※この作品はR-18です。

そっくりなアイツ   作:もっち~!

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SS:ニック・オブ・タイム

 

 

 

---マッキー---

 

アイに起こされた。目的地に着いたらしい。目の前はオレンジ色をした球体が…

 

『これより、太陽の引力圏に入ります。なるべくダメージをもらわないように、角度を調節して、落下します』

 

そうか、ここで焼却されるのか…焼却灰は、あの青い星には届かないだろうな。

 

「アイ、今まで、ありがとう」

 

『いえ、これからも、いつまでも一緒にいられます。凪様の細胞の灰を、私の金属物質が包む筈ですから』

 

そうか…アイと永遠に一緒にいられるんだな。アイと俺はゆっくりと太陽に引き寄せられていく。

 

『最期のデータを送信します…』

 

アイの声が聞こえ、アイが解け始めた。

 

 

 

---冴羽リョウ----

 

俺もそうだが、ルパンも宗介も、時計の針を気にしている。何も予定日を合わせないでもいいだろうに。妊婦達が一斉に分娩室に連れ込まれている。陣痛が起きる時間も一緒って…律儀過ぎる、アイツは…

 

「おっぎゃ~」

 

赤子の声、一斉に立ち上がる男性陣。誰の子だ?分娩室のドアが開き、芽衣が子供を抱いて出て来た。

 

「誰の子ですか?」

 

宗介が訊いた。

 

「冴羽さん、おめでとうございます。冴子さんの子供ですよ」

 

って、俺に赤子を手渡して来た。どう、抱けばいいんだ?柚子が抱き方の指導をしてくれた。そうか、首が座らないとダメって言われたような。

 

「芽衣、香は?」

 

「あぁ、帝王切開しています。処女懐妊なので、膜がジャマで、赤ちゃんが出られないみたいで…」

 

芽衣が苦笑いしている。あぁ、アイツ、交わらないで入れたのか。俺に遠慮して…律儀すぎるだろ?

 

俺は赤子を抱いて、手術室の方は移動した。

 

「冴羽さぁ~ん!赤ちゃんは置いていってください」

 

柚子が俺を追って来た。あぁ、冴子に返すのか…母乳タイムかな?俺も吸いたいんだけど…

 

 

 

---工藤新一---

 

時計の針ばかり気にしている俺…今日は1日だけ保釈された。子供達との面会日だから。ようやく俺の裁判が始まり、もうすぐ判決が言い渡されるが、留置日数が懲役日数を超えているので、安室さんによると釈放の可能が大らしい。

 

後、5分もあるよ…待ち合わせの時間まで…

 

「お父さぁ~ん」

 

ナミちゃんが走ってきた。その後には、乳母車に子供を二人乗せた蘭の姿が見えた。

 

「パパ」

 

「トト」

 

様々な呼び方で呼ばれる俺。まぁ、悪い気はしない。

 

「槇村さん…いい?今日は槇村さんよ!」

 

蘭に念を押された。

 

「あぁ、わかっているよ。で、ナミはどこに行きたいのかな?」

 

「安室ちゃんのナポリタンが食べたい♪」

 

親子だ。アイツと好みが一緒だし。まぁ、アイツのお陰で俺は、蘭と並んで歩ける幸せ。まぁ、いいか。

 

 

 

---四葉真夜---

 

神様、後一度だけ…奇跡を起こして下さい。あれから既に5年以上も経過している。

 

時間になり、細胞増殖装置を開ける。ダメだ…また失敗だ。スライム状態の生物が生まれた。こんな姿じゃダメなのよ…

 

あの時、凪が吐血した際の内容物を保存して、そこから、凪のクローンを…クローンのクローンは難しい。ただでさえ不安定な細胞である。それを増殖するので更に不安定になる。どうすれば、あの子は帰ってくるの?

 

「叔母様…」

 

深雪が声を掛けてきた。

 

「あなた達のした行為は許さない。凪の大切な者を手に掛けるなんて…その上、嘘の報告?有り得ないわ」

 

「叔母様、それは軍部の命令です」

 

って、達也。そうだけど…わかってはいるんだけど…だけどねぇ。心情的に許せない行為である。

 

「ねぇ、どうすれば、凪は帰って来るの?あなた達、軍部からデータを取ってきなさい!」

 

「軍部でも、そんなデータは無いです。四宮ラボが殲滅され、研究資料が無いんですから」

 

守明はこの国の軍部に雇われていた。少子化に悩む、この国の兵士の増強を依頼されていたようだ。それは、小松原の目指す方向とは違うのだけど。その守明の配下だった司波兄妹。許せない…そうか…こいつらを使って…こいつらの調整された細胞で不安定な細胞を…

 

◇

 

その夜、凪の夢を見た。凪の隣には知らない女性がいる。

 

『叔母さんにも、サプライズプレゼントを贈りました。役立ててくださいね』

 

くったくのない笑顔の凪は、知らない女性と共に、オレンジ色の壁に消えていった。

 

そこで目が覚めた。凪は言っていた。私にサプライズを…どこに?あの女性は誰…彼の周囲の女性で顔を知らないのは…そうだわ、人工知能のアイ…まさか…

 

研究室にある、アイのバックアップデータに目を通していく。有った!これかしら。私の知らないフォルダーがある。『スライムより』ってフォルダー名…私の失敗を見ていたのかしら。久しぶりに、表情筋が緩んでいく。笑顔を凪に見て欲しいから。どこで見ているの?ねぇ、凪…

 

そのファルダーを開くと、膨大なデータが入っていた。これは…、量子化されたデータ?凪のかしら?うん?アイのも有るみたいねぇ。

 

その日以来、そのデータを人工頭脳の記憶領域へ入れる為に、記憶データへ変換する作業を始めた。それと並行して、調整された細胞を使い、不安定な細胞の安定化実験も繰り返していく。

 

償いをさせる為、司波兄妹にはドナーになってもらった。彼らの細胞を使い、細胞の安定化実験を繰り返していく。

 

そして、遂に…

 

 

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