるから」

 

「「はぁ~?!」」

 

リョウとハモった私。

 

「おい!どういうことだ?!」

 

「リョウの健康な細胞で精子を作り、香さんの健康な細胞で卵子を作りだして、受精させたんだ。成長加速器で加速して、香さんの体内に入れてある。この前の健康診断の時に、こっそりとねぇ。MRI検査って、動けないでしょ?頭はボンヤリするしねぇ♪」

 

入れた?MRI検査の時にだって…何時の間に…

 

「ルパン!不二子にはルパンの子供をギフトした。クラリスにもだよ」

 

「おい!何、余計な事をしているんだ…まさか、凪…お前…」

 

ルパンが何かに気づいた。

 

「テッサとかなめには、宗介との子供をギフトした。今までの感謝の気持ちだよ。受け取ってくれ」

 

凪…消えるつもりなのか…

 

「俺は存在しちゃダメなんだよ…そうだろ?ルパン、リョウ!」

 

二人共、凪に言い返せない。凪の真実…交配で産まれた人間では無い…だから…

 

「それに、俺は今日、完全に人間では無くなる」

 

絶句する皆。どういう意味だ…

 

「それくらいなことをしないと殲滅は難しいんだよ。だって、俺みたなのが沢山いるんだよ。だから、限界まで細胞を活性化させる。それが意味することは、俺が一番分かっている」

 

「ダメだ!それはやっちゃダメだ、凪!」

 

リョウが止める。だけど…

 

「俺を見れば、先が無いのがわかるだろ?身体が限界なんだよ。もう…こうして立っているのもつらいんだよ。内臓が溶け始めている気もする」

 

不完全な細胞が寿命なのか…

 

「もう1回、喫茶ポアロのナポリタン…食べたかった…」

 

凪の顔色が青白くなってきた。目元が窪み始め、クマが出来ている。さっきまでなかったのに…細胞が加速しているのか…

 

「リョウ、ルパン、クッキー、宗介…作戦終了後に、俺が俺で無かったら、その場で始末してくれ…こんな姿を蘭とテッサ、冴子には見せたく無い…」

 

「大丈夫か、相棒」

 

クッキーが肩を貸しながら、凪を車に載せた。

 

「ルパン、急ごう…凪が生きている間に終わらせるぞ。この大掃除は」

 

「あぁ、そうだな。もう、俺達には凪に、それしかしてやれない」

 

それぞれの車に乗り込み、出撃した。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。