---江戸川コナン---
「驚いたよ…コナン君。君が工藤新一君だったとはね」
警察庁の特捜部の取り調べ室にいる俺。目の前には安室さんがいた。
「組織の薬が完成していたとはな」
安室さんは黒の組織に潜入しているスパイである。なので、あの薬の概要を知っており、警察庁特捜部へ情報を渡す見返りに、向こうの握っている証拠を貰えるようにしたそうだ。
「逃亡の恐れも無いから、明日には釈放だよ」
「安室さん…アイツは何者なんだ?蘭は無事か?」
「蘭ちゃんは無事だよ。混乱しているけどな。で、アイツは…あちらの隠し駒のようだ」
隠し駒?非合法なスパイみたいなものか?
「後、彼は工藤君の偽物では無い。他人の空似だよ。彼も迷惑しているんだよ。工藤君に間違えられて、変装したりして誤魔化していたしね♪」
安室さんは、アイツの正体を知っているようだ。
「まぁ、彼は悪い奴では無いよ。ちょっと手癖が悪くて、天然なだけだ」
その手癖の悪さが問題なんだが…
---毛利蘭---
どういうことなんだろう?テッサさんから話を聞いた。彼のことを…だけど、混乱している。理解するには、少し時間がかかるなぁ。自分の中で話を消化していく。こういう時こそ、冷静にならないと…
『ここにいる工藤新一が本物では無いから』
って…新一とコナン君が同時に発した言葉…今、新一似の彼の部屋のベッドで休んでいる。テッサさん達により、手足が拘束されていた。どうやら、混乱して暴れたらしい。今は冷静に判断は出来ると思う。
「どうだ?気分は?」
彼がやって来た。
「ねぇ、どういう意味?」
訊いてみた。大事な問題で、大切なことだから。
「何の話だっけ?」
「あなたが…新一が本物では無いってこと…」
「あぁ、あれか…やっと、捜査結果が上がってきたよ」
捜査?
「本物の新一君は生きている。だけど、ちょっと厄介な事に巻き込まれて、君の前には出られないらしいんだ」
本物の新一は生きている?
「じゃ、あなたは誰ですか?」
「俺か…ナナシの権兵衛だよ」
「ちょっと、ふざけないでください!」
「ふざけていない。俺は戸籍が無いんだ。だから、名前が無いんだよ」
戸籍が無い…名前が無い…そんな…
「だから、蘭…君を避けていた。新一君に顔がソックリだからね。否定しても、君は信じてくれなかったし」
「だって…そんな、そっくりさんだなんて…騙したのね!ねぇ…」
彼は私の拘束を解いてくれた。どうして、私、きっと酷いことをするよ…
私の前に銃やナイフなどを並べた。どうしろって言うの…殺しちゃうかもしれないよ…
「好きにしていいよ。殺したいなら殺していいよ。ここの住民には、俺の死体は処分してもらうから。やりたいようにしていい」
まっすぐな瞳でなんで、そんな哀しいことが言えるの?
「抵抗は一切しない。君の好きにしていい」
彼はあぐらのように足を組み、軽く目を閉じた。思っていても出来ないよ…だって、私は…目の前のアナタが愛おしいから…名前なんか関係ないよ…私の為に、本物の新一を探してくれていたなんて…
「どうして…」
私が彼に泣きすがった為、今度は彼が混乱をしている。
「許さない…アナタを絶対に許さない。だから、私と添い遂げてください。お願いします」
彼に思いを伝えた。
「どうして…俺は工藤新一では無いんだぞ…」
「私は目の前にいるアナタが愛おしいんです。毎日メールの返事を送ってくれたり、電話を掛ければ、折り返し掛けてくれた。本物の新一は…そんなことはしない。目の前の事件で手一杯だった。私の傍にいるときも…」
「でも、偽ったのは事実だ。謝って済むことではない」
「ですから、償ってください。本物よりも、私を大切に思ってくれて…ううん、そうじゃない。本物って言い方は変ですよね。今の私にとっての工藤新一は、あなただけです。だから、償ってください。私はアナタを愛してしまいました。だから、私と添い遂げて、償ってください。お願いします」
私の無茶振りに、彼は俯いたまま、何も言ってくれない。そんなに思い詰めないで…苦しまないで…
---マッキー---
蘭が予想外の言葉を掛けてきた。どうすれば、いいんだ?そうだ、嫌われれば良いんだ♪
「俺は何人もの人間を殺している。だから…」
「だから?だから、なんですか?」
えっ?
「聞きました♪テッサさんから…あなたの前職を…傭兵なら敵を殺さないと、自分が殺されますよね」
アイツ…何をしているんだ?
「彼女達の想い人を助ける為に、殺したんですよね?テッサさんも、あと、かなめさんでしたっけ?一緒に生きて良いんですよ。ただ、私は一緒に添い遂げますよ♪私の心を奪った罪を、償ってもらわないとねぇ~」
てっさぁぁぁぁ~!
「話は終わったかな?」
って、香さん。まさか、香さんが黒幕か…
「蘭さん、コイツはバカで天然でどうしようも無いヤツだけど、根は良いから。もし腐ってきたら、私が制裁を入れます。いいね、マッキー♪」
えぇ、ここでは香さんが親玉です。凹む俺。
「彼の本名は、マッキーって言うんですか?」
「本名では無いよ。私の死んだ兄の名前を継いでもらったんだ。槇村秀幸だから、マッキーだよ。あぁ、私は槇村香です。よろしくね♪」
「はい」
女性は仲良くなるのが早いなぁ…って、かなめって、言っていたけど…まさかな。空耳かな。
「蘭さん、千鳥かなめです。よろしくね♪」
って、かなめがいる。なんで…ここに…
「あぁ、かなめさんに驚いているのか?家賃ってバカにならないから、ここに住んで貰うことにしたんだよ」
って、香さん…はぁ?
「俺はかなめの彼氏を殺したんですよ~!」
「はいはい♪じゃ、寝首をかかれなさいね♪」
香さんに勝て無い俺…
---江戸川コナン---
釈放された。安室さんに家まで送って貰うと、蘭は戻っていた。
「安室さん、コナン君が無理行って、連れて行ってもらってすみませんね」
って、俺は安室さんと旅行していたことになっていた。
「いえ…じゃ、またね、コナン君」
「うん、ありがとう、安室さん♪」
って、蘭はどこまで知っているんだ?
「でね、お父さん。高校を卒業したら、住み込みで事務仕事をします」
「住み込みって?どこの会社だ?」
「冴羽商事って小さな会社なんだけど、自社でマンションを持っていてね、社宅として使っているんだって」
冴羽?あの大柄の男じゃないか…マンションって、あのマンションか?
「そうなのか。まぁ、英里が良ければ、俺は何も言わん」
「コナン君、そういうことだから、ジャマはしないでね!」
うっ!恐っ…なんだ、蘭の目付き…殺気が漲っていた。
「で、ね…もう少ししたら、新しい彼氏と会ってくれるかな♪」
はぁ?何を言った?
「新しい彼氏?探偵小僧はやめたのか?」
「うん♪今度の彼氏は、私が支えて上げないと、壊れちゃう繊細の人なのよ♪」
うん?誰のことだ?
「何をやっているんだ?」
「探偵♪」
えっ!
「はぁ?!同業者か…」
「うんうん♪」
あの探偵事務所か…
俺は阿笠博士の元へ向かった。
「なんじゃい、新一」
「RN探偵社について知りたいんだ。調べてくれるか?」
「いいけど…そこが何じゃい?」
「怪しいんだよ♪」
「えぇっと…責任者は野上麗香…元刑事のようじゃな」
元刑事…そうなると、警察庁特捜部の出店の可能性があるのか。それだと、拳銃の所持している説明が付くが…違う場合は要注意だな。
「この女性の父親は、野上警視総監のようじゃぞ」
警視総監の娘…犯罪者では無いってことか…
「そこがどうしたのかしら、工藤君」
「あぁ、灰原…俺の偽物が働いているらしいんだよ、そこで」
「そうなの…」
問題は他人の空似と言うが、本当にそうなのか?
---マッキー---
相良宗介のマスクで、ドンキーへ…保護者のように、テッサとかなめがいるのが問題といえば問題である。俺の買いたい物が買えない時があるのだ。
「うん?これは何に使うの?」
「尋問するときとか…」
「私に使った事無いよね?」
「テッサに使わないよ」
「じゃ、私?」
「かなめに使う訳がない」
「じゃ、蘭ちゃんか…却下ね!」
えぇぇぇぇ…他の女って選択肢は?
「これは要らないでしょ?」
「一度使うと病み付きだって…」
「それは、私達に不満があるんですか?」
「いえ、そんなことは…」
「はい♪却下決定ね!」
って、感じである…はぁ~!
------
久しぶりのお仕事…テッサがバックアップに付いた。
『どう?』
無線からテッサの声が聞こえる。
「ターゲットは補足出来ていない…いた!」
数が予想より多い。まぁいいか…選りすぐるなんてマネは出来ない。殲滅にしようっと。
「完了した」
『了解。回収します♪』
仕事を終え、二人で家に帰った。リビングで香さんが頭を抱えていた。
「どうしたんですか?」
「あぁ、いいところに帰って来たな。なぁ、マッキーは家庭教師って出来るか?」
「俺、中卒ですが…」
「出来ないのか?」
「どうしたんですか?」
「リョウの方の案件なんだけど、アイツ、教えられなかったんだよ」
家庭教師兼ボディーガードらしい。相手は女子高校生だと言う。リョウの好みだね♪
「じゃ、私とかなめが、マッキーを鍛えればいいですね♪」
って、テッサ…はぁ?
「そうか、その手があるわね。まかせたわよ、マッキー♪」
え?俺は中卒ですよ…
--------
教え子は竜神さやかって言う女子高校生である。
「勉強なんかしたくない!なぁ、私と遊ばない?」
好みでは無いので、スルーって訳にいかないか…チキンウィングアームロックを極めた。
「痛い…何しやがる…」
「真面目に勉強しないのであれば、身体に刻み込むだけ」
「お前…私を誰だと思っているんだ?」
「単なる教え子だ!」
服の上から乳首と遊ぶ。
「やめろ…お前、頭がおかしいだろ?」
「うん?お前の乳首と遊んでいるだけだよ…」
「やめろ~!」
では、床に押し倒し、サソリ固めに…そして、クリちゃんと遊ぶ♪
「変態…やめろ~!」
「不感症か?乾いたままだぞ。お前、大丈夫か?」
「ふざけるなよ~!」
翌日、学校までの送迎…愛車で…
「何?ビートルだと…こんな鈍い車なんか乗れるか?」
「これより速い車だと死ぬぞ。最高時速は280だ。このボディだと、その辺りが限界だよ」
「えっ!ビートルで無いのか?」
助手席に滑り込んださやか。エンジンを掛ける。いつ聴いても良いなぁ、ポルシェサウンド♪
「これ…エンジンを換装したのか?」
「違う。ボディを載せ替えただけだ。足回りとエンジンは930のままだ」
「すげぇ~♪」
では、安全運転で♪
安全運転をしたのに、ポルシェ酔いをしたさやか。
「じゃ、帰り、迎えに来るね♪」
-------
帰宅時…校門前にはバイクの集団。さやかは、レディースの総長らしい。エンジン音が美しく無い。ばらけた音だな、プラグのタイミングが悪いのか?
で、さやかが出て来たので、迎えに行く。
「待っていたよ♪」
「もう、あのビートルなんか乗らない!」
「だと思って、バイクで来た」
ハーレをカスタムしたトライク、所謂三輪バイクである。
「後部座席に乗って」
蒼い顔のさやか。どうしたんだ?
「乗れって言ってんだろ?さやか…」
「うっ…わかったから…乗る。乗ります。乗せて下さい」
さやかを乗せて、さやかのマンションまで送る。が、途中、暴走族に絡まれた。やたらに遅い蛇行運転の車。なので、後から押してヤル♪
カーブを曲がり切れずに、歩道へ乗り上げる車。
「おい、このバイクなんだ?」
「あぁ、妨害車対策済みです」
って、今度はトラックだよ。これはダメだ。どこかへ誘導されていく。誘導された先は波止場だった。
『さやか、今度のボディガードはどこまで保つかな?』
って、スピーカーで声が聞こえて来た。
『おい!バッファロー、痛め付けてやれ』
大男が現れた。殺しちゃダメだろうな。どうするかな?相手の臍目がけて指を突っ込んだ。動きの止まる大男。
「秘孔を突いた。お前は既に終わって居る♪」
指を抜くと、その場に倒れた大男。
『なんだと…貴様、何者だ!』
「さやかの家庭教師だ」
今度は恐い顔のお兄様方が出て来た。う~ん、大立ち回りをすると、さやかに害があるかな?ナイフを手にして、峰打ちで頸椎を破壊していく。その場で倒れていくお兄様達
『何をしたんだ?』
「さやかのボディガードだよ♪次は何?」
銃を持った黒服が現れた。銃か…
「さやか、帰るぞ」
「まさか、銃にビビっているの?」
「ビビるだろ…普通はさぁ。誘爆したらマズいもの」
「誘爆って何?」
バイクを勢い良くバックさせていく。トライクだから出来る技である。
『テッサ、撃ち込め』
『了解!』
無線で指示を出すと、テッサが俺達のいた場所にナパーム弾を撃ち込んでくれた。炎の壁が出来、追っ手は来ない。
「何…今のは…」
「仲間がナパーム弾を撃ち込んでくれたんだよ♪」
「えっ!」
顔色が悪いさやか。ハーレにも酔ったのか?
-------
翌日は大人しい車で迎えに行った。
「今日は何?」
身構えているさやか。
「カスタムのカウンタックだよ♪」
「お前のカスタムは危険だ!」
「大丈夫。エンジンは2000CCにしてあるし♪」
助手席に乗せて、安全運転で学校へ…って、昨日の奴らが集団で待っていた。学校は警察を呼ばないのか?しょうがないなぁ。
リトラクタブルヘッドライト部分に内蔵したバルカン砲を少し撃ってみた。炎上する高そうな黒塗りの車達。
「おい!この車はなんだ?」
さやかが怯えている。
「戦場仕様のカウンタックだ。サイドに張り出たインテイク部分には、対空ミサイルを内蔵している」
「戦場仕様…お前って…」
「元傭兵だ。街のチンピラ相手に負ける訳にいかない。どんなに弱い敵でも高火力で戦うんだ。プロってもんはねぇ♪」
うん?更に顔色が悪くなるさやか。この車なら、安全なのになぁ…