戸倉ミサキ調教記~強気な彼女のもう一つの顔~ 作:道程ケンヂ
『カードショップE-ROSS』……中年の男性客ばかりが目立つ店内にて、カウンターで待機していた江島は、店のドアが開いた音にそちらを向く。そして、ニンマリと笑みを見せた。
つかつかと自分に歩み寄る来客者に視線を向ける客たちもまた、江島と同様の笑みを浮かべている。そんな不愉快な店の空気を振り切る様にして、ミサキは魅せのカウンターを両手で叩きながら叫んだ。
「もう一度アタシとファイトしな! 今度こそ、勝ってみせる!」
悲鳴にも似たミサキの叫びを耳にした男たちは顔に嘲笑を浮かべつつ、ニヤついた笑みを顔に張り付けていた。自分のことをまるで玩具でも見る様な目で視線を送っている男たちに対し、ミサキは腸を煮えくり返らせながらも努めて冷静になろうとしている。
つい先日のあの悪夢は、ミサキの心に大きな傷を負わせた。初めて会った男たちにカードファイトで敗北し、失禁や絶頂などの恥ずべき姿を晒した後、下の毛を剃毛までされてしまったのだ。その日着ていた制服も、下着たちも、剃られた毛も、全てこの店のコレクションとして彼らに奪われてしまった。そのことがミサキのプライドを激しく傷つけたことは言うまでも無いだろう。
帰宅し、一人で屈辱に震えたミサキは、もう二度とあの店に行くまいと思っていたのだが……翌日になり、恐怖や羞恥心が治まるにつれ、男たちへの怒りがそれらの感情を上回る様になっていた。そして、もう一度戦い、今度こそ彼らを倒してみせるとリベンジを誓ったのだ。
前回のファイトはいきなり裸に剥かれたことへの動揺や羞恥心が相まって自分は冷静では無かった。いつも通りのプレイングを心がければ、自分が負けることなどあり得ない……そう考え、『カードキャピタル』の常連客達と数日間特訓ファイトを繰り返し、手応えを感じたミサキは、学校もバイトも休みである今日、リベンジマッチに乗り込んできた訳である。
狙うは勿論、自分を打倒して屈辱を与えた張本人、江島だ。怒りを込めた視線を彼に向けるミサキであったが、当の江島は飄々とした様子で手を振って答える。
「その申し出、お断りさせて頂きます。勝負を受ける意味が無い」
「なっ!? ふざけんなっ! アタシに負けるのが怖いのか!?」
「負ける……? 私が、ミサキさんにですか? はははっ! これは面白い冗談を言ってくれますね!」
ミサキの挑発の言葉に口元を綻ばせた江島に続き、店内の男たちがゲタゲタと下品な笑い声を響かせた。その声に先日の悪夢を思い出したミサキは、唇をぐっと噛み締めた後で叫ぶ対象を彼らへと変え、思い切り威嚇する様な声色で言う。
「何がおかしい!? アンタたち、アタシを舐めるのもいい加減に――」
「それはミサキちゃんの方だろう? 俺たちをあんまり舐めんじゃねぇよ」
「えっ……?」
どっかり、と音を響かせて、ミサキのすぐ横にあった椅子に一人の男性が腰を下ろす。禿げた頭頂とでっぷりと肥えた腹、脂ぎった顔のテカりと、嫌われる中年オヤジの要素をコンプリートしている男は、ミサキを軽蔑しながら話し続ける。
「良いか? ここに居るのは長年ヴァンガードを続けて来た男たちばかりだ。そんな奴らに、初心者であるミサキちゃんが勝てる訳ないだろうがよ」
「そんなの、やってみなきゃわからない! この間の試合だって、ダメージ5までは追い込めたんだから――」
「ああ、あれが店長の本気だと思ってたのかい? あの日のファイトで店長が使ったのは、初心者用のデッキをちょっと改造した、言わば【お遊びデッキ】なんだよ?」
「なっ……!?」
「……ミサキちゃんは、まるで本気を出してない店長にあっさり負けちゃったって訳さ。店長が本デッキを使ったら、勝負にならないだろうね」
中年男の言葉に愕然としたミサキは、女としてでは無くカードファイターとしての屈辱を味わい、身を震わせた。確かに自分は初心者だが、こんな下品な男たちに完全に弄ばれてしまうほど弱いつもりは無かった。傲慢だと言われればそれまでだが、強気で聡明なミサキには、両親との思い出が詰まったヴァンガードを侮辱された気がしてならなかったのだ。
なんとしてでも勝たなくてはならない、自分の誇りを取り戻すために……そう固く決意するミサキであったが、仇敵である江島には初心者である自分とファイトするつもりはまるで無い様子だ。このままでは、リベンジマッチに臨めそうはずも無い。
どうするべきだろうか……? どうにかして、江島との再戦にこぎつかなくては……その為の手段を求め、考えを巡らせるミサキに手を差し伸べたのは、あろうことか彼女に狙われている江島本人だった。彼は、ミサキにねっとりとした視線を向けながら、ある提案をして来たのだ。
「……では、こういうのは如何です? ミサキさんがこの店のお客様たちとファイトして、その実力を認められたら私との再戦を行う……さっきも言いましたが、この店のお客様たちは熟練のヴァンガードファイターです。そんな彼らと戦い、勝利を重ねることが出来たなら、私もミサキさんの力を認めざるを得ないでしょう」
「アンタに辿り着く前に、こいつらを倒せってこと?」
「ええ、そう言うことです。しかし……皆さん、勝負を受けて下さいますかね? 重ねて申し上げますが、皆様は凄腕のファイター。初心者であるミサキさんとのファイトなど、何の面白味も無い訳ですから」
「ぐっ……!」
何度も自分を馬鹿にする江島に怒りを募らせるミサキであったが、自分の立場を理解している彼女はその思いを口には出さない。この男の実力は先日のファイトで嫌と言うほど思い知らされた。プレイスキル、イメージ力、デッキ構築の等の江島の能力は、ミサキの遥か上を行っているのだ。そんな彼が認めているのだから、この店の常連客の腕前も相当なものなのだろう。
文字通り、大人が赤子の腕を捻る様なもの……彼らにとってミサキとの対戦は、勝って当たり前のつまらないものなのだ。わざわざ時間を割いてまで行うほどの魅力は無い。江島の言葉や、男たちの嘲笑からは、そんな思いが滲み出ていた。
「……クソッ! 誰か、アタシとファイトしろよっ!」
取り合えず店内に叫んでみるも、ミサキの声に反応する者は誰も居ない。無駄な足掻きをしているとばかりの目を向けられ、ミサキ自身の苛立ちを募らされるばかりだ。
ミサキは悔しかった。女として、人間としてだけでは無く、ヴァンガードファイターとしても男たちに下に見られていることが悔しくて堪らなかった。絶対に見返してやるとばかりに闘志を燃やすミサキであったが、対戦相手がいなくてはどうしようもない。完全に八方塞りになりつつある彼女が、ぎりりと唇を噛み締めた時だった。
「良いぜ、俺が相手になってやるよ」
自分のすぐ近くから聞こえたその声にミサキが顔を跳ね上げる。見れば、先ほど自分と話していた中年男が下卑た笑いを浮かべながらミサキのことを見つめていた。
「俺がミサキちゃんの最初の相手になってやる。文句あるか?」
「な、無いっ!」
救世主とも取れる男の発言に、ミサキの表情が晴れる。つい口にしそうになった感謝の言葉を慌てて飲み込むと、ミサキはデッキケースを握り締めてファイトスペースに向かおうとしたが――
「まあ、待て。ファイトはしてやるが……ちょっとばかし条件がある。俺に相手して欲しけりゃ、その条件を飲みな」
やはり、男たちがただミサキに温情を掛ける訳が無い。予想していた取引に顔色を変えることなく、男をきっと睨んだミサキは、彼がどんな条件を提示して来るのかを待って口を噤んでいた。
「一つ目の条件は……ファイトは、二階のあのスペースで行う。これはミサキちゃんのファイト全部がそうだ」
「……わかった。飲むよ」
それもまた、ミサキの予想通りだった。自分のことを見世物にするのなら、前回と同じあのファイトスペースを使うのは当然だ。ただ、今回は負けるつもりは無い。勝って、自分の力を見せつけるのだと意気込むミサキは、男の提示した条件を迷うことなく受け入れた。
だがしかし、男の条件はこれだけでは無いだろう。一つ目、と言っていたことから追加の条件があることを察知したミサキは、男の次の言葉を待っていた。
「二つ目だ……ミサキちゃんには、俺たちとのファイトの度に何かを賭けて貰う。俺たちとのファイトに敗北したなら、ミサキちゃんには対価を支払って貰うぜ」
「……わかった」
この条件もまたミサキの予想通りであった。男たちが何をミサキに望んでいるかはもう理解している。若く美しいミサキの肉体と心を徹底的に辱め、調教していくことが彼らの目的なのだ。
正直に言えば、恐ろしいという思いが無い訳ではない。しかし、この条件を飲まなければ自分は負け犬のままだ。その汚名を返上する機会を得るためにリスクを背負わねばならないのなら、ミサキは迷わずにそうするだろう。それが、戸倉ミサキという少女の性格なのだ。
「よしよし、今の言葉を忘れるなよ? 俺たちヴァンガードファイターにとって、ファイトでの結果は絶対だ。負けたとしたら、賭けたモノは必ず支払って貰う……絶対にな!」
「わかったって言ってんでしょ! それで? 今回は何を賭ければ良いの?」
ここまでは男たちの策略通りなのだろう。しかし、ここからは決してそうはならない。ファイトに負ければペナルティを負うと言うのなら、ファイトに負けなければ良いのだ。ただそれだけだと自分を奮い立たせ、ミサキは強気な姿勢を崩さずに男へと今回の条件を尋ねる。中年男もまた、そんなミサキの様子にしめしめと笑みを見せた後……ミサキに支払わせる対価を宣言した。
「今回、ミサキちゃんが負けたなら……俺に処女を捧げて貰おうか」
「なっ!? しょ、処女っ!?」
「ああ! 初めての賭けファイトの対象にしちゃあ洒落が利いてるだろう? なにせ負けたら、二重の意味で俺がミサキちゃんの初めての相手になっちまうんだからな!」
「ぐっ、うぅっ……!」
洒落にしては悪趣味であり、本気だとしても笑えない条件……敗北すれば、今日初めて会話を交わした相手に純潔を捧げるというあまりにも酷な罰ゲームが待ち受けている。負けなければ良いとは言え、もしも負けてしまった時に待ち受ける運命を思えば、ミサキが臆するのも当たり前だ。しかし――
(ここで……退くわけにはいかない!)
ミサキの心の中で勝利したのは、自分の名誉を守りたいという感情だった。このまま逃げて後悔し続けるくらいなら、この大博打に乗った方がマシだと彼女は結論付けたのだ。そして、その思いを胸に、ミサキは男へと威勢よく啖呵を切る。
「上等だよ! その条件、飲んでやる! アタシが負けたら、アンタとセックスしてやるよっ!」
「へへへ……! 決まりだな。なら、上に行こうぜ。さっさと始めよう」
「望むところだ!」
「ああ、ちょっと待って下さい」
中年男の導きに従って歩き出そうとするミサキ。しかし、そんな彼女を江島が呼び止める。何事かと振り返った一堂に対し、江島は淡々とした様子で語り掛けた。
「ミサキさん、その格好でファイトするおつもりですか? 先日、自分がどうなったかをお忘れではないでしょう?」
「ぐっ……」
先日に受けたミサキの心の傷を抉る様な一言を放った江島は、表情をしかめるミサキに対してなおも話を続けた。
「ここでファイトをする以上、あの様な状況になることは避けられません。勝てば良いとおっしゃるのでしょうが、毎回毎回、ミサキさんの服の替えを用意するのも大変なんですよ」
「……なら、どうしろってのさ?」
「こちらをどうぞ。ミサキさんのために、汚れても構わない服を用意いたしました」
「なっ……!?」
そう言って江島が取り出したものは、たった三枚のシールだった。ヴァンガードのクリティカルトリガーのマークを模したそれは、色だけがミサキの髪色に似た紫色になっている。
要するに、このニプレスと前貼りだけを付けてファイトしろということなのだろう。ミサキは自分を嘲る江島に対して怒りを燃やし、カウンターに拳を叩き付けた。
「ふざけんなっ! こんなもん、服なんて言えないじゃないか!」
「これが嫌ならファイトは許しません。なにせ、あなたの撒き散らしたおしっこや愛液を片付けるのは私なんですよ? あれだけド派手な水溜まりを作って、その上で替えの服まで用意させるなんて……普通なら、出禁にされてもおかしくないでしょう?」
「うっ……確かに、その通りだけど……」
その原因は江島達にあるとは言え、ミサキの行ったことは十分に店の迷惑になり得る。責任者である江島が彼女の出入りを禁止しても何も問題はない。しかし、そんなことをされてはミサキもリベンジを果たす事が出来ない……自分の乳輪と秘所を申し訳程度しか隠せないシールを見ながら、ミサキは迷っていた。
きっと……これが、最後のチャンスだ。今ならまだ、こんな馬鹿げた勝負に乗らずに帰ることが出来る。リベンジを果たすことは出来ないが、これ以上の辱めを受ける可能性も0になる……今ならまだ、間に合うのだ。
だが、これを受け取って身に着けてしまえば最後、ミサキは全てに合意したことになる。そうなってしまえば、後はファイトの結果に全てを託すしかない。
(父さん、母さん、シンさん……アタシは……)
たった一回ならば犬に噛まれたとでも思って忘れられるかもしれない。屈辱を受け、痴態を見られはしたものの、ミサキはまだ清純な女子高生だ。誇りは失ったものの、いつかはそれを忘れて回復出来るかもしれない。ここでファイトに敗れ、処女を失うことに比べれば、誇りやプライドなど、軽い物に思えるだろう。
しかし――ミサキは、後退することはなかった。奪われた物を取り返すため、自分の名誉と、両親やシン、カードキャピタルの客との絆が詰まったヴァンガードを胸を張って楽しむために、戦いの道を選んだ。
カウンターに手を伸ばし、そこに置いてある前貼りを掴んだミサキは、鋭い視線で江島を睨みながら頷く。江島もまた、ミサキのその態度にニヤリと笑うと、彼女と中年男を二階に案内すべく先に立って歩み出した。
「……楽しみだね、ミサキちゃん。少し後には、ミサキちゃんは大人の女性になってるんだよ。初めての相手である『
「ふざけんな。アンタなんか、一発でぶっ飛ばしてやるよ!」
中年男――ゲンのセクハラ発言に噛み付きながら、ミサキはぐっと拳を握り締めて闘志を滾らせたのであった。
「良い格好だなぁ、ミサキちゃん。いやらしくって男たちのちんぽをギンギンにさせる体だ」
「ジロジロ見んじゃねえよ、気持ち悪い!」
「ガハハ! 自分からそんな格好しといて何言ってんだよ!? それに、もうミサキちゃんの裸は、じっくり見させて貰ったからなぁ……! 今更恥ずかしがっても無駄無駄!」
数分後、ガラスケージ内のファイトスペースで、ミサキはゲンからセクハラ攻撃を受けていた。江島から渡された前貼りだけを身に纏った姿になったミサキは、美しく豊満なバストやヒップを惜しげもなく男たちの前に晒している。
無論、この状況に恥ずかしさを感じていない訳では無い。羞恥で折れそうになる心を必死に激励し、こうして立っているのだ。それに、前回受けた放尿&絶頂大公開の恥ずかしさに比べれば、幾分ましだと思えたことも大きかった。
「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと始めるよ!」
「はいはい、わかったって……。処女食いなんて久々だからなぁ、今からちんぽがおっ勃ってしょうがないぜ……!」
デッキとファーストヴァンガードをテーブルにセットするゲンの口振りから察するに、自分が負けるなどとは微塵も考えていないのだろう。その余裕に怒りを覚えたミサキは、ゲンに対する憎しみを一層強くする。
(見てろよ! 絶対にぶっ飛ばしてやるからなっ!)
ぐつぐつと煮え滾る憎しみを心の中に湛え、ミサキはファイトの準備を整えた。ゲンもまた同様であり、視線で会話を行った二人は、同時にファイトの開始を宣言する。
「スタンドアップ・ヴァンガード!」
ファーストヴァンガードを表向きにし、ファイトスペースにその映像を実体化させる。ミサキのファーストヴァンガードは前回同様に『ロゼンジ・メイガス』。対するゲンは二足歩行のトカゲの戦士『リザードランナー アンデゥー』だ。
(かげろう使いか……! クラン相性的には、アタシが有利!)
惑星クレイにある軍事帝国『ドラゴンエンパイア』が誇る最強の空軍部隊、それが『かげろう』だ。国の名前の通り、ユニットたちの多くがドラゴンの種族を持ち合わせており、カードパワーも強力な者が多い。
プレイスタイルとしては、相手のリアガードを効果で撤退させ、盤面の有利を握ると言う超攻撃的な物が有名だ。ドローやスペリオルコールの手段こそ少ないものの、敵の盤面を崩してからの強力なユニットでの一斉攻撃はそう易々とは受け切れない強力さを持っている。
しかし、逆を言えばその攻撃を防げるのならば十分に勝機はある。ミサキの扱う『オラクルシンクタンク』は、堅守を得意としたクランだ。手札を増やし、じっくりと場を整え、勝機を掴み取るプレイスタイルに関しては、他の追随を許さない。その分、取り扱いが難しくもあるのだが……カード知識が豊富なミサキは、見事にシンから貰ったこのデッキを使いこなしていた。
(敵の強力な攻撃を防ぎ、息切れを待つ! 今回の作戦は決まった!)
時間をかければかけるほど、ミサキの有利は強くなる。ユニットの能力を発動するコストがなくなれば、かげろうもその実力を十分には発揮出来ない。しかし、だからと言って必要以上に間延びさせては敵に要らぬチャンスを与えることになる。攻めのタイミングに移る判断が重要だ。
とにかく、ミサキはその好機を見逃さずに的確にダメージを与えつつ防御を固める方向性で動くことを決めた。先攻をゲンに取られ、グレードの優位こそ渡してしまったものの、前回とは違って先に攻撃出来る状況にあるミサキは早速その好機を活かすプレイングを行う。
「ライド! 『ファルファッレ・メイガス』! リアガードに『オラクルガーディアン ジェミニ』をコール!」
黒髪の幼さを残す神官『ファルファッレ・メイガス』にライドしたミサキは、攻撃の供として双子の天使を模した機械人形を呼び出す。二体のユニットは順次敵のヴァンガードに飛び掛かり、一気に2のダメージを与えることに成功した。
「ダメージチェック、無し……やるねえ、ミサキちゃん」
「このままぶっ潰してやるよ! ターンエンド!」
ダメージ2点、最初の攻撃としては悪くはない。後はこの優位を守りつつ、敵の攻撃をいなしていけば良いだろう。最序盤に握ったアドバンテージに小さくガッツポーズを取りつつ、ミサキはゲンの行動をじっと見守る。
このターンから、ゲンも攻撃を行えるようになる。ミサキよりもグレードが一つ高く、強力なユニットを多く有するかげろうの攻撃をどう防ぐか? その見極めを行わなければならないミサキは、神経を研ぎ澄ませてファイトに集中した。
「ライド……『バーサーク・ドラゴン』! スキルを発動! コストを支払い、『オラクルガーディアン ジェミニ』を退却させる!」
「ちっ……!」
禍々しい黒色の鱗を全身に纏う双頭の竜がミサキの前に立ちはだかる。ミサキのリアガード、ジェミニを4つの眼で睨みつけた黒竜は、燃え盛る爆炎を口から吐いてそれをあっという間に灰と化してしまった。
かげろうの得意戦術、リアガード破壊……こうして盤面のユニットを退却させ、敵の攻撃の手段を奪うことがかげろう使いのセオリーだ。ミサキはリアガードを退却させられた上、ゲンにドローを許してしまった。これで、合計2枚のカード分のアドバンテージを握られたことになる。
「コール! 『ドラゴンアーマード・ナイト』、『盾の化身 ラーム』、『希望の灯 エルモ』!」
更にゲンは三体のユニットを呼び出して攻撃の準備を整えた。今、ゲンのデッキは攻めの炎を着火させ、徐々にその大きさを増し始めているのだ。ここから先、一つのミスがミサキにとって命とりとなる。だからこそ、ミサキは気を抜かずにゲンのユニットの攻撃を捌く体勢を取った。
「まずは『ドラゴンアーマード・ナイト』で攻撃!」
「ガード! 『ファルファッレ・メイガス』!」
初撃、重厚な鎧を纏った竜騎士の攻撃を何とか防ぐ。ガード要求値が低いこの攻撃が、最も防ぎやすい攻撃だった。
次の攻撃はパワーこそ一番低いが、ドライブチェックという不確定要素があるヴァンガードの攻撃だ。前回の出来事を思えば嫌気もするが、ここは防がずに受けるしかない。覚悟を決めたミサキに向け、黒竜の吐く爆炎が迫って来た。
「ノーガード」
「ドライブチェック……ゲット、ヒールトリガー! ダメージを1回復!」
「ぐっ……! うああぁぁああぁぁあぁっっ♡♡♡」
せっかく与えたダメージを回復され、攻撃力も強化されたミサキは不運に歯噛みするも、その体を炎が包み込んだ瞬間に大きく口を開けて嬌声をあげてしまった。前回同様、ミサキのヴァンガードがユニットの攻撃を受けると、彼女の体に甘い痺れが走る。しかも、今回は膣を中心としたより強い快感がミサキの体を襲っていた。
「あ、ぐ……っ♡ これ、は……?」
あっけなくニプレスと前貼りは燃え尽き、ミサキは再び男たちの前に裸体を晒してしまう。前回よりも激しい性の快感に体を震わせ、荒い呼吸を繰り返すミサキのたわわな乳房と尻は小刻みに震え、それがまた男たちの肉欲を煽った。
見られている、全裸の自分の姿を……しかも、快感を感じて発情している姿も見られ、下劣な視線を容赦なく注がれながら、ミサキは震える体に力を込めて何とかファイトに意識を集中させた。
「エルモのブースト! ラームでアタック!」
「くっ……! ノーガード……」
ゲンの三度目の攻撃がミサキに迫る。ユニットのブーストとトリガーによって強化された攻撃を防ぐには相当なガード値が必要だ。ミサキは、大人しく攻撃を食らう選択を下し、襲い来る快感に対して覚悟を決める。
「んああぁぁああぁぁああっっ♡♡♡」
『盾の化身 ラーム』の攻撃がヒットし、再びミサキの体を快感が駆け巡った。しかも今度はヴァンガードの攻撃の時よりも強く、甘い快感がだ。
もしかしたら、ユニットのパワーが高いことが関係しているのかもしれない。攻撃を繰り出したユニットが強ければ強いだけ、ミサキの感じる快感も強くなるのだ。イメージ力が重要なヴァンガードファイトにおいて、攻撃力と言うのは目に見えて分かり易く、想像しやすい数値である。これもまた、個人個人のイメージに直結するのだろう。
「うっっ♡ ぐあぁっ♡ んあぁあぁぁぁぁっっ♡♡♡」
膣を突き抜ける快感はあまりにも強く、そして激しい。ミサキはその快感に意識を飛ばしそうになりながらも必死でそれを堪えた。
気が付けば、もう自分の足元には愛液の水溜まりが出来ており、それがいやらしい臭いをぷんぷんと放っている。これがイメージの産物なのか、それとも実際に存在しているものなのかは、今のミサキには判断のつきようもない。だが、観る側である男たちにとっては、そんなことは関係なかった。
「まだダメージ2だぜ? そんなペースで感じちゃって大丈夫なのかぁ?」
「おまんこ大洪水だね! 潮噴きも一発かましてたし、もう全身発情しちゃってるんじゃないの?」
「うるさいっ! 黙りなっ!! うぐぅうっ♡♡♡」
自分に向けて淫らな野次を飛ばす男たちを一喝したミサキであったが、力んだと同時に体に残る快感が弾け、潮を噴きながら達してしまった。力無くテーブルに寄り掛かり、外の男たちに向けて尻を突き出した格好になったミサキの姿に、男たちは大歓声を上げる。
「良いね! まんこはぱっくり開いてるし、ケツ穴もひくついてるぜ!」
「口では威勢の良いこと言っても、結局は感じてるって訳か……可愛いじゃないの!」
「く、そっ……! この、クズ野郎どもが……!」
前回は2ダメージまでは衣服が破れるだけで済んだ。しかし、今回は防御量などある訳が無い全裸に近い服装でファイトに臨んでいる。だからこそ、体に影響が出始めるのが早いのだろう。
この淫らな出で立ちはミサキに羞恥を感じさせるためだけの物では無かったのだ。今更そのことに気が付いた所で何もかもが遅く、ミサキはまんまと江島の策略に乗せられてしまったことを強く後悔しながら自分のターンを開始した。
「私の、ターン……♡ んひっ♡ ら、ライドぉ……♡ 『プロミス・ドーター』……っ♡♡♡」
山札からカードを引き、ユニットをライドさせる。ただそれだけの行動なのに、ミサキの全身には快楽が弾け回っていた。言葉の一つ一つが蕩け、意識が泡の飛沫となってしまいそうな……そんな風に甘く痺れる快感を前にして息を荒げるミサキの体は、徐々に熱く火照り始めていた。
「良い感じだな、ミサキちゃんよぉ……! 初めてのセックスが痛いと嫌だろう? ファイトが終わる頃には、いつでもちんぽ受け入れられる発情ボディになってるから、心配しなくて良いんだぜ」
「っっ……!!」
もう反論する気にもなれず、ミサキはただ黙ってユニットを展開していく。熱に浮かれる体は妙な浮遊感を感じ、思考を纏めるのも億劫だ。しかし、ここで敗北する訳にはいかない。ただそれだけの想いを胸に、ミサキは勝負へと意識をのめり込ませる。
「『洞見の女神 ソトオリヒメ』、『サイレント・トム』、『サークル・メイガス』をコール。そのままアタックに入る!」
ゲンと同じく三体のユニットをコールしたミサキは、ヴァンガードに向けての集中砲火を開始する。まずはソトオリヒメの効果を発動し、ミサキは攻撃力を上昇させてから『バーサーク・ドラゴン』を攻撃した。
「くらいなっ! この変態オヤジっ!!」
ゲンへの憎しみ、怒りを込めた一撃は、黒い竜の胴体に見事直撃した。強烈な攻撃を受けたゲンもまた、腹を抑えて痛みに表情を歪ませている。
好機だ、ミサキはそう思った。続けてヴァンガードで攻撃し、ドライブチェックでカードを捲る。トリガーこそなかったものの、手札が4枚以上になったことで『プロミス・ドーター』のパワーが上昇した。『バーサーク・ドラゴン』を超える攻撃力を得た戦女神は、双頭の竜の顔面に光の弾をぶつけて空気をつんざく悲鳴を上げさせる。
「がぁぁっっ!?」
「少しは思い知ったか、この変態めっ!」
続けてブーストを受けた『サイレント・トム』の攻撃。これもまたゲンはガードせず、黙って見送る。包帯男の指から放たれた弾丸を全身に受け、断末魔の如く悲鳴を叫ぶ『バーサーク・ドラゴン』の姿に、ミサキは自然とガッツポーズを取っていた。
「これでダメージ4……随分と苦しそうじゃん。少しは乙女の心を弄んだ痛みがわかった?」
「ぐふっ……! なるほど、なかなかやるじゃないか。だが、本番はここからだっ!」
口元を拭い、ニヒルな様子で笑って見せるゲン。彼はクールな二枚目俳優を気取ったつもりかもしれないが、ミサキからしてみれば完全にお笑い芸人のコントにしか見えない。無様なゲンを鼻で笑い、ミサキは彼へとターンを返す。
「アンタのターンだよ。さっさと始めな」
「ふふふ……! それじゃあ、おじさんも本気を出すとしますかね! ライドっ!」
ゲンのターン、ここで彼はヴァンガードを一足早くグレード3に成長させることが出来る。かげろうの苛烈な攻撃は、ここからが本番だと言えるだろう。ダメージの優位こそ取っているものの決して油断は出来ない。ミサキは、段々と快感に慣れ始めた体の感覚を抑えつつ、カードを握る手に力を込めた。
そして、あのカードが姿を現す。ゲンがライドした瞬間、ファイトスペースの地面は割れ裂け、そこから獄炎が勢い良く噴き出した。VR映像だと言うのにも関わらず、それを間近で見るミサキの肌にはちりちりとした熱が感じられている。これもまた、イメージの産物なのだろうと彼女は思った。
「燃え上がれ、黙示録の炎! 『ドラゴニック・オーバーロード』!」
灼熱の炎の様な紅と地獄の闇の様な黒。鋭い牙と巨大な翼を広げ、強大な威圧感を放つ『真紅の死神』は、ミサキの『インペリアル・ドーター』へと威嚇混じりの咆哮を繰り出す。
『グギャァァァァァッッ!!』
「くっ……!」
かげろうを代表するユニット、『ドラゴニック・オーバーロード』。その力、能力、容姿、どれを取ってもまさに最強の竜と呼ぶに相応しい存在の顕現にミサキもプレッシャーを感じていた。肌を焦がす炎の熱さやゲンの率いる竜の軍団にも威圧され、ミサキは一歩その場から後退ってしまう。そんな風に気後れしたミサキの姿に嗜虐的な笑みを浮かべ、ゲンは次々とユニットの効果を発動し始めた。
「ソウルブラスト! 『ドラゴニック・オーバーロード』にパワー+10000! コール! 『ドラゴニック・ガイアース』!」
ゲンのヴァンガードから剥離した魂が、『ドラゴニック・オーバーロード』の纏う炎の勢いを更に激しくさせる。轟々と燃え上がる炎は、敵の全てを焼き尽くす黙示録の炎と化していた。
そして、強大な力を誇るヴァンガードを援護すべく、新たな竜が姿を現す。攻撃の準備は万端、全てがゲンの描いた通り……強力な竜の軍団を率い、彼はミサキのユニットたちへの侵略行為を開始した。
「ヴァンガードで『サイレント・トム』をアタック!」
『グオオオォォォォォォッッ!!』
天を揺るがす咆哮、大地を震わせる爆炎。強靭な爪、牙、尾を振るい、ミサキのリアガードを粉砕した『ドラゴニック・オーバーロード』は、なおも湧き出す闘争心のまま、今度はミサキ自身へと攻撃を仕掛ける。
アタックがヒットした時、『ドラゴニック・オーバーロード』はコストを支払うことで追加攻撃を行えるのだ。リアガード破壊した上でヴァンガードを狙い、トリガーで強化されたパワーで『プロミス・ドーター』を狙うゲン。圧倒的な力の差は、ミサキに防御すら許さない。
……はずだった。
「ガード! 『ウェザーフォーキャスター ミス・ミスト』!」
「何っっ!?」
突如として噴き出した霧が『ドラゴニック・オーバーロード』の視界を奪う。今の今まで捉えていたはずの標的の姿を見失い、闇雲に攻撃を繰り出す火竜であったが、いかに強大な力を持っていようとも、狙いも何もない攻撃がヒットするはずも無かった。
気がつけば、『プロミス・ドーター』は安全圏へと脱出している。今からではもう、自分の攻撃は届かないだろう。まんまと出し抜かれた『ドラゴニック・オーバーロード』は、鼻を鳴らして笑う戦乙女たちの様子に、悔し気な呻きを漏らしていた。
「完全ガード……持っていやがったのか!?」
「ふふっ! そう甘く見ないでよね!」
ミサキがここぞと言う場面で使用した切り札『ウェザーフォーキャスター ミス・ミスト』は、ガーディアンとして使用することで相手のパワーに関係なく攻撃を防ぐことの出来る能力を持っている。そのカードを握り、敢えてリアガードを破壊されることで、ミサキはゲンの出したトリガーを無駄にしつつ、彼に重いコストを支払わせることに成功したのだ。
ミサキに強烈な一撃がヒットすると思っていた観客たちも、この展開には驚きを隠せていない。このプレイでファイトの流れは大きく変わった。そのことを、ミサキは肌で感じ取っていた。
(行ける……! 敵の攻撃は防いだ! 次のターンにはアタシもグレード3になる。そうすれば、パワーは互角!)
確かな手応えを感じつつ、ミサキは今後のファイトの展開を頭に繰り広げた。手札とユニットこそ消費してしまったが、これでゲンの最大火力は凌ぎ切れた。次のターン、グレードは同等になり、パワーもほぼ同じになる。攻撃時には『フォース』のイマジナリーギフトが発動する分、ゲンには劣るが、ミサキにもミス・ミスト同様に完全ガードとして使える『プロテクト』のギフトが手に入る。
現状、ゲンのダメージは4。対してミサキはリアガードの攻撃を一発だけ受けて3。ミサキが一歩リードしている。この僅かな有利を段々と広げていくことが得意なのが『オラクルシンクタンク』なのだ。
(このターンは着実な展開と手札補充を行って次に備える。相手の攻撃は『プロテクト』で防げるし、Wトリガーが来ても負けない様に手札を増やしておけば、確実に勝てる!)
勝利の道筋は見えた。後は、確実な勝利を目指してそのイメージを現実にするだけだ。
ミサキは手札からグレード3のユニット『インペリアル・ドーター』を場に出し、彼女にライドする。手札補充とデッキトップの操作、更には『プロテクト』のギフトを与えてくれるこのカードは、ミサキが最も信用しているユニットだ。
更に空いたリアガードサークルに『イエローウィッチ・メメ』をコールし、攻撃の準備を完全に整える。合計4体のユニットを以って、ミサキはゲンの『ドラゴニック・オーバーロード』に容赦の無い攻撃を行った。
「まずは『インペリアル・ドーター』で攻撃!」
「ぐっ! 『ワイバーンガード・バリィ』で完全ガード!」
ヴァンガードの攻撃は完全ガードに阻まれて届かなかったが、ミサキはこれで良いと思っていた。重要なのは、ゲンの手札を消費させることだ。次のターン、『インペリアル・ドーター』は再ライドされることで真の力を発揮する。その前にゲンの守りを出来るだけ崩し、彼女をフィニッシャーとすることがミサキの目的だった。だから、ここで勝負を決められなくてもミサキとしては構わなかったのだ。
ミサキのダメージは3、一枚クリティカルトリガーが出ても生存出来る範囲内である。しかも手札には『プロテクト』のギフトがあり、ヴァンガードの攻撃は確実に防ぐことが出来るのだ。
(手札は5枚……次のターンを凌ぐのには十分過ぎる。Wクリティカルトリガーなんてそう出るもんじゃない。判断を間違えなければ、負けることはない!)
こうして、ミサキのターンは終わりを告げようとしていた。決着こそつかなかったものの、ゲンのダメージは既に5……あと一歩で彼は敗北し、クレイの大地から消滅してしまう。そして、その一歩は次のミサキのターンで間違いなく突き付けることが出来る。ゲンのターンを凌ぐことも苦ではない。状況を分析したミサキは勝利を確信して笑みを浮かべ、散々自分を馬鹿にして来たゲンへとお返しの罵声を浴びせかける。
「残念だったね! このターンでは仕留めきれなかったけど、次のターンでアタシの勝ちだ! アンタみたいなオッサンに好きにされるアタシじゃないよ!」
ミサキの堂々とした叫びが木霊する。冷静にプレイを行えば、ミサキでも十分に勝機があることも分かった。この調子ならば、江島だってすぐに自分の相手をしなくてはならなくなるだろう。
自身の勝利を確信したミサキは、視線をゲンではなく江島へと移して彼を睨みつける。次はお前の番だ……そう、鋭く目で語る彼女は、もう次の試合へと意識を傾けていたのだが――
「……甘いね、ミサキちゃん。せっかくここまで手を抜いてあげたのに、このターンで決められないなんてね……」
「……なに? どう言う意味?」
「ミサキちゃんは俺たちの予想以上に弱いってことさ! 次のターン? ミサキちゃんに次のターンなんて来ないよ。何故なら……このターンで、俺に負けるからさ!」
「……面白いじゃん。なら、やってみなよ!」
ゲンの言葉にミサキが苦々しく呻く。ハッタリか、それとも秘策があるのか。そのどちらであっても、ミサキにはゲンの攻撃を防げる確信があった。このターンの間に3ダメージを受け、ファイトに敗北するイメージなど微塵も湧いて来ない。
(かかって来い! どんな攻撃でも、『プロテクト』で防いでやる!)
絶対防御のカード『プロテクト』を握り締め、ミサキは心の中で叫ぶ。『ドラゴニック・オーバーロード』の攻撃は強力だが、『プロテクト』で防げない訳では無い。完全ガードがある以上、一撃は確実に攻撃を防げるはずだ。一度でも攻撃を防げば、目標である3ダメージにはトリガーなしでは届かない。だから、ミサキはかけらも負ける気がしていなかったのだ。
しかし――
「ライド! 『ドラゴニック・ウォーターフォウル』!!」
「!?!?!?」
ターン開始時、ゲンが取った思いがけない行動にミサキは驚きを隠せなかった。強力なユニットである『ドラゴニック・オーバーロード』を捨て、別のユニットにライドしたのだ。彼がヤケクソでも起こしたのかと困惑するミサキであったが、無論、そんなことはない。ゲンは、ミサキに勝つための算段を整えて行動しているのだ。
「ドラゴニック・ウォーターフォウルの第一の効果、登場時に敵のリアガードを一体選び、退却させる。『フォース』のギフトも取得、効果はヴァンガードサークルに使用だ」
指定したサークルに居るユニットにパワー10000を与える『フォース』のギフトを得たゲンは、先ほど『ドラゴニック・オーバーロード』にライドした際にも使用したヴァンガードを指定してマーカーを置いた。これで、ゲンの『ドラゴニック・ウォーターフォウル』はパワー+20000を得ることになったが……それが何だと言うのだろうか?
ミサキには『プロテクト』がある。完全ガードであるこのカードがある限り、どれだけ強力なパワーを持っているユニットでも攻撃がヒットすることはない。リアガードサークルに使うならばまだしも、これ以上ヴァンガードを強化しても意味は無いのだ。
ゲンの取ったその行動に何の意味があるのかを探ろうとするミサキ。しかし、その答えを彼女が見つけ出すよりも早く、ゲンが解答を口にすることになる。リアガードを展開することなくアタックに移ったゲンは、真っ先に『ドラゴニック・ウォーターフォウル』をレストし、攻撃を宣言した。
「『ドラゴニック・ウォーターフォウル』でミサキちゃんのヴァンガードに攻撃!」
「無駄だ! アタシには『プロテクト』がある。いくらパワーが高くったって、こいつの前では――」
「ああ、そうだな。だが、そいつが使えるとは限らないぜ?」
「えっ……?」
ゲンの言葉にミサキが動揺した瞬間、不思議なことが起こった。ミサキの持つ『プロテクト』のカードが、がっちりと巨大な手に覆われて見えなくなってしまったのだ。
自身の最大の防御カードを拘束されたミサキは狼狽し、その手の先を見る。すると、そこには先ほどまでヴァンガードであった『ドラゴニック・オーバーロード』が、霊体となってミサキの邪魔をしていた。
「こ、これは……!?」
「『ドラゴニック・ウォーターフォウル』の効果だ。このカードの攻撃時、ソウルからグレード3のカードをドロップすることで、パワー+10000、クリティカル+1し……
「はぁ……?」
「更にブーストしている『ドラゴニック・ガイアース』の効果発動! このカードをソウルに入れ、ヴァンガードのクリティカル+1!」
「~~~~~~っっ!?!?」
新たに出現した水竜は、途轍もない力を得ながらミサキへと突き進んで来る。今の段階で『ドラゴニック・ウォーターフォウル』のパワーは43000、クリティカルは3だ。この攻撃を防げなければ、ミサキの敗北が決まってしまう。しかし、効果によって鉄壁の『プロテクト』は使えない。ミサキの『プロテクト』ありきの防御策は、完全に崩壊してしまったのだ。
「が、ガード! インターセプトっっ!!」
それでも必死になって防御を試みるミサキは、手札と場のユニットを総動員して要求されたガード値を最低限クリアした。本当にギリギリではあるが、このままならば攻撃を防ぐことは可能だ。
だが……ヴァンガードには、ドライブチェックがある。ここで一枚でもトリガーが出てしまえば、ミサキの防御は無残にも打ち破られ、彼女の身に『ドラゴニック・ウォーターフォウル』の攻撃が届くだろう。生と死、二人の運命を分けるドライブチェックを行うゲンの姿に、ミサキは祈ることしか出来ない。
(こんな、ことって……勝てるって思ってたのに、負けないと信じてたのに……!)
正に一瞬の出来事だった。油断していたミサキの足元を見事に掬い、ゲンは彼女を窮地に追い込んでみせた。彼はここまで計算してファイトを進めていたのだ。
それは本来、長期戦を得意とする『オラクルシンクタンク』を使うミサキがすべき行動であった。しかし、ミサキはあろうことか一から十までゲンの思惑通りのプレイングをさせられていたのだ。
(全部、こいつの掌の上だったんだ……! アタシは、こいつの手の上で踊らされて……っ!?)
あの勝利を確信した瞬間も、勝てると言う希望も、全部はゲンの演出の上でのものであった。彼の思うが儘、自分は一喜一憂していたのだ。その事に気が付いたミサキは、屈辱と共に恐怖を覚える。今、こうしてトリガーによって勝敗を分ける局面に来ていることもゲンの脚本通りだとしたら? それならば、もうここでトリガーが出ることは確定事項なのではないだろうか?
(あ、あぁ……っ!? ダメっ! ダメダメダメっ!! 想像しちゃ、イメージしたら、ダメ、なのに……!)
湧き上がる空想、ミサキの敗北のイメージ……トリガーによってミサキのガーディアンたちが突破され、ミサキは3点のダメージを負う。ヒールトリガーも出ないままミサキは敗れ、その場にガクリと崩れ落ちる……そんなイメージが、ミサキの脳裏にこびり付いて離れない。弱気になっては駄目だと自分を叱責しても、もう心は奮い立ってくれない。
「あ、ぁぁ、ぁぁぁ……」
気が付けば、ミサキは声にならない嗚咽を漏らして泣きじゃくっていた。対してゲンは自信満々で、カードを掴む手もとても力強い。
かたや、勝利のイメージが浮かび上がっている男性。かたや、敗北のイメージに囚われた弱気な少女。イメージの力が勝敗を左右するヴァンガードファイトにおいてこの差は致命的であり、実質的に勝敗が決まった様なものであった。
「怖いか、ミサキちゃん? おじさんがこのカードを捲ったら、ミサキちゃんの負けは確定しちゃうんだよ?」
「そんなこと、あるはずが、ない……」
「おやぁ? 声に力がないねぇ? さっきまでの威勢はどうしたのかな~? ……ミサキちゃんもわかってるんだろう? 自分の負ける姿がイメージ出来ちゃってるんだろう? その証拠に、ほら……!」
「う、うぅぅっ♡♡♡ はうぅううぅうぅうっっ♡♡♡」
ゲンのイメージがミサキに押し付けられる。感じ、達し、喘ぎ、あられもない姿を晒し続け、男たちの見世物になり続けるミサキは、だらしなく表情を歪ませて尻を振っていた。彼女の痴態を大歓声を上げて観戦する男たちの卑猥な野次がヒートアップするほど、ミサキの動きも激しくなる。
「やめてえぇえぇっっ! こんなイメージを見せないでぇぇっっ!!」
「それならこんなのはどうだ? ミサキちゃんも気にいるだろうさ」
「あぁあぁあぁあぁっっ♡♡♡ これもだめぇぇぇぇっっ♡♡♡」
次にミサキが見せられたのは、無数の男たちに囲まれて体を踏みつけられているイメージであった。いつも自分が言っているクズやカスなどの罵詈雑言を男たちから浴びせられ、秘所や胸、顔をぐりぐりと踏みつけられるミサキ。しかし、彼女はそんな行為に快感を感じ、表情は幸せいっぱいの笑みを浮かべて男たちに感謝の言葉を口にしているのだ。
屈辱と絶望で侵食されていくミサキは、次々と与えられるゲンの卑猥なイメージに心を摩耗させていく。やがて、彼女が疲弊して声も出せなくなったころ、ゲンはトドメのイメージをミサキへと押し付けた。
「……ぁぁ……っ?」
それは、単純なイメージだった。このガラスケージの中で、男たちの見世物になるミサキの姿がある。自分は全裸であり、彼女の傍に立つゲンもまた醜い中年の体を晒している。美しいミサキの体と比べれば月とすっぽん……そんな対照的な二人は互いに抱き合い、お互いの性器を結合させ始めた。
『あぁんっ……♡♡♡ あっ、あぁっ……♡♡♡』
ミサキの秘所がゲンの男根を飲み込んでいく……途中、軽い衝撃と共に表情を歪めたミサキの膣からは、純潔の証たる赤い血が流れ出した。彼女は今、ゲンに処女を捧げたのだ。
「……わかるか、ミサキちゃん。これはイメージであって、イメージじゃない……これから君が体験する未来なんだよ。君は俺に負け、処女を奪われる! これは決定事項なんだ!」
「ぁぁぁぁぁぁぁ……」
もう、ミサキの体に力は残っていない。そのイメージを拒む精神力も無い。ミサキには、何も出来ない。ゲンのイメージ通りに敗北するほかに道は無かった。
ミサキの膝から力が抜ける。床に崩れ落ち、自分に攻撃を繰り出す『ドラゴニック・ウォーターフォウル』の姿が、途方もなく大きく見える。ミサキの脆弱な精神はゲンのイメージに屈服し、彼との戦いに敗北という結末を迎えさせようとしていた。
「あっ……♡♡♡」
力強い竜の咆哮にミサキのガーディアンたちが退けられる。一人、また一人とミサキの前から姿を消し、『ドラゴニック・ウォーターフォウル』に道を譲る様にしていなくなる。こうして、ミサキを守る盾が消滅したことで、彼女は真っすぐに自分を倒そうとする敵の姿を見ることが出来た。
放つ威圧感は重く、秘めたる力はあまりに強い。一歩、また一歩とドラゴンが近づいて来る度、ミサキはその強靭さに恍惚とした思いを抱く様になっていた。
『ゴオオオオォォォォォォッッ!!』
「あ、あは、あはは……♡♡♡」
至近距離から咆哮を浴びたミサキは、目から涙を流しながら力無く笑った。こうして一対一で接してみて初めて相手の強さを理解したミサキは、完全に敗北を認めてしまったのだ。
(……勝てる訳、無かったんだ……。こんな、強くて凄い相手に挑んだアタシが馬鹿だったんだ……)
桁が違う。ヴァンガードで言えば、グレード3の相手にグレード0が挑む様なものだ。最初から、ミサキが勝てるはずが無かったのだ。
この強大な相手を前にミサキの心は完璧に折れた。後はただ、『ドラゴニック・ウォーターフォウル』の攻撃を受け、自らの愚かさのツケを払うだけだとミサキは思っていた。
「……参り、ました……♡♡♡ 私の、負けです……♡♡♡」
巨大な竜を見上げ、その瞳を真っすぐに見ながらミサキは敗北を宣言する。振り上げられた拳を視界の端で捉え、その標的が自分であることを直感的に感じ取った彼女は、何一つとして抵抗することなく笑って言った。
「どうぞ、トドメを刺してください……♡♡♡」
ゲンの捲ったカードが光り輝いていることが見える。彼はトリガーを引いたのだ。そして、このファイトを終わらせようとしている。
もうミサキは抗わない。自分の遥か頭上にある拳を見つめ、力なく笑い、ただ瞳を閉じ、そして――
「うわあぁぁああぁあぁあぁぁぁあぁあぁぁっっ♡♡♡♡♡♡」
思い切り振り下ろされたその拳の下敷きになり、嬌声を上げた。パワー53000、クリティカル4の攻撃がミサキの体を完璧に捉え、イメージ通りに彼女に快楽を押し付ける。自分のダメージゾーンにカードが置かれる度、ミサキの中では大事な何かが壊れつつあった。
(きもひ、いいいぃぃいぃっっ♡♡♡ おまんこっ♡♡♡ 子宮がぶるぶるするっっ♡♡♡ イメージで、イかされるッッ♡♡♡)
ぐいん、ぐいんと跳ね上がる腰、絶え間なく噴き出す本気汁と黄金水がファイトスペースを汚し、ミサキの性の臭いを部屋中に充満させていく。乳首は痛いほどに勃起し、膣は発情してぱっくりと口を開き、ミサキの端正な顔は快楽によって蕩けてだらしのないアヘ顔を晒していた。
「お、おぉっ♡ おほぉ……っ♡♡♡」
やがて……ミサキの体の痙攣が、完全に制止した。大きく股を広げ、だらしない表情で仰向けに床に寝そべり、またしても尿と愛液の水溜まりを体の下に作り上げたミサキは、ただ荒い呼吸を繰り返して絶頂の余韻に浸っていた。
ゲンはそんな彼女に近寄ってしゃがみ込むと、とても楽し気な声でファイトの結果を伝える。
「ダメージトリガー無し……ダメージ6で、ミサキちゃんの負けだ。約束通り、処女を俺に捧げて貰おうか?」
悪魔の様なゲンの言葉に、ミサキはただ頷く事しか出来なかった。
パシャリ、カシャ……シャッターの切られる音が響き、フラッシュの光がケージ内を照らす。ファイトではない別の目的のために使われているこのスペースの中心では、ミサキが地面に蹲って土下座の姿勢を取っていた。男たちは皆、ミサキの姿を記録に残しているのだ。
床に頭を擦り合わせ、見事で無様な土下座の姿勢を取り続けるミサキ。彼女の尻には大きく『敗者』と書かれており、よりその無様さを引き立てていた。
「くっ、うぅっ……!」
ファイトから数十分、冷静さを取り戻したミサキは先ほどのファイトの最後で見せた醜態とこの状況への恥ずかしさで顔を真っ赤にして涙ぐんでいた。最初から最後までゲンの思惑通りに動き、そのことに気が付かされて心が折れた自分の弱さが嫌で仕方が無く、その結果として迎えたこのペナルティもまたミサキの心を深く傷つけ続けている。しかし、彼女には拒否権は無い。その証拠に、ミサキはゲンに押し付けられるイメージのまま、彼が望む言葉を勝手に口にしてしまうのだ。
「……さ、先ほどは、アタシの様な青二才が調子に乗ってすいませんでした……! 店長の江島さんどころか、ゲンさんにも歯が立たない糞雑魚ファイターである戸倉ミサキは、これからは身の程を弁えて行動致します……。どうか、この無様な負け犬の恥ずかしい姿を記録して、アタシの戒めとして残しておいてください……」
自分を卑下する言葉を口にしたミサキは、涙を流しながら顔を上げてその情けない表情も観衆の前に曝け出す。尻の『完敗』の文字、全裸のミサキ、そしてその泣き顔は、ミサキの無様さを十二分に観る者へと理解させた。
そうして、ミサキの心を攻める土下座ショーをたっぷりと続け、男たちがミサキの痴態に飽き始めた頃、ゲンはついに動いた。土下座を続けていたミサキも立ち上がり、彼の前に立つと深々と頭を下げて挨拶をする。
「ゲンさん、アタシみたいな弱っちくて調子に乗ったファイターを完璧に叩きのめして、目を覚まさせてくれてありがとうございました。そして、ファイト中にイキまくって終わった後に失神したアタシの汚れたおしっこ臭いまんこを洗ってくれてありがとうございます……最初の約束通り、負けたアタシはゲンさんに処女を捧げさせていただきます……!」
「おう……! こっちに来い、ミサキ」
「はい、ゲンさん……♡♡♡」
陰茎を露出させたゲンがファイトテーブルの上に座る。ミサキに向かって手招きし、自分の傍に来る様に指示した彼に従うミサキは、熱を帯びた声と肉感たっぷりの挙動で彼女を見る男たち全員を興奮させていた。
一見、こうしてみるとミサキは処女を捧げることを喜んでいる様に思える。しかし、実際は今の彼女の行動は全てゲンのイメージに沿ったものであり、本当の彼女の意思では無いのだ。ミサキは今、心の中で泣き叫び、言うことの聞かない体を全力で罵倒していた。
(嫌っっ! アタシの初めてがこんな、気持ち悪いオッサンだなんて……! しかもこんなに沢山の男たちに見られながらするなんて、絶対に嫌ぁっ!!)
泣きじゃくり、必死に抵抗を試みるミサキ。しかし、それは彼女の貧弱なイメージの中だけの話で、現実世界では彼女はゲンに抱きしめられ、幸福そうな表情のまま彼と唇を重ね合わせている。
ゲンにリードされるまま舌を絡め、唾液を交換するミサキ。そんな自分の姿を、本来の彼女は絶望的な表情で見つめていた。
(ああ、そんな……アタシのファーストキス、こんな汚いオヤジに、奪われて……!)
ヤニ臭い口、黄ばんだ歯、ねっとりとした汚い唾液……ゲンの口はお世辞にも綺麗とは呼べず、ミサキは中年らしい小汚く臭い彼の唇を必死になって貪っている自分の姿に吐き気を催す。しかし、段々とそんな彼の唾液の味と舌の動きに順応し、快楽を味わい始めていることにも気が付いていた。
「んんっ♡ ん~っ♡ むぅうぅうぅうぅうっ……♡♡♡」
粘度の高い唾液は喉に絡み、噎せ返るほどに臭い吐息は吸い込んだミサキの脳を灼く。段々と体が快感に馴染み、ファイトで受けた快楽の残滓が芽吹き始めた頃を見計らって、ゲンはミサキの体を反転させると、彼女を後ろから抱き締めた。
たっぷりとボリュームのあるミサキの胸を揉み、その柔らかさと弾力を楽しむ。コリコリの乳首を指で挟んで虐め、彼女に新たな快楽を教え込みながら、ゲンはその耳元で囁いた。
「……さあ、皆に言うんだ。今からミサキちゃんが何をするかを、ね……!」
「はい、ゲンさん……♡♡♡」
(だめぇっ! やめてっ! そんなことしないでぇっ! あぁぁあぁぁっっ♡♡♡)
胸を揉まれる快感に蕩ける現実の自分は、ゲンの命令通りに動こうとしている。それを阻止したくとも、本来のミサキには成す術がない。それどころか、体に感じる甘い快感に心を奮わせ、抵抗の意思を徐々に弱らせてしまうばかりだ。
(だめ、なのに……気持ち良い♡♡♡ 心も、体も、抗えなくなっちゃうっ♡♡♡)
ファイトの際に押し付けられたイメージで火照らされた体が、キスを受け入れ、中年男性の涎を飲み込んでしまった体が、胸を揉まれ、その快感を悦ぶ体が、言うことを聞いてくれない。
ファイトに敗北し、完膚なきまでに折れた心が、キスを重ねるにつれて段々と目の前の醜い男を愛おしいと思い込んでしまった心が、与えられる快楽に蕩け、強さを失った心が、全てを諦めつつある。
現実の自分も、本来の自分も、どちらもゲンには敵わない。いや、この場に居る誰にも敵わないのだろう。ミサキはただ、このままここで男たちを楽しませる玩具になり続けるのだ。
「い、今から、アタシ、戸倉ミサキは……ゲンさんに、大人の女にして貰います……♡♡♡ ファイトの時から疼いていたおまんこを、立派なおちんぽで可愛がって頂いて、沢山気持ち良くして貰います……♡♡♡」
(やだ……いやぁ……! こんなの、いや……)
裸土下座をしていた時と同じく、ミサキに向かって幾つものカメラのレンズが向けられた。フラッシュが焚かれ、ミサキの視界が白く染められる中、彼女は心の中で力なく泣き声を漏らす。
ミサキは決してロマンチストという訳では無い。しかし、年相応の女の子ではある。こう言った行為には疎いが、いつか心を通わせる男性と出会い、その人物に初めてを捧げたいとは思っていた。だが、自分が処女を捧げるのは、自分を辱める醜い男……名前程度しか知らず、歳も倍は離れているであろうこの男に、ミサキは乙女の純潔を差し出すのだ。
何故、あんな条件を飲んでしまったのかと悔やんでも後の祭り、ヴァンガードファイターに取ってファイトの結果は神聖なものであり、それを覆すことはあってはならない。そもそも、それを反故にしようとした所で、今のミサキには逃げ道も体力も無い。もうどうしようも無いのだ。
「挿れるぞ、ミサキ……!」
「よろしくお願いします、ゲンさん……♡♡♡」
そして、その時がやって来た。ゲンの腰に座るミサキは尻を浮かせ、性器の入り口に彼の太い肉棒を当てる。幼い頃に見た父やシンの肉棒よりも倍は太いそれを受け入れようとするミサキは、恐怖に怯えて心の中で震えていた。
腰を掴まれ、ゆっくりとミサキの中にゲンが侵入して来る。驚いたことに、初めての挿入だと言うのにも関わらず、ミサキは一切の苦痛を感じることはなく、ただただ快楽だけを押し付けられている。緊張で強張っていた体が解れ、段々と快楽に従い出すことを感じたミサキの耳元で、ゲンが悪戯っぽい笑みを浮かべて囁きかける。
「どうだ? 気持ち良いだろう? ……初めてでも痛くない様に、ファイト中にまんこを重点的にほぐしてやったからな」
「あぁぁ……っ♡♡♡ これ、すごい……っ♡♡♡ これが、セックス……♡♡♡ んぅぅっっ♡♡♡」
太い肉の杭がミサキの内部を穿つ。やがて、その杭はミサキの初めてを証明する薄い膜へと到達した。
ゆっくり、ゆっくりと押し入れられる肉棒がその膜を引き延ばす。ぞわぞわと湧き上がる何かに背筋を震わせたミサキの口元には、自然と笑みが浮かび上がっていた。初めてのキス、性交、そして処女喪失を前にして、彼女が感じていたのは屈辱や悲しみでは無く快感だった。
「あっっ♡♡♡」
ミサキの中でブチン、と音がした。自分の中で、何かが千切れる音がしたことにミサキは目に涙を一杯に浮かべる。
それは悲しみであり、理解出来ない喜びの涙でもあった。ミサキは、後悔と幸せを同時に感じていたのだ。
(奪われちゃった……アタシの初めて、こんなオヤジに捧げちゃった……!)
『でも、気持ち良い……♡♡♡ こんな気持ち良いこと、初めて……♡♡♡』
(お父さん、お母さん、シンさん……ごめんなさい……アタシ、馬鹿だったよ。プライドのためにこんなことして、取り返しのつかないことになっちゃった……)
『その破滅感が堪らないの……♡♡♡ 犯されること、辱められること、嬲られること……全部が最高に気持ち良いのっ♡♡♡』
後悔。快楽。謝罪。告白。正と負の感情が交互にミサキの心に押し寄せて来る。そのどちらが正で、どちらが負の感情なのか? それは、ミサキにすら分からない。ただ一つだけ言えることは……ミサキは今、処女をゲンに奪われたのにも関わらず、快感を感じているということだった。
「あっ、あっ、あっ……♡♡♡ あ~~っ♡♡♡ あぁ~~~っっ♡♡♡」
太い肉棒にリズミカルに膣を突き上げられ、子宮を押し上げられる快感にミサキの脳は沸騰したかの様に湯だっていた。手首を掴まれ、膣内を探られる様に肉棒で突かれ、男たちに初めての性交を撮影されながらも、ミサキはゲンとのセックスに快感を見出している。彼とのファイトで発情させられた体は、処女喪失をしたばかりであるミサキの体に痛みを感じさせることすらも忘れさせていたのだ。
手首を掴まれ、丁寧に何度も膣を責められる。下から肉棒で子宮を押し上げられれば、ミサキの腰はその快感に跳ね上がってしまう。そうして浮かび上がった彼女の腰が落ちて来るタイミングに合わせ、ゲンは再びピストンを繰り出すのだ。
エラの張ったカリが肉襞を捲り上げ、柔らかくもハリのある亀頭がミサキの感じる部分を突く。手慣れた様子で女を感じさせるゲンは、例え相手が処女であろうともあっという間にその体にメスの喜びを叩き込んでしまえるのだろう。事実、ミサキはもう彼に与えられる快楽に夢中になりつつあった。
「そ、こっ♡♡♡ 気持ち良いっ♡♡♡ もっと強めに、突いて……っ♡♡♡」
「おーおー、随分と素直になったじゃないか……! 良いぜ、可愛いミサキの頼みだ、もっと気持ち良くしてやるよっ!」
「あひぃいいぃいぃいぃいっっ♡♡♡」
ゲンのピストンが激しくなり、それに合わせてミサキの嬌声も甲高い物に変わった。腰の跳ね上がりも大きくなり、グラインドが大きくなった分、ピストンによって感じる快感も強くなる。たわわに実った胸の果実は体の動きと共に上下に揺れ、観る者全てを楽しませていた。
「まんこから血を流しながらヨガるなんて、とんでもないスケベだな! 最初からこうされたくて俺たちにファイト申し込んだんだろ?」
「それは、違う……! アタシは、本気でアンタたちに勝ちに……あうぅうぅうぅっっ♡♡♡」
「んなことどうでも良いんだよ。今、ミサキは俺のちんぽに処女を捧げて、ひーひー喘がされてる。これが全てだろうが」
「うぅんっ♡♡♡ そう、かもしれないけどぉっ♡♡♡ でも、アタシは、アンタたちに絶対勝ってみせるぅっ♡♡♡」
「はいはい、わかったわかった。ま、これからも相手してやるよ。そんかわし、負けたら毎回エロいことするからな? 覚悟しろよ!?」
「はっ、はぁぁっ♡♡♡ わ、わかったぁ……♡♡♡ もう、負けないからぁっ♡♡♡ だから、大丈夫っ♡♡♡ 大丈夫ぅっ♡♡♡」
ゲンによって喘がされるミサキは、口では彼らに抵抗をしている。だがしかし、その表情は完全に蕩け、性交の快感の虜になっていた。
そんなミサキの姿を見る男たちは、彼女がまた一歩変態への道を歩んだことを喜びつつ彼女の痴態を楽しむ。ゲンの巨根で責められる膣、上下に激しく揺れる胸、だらりと舌を垂らした無様な表情……その全てがミサキを淫らに彩り、彼女を快楽の沼に沈めつつある。そして、ゲンもまたミサキを更に深く沈めるため、肉棒を大きく滾らせて叫び声を上げた。
「ミサキっ!
「だ、めぇっっ♡♡♡ それはやめて……っ♡♡♡ 赤ちゃん、出来ちゃう……♡♡♡
「ここまでやって止められるかよっ! 子宮に射精すんのは決定だ!」
「だめぇ……♡♡♡ 今日、本当に危ない日なの……♡♡♡ 膣内射精されたら、赤ちゃん出来ちゃう……♡♡♡」
「関係無いな! 恨むなら、そんな日に処女を賭けてファイトした自分の馬鹿さ加減を恨みな! 母親になる覚悟を決めるんだよっ!!」
「まってぇぇっっ♡♡♡ だめぇぇっっ おねがいだから、ほかのことならなんでもするからぁっ♡♡♡ 膣内射精だけはやめてぇぇっっ♡♡♡」
若干十六歳にして母親になってしまう恐怖に震えるミサキ。声は蕩け、体も従順になってはいるが、目に浮かぶ涙は本物だ。彼女はまだ、子供を産む覚悟など出来はしない。こんなふざけた出来事で子を孕んでしまうなど、絶対に避けたいことだ。
ミサキは必死になってゲンに許しを請う。泣きじゃくり、代わりの条件を提示し、何とかして射精を止めようとするも、もはやそれは不可能なことだ。本能のままに雌を犯す雄に歯止めが利くはずも無い。そのことを子宮で感じ取り、肉棒にその部位を支配されるミサキが、ガクガクと体を震わせながら尿失禁をしてしまった時だった。
「……ご安心を、ミサキさん。あなたが赤ちゃんを孕むことはありません。何故なら、私がそうイメージしたからです」
「へ……?」
眼前に指を突き付けられたミサキは、いつのまにか自分の目の前に立っていた江島の言葉に首を傾げる。彼はゆっくりと指を下に向け、今もなおゲンに責められる子宮を指し示しながら、自分がミサキへと押し付けた数々のイメージを彼女に教える。
「
「っっ……!!」
江島の言葉に、ミサキはゴクリと唾を飲み込んだ。彼の言うイメージが本物だと言うことは、数日前に剃られた自分の下の毛が一切生える様子が無いことからも理解出来ている。今回のイメージも本物で、ミサキが彼のイメージ力を超えない限りは、この呪縛は消えないのだろう。
ミサキの人生を縛る江島の鎖……だが、ミサキは体を震わせながらもニヤリと彼に笑って見せた。そして、蕩けた声のまま、改めて宣戦布告を行う。
「上等、だよ……♡ 絶対に、アンタたちを倒してやるから……♡♡♡ だから、そのイメージを受け入れてやる……っ♡♡♡ これは、アタシの覚悟だ……! 絶対にアンタたちに勝つって言う、アタシのかく、ごおおぉおぉおぉおぉおぉおぉぉおぉぉぉおおっっ♡♡♡♡♡」
「……ごちゃごちゃうるさいんだよ。問題が解決したならまんこ締めろ、雑魚ファイターミサキ!」
「おおんっっ♡♡♡ はぁあんっっ♡♡♡ あっっ♡♡♡ あぁあぁあぁあぁっっ♡♡♡ い、いぐぅうっ♡♡♡ いぐううぅうぅうぅぅっっ♡♡♡」
必死に表情を取り繕い、江島に格好付けようとしたミサキだったが、ゲンの容赦の無いピストンによってただ喘ぐだけの雌奴隷へと逆戻りしてしまった。最後の問題を乗り越え、幾らでも男の精液を受け止められる体になったミサキに対し、ゲンは肉欲に吠えながら己が欲望をぶちまける。
「受け取れミサキっ! これからお前が何度もぶち込まれるザーメンの味をここで覚えなっっ!」
「あっっ♡♡♡ ちんぽ、膨らんで……ひやああぁぁぁあぁあぁぁあぁぁっっっ♡♡♡ すごっ、あついいぃいいぃっっ♡♡♡ あぁああぁぁ~~~~っっ♡♡♡ 子宮が、こわれるうぅうぅうぅうっっっ♡♡♡」
ミサキの最奥、子宮の入り口に亀頭が押し付けられ、絶好の種付け体勢を取った。子宮もまた自分を犯す力強い肉棒に媚び、口をぱっくりと開けてゲンの亀頭を咥え込む。
雄と雌、どちらの体勢も万全のものであった。特にミサキは、初めての性交でありながら支配される雌としての振る舞いをよく理解し、最高の快楽を感じられる状態でゲンの射精を受けることが出来た。
結果、立派な肉棒に相応しい量と濃さ、そして熱さを誇るゲンの精液がミサキの中に勢い良く注ぎ込まれた。子宮の奥の壁を叩くほどの勢いで射精されたミサキは、抗うことも出来ずにその快楽に屈服して絶頂を繰り返している。
「んあああぁあぁあぁぁああぁあぁああぁっっ♡♡♡ これが、射精……っ♡ 熱くて、激しくて、凄い……っ♡♡♡」
「ふふっ……! 気に入ったみたいだな? 気持ち良かったか、ミサキ?」
「ふぅっ……♡♡♡ あっ♡ ゲン、さん……♡♡♡ んちゅぅ……♡♡♡」
たっぷりとミサキの膣を精液で満たしたゲンは、優しく彼女に語り掛けながら豊かな双房に手を伸ばし、むにゅむにゅとそこを揉みしだく。乳房と乳首を愛撫され、同時に唇を重ねたミサキは、全身を包む多幸感にうっとりとした瞳を浮かばせていた。
(あ、すごい……♡ まだ、ゲンさんのおちんぽ、硬いままだ……♡ アタシの中で、びくびくしてる……♡)
一度射精を終えたのにも関わらず、未だに力強い律動を繰り返してミサキの膣内で存在を主張する肉棒の感覚にミサキは目を細めた。最初はおぞましく、醜いとしか思えなかったゲンのことも、今はどこか愛おしく思える。
「あんっ……♡♡♡」
胸を揉まれながら乳首を抓られればミサキの口から甘い声が漏れた。そのまま背中を彼に預け、大きなゲンの中年太りが激しい体にもたれ掛かれば、不思議な安心感がミサキを包んでくれる。
優しい手付きでミサキを気持ち良くしてくれて、巧みな舌技で大人のキスを教えてくれる。余裕たっぷりの態度と逞しい肉棒はゲンの大人としての風格を引き立て、彼を大きな存在に感じさせてくれた。
(何だろう……? 胸がドキドキする……♡ アタシ、どうしちゃったの……?)
ゲンの禿げた頭も、脂ぎった顔も、たるんで膨れている中年腹も、全てが愛らしく思える。大きな手と肉棒は彼が大人の男性であることをミサキに意識させ、初めての性交の相手だと言う思いが彼への愛情を膨れ上がらせていた。
そして何より、ゲンは自分より圧倒的に格上のヴァンガードファイターだ。対戦し、その強さに尊敬を覚えるほどのファイターである彼の実力を知ったミサキは、人の見た目などはその人物の価値を決定的にするものではないことを知ってしまったのだ。
(ゲンさん、素敵……♡ もう一度、シたい……♡)
ミサキの子宮が疼く。もう一度、彼との甘美なセックスを味わいたいと訴えかける。段々とゲンへの愛を自覚したミサキは、もう一度彼との性交を行おうとしたが、その思いに反して彼女の意識は段々と暗闇の中に沈んで行った。様々なイメージを押し付けられた精神的疲弊と初セックスにより肉体的な疲労によって、ミサキの体は限界を迎えていたのだ。
「あ、ぅ……」
こうして、ミサキはゲンの体にもたれ掛かったまま意識を失った。男性器を咥え込んだまま眠るミサキの姿を観客たちはニヤニヤと笑いながら見つめ、写真と動画に収めていく。彼女と合体したままのゲンもまた、江島と視線を交わらせて頷き合うと、ミサキを抱えたままシャワールームへと歩んで行った。
こうしてまた、ミサキは自分の本性を自覚するための扉を一つ開けた。少しずつ、一歩ずつ、彼女は覚醒へと近づいて行くのだが、ミサキが完全なる目覚めの時を迎えるのは、もう少し先の話である……。
・戸倉ミサキに関する情報
年齢 15歳
身長 165cm
体重 50kg
初体験の相手 厳島ゲン