---野上冴子---
クリスマスイブ…医療センターには、妊婦がたくさんいた。凪君がやらかした結果だ。凪君により、子宝を入れられた女性達…。何も出産予定日を合わせること無いだろうに。律儀というか、天然というか…
そんな私も妊婦の一人である。父親はリョウである。隣のベッドには香さんがいて、やはり父親はリョウである。私は凪君の子供が良かったのだが。
「リョウ!ナースに手を出すな!ナンパするな!下半身を出すな!」
香さんがリョウへ注意をしている。相変わらずである。
「え?だってぇ~、かわいい子揃いなんだよ~」
って、リョウ。コイツも相変わらずである。凪君はこの世界のどこかの戦地で、クリスマスを迎えるのだろうか?サンタ役で子供達に贈り物をプレゼントかな?
「冴子さん、大丈夫?」
ナミちゃんが様子を見に来てくれた。
「うん、大丈夫よ」
「妹かな?弟かな?」
凪君の子供と思い込んでいるナミちゃん。誰も間違いを指摘しない。私が凪君の子供を望んでいることを知っているから。
「そこの二人!病室では静かにしなさいね」
って、香さんとリョウへ注意をするナミちゃん。
「すまない」
「ごめんね、ナミちゃん」
ここにはナミちゃんに逆らう者はいない。でも間違ったことは、速効で注意はする。凪君の子供だもの、真っ直ぐに育って欲しいから。
◇
翌日、サンタクロース姿でナミちゃんが現れた。
「皆さんへ、お父さんから、クリスマスカードが届きましたので、配達します」
凪君から?それは、嬉しいクリスマスプレゼントである。ナミちゃんからメッセージカードと箱を受けた取った。何が入っているのかな?恐る恐る開けると、拳銃が入っていた。病院に持ち込み禁止だろうに、まったく…カードには、
『ワンオブミリオンが手に入りました。使って下さい』
ワンオブミリオンとは100万丁作って出来るかどうかの精巧な製造物である。銃の場合、照準誤差が殆ど無い物がそれに当たる。
「スゴい…どうやって、手に入れたのかな?」
「うん?あぁ、それは…凪が買い集めて、チェックした奴だ」
って、リョウ。買い集めた?100万丁も?
「アイツ、バカだからな」
「リョウちゃん、お父さんはバカで無い!」
リョウに噛みつくナミちゃん。
「え?そういう意味では…」
逃げるリョウ、追うナミちゃん。二人とも楽しそうだ。
「私には、包丁だ…あ?料理本と包丁の本だよ。料理しろってことか?」
頭をかいている香さん。料理は苦手だものな。
「ねぇ、ナミちゃんは何を貰ったのか?」
「え?私?う~んとねぇ…この衣装…」
サンタクロースの衣装を貰ったのか。
「大きくなっても着られるように、違うサイズを10着も…もっと、違うドレスがいいのに…お父さんらしいけどね♪」
なんか、嬉しそうなナミちゃん。