主な登場人物:ドニの領主、セシリア(領主の正妻・ククールの母)、アナマリア(屋敷のメイド・マルチェロの母)、ばあや(屋敷の女中頭)、マルチェロ
二人の女
1
「あの女が子を産まないから悪いのだ」
「旦那様、奥様はきっとお子が出来にくいご体質なのですよ、お優しくして下さい」
旦那様と呼ばれた男は、この屋敷の主で、ドニの町の領主でございました。
主は、美しい奥方様に子供が授からないことが不満で、今も奥方様を口汚く罵り、乱暴に扉を閉めたところです。それをばあや……いずれ子供が産まれたらと、奥方様が輿入れされた時より決めていた女中頭にたしなめられ、主は大層気を悪くしました。
「ではお前が産むか」
主は見下すような目をばあやに向け、ふんと吐き捨てて屋敷を出て行ってしまいました。ばあやはため息を一つつき、奥方様の部屋を遠慮がちにノックしました。
「奥様……」
「ああ、ばあやさん、大丈夫ですよ。どうぞお入り」
優しい、か細い声で奥方様が答えました。扉を開けると、部屋の隅、革張りの長椅子にほとんど沈み込むように深く掛けていらっしゃる奥方様の姿がございました。
「お茶をおもちしましょう」
「いえ、結構よ。それより、ごめんなさいね。わたくしに子ができないせいで、ばあやさんにもご心配をおかけして……」
奥方様は、美しく、透き通るような白いお顔をばあやに向けました。奥方様の、いくぶん色素のぬけたような朱色の唇はなまめかしく、つや消しの優しさがございます。細く開いたサファイア色の瞳は、冷たい海の底のように深い哀しみをたたえていらっしゃいました。ああ、そして、銀の髪。透けるように細いのに、たっぷりと真っ直ぐに流れ落ちる、輝くこの銀。いっそゴルドの女神様とて敵いますまい。美しすぎる罪、というのもあるのでしょうか。
「では、また参ります。失礼致します」
ばあやが丁寧に挨拶をし、部屋を出かかったところで奥方様がおっしゃいました。
「あの、ばあやさん、あの人は出掛けたのですか?」
「はい、あの……」
「いいんですよ、町へ行ったのでしょう?」
奥方様は、少しホッとしたような笑みを浮かべました。2、3日は帰らない。きっとゆっくり眠れる、と。
ばあやは、奥方様の薄く伏せた瞳はきっと慈悲を称えたゴルドの女神像のようだと思いました。無論、ばあやは実物の女神像を見たことはありませんでしたが。女神様は奥方様の美しさに嫉妬してらして、お子を授けては下さらないのだろう、と、ばあやは思いました。
その晩、奥方様の予想通り、主は帰って来ませんでした。
主は酒場などに気に入ったダンサーやバニーガールを見つけると、しばらく熱心に通い続けます。しかし今回はお気に入りが見つからなかったのか、一泊遊んだだけで帰宅し、また屋敷で奥方様に乱暴しました。何もかも、奥方様が悪い、と言わんばかりに。
ある日、主は勢い余って美しい奥方様のお顔に青アザを作ってしまいました。主は奥方様に乱暴しますが、心から奥方様の美しさをいとおしんでいましたので、さすがにしばらくは奥方様に近づきませんでした。その代わり、主は奥方様と別に寝所を用意し、一人のメイドを連れ込むようになったのです。
「旦那様、一体、どういうおつもりです? メイドをご寝所に侍らせるなど」
「お前はばあやの癖に偉そうな口を聞くようになったな。女中頭はそんなに偉いのか? この俺に説教垂れるなど」
「……申し訳ありません。でも奥様があまりにおかわいそうで……」
「俺の言うことを聞かないあの女が悪いのだ」
主は、ばあやを怒鳴りつけました。
この主は欲しい物は何でも手に入れてきました。ドニの領主という立場を利用できるだけ利用し、好き放題に生きている男です。この美しい奥方様も、その勝手な力を最大限に使って手に入れたも同然でした。美しい奥方様が手に入ると、次は子供が欲しくなりました。しかし、子供はすぐに授かりません。気の短い主は毎日イライラし、奥方様を罵り、乱暴するようになったのです。奥方様への腹いせでしょうか、そのメイドは奥方様と見た目が正反対の女でした。
奥方様のセシリア様の美しさは、透き通るような白い肌、うっすらと浮き立つ静脈、細面のお顔、サファイア色の瞳、色素の抜けた朱色の小さな唇、華奢な身体、そして輝く銀の髪。
一方、メイドのアナマリアは、奥方様と相反するような黒い髪、黒い瞳、ぷっくりとして発色のよい赤い唇、たわわな乳房に丸く張った腰をもち、何より肉感的でした。
たった一つ同じ、白い肌も、奥方様が透き通るような白なのに対し、アナマリアは陶器のような白い輝きを持っておりました。
アナマリアはもともと主の懇意にしていた女の娘。その女はパルミドから流れてきた踊り子で、大層な器量良しでした。女手一つでアナマリアを育てていましたが、ある時病に倒れ、10歳になったアナマリアを残して亡くなりました。娘の存在を知ってか知らでか、主は、身寄りのなくなったアナマリアをメイドとして屋敷へ迎えていたのです。
アナマリアは健康的で子供らしく、素直で甘えん坊でした。屋敷ではよく働き、女中頭のばあやにも可愛がられていました。母親譲りの美しさは、13歳くらいから現れ始め、その肉体は誰もが羨むほどのものになっていました。そしてアナマリア15歳の夏、悪魔のような主に捕まってしまったのです。
「セシリア!」
突然、名前で呼ばれ、奥方様は大変驚きました。
「何でございましょう」
「ばあやに仕事ができたぞ」
「……どういうことでしょうか」
奥方様のお顔の傷がすっかり消えた頃、夏の残暑というには遅すぎる、暑く、湿気の多い不快な夜のことでした。
「子ができたのだ! アナマリアに!」
主のわっはっはっ、とい言う笑い声が屋敷中に響き渡りました。
「セシリアよ、子ができたのだよ! 俺は父親だ。お前は何だ?」
主は冷たく言いながら部屋の扉を閉めると、奥方様を寝台に押し倒しのし掛かりました。
「お前は俺の子になんと呼ばれるんだ? メイドの子になんと呼ばれるんだ?」
主は馬乗りになり、乱暴に奥方様の細い顎を掴んで勝ち誇ったように見下ろします。奥方様は声を上げることもできず、痛みに耐えていらっしゃいました。
「お前は子が欲しくないんだろう? どうせできないんだろう?」
主は笑いながら激しく奥方様を犯しました。殴ったり、腕を捻り上げたりして身体の自由を奪い、まるで強姦のようでした。
2
主はメイドたちにとっても悪魔のように恐ろしい男でした。
ですから、アナマリアも主に寝所に呼ばれた時、断ることができませんでした。親のいない自分を養ってくれている恩もあります。何をされるかわからない小娘でもありませんでしたので、覚悟を決めて身を差し出したのでした。すぐに飽きられるだろうと我慢していたのですが、一度アナマリアの身体に触れた主は、すっかり虜になってしまいました。アナマリアは、女神様に「赤ちゃんができないように」と祈りながら毎晩主を受け入れていましたが、女神様はアナマリアの願いを聞いては下さらず、主の願いをお叶えになったのです。
アナマリアの腹が大きくなるにつれ、主の奥方様への乱暴がひどくなってまいりました。また、アナマリアは身重なのにメイドの仕事を休ませてもらえません。
「あんた、ちょっとはお休みよ、お腹の子によくないよ」
アナマリアが妊娠してから、屋敷中の使用人がアナマリアを嫉妬し、いじめていましたが、女中頭でもあるばあやだけは母子の身体を心配し、仕事を手伝ってやるのでした。
「でも、休んでいるとみんなが旦那様に告げ口を……」
ばあやはそのこともよく解っておりました。時には、他のメイドを注意するのですが、自分とて主に嫌われて屋敷を追い出されては困ります。できる範囲でしかかばってやれないのがたまりませんでした。
しとしとと雨の降る夜、16歳のアナマリアは屋敷で男の子を産みました。
「産まれたぞ! 俺の子だ!」
主は、産まれたばかりの赤ん坊をろくに見もせず、奥方様の寝所に飛び込みました。
「どうだ、セシリア。跡継ぎだ。男子誕生だ。お前はメイドに負けたのだ! わかるか? メイドに……」
主は狂乱して奥方様を激しく犯しました。奥方様の両手を後ろに縛り上げ、ドレスを引き裂き、その布を細い身体にギリギリと巻き付けます。布は首にも巻かれ、奥方様は苦しさのあまり失神なさいました。そして心身共に弱られた奥方様は、しばらく床につかれてしまったのです。
ばあやは、長男マルチェロ様の養育にあたることになりました。
マルチェロ様は母親に似た黒い髪、陶器のような滑らかな白い肌、赤く丸い唇の健康な赤ん坊でございました。父親である主に似ているのは、ただ、瞳の色だけ。
主は、子が産まれると途端にアナマリアにも産まれたばかりのマルチェロ様にも興味を無くし、ふせっている奥方様を罵る毎日で、日の高いうちから酒場に入り浸るようになりました。
「お子様が産まれれば、少しはお屋敷のことや奥様のことをかえりみて下さるかと思ったんだけどねえ。おまけにあんたまでほっとかれるなんて……」
ばあやは、ほんの少しでも期待をもったことを後悔するような口調で言いました。アナマリアは跡継ぎの母でありながら、子と引き離され、今もほとばしる母乳をミルク瓶に移しているところです。
「おっぱいの出がいいねえ。直接飲めないなんてかわいそうだよ」
「マルチェロなら大丈夫。私に似て身体が丈夫そうですもの。それより、奥様はマルチェロを可愛がって下さるかしら」
「あんた、何言ってんの? 母親はあんたでしょうに」
「だって、旦那様は言ったのよ。マルチェロは跡継ぎだ、俺の妻はセシリアだ、お前は好きにすればよい、出ていっても構わないって」
「そんな、ひどい」
旦那様は女を何だと思っているんだろう、子を産んだアナマリアは用済みとでも? ばあやはあまりにも理不尽なことを言う主に腹を立てました。ですが、直接抗議することもできません。アナマリアは大きく張った乳房をブラウスにしまい、健気に言います。
「だから、私はマルチェロと一緒にいたいから、これからも働かせて下さいって言ったんです」
「旦那様は?」
「ええ、好きにすればいいって。ただし特別扱いはしないし、母親面してマルチェロに近づくなって」
「なんてひどい」
「マルチェロとここにいられればいいんです。追い出されたくないんです。だから、旦那様のおっしゃる通りにします」
「でも、我が子をろくに抱けないなんて」
「奥様のお加減がよくなったら、ばあやさんは奥様と一緒にマルチェロを育てて下さるのでしょう。時々は私にも会わせてくださいね」
アナマリアは母乳のたっぷり入ったミルク瓶をばあやに託し、次の仕事に向かいました。
アナマリアは16歳。出産するとすぐにマルチェロ様と離されました。ろくに抱いたことも母乳もやったこともないのです。母性が欠落しているのは致し方ないのかもしれない、とばあやは思いました。ばあやにはもう独立した子供が二人おりましたが、「この子たちのために」とがむしゃらに働いた記憶は遠く、また、今どきの若い者の心情を理解できる年齢ではないのかと、やるせない気持ちでいっぱいでした。
不自然にも感じるアナマリアの態度でしたが、それには理由がありました。アナマリアは出産前日、奥方様の寝所の隣の部屋を掃除していた時、奥方様の言葉を聞いてしまったのです。聞くつもりなどなかったのですが、ちょうど久しぶりに晴れたこともあり、両部屋とも窓を開けていたのでした。
『……女神様、わたくしは何か罪をおかしたのでしょうか。この屋敷に嫁いでから、旦那様の仰せに従ってきたつもりです。わたくしに子供ができないせいでアナマリアに辛い思いをさせたのではないでしょうか。どうか女神様、赤ちゃんが無事に産まれてきますように。アナマリアも健康でいられますように』
バルコニーに出てらした奥方様は、小さな声で、アナマリアと赤ん坊の無事を繰り返し祈っていたのです。アナマリアは奥方様と話したことも、お世話に伺ったこともございませんでした。主はいつも寝物語に奥方様がいかに冷たいか、また身分の高い奥方様の身体と、出所の知れぬアナマリアの身体を比較し、アナマリアがいかに淫らで罪深い身体かを語るだけでした。そんな話から、アナマリアは、見たこともない奥方様をプライドの高い血も通わぬ冷たい女神像のようだと思っておりましたので、あのように自分を気遣って下さる奥方様に申し訳なく、また、恥ずかしく思ったのです。アナマリアは、純粋で素直、義理堅く、優しくしてくれる人にはどこまでも尽くすという性格でございました。
3
主が家を空けている時、奥方様はばあやにアナマリアを呼ぶように言いました。マルチェロ様がお生まれになって3月ほど経ったこの頃には、奥方様の体調も良くなりマルチェロ様と同じ部屋で寝起きしています。奥方様やマルチェロ様に対して粗相があってはいけないと、ばあやが同席していますが、心配するようなこともなく、なにより奥方様とアナマリアはとても相性が良いようでした。ばあやの目から見ても、二人の表情やマルチェロ様のご様子がたいへん良いように思われましたので、アナマリアとマルチェロ様が会っていることは主に内緒にしておりました。
「アナマリア、アナマリア、いらっしゃい」
ある日のことでした。奥方様はこっそりとアナマリアを寝所に呼びました。
「奥様、旦那様は……」
「大丈夫よ。あの人、今日からベルガラックへ行ったの。しばらく帰らないわ。それに、アナマリアに用事があるのはわたくしですもの」
奥方様はくすりと微笑まれました。マルチェロ様は奥方様の寝台の隣に置かれた揺りかごですやすやと寝息をたてておりました。
「アナマリア、もうマルチェロはハイハイをするのですよ。とても元気で、あなたのお乳をよく飲んでいるわ。まだお乳はよく出るようね」
「はい、奥様、お陰さまをもちまして、あの……」
「抱いてあげてちょうだい……」
えっ? とアナマリアは驚いた表情を奥方様に向けました。ばあやなしで奥方様の寝所に入ることなど初めて、ましてや奥方様のお顔をこんなに近くで見るのも初めてでしたので、緊張して目線が泳ぎます。自分の産んだ子であっても、自分の子ではないマルチェロ様を複雑な表情で見るしかありませんでした。
アナマリアが遠慮していると、奥方様は細い腕でマルチェロ様を抱き上げ、アナマリアの胸に押し付けました。マルチェロ様はすぐに目を開け、母乳を探します。
「わかるのよね。どんなにあなたと離していても、お乳の匂いがするんですもの」
アナマリアはすっかり重くなった我が子を抱きしめ、胸を開けました。マルチェロ様はアナマリアの張りつめた乳にかわいい唇を這わせ、乳がじわりと染み出る薄紅色の突起を探し出し、獲物を見つけた獣の様に夢中で吸います。痛いほど吸われ、アナマリアは涙が出そうでした。すぐにもう一方の乳房からも乳が吹き出し衣服を濡らし始めます。アナマリアはブラウスを脱ぎ捨てました。マルチェロ様をもうひとつの乳房に押し当てると、マルチェロ様は喉を鳴らして飲み続け、緑の瞳をうっとりと開いてアナマリアを見つめます。
「アナマリア、聖母のようですよ……」
奥方様は、母乳を飲むマルチェロ様を見たかったのでした。奥方様はひそかに、母乳の出るはずのないご自分の乳首をマルチェロ様に含ませていらしたのです。アナマリアの母乳を塗りつけては、マルチェロ様に舐めさせておいででした。でも、本物の母乳には敵いません。幸せそうなマルチェロ様を見て、奥方様ははらはらと涙をこぼされました。
「奥様、申し訳ありません、このようにはしたなく……」
母乳を飲ませ終えたアナマリアは、脱ぎ捨てたブラウスをあわてて探します。
「構いません。抱いててちょうだい」
マルチェロ様はアナマリアの胸に顔を押し付けてすやすやと眠ってしまいました。
「手がかからない、いい子ですよ。あなたのように素直なのでしょう」
「奥様、もったいない。奥様にかわいがられて、マルチェロも幸せだと思います」
二人の女はしばらくの間、無言で一人の赤ん坊を見つめて過ごしました。
「さあ、寝かせましょう」
奥方様はアナマリアからマルチェロ様を預かり、揺りかごに寝かせました。
「ありがとうございました、奥様」
「時々、あなたを呼びますね。あの人がいないとき」
奥方様はそうおっしゃって、アナマリアの頬にキスしました。
「はい、女神様」
マルチェロ様が上手にお座りができるようになった頃、主はベルガラックのカジノにいる踊り子に熱を上げ、ちょくちょく出かけるようになっていました。
その度に奥方様はアナマリアを寝所に呼び、マルチェロ様に母乳を飲ませるのでした。奥方様がアナマリアにキスをするとき、アナマリアが思わず「女神様」と言ってしまうことも同じように続いていました。
ある時、キスを受けたアナマリアが涙をこぼしました。
「まあ、アナマリア、どうしたのです」
「……申し訳ありません、私はお優しい奥様を苦しめているのではと。恨まれて当然なのに、奥様はいつもお優しくて……」
「何を言うの。あなたに罪はありませんよ。あなたこそ、マルチェロと離されて辛いのに」
「こんなに優しい奥様に旦那様はひどいことを……」
アナマリアは、自分より歳上で、自分より華奢な奥方様を思わず抱きしめていました。
「アナマリア……」
奥方様は細い身体をアナマリアに預けました。
二人の女は寝台に腰をおろし、深く、優しく口づけました。奥方様はアナマリアのはだけたブラウスの中に手を差し入れ、母乳の出口を探しました。アナマリアはブラウスをほどきます。奥方様は、母乳で濡れた突起をいとおしげにそっと触れ、そしてマルチェロ様のように口に含んでみました。
「あっ、奥様……」
「お願い、少しだけ……」
まるで愛撫するように、アナマリアの敏感な頂上を舌で撫で、軽く吸いました。
「甘いのですね」
「そうでございますか」
奥方様はしみ出た母乳をご自分の唇に付け、そのままアナマリアに口づけしました。
「本当ですね。でも、美味しくはありません。奥様、もうこのような物は口になさらないで下さい」
「そうね。マルチェロの物ですものね」
アナマリアは奥方様の薄い唇に残った乳を親指で拭いました。そして今度はアナマリアが奥方様に口づけしました。そして、二人はどちらともなく、何度も優しく唇を合わせました。
領主である主に、奥方様は常に乱暴に犯され、アナマリアは孕まされ捨てられ、考えてみれば、二人とも優しくされたことなどございませんでした。主がベルガラックへ出かけると、お互いが主から受けた傷を見せ合い、文字通り舐め合い、慰め合い、アナマリアの母乳が止まってしまう頃には、二人は踏み込んではならない領域にまで達しておりました。
しかし、マルチェロ様はどんどん成長され、言葉も理解するようになってきます。そうなると秘め事も慎まざるを得なくなりました。その上、ベルガラックにも飽きてきた主が、再び奥方様に暴力を振るうようになったのです。アナマリアは更にマルチェロ様から離され、主に折檻を受けるマルチェロ様を助けることもできずにおりました。
ただ一人、ばあやだけはマルチェロ様をかばい、こっそりアナマリアに会わせていました。しかしどこから話がもれるのか、主は、マルチェロ様がアナマリアに会ったと知ると「お前が母親らしくしないからだ」と、いつにも増して奥方様に乱暴するのでした。
ドニの領主>マルチェロ、ククールの父親。女たらしで金遣いがあらく、DV。
次はククール誕生です。