※この作品はR-18です。

戸倉ミサキ調教記~強気な彼女のもう一つの顔~   作:道程ケンヂ

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このお話で書き溜めは終わりとなります。次回の投稿はいつになるかはわかりませんが、現在次のお話をほぼ書き終わっている状況です。近日中に投稿出来ると思いますので、ご期待ください。

また、この様な拙い文章に100名以上の方がお気に入り登録をしてくださったことを深く感謝いたします。ヴァンガードのルールやユニット効果に穴がある部分もあるかと思いますが、数少ないヴァンガード、ひいてはミサキさんのエロを楽しんで頂けたら幸いです。


心意転換

 

 

 

 ミサキが『E-ROSS』に初めて来店してから2週間の月日が経った。たったそれだけの間に処女喪失と個人撮影のAVデビューといういかがわしいにも程がある経験をしてしまったミサキであったが、本当に驚くべきことにヴァンガードファイターとしての実力は目覚ましいほどまで向上していた。

 とても初心者とは思えないプレイスキルを見せるミサキは、ホームグラウンドである『カードキャピタル』でも一目置かれる存在にまで成長している。デッキを作ったシンや、初めてのファイトの相手をしたアイチもまた、そんな彼女の急成長を驚くと共に喜んでくれている。他の客たちも元々がカードショップの娘だと言うことや、初戦で見せた並々ならぬ記憶力を活かしたファイトのお陰で、ミサキは元々才能があったのだと思い込んでくれていた。まさか、ミサキが急成長の裏で男たちに弄ばれているとは思いもしなかった訳である。

 『カードキャピタル』では勝利を重ね、尊敬と信頼を勝ち取るミサキであったが、その栄光の影には『E-ROSS』での敗北と恥辱の連続がある。まさに反面生活を送るミサキは、バイトの休日に『E-ROSS』にて勉強を重ねているところであった。

 

「はぁ……」

 

 デッキを片手に溜息をつくミサキ。この恥辱に対して、自分は段々と慣れ始めている。処女喪失以来は本格的な賭けファイトを行ってはいないものの、自身主演AVの発売やその宣伝を行ったことに対して何も思わぬわけがない。右を見ても、左を見ても……この店の客たちは皆、ミサキの主演した作品のDVDを手にしているのである。

 少し前にゲンから聞かされたが、ミサキのAVは50本ほど売れた様だ。つまり、大体50人の男たちが家でミサキの痴態を眺め、楽しんでいるということになる。自身の記憶や静止画だけではなく、ミサキの醜態や個人情報などが詰まったDVDを手にした男たちは、それを元手に更にミサキに対する淫らなイメージを昇華させるだろう。これから先も酷く卑猥なイメージを押し付けられることに辟易していたミサキであったが、それ以上に彼女を苦しめていたのは、そんな状況に自分が慣れ始めていることだった。

 

(……ファイトが強くなったとは言え、それに見合わない代償を支払ったことは確か。セクハラを仕掛けて来るこの店の客たちにムカついていることも確かなんだけど……)

 

 そう、ミサキはきちんとした感覚と思考を保つことが出来ている。しかし、だからこそ彼女は困惑しているのだ。

 体に触れられ、裸を見られ、卑猥なイメージを押し付けられて、ミサキが男たちに怒りを燃やしていることは確かだ。だが、そんな状況をミサキは完全に受け入れつつある。というより、もはや開き直っていた。

 公開セックスやAV発売なんてイベントを乗り越え、彼らが見飽きるほど男たちに痴態を見せつけた以上、もう恥ずかしがっても仕方が無い……気が付けば、軽いセクハラならば適度にあしらい、ボディタッチをされても怒ることが少なくなった。諦めと言うか、何と言うのかはわからないが、ミサキの性格の苛烈な部分がこの店の客たちに対しては発揮されなくなってしまったのである。

 というより、自分は大分丸くなった様だ。最近、『カードキャピタル』の客たちや学校の友人、更には育ての親でミサキを幼いころから知っているシンまでもが、ミサキに「雰囲気が柔らかくなった」と言う様になった。ヴァンガードファイトを始めたことで関りが増え、少しずつ他者とのコミュニケーションを築いているが故の変化だとシンたちは思っているが、実際はこの『E-ROSS』の男たちの手で変えられていると言う方が正しいのだ。

 

(恥ずかしくない訳じゃないけど、裸を見られても良いって思ってる自分がいる。それどころか、強くなるためだったらどんな屈辱でも受けるって思ってる……アタシ、どうなっちゃったんだろ……?)

 

 自分は今、非常に不安定で歪な状態になっている。恥と開き直り、勝利を求める心と敗北を受け入れる心、その両方を持ち合わせた感情がミサキの精神をぐちゃぐちゃにしていた。しかし、そんな状況でも自分は平然とヴァンガードファイトのことを考えられている……この淫らな二面生活に慣れ切り、段々と過去の自分とはかけ離れた存在になっていくことを自覚しながらの変化は、ミサキに恐怖と苦痛を与えていたのだ。

 しかし、それでもこの店に来ることは止められない。何もかもを中途半端で投げ出すことは出来ない。こうなれば最後まで戦い抜いてやろうと思い、今、自分が抱えている不安を振り払ったミサキが久方ぶりに顔を上げてみると――。

 

「……随分と集中してましたね。何か考え事ですか?」

 

「……別に、そう大したことじゃないよ」

 

 カウンターの向かい側で自分のことを見つめていた江島と目が合い、馴れ馴れしくも彼女の心理を読み切った彼の言葉に曖昧な返答を返しながら、ミサキは視線を逸らした。どうにもこの男のことは読めない。行動パターン、何を考えているのか、ミサキに何を求めているのかすらも分からない。だからミサキも対抗のしようがなく、いつも後手に回ってしまう訳であった。

 今だってそうだ。江島はなんの邪気もない笑みを浮かべてミサキに話しかけて来ている。とてもフレンドリーで気さくなその態度からは、

ミサキをこの複雑な状況に陥れた張本人がするはずがないものだ。なのに、江島は普通にミサキに話しかけ、しかも彼女が強くなるためのアドバイスを的確にしてくれる。ミサキには本当にこの男のことがなにひとつとして理解出来ないでいた。

 

「そう言えばミサキさん、ホームグラウンドでの戦績はどうなんですか? 確か、『カードキャピタル』とか言ったお店の――」

 

「……概ね良いよ。大体7、8割は勝ててる」

 

「ほぅ……! それは素晴らしい! 客層が違うとはいえ、初心者であるミサキさんがそこまでの勝率を叩き出せるなんて! ……ここでの経験が、確実に力になっている様ですね」

 

 後半の言葉にねっとりとした不快感と意味深な意味を感じるミサキは、そっぽを向いたまま何も答えない。しかし、江島の方は不愛想なミサキに対して、なおも話を続けている。

 

「では、残りの2、3割の負けている試合に考えを巡らせましょうか。なぜ、負けてしまうのか? その理由を突き詰め、対策を取ることによって、またミサキさんの勝率はあがるはずです」

 

「……珍しくまともなことを言うじゃん」

 

「これでも私はカードショップのオーナーですからね。ヴァンガードファイトに関しては真剣ですよ」

 

 真面目な江島に少しだけ感心するミサキ。だからと言って彼を見直した訳では無いが、的を射ているアドバイスに驚いたことは確かだ。と言っても、ミサキはそんな助言を受ける前から、自分の敗因については見当をつけていた訳なのだが。

 まあ、こうして黙っていても仕方が無い。自分の導き出した結論を口にしようとしたミサキであったが、そんな彼女の前に江島の手が突き出される。何も言うな、全ては分かっている……そう目で語り、ニヤリと笑った江島は、ミサキが言おうとしていた言葉とそっくり同じ台詞を口にした。

 

「ノ(・)ヴ(・)ァ(・)グ(・)ラ(・)ッ(・)プ(・)ラ(・)ー(・)、ですね?」

 

「っっ……!?」

 

 江島の口から飛び出した言葉を耳にしたミサキは彼の観察眼に舌を巻く。どうやら本当に彼には何もかもがお見通しらしい。観念し、頷いたミサキは、愚痴とも悩み相談とも取れる口調で江島へと自身の弱点について語り出した。

 

「どうにもノヴァグラップラー相手には勝ちにくいんだよね……店の腕利きのノヴァ使いにはほぼ負けてる。敵の腕が未熟なら勝てることもあるんだけど――」

 

「ある程度の実力を持ったノヴァグラップラー使いには手も足も出ない、ということですね?」

 

 江島の言葉に再び頷くミサキ。彼女の無言の肯定を受け、江島は何かを考え込み始めた。

 さて、ここでここまでの話が何のことだかさっぱり、という方に向けて軽い説明をしておこう。ミサキと江島が話していることを端的に言ってしまえば、デ(・)ッ(・)キ(・)同(・)士(・)の(・)相(・)性(・)の(・)問(・)題(・)という一言に尽きてしまうのだ。

 先ほどから何度も出て来ている『ノヴァグラップラー』と言うのは、ヴァンガードのクランの一つだ。惑星クレイ随一の近代都市国家『スターゲート』に所属する『ノヴァグラップラー』たちは、全身を鋼鉄で覆われた機械の剣闘士である。ミサキの使う『オラクルシンクタンク』やゲンの『かげろう』とは趣が全く違い、所属するユニットたちはそのほとんどがロボット兵士というクランだ。この『ノヴァグラップラー』、実は『オラクルシンクタンク』の天敵とも呼べる存在なのである。その理由は、クランの特色にあった。

 

 ここで軽く基本的な事項に触れておこう。ヴァンガードファイターが特定のグレード3ユニットにライドした時に得ることが出来る特殊能力『イマジナリーギフト』には、3つの種類がある。一つが『ロイヤルパラディン』や『かげろう』が持つ『フォース』のギフト。2つ目が『オラクルシンクタンク』の持つ『プロテクト』。そして最後の一つが『ノヴァグラップラー』が持つギフトである『アクセル』だ。

 この『アクセル』のギフトは、簡単に言ってしまえば攻撃回数を増やすことが出来ると言う物である。通常、1ターンに攻撃出来るのは前列に居るユニット3体のみ、しかし、『アクセル』のギフトを入手すると、もう1つリアガードサークルが増え、単純に4体のユニットでの攻撃が可能になるのだ。そして、この『アクセル』やユニットのスキルを使用した連続波状攻撃を得意とするのが『ノヴァグラップラー』なのである。ここまで理解出来た段階で、賢い人間ならば『オラクルシンクタンク』と『ノヴァグラップラー』の相性が最悪である理由を想像することが出来たであろう。そう、話はごく単純で根本的な問題なのだ。

 ミサキの使用クランである『オラクルシンクタンク』は、手札の補充とそれを活かした堅守が持ち味のクランだ。対して『ノヴァグラップラー』は4体のユニットによる猛攻が特色である攻撃的なクラン。この両者の対決は、剣と盾の対決なのである。ここまで聞くと、この2クランの戦いは、お互いの持ち味をより引き出した方が勝利出来ると思われがちだが……ここで噴出するのが、両者のギフトの相性だ。

 ここまでのお話を見ている方ならご理解頂けていると思うが、『プロテクト』のイマジナリーギフトの効果は『手札を一枚捨てることで敵の攻撃を無効化する』という物である。どんなに強力な攻撃も手札一枚をコストに防げると言えば聞こえは良いが、逆に言えばど(・)ん(・)な(・)攻(・)撃(・)で(・)も(・)手(・)札(・)一(・)枚(・)を(・)捨(・)て(・)な(・)け(・)れ(・)ば(・)防(・)げ(・)な(・)い(・)ということでもあるのだ。超攻撃力を誇るユニットへの防御でも、攻撃力がギリギリ足りているユニットへの防御でも、同じコストを支払わなければならないのである。

 『フォース』のギフトでヴァンガードを超強化し、その一撃に全てを賭けるという戦い方をする相手ならば『プロテクト』は遺憾なくその力を発揮してくれるだろう。しかしそ(・)れ(・)な(・)り(・)の(・)パ(・)ワ(・)ー(・)を(・)持(・)っ(・)た(・)ユ(・)ニ(・)ッ(・)ト(・)で(・)何(・)回(・)も(・)攻(・)撃(・)を(・)仕(・)掛(・)け(・)る(・)というプレイングをされた場合、『プロテクト』は決して有効な防御手段とはなり得ないのだ。

 

「……敵に先攻を譲っちゃうと、グレード3になって『プロテクト』が手に入る前に攻め切られて負けちゃうんだよね。アタシが先行でも、切り札である『インペリアル・ドーター』が真の力を発揮するのは二回目のライド時だから……」

 

「どう足掻いても攻め切られてしまう、と……」

 

「そう……相手によっては勝てるんだけど、プレイングが上手い相手だとほとんど勝てないんだ」

 

 強化されたユニットたちによる連続攻撃は、それを防ぐだけで手一杯になってしまう。手札を消費して守り切ったとしても、次のターンはその分、自分の攻め手が少なくなってしまう。そうして相手を倒しきれず、二回目の猛攻を受けてダメージ6……それが、ミサキが『ノヴァグラップラー』のデッキを相手にした時の主な負けパターンだった。

 何も考えずに闇雲に攻めて来る相手ならその攻撃を捌き切れる可能性はある。しかし、ある程度の力量を持つファイターは、攻撃のタイミングを見つけ出すことが非常に得意だ。100%の力を発揮出来る盤面を整えてから攻撃に入り、確実に勝利をもぎ取る。ミサキが敗北を重ねているのは、そんな『ノヴァグラップラー』使いたちだ。

 

(カムイも三和も本当に強い……でも、これから先に『ノヴァグラップラー』使いのファイターたちと戦う機会は何度だってある。その度に負ける訳にはいかないんだ!)

 

 『カードキャピタル』だけではない。『E-ROSS』でも、他の店でも、熟練のノヴァ使いのファイターたちは山ほど居る。そう言った相手に対し、何も出来ないまま敗北を重ねることを許すわけにはいかない。それにもしも江島が『ノヴァグラップラー』使いであったなら、その対策は練っておくべきだろう。

 どうにかして苦手な相手に対する作戦を身に着けたい……そう考えるミサキは、じっと手元のデッキを見つめて思案に耽る。すると、何事かをずっと考えていた江島が、突如顔を上げてぽんと手を打ってから口を開いた。

 

「……わかりました。では、ミサキさんに特訓を受けて貰いましょう。私が紹介するファイターとファイトして、『ノヴァグラップラー』のデッキの動きを頭に叩き込むんです」

 

「えっ!?」

 

「大事なのは経験です。相手のデッキがどんな回り方をするのか? どのユニットがどんな能力を持っているのか? それを知ることによって、様々な物が見えてきます。そして、それを知るには実際にファイトするのが一番。それも相当の実力者となら、ミサキさんも大きな経験値を得ることが出来るでしょう」

 

 本当に真っ当な江島の提案に目を丸くするミサキ。そんな彼女を尻目に、江島は店内から『ノヴァグラップラー』使いの腕利きファイターを探し始めていた。

 本当に……この男のことは良く分からない。あれほどまでに卑猥なことをしてきたかと思えば、こうやって親身になって力を貸してくれたりもする。江島という男の心はどうなっているのだろうか? ミサキは困惑しながらも、自分のために対戦相手を探してくれる彼に感謝の気持ちを抱いていた。

 やがて、ミサキの前に一人の男を連れて来た江島は、その男をミサキに紹介する。ミサキもまた、江島に連れられて来た男に視線を向け、彼の説明に耳を傾けた。

 

「彼の名前は木曾(きそ)タイゾウさん。この店きっての『ノヴァグラップラー』使いで、ファイトの腕前はゲンさんにも負けていません。間違いなく、ミサキさんの良い特訓相手になってくれると思いますよ」

 

 江島が紹介して来た男はゲンと同様の中年男性であったが、彼とは真逆の容姿をしていた。痩せた体と不健康そうな顔、頬も腕もがりがりで骨が浮かんでいるし、目の下にもくまが見える。一言で言ってしまえば『不健康な男』だった。

 タイゾウは無口なまま目だけを動かしてミサキをじろりと見つめて来る。どこか機械質で、感情の感じさせないその瞳に薄ら寒いものを感じたミサキは背筋を強張らせると、タイゾウは疲れた様子で口を開いた。

 

「……マスターが言うから来ましたが、僕はこの子の相手はごめんですよ。自分より遥かに格下の相手と戦うのなんて面倒だ」

 

「なっ!?」

 

「そう言わないであげて下さいよ、タイゾウさん。後進のファイターを育てるのも先輩の役目でしょう?」

 

「弱い者いじめをする趣味はないんだよ。僕には合わない役目だ」

 

 ミサキを置いて話を続ける男性二人の会話に愕然としながら、ミサキは悔しさに震えていた。まるで子供扱いされ、戦っても勝って当然とばかりの言い草で弱者の烙印を押される側になってしてみれば当然の話だろう。しかし、その会話に対して抗議の声を上げようとした彼女は、喉まで出かかった言葉を寸前で飲み込む。それは、ここ最近の自分自身の戦績を顧みての行動だった。

 ミサキは2週間にこの店に来てから今日に至るまで、『E-ROSS』の客たちに一度も勝てていなかった。連敗に次ぐ連敗、まるで子供扱いされて敗北し、何度も屈辱を味わっていた。つまりミサキはこの店で一番弱い存在であり、しかも他の客たちとは天と地ほどの格差があるのだ。タイゾウと江島は何も間違ったことは言っていない。ヴァンガードを始めて数週間の初心者の相手を面倒くさがったとして、タイゾウを責められるわけもないのだ。

 初心者であるミサキの技術向上のため、上級者であるタイゾウに自分の時間を削ってまでファイトの相手をしてもらう……タイゾウは店のスタッフではない、ミサキと同じこの店の客だ。ミサキを指導する義務は何処にもない。ミサキがファイトの相手をして貰うには、彼の善意に期待するしかない。ミサキは、圧倒的に下の存在であるのだから……。

 

「あの……賭けファイトでも良いです。アタシが負けたら、何でも言うことを聞きますから……」

 

 自身の技術向上のため、江島との再戦に漕ぎ付くために、ミサキは恥を忍んで自ら賭けファイトを申し込んだ。ゲンの様に、助平な男ならばこの申し出を断ることはしないだろう。恥辱を味わうことを覚悟しながら、その感覚にぐっと拳を握り締めたミサキであったが、その言葉を受けたタイゾウは首を左右に振って返事をする。

 

「いや、良い。僕はそういったことに興味はない。人の体に直接触れることが苦手なんだよ」

 

「えっ……!?」

 

「だから、セックスなんてもってのほかだ。……気を悪くしないでくれ、君が魅力的な女性だと言うことは認めているし、君のビデオは購入させて貰った。僕も女性に興味が無い訳ではないのだが……それ以上に苦手なものがあると言うことさ」

 

 恥を覚悟で申し込んだ賭けファイトを断られたミサキは再び愕然としてしまう。これで、自分の手札は全て使ってしまった。それでもタイゾウを靡かせられなかったということは、彼とファイトをすることは絶望的ということだ。

 江島が認めるほどのファイターだ、戦えればきっと良い経験になる。だがしかし、どうにもミサキとの勝負に乗り気になってくれないタイゾウは、早くもカウンターから去ろうとしていた。

 

「僕以外にもノヴァグラップラー使いのファイターなら居る。そっちを当たった方が早いよ。じゃあ、僕はこれで……」

 

「あっ! ま、待って――」

 

 何とかして、タイゾウとファイトしたい……ミサキは急いで考えを巡らせるも、良い案は浮かばない。焦り、迷い、悩むミサキが、取り合えずでも何でも良いからタイゾウを呼び止めた時だった。

 

「良いじゃないか、タイゾウくん。若い子に胸を貸してあげなよ」

 

「……ゲンさん、アンタか」

 

「あ……!!」

 

 去ろうとするタイゾウの前に立ち塞がったゲンが、ミサキの肩を持ってくれたのだ。ミサキに代わり、ファイトの交渉を始めたゲンは、タイゾウを再びカウンターへと引き戻しながら話し続ける。

 

「ミサキのお陰で最近、生活に張りがあるって言ってたじゃないか。少しはその恩返しをしたらどうだい?」

 

「彼女のお陰じゃなくて、彼女のAVのお陰だ。彼女は敗北した結果でああいう映像を撮られることになったのだから自業自得と言えるだおうし、感謝する部分は何処にもない」

 

「なら、俺への感謝を示してくれ。ミサキをファイトで倒したのは俺だし、あのAVの制作も全部俺だ。俺に感謝する理由はあるだろう? だったら、俺の言うことを聞いてミサキとファイトしてやってくれ」

 

「あのねぇ……はぁ、まったく……分かったよ、やれば良いんだろ? 相手するよ、さっさと2階に来なよ」

 

 しつこいゲンの交渉に溜息をつき、うんざりした表情を浮かべるタイゾウ。何事かの反論を続けようとした彼であったが、少し逡巡した上でゲンは自分が納得するまでこの会話を続けようとしていることを悟り、諦めた様に肩を落とすとがっくりとした様子でミサキとのファイトを承諾してくれた。少々力業ではあったもののタイゾウから了解の言葉を引き出したゲンは、ミサキに向けてウインクして見せる。

 

「良かったな、ミサキ。タイゾウくんがファイトしてくれるってさ」

 

「あ……! ありがとう、ゲンさん!」

 

「はははっ! 気にすんなよ。ミサキちゃんのお陰で随分と楽しい日々を送れてるし、店長も言ってたが後進を育てるのは先に始めた者の役目だ。勝つのはまず無理だろうが、出来る限りのことを学んで来なよ」

 

「うんっ!」

 

 普段の不愛想な表情から一変し、尽力してくれたゲンに感謝の笑みを見せたミサキは、既に2階に向かっているタイゾウの背中を追って駆け出し――すぐに踵を返してカウンターに戻って来た。急にどうしたのかと訝し気な表情を見せるゲンを尻目に、カウンターの向こう側の江島に向けて視線を向けたミサキは、彼に大きな声で呼びかけた。

 

「店長、前貼り頂戴。あの格好じゃないとファイトしちゃいけないんでしょう?」

 

「ええ、そうです。自分から言ってくれて助かりましたよ……ほら」

 

「どうもっ!」

 

 江島からクリティカルトリガーのアイコンを模した3枚の前貼りを受け取ったミサキは、すぐさま踵を返して2階へ向かって行った。ひらり、はらりとはだけるミサキのスカートと後ろ姿を見つめながらニヤリと笑ったゲンは、江島に囁く様な音量で話しかけた。

 

「まさかここまで早く順応しちまうとはな、人ってのは恐ろしいもんだぜ」

 

「彼女を変える大きなきっかけを作ったゲンさんが何を言いますか。それに、こうなっていくことはミサキさんが2度目にこの店に来た時からわかりきっていたことでしょう?」

 

「だとしても早すぎると思わないか? いや、良いことだとは思ってるぞ。俺だって嬉しいさ」

 

「ふふっ……! 分かっていますよ。ですが、ミサキさんも完璧に目覚めた訳ではありません。もうしばらくの間、彼女には屈辱と快楽の狭間で揺れ動いて貰うことになるでしょう。……まあ、私も彼女の飲み込みの速さには驚いているんですけどね」

 

 江島の言葉を聞き、彼に再び笑みを見せてから、ゲンもまたミサキとタイゾウのファイトを観戦するために2階へと向かう。カウンターに一人残された江島はただ、黙って粛々と己の仕事を片付け続けていた。

 

 

 

 

 

 ミサキとタイゾウのファイトは、タイゾウが先攻を取って開始された。先にグレード3に上がれる有利を活かすタイゾウをミサキがどう捌くのか? 元々、『ノヴァグラップラー』への対策を練るためのファイトであるこの試合は、敢えてミサキに徹底的に不利な状況で行われることになっていた。

 無論、不利を背負っているとは言え、タイゾウは手を抜いてくれる訳が無い。2階のあのファイトスペースで試合を行う以上、卑猥なイメージの押し付けも避けることも出来ない。興味がないとは言っていたが、ミサキが負けた場合はタイゾウの言うことを何でも聞くという賭けも当然の如く行われている。それら全てのリスクを了承して、ミサキはこのファイトに望んでいるのだ。

 

(強くなるためならどんな目にだって遭う! それに、ここで怖気づいたりしたら、ファイトのお膳立てをしてくれた二人に合わせる顔が無いじゃないか!)

 

 強さへの欲求を胸に、いずれは倒す相手から送られて来たこの機会をみすみすと逃がす訳にはいかないと強い覚悟を固めたミサキは、ほぼ全裸の格好を恥じながらもファイトを行っていた。男性客たちからの視線が肌に突き刺さり、卑猥な言葉が次々と耳に飛び込んで来るも、それでも逃げることなく堂々と立ってファイトを続けるミサキは、自分とタイゾウ、そして周囲の観客たちのイメージから成り立つこの空間を眺めて一つ呼吸を行った。

 今回のファイト空間は、今までとは違う点が随所に見受けられている。一つ目は、ほぼ全裸であるミサキの格好が、ファイトが始まったと同時に完全に全裸になったことだ。確かに前貼りやニプレスをつけてはいたのだが、ファーストヴァンガードが出現した瞬間には、それと入れ違いになる形でミサキの体を隠す服とも言えない物体は消え去ってしまっていたのだ。これは、『E-ROSS』の男たちがミサキの裸を見続けたことによって、彼女の全裸をイメージしやすくなっていたことが原因だ。男たちがミサキの魅力的な肢体を容易に想像出来る様になっていたことで、ファイト中のミサキのイメージは常に全裸と言う形で固定になってしまっていた。

 

(恥ずかしいけど……もう、慣れたもんだ! 今更どうこう言ったって、何も変わらない!)

 

 主演AVまで発売された身だ、もう恥ずかしがる必要なんて何処にもない。開き直り、むしろ堂々と見せつけてやれば良い。

 慣れとは恐ろしいもので、ミサキは恥ずかしさを感じながらも自らの裸体を惜しげなく男たちに晒すことが出来る様になっていた。つい2週間前には泣きじゃくっていたミサキは、たったそれだけの時間でここまで変化してしまっていたのだ。

 

「フゥ~ッ! 良いぜ、ミサキちゃん! デカパイぶるんぶるん揺らしてファイトしてくれよっ!」

 

「今日も失禁&潮噴き、期待してるぜ!」

 

「うっさい! 黙ってろっ!」

 

 自分に向けて卑猥な視線を向け、淫らな野次を飛ばす男たちに嫌悪感を抱くことも辛辣な言葉を吐くことも出来る。しかし、もう裸を見られることへの嫌悪感は無くなっていた。自分でも半分気が付かないままに精神的な変化を果たしているミサキは、そんな観客たちの居る空間にも変化があることを見て取っている。というより、このファイトフィールド全体がいつもと違う風景になっているのだ。

 今までミサキがファイトを行った時は、広大なクレイの大地でユニット同士の戦いが行われていた。しかし、今回はプロレスのリング宜しく、熱狂に包まれるスタジアムの中で多くの観客たちの目に触れられながらファイトが行われているのだ。これはまるで、惑星クレイで大人気の『ノヴァグラップル』の試合……つまりは、『ノヴァグラップラー』のホームグラウンドでの試合の様だ。

 

(そしてなにより……何なの、これ?)

 

 最後の変化はミサキの周囲にあった。彼女の立つファイトテーブルを囲む様にして立つ小型のロボットが三体、じっと彼女のことを見つめている。ミサキの腰ほどまでの高さしかないそのロボットは、どこか愛嬌のある姿かたちをしていた。

 まるでピットクルーの様なそのロボットは何の為に存在しているものなのか? ミサキは暫しそのことを考えるも、今はそんなことよりもファイトに集中しなければと思いなおして視線を前に向ける。グレード1へと順当にライドし、先制攻撃を仕掛けてダメージ1をタイゾウに与えたミサキは、次のターンから始まるタイゾウの攻撃を想像して身を強張らせていた。

 

「ライド、『アイアン・キラー』。リアガードに『ジェットライザー』、『ハイパワードライザーカスタム』、『バトルライザー』をコール」

 

(盤面が整えられてく……『ノヴァグラップラー』の必勝パターンだ!)

 

 グレード2である程度のダメージを与え、グレード3になった瞬間に猛攻を仕掛けて一気に勝負を決める。『ノヴァグラップラー』使いたちの常套戦術に冷や汗をかきながら、ミサキは手札の枚数を確認する。どこで何を使い、どの様に攻撃を防ぐのか? その判断を誤れば、怒涛の攻撃を受けて沈むだけだ。冷静に、着実に……受けるダメージと防ぐダメージの見極めが必要になる。

 

「『ジェットライザー』のブースト、『アイアン・キラー』でアタック」

 

「ノーガード!」

 

 まずは一撃目、ヴァンガードによる強烈な攻撃は防がずにダメージを負うことにした。ドライブトリガーと言う不確定要素がある以上、完璧に防ぐには相当のガード値が必要だ。そこを考慮すれば、手札を消費するよりもダメージを受けた方が安牌だろう。ここでダメージトリガーが出れば次の攻撃を防ぎやすくもなる。そう判断してのミサキのプレイングであった。

 

『きゃぁぁぁぁぁあぁっっ!!』

 

(ごめん、『サークル・メイガス』……)

 

 大型の棘付き鉄球に弾き飛ばされた自身のヴァンガードが傷つく姿にミサキの心が痛む。お互いにトリガーが出なかったチェックを終え、ミサキがダメージゾーンにカードを置いた時だった。

 

「えっっ!? な、なにっ!?」

 

 突然、両脚に冷たい感触を覚えたミサキが振り返ると、自分を囲んでいたロボットの内の2体がアームを伸ばし、がっちりとミサキの両脚を開いた状態で固定している攻撃が目に映った。ロボットたちは小柄な見た目に反して力がとても強く、ミサキが必死に抵抗してもびくともしない。

 

「このっ! 離せよっっ!」

 

 ミサキを強く掴んで離さないロボットたちは、彼女の腰にまで手を伸ばして無理矢理にがに股の中腰の体勢を取らせた。ぱっくりと自分の性器が広がり、空気が入り込んでいる感触を感じて身震いするミサキであったが、そんな彼女の背後に立つ3体目のロボットの手を目にした時、その震えは恐怖によるものへと変わってしまう。

 

「な、あ……!?」

 

 3体目のロボットのアームは、男性器を模した形をしていた。大きく、僅かに震えるそれが『バイブ』と呼ばれる大人の玩具であることに気が付いたミサキの目に涙が浮かぶ。感情の無いロボットたちは、抵抗の出来ないミサキの膣内に遠慮なくそのバイブアームを突き入れた。

 

「あぁぁぁぁああぁぁっっ♡♡♡ ふるえ、てるぅっっ♡♡♡」

 

 ごちゅんっ♡ ミサキの膣奥まで届いたバイブは、子宮口に先端を叩き付けてそんな音を鳴らした。微弱な振動を断続的に響かせ、ミサキの膣を快感で染め上げるバイブは、ゆっくりとした動きで何度も抜き差しされている。

 肉棒とは違う冷たさと震え、そして非常に機械的なピストンはミサキの未知の扉を何度もノックしていた。バイブが引き抜かれ、再び最奥まで叩き付けられる度、ミサキの体はぶるりと快感で震えてしまっている。段々と湿り気のある音を股座から響かせるミサキの内腿には、透明で熱い液体が零れ落ち始めていた。

 

「『バトルライザー』のブースト、『ハイパワードライザーカスタム』でヴァンガードにアタック」

 

「くぅうっ♡ 『サイキック・バード』でガード!」

 

 2発目の攻撃を受けることを恐れたミサキは、考える暇もなくタイゾウのリアガードの攻撃をガードした。特に強化されている訳でもないその攻撃はミサキの繰り出した防御の前に防がれ、ミサキはこのターンを1ダメージで終えることに成功する。しかし、永続的に続くバイブ責めに汗と愛液を流し続けるミサキは、この時点でミスを犯していることに気が付いていなかった。

 

「……今の攻撃、ガードして良かったのかい?」

 

「え……?」

 

 バイブ責めの快感を耐えていたミサキは、そんな疑問を投げかけて来るタイゾウに驚きの視線を向けた。彼は自分のユニットを指差しながら、ミサキに今のプレイングについて解説を始める。

 

「僕の『ハイパワードライザーカスタム』は、『バトルライザー』のブーストを受けてもパワーは15000、そう高い数値じゃない。ミサキちゃんがガードしたくなる気持ちもわかるけど、それにしたって15000のガード値は支払い過ぎだ。『サークル・メイガス』のパワーは8000。普通ならば10000のガード値を支払えば良い所を、ミサキちゃんはもう5000オーバーしてガードを行った……ここから、君の手札の状況が分かる。君の手札にはシールド値10000のカード、グレード1のカードが無いってことだ」

 

「っっ……!!」

 

「……次のターン、僕が猛攻を仕掛けることを分かっているのなら、ここで不用意に高いガード値を持つカードを切るべきではなかった。ミサキちゃんのデッキにはまだトリガーも十分に残ってる。ヒールトリガーが出る可能性に賭けるのも悪く無かったんじゃないかな?」

 

「くっ……! アタシのターン……」

 

 タイゾウに指摘されたプレイングの粗にミサキは表情を歪める。確かに彼の言う通りだ、これ以上にダメージを受けてバイブの振動が強まることを恐れた自分は、何も考えずに使える手札を消費してガードを行った。その結果、タイゾウに自分の手札の状況を読まれ、次の攻撃に対しての有利まで取られてしまった。次のターンが勝負の分かれ目だというのに、この失態は痛すぎる。

 

「あっ……!?」

 

 その後悔を抱えながらデッキからカードをドローしたミサキは、自分が引いたカードを見て思わず声を漏らしてしまった。ドローしたカードの名は『スフィア・メイガス』……『オラクルシンクタンク』のヒールトリガーだ。先ほどの攻撃の時にガードする選択肢を選んでいなければ、ミサキは手札を消費することもダメージを増やすことも無かったのだ。

 

「……どうやら、引いたのはヒールトリガーの様だね。そこまでショックを受けてるってことは、さっきのダメージチェックの時に出ていて欲しかったカードってことだ。完全ガードを兼ねてるドロートリガーならそんな顔はしない」

 

「うっ……」

 

 プレイングミスから生まれたミサキの動揺をタイゾウは見逃しはしない。目聡く彼女の手札を推察し、更に自身の優位を固めていく。何もかもを見透かされたミサキは、自分の無力さを噛み締めながらただ淡々とプレイすることしか出来なかった。

 

(アタシ、馬鹿だ……焦ってミスして、墓穴掘って……調子に乗り続けてたことが恥ずかしい……!)

 

 イメージの押し付けで予想外の衝撃を受けて動揺していたとは言え、ミサキの取った判断はどれもこれもが間違いばかりだ。攻撃も防御も何もかも、あまりにも未熟過ぎる。デビュー戦で勢いに乗っていた『先導アイチ』を倒したことでやや自信過剰になっていたミサキであったが、自分を圧倒的に凌駕する実力を持つ相手を前にして、何も出来ない自分自身に対して急に恥ずかしさがこみあげて来た。

 

「『プロミス・ドーター』にライド……リアガードをコールして、アタックに入ります……」

 

 コールしたユニットでタイゾウのヴァンガードに攻撃を仕掛けながら、ミサキはひたすらに自分のことを責めていた。何故、今まで調子に乗っていたのか? 初心者である自分は、決してヴァンガードファイトが強い訳では無い。それなのに、自分よりも遥かに長い間、このゲームに触れている『E-ROSS』の客たちにあそこまで強気になって啖呵を切っていた自分が恥ずかしくて堪らなかった。

 何が江島に勝つ、だ。このカードショップで一番弱く、しかもこの場に居る誰とでも圧倒的な実力差があるミサキがそんなビックマウスを叩いても、誰も相手にする訳が無い。せせら笑い、適当にあしらわれ、弄ばれて当然なのだ。

 ミサキは自分一人でデッキを作ったことはない。カードの情報を頭に叩き込んではいるが、実際のファイトの中でそれがどう動くのかもわからない。しかも、ヴァンガードに関してならばまだまだ知らないことの方が多いのだ。今まで幾つものデッキを構築し、カードの動きを見続け、古くから情報に触れ続けている『E-ROSS』の客たちに比べれば、ミサキなんて羽虫の様な存在だと言い切れる。

 

(なのに……それなのに、アタシは……っ)

 

 一番最初のファイトで受けた屈辱と経験から、勝手にこの店の男たちはスケベなだけの屑だと決めつけていた。ファイトの実力も大したことのないオヤジたちで、自分が本気になれば簡単に蹴散らせると思い込んでいた。だが、実際はどうだ? いくら本気になっても歯が立たず、何度も敗北を重ねる始末。カードの効果やルールを覚えただけで強くなった気になって、プライドだけが高い初心者としてこの店の客たちに迷惑をかけている。それが今のミサキの実情だ。

 彼らの行動に問題が無かったとは言い切れない。だが、自分だって大概だ。自分には男たちへの敬意が無かった。カードにも、デッキにも、本格的に関わろうともしなかった。次は勝つと根拠のない自信を宿し、デッキ構築も考えずに延々と同じプレイを繰り返して、それがミスだとも言われなければ気が付かない……ミサキには、ファイトに対する本気さも足りて無かったのだ。

 

「うっ……! ひっく……! うわぁぁ……っ!!」

 

 大好きな両親とのかけがえの無い思い出であるヴァンガード……そのヴァンガードを汚しているのは、他でもない自分自身だった。ミサキは自分の不甲斐なさと周りを見ることの出来ない猪突猛進さに呆れ、そして絶望した。瞳からは大粒の涙が溢れ、ファイトが続いているというのにも関わらず泣きじゃくり始めてしまったのである。

 

「……そんな風に泣かれると気分が悪いんだけど。僕が虐めてるみたいじゃないか」

 

「ぐすっ……ごめんな、さい……っ」

 

「はぁ……もう止めようか? ミサキちゃんも泣きながらファイトなんて出来ないでしょ?」

 

「う、うぅ……」

 

 子供の様に泣きじゃくるミサキの様子に呆れ果てたタイゾウがファイトの中止を提案する。テーブルに手を付き、がっくりと項垂れるミサキは、そうする他に道は無いと思ってしまった。ミサキはもう、心がぽっきりと折れてしまっていたのだ。

 こんな自分がカードファイトを続ける資格なんてない……もうヴァンガードを辞め、二度と近づかない方が良い。思い上がった自分の愚かさと不甲斐なさ、そして両親との思い出を自分自身で踏み躙った絶望感にミサキは心を支配されていた。完全にひび割れて砕け散った心は、もう彼女の力では修復出来なくなっていた。

 

(シンさんやカードキャピタルの皆には悪いけど、もうヴァンガードから離れよう……デッキも返して、ここにももう来ない様にするんだ……)

 

 ぽたり、ぽたりと垂れる涙と共に、ミサキはヴァンガードを辞める覚悟を固めつつあった。心の底から精力が果て、もう何もする気になれなかった。

 心の中を占めるのは後悔と罪悪感ばかり、デッキを作ってくれたシン、ファイトの相手を続けてくれた『カードキャピタル』の客たち、そして、調子に乗って不快な目に遭わせた『E-ROSS』の男性たちに対する謝罪の気持ちでミサキはの心は一杯だった。

 死んだ瞳で手札をテーブルの上に置き、ユニットたちに手を伸ばすミサキ。心砕けた彼女が、それらを掴んで片付けようとした、その時だった。

 

「逃げるなよ、ミサキちゃん。ファイトを続けるんだ」

 

「え……?」

 

 背後から投げかけられたその言葉にはっとして振り返ったミサキが見たのは、自分の目を真っすぐに見つめるゲンの姿だった。彼は、心が折れたミサキへと励ましの言葉を送ってくれている。

 

「そこで逃げたら、何もかもがお終いだ。本当の意味で、ミサキちゃんはヴァンガードやそれに関わる人たちに顔向け出来なくなる。そんなのダメだろ?」

 

「でも、アタシ……弱いくせに調子乗って、思い上がってて――」

 

「最初は誰だって弱いよ。それに、若さゆえの思い上がりなんて俺たちにだってあったさ! それは誰もが通る道なんだよ!」

 

「でも、でも……っ! ゲンさんや皆に、嫌な思いを沢山させたし――」

 

「そんな事はないさ! 俺たちはミサキちゃんとファイト出来て楽しんでるよ! 勿論、エッチな意味でもだけどね」

 

「えっ……!?」

 

 ゲンの言葉に間抜けな声を漏らすミサキ。あれほどまでに傲慢で、ゲンたちを下に見ていた自分の態度が不快では無かったと言われ、彼女が唖然としていると――

 

「そうそう! 気にすんなよ、ミサキちゃん!」

 

「ミサキちゃんのエロボディを見るのも楽しいけど、段々と実力をつけてく姿を見るのも俺たちの楽しみなんだって!」

 

「むしろ、俺たちが加害者だろ? ミサキちゃんに毎回セクハラしてる訳だし……」

 

「言えてる! 未成年が主演のAV制作なんて、バレたら100%警察案件だよな!? ゲンさんヤバいんじゃないの!?」

 

「それは言うなって! ったく……な? ミサキちゃんのことを嫌ってる奴なんて、ここには一人もいないんだよ。皆、ミサキちゃんのことが大好きなのさ」

 

「え? え? え……っ?」

 

 笑顔と、励ましと、温もりと……ゲンを始めとした男たちの優しい対応に触れたミサキは、困惑しながらもそのぬくもりに心を癒していた。自分自身が苛立たせていたとばかり思っていた彼らは、ミサキに対して非常に好意的に接してくれている。そのことが理解出来ないながらも、ミサキは自分の体に指先から段々と熱が戻って来る感覚を覚えていた。

 もしかしたら……自分はまた勘違いをしていたのかもしれない。調子に乗って、自分たちのことを馬鹿にするミサキのことを『E-ROSS』の客たちは嫌っていると思っていた。そんなミサキをファイトでコテンパンにし、辱めることで鬱憤を晴らしているのだと本気で思いこんでいた。しかし……そんなことはなかった。彼らはミサキへの好意故のスケベ心と、ファイターになりたての彼女を優しく見守る大人としての対応でミサキに接してくれていたのだ。

 考えてみればそうだ。彼らのお陰で自分は強くなれた。色々な辱めも受けたが、最初の一回を除いてそれは全て自分が納得した上でのことだ。彼らは、ミサキが嫌がることは殆どしていない。基本的にミサキの同意を得たこと以外はやっていないのだ。そのことに気が付いた瞬間、ミサキの心はほんのりと高揚を感じ始めた。幼い頃に感じた父性、早くに両親を亡くしたミサキが心のどこかで常に求めていた感覚を感じたミサキの心が感覚を取り戻し始めたのだ。

 

「頑張れーっ! ミサキちゃ~ん!」

 

「大事なのは諦めずにやり遂げることさ!」

 

「ファイトを楽しむことが一番大事だぞ!」

 

「頑張れ、頑張れ、ミ・サ・キ! フレーッ! フレーッ! ミ・サ・キ!」

 

「あ、あ……っ♡」

 

 自分の周囲にいるファイトを見守る観客たちから励ましの叫びが届く。諦めるなと、逃げるなと、厳しくも優しい男性たちの声援にミサキの瞳から涙が零れた。その涙は感情を失う悲しみの涙ではなく、ミサキの心にぬくもりを与える温かな涙……感激の涙だった。

 

(アタシ、馬鹿だ……! また、全部を投げ出そうとしてた。全部から逃げて、投げやりになろうとしてた……!)

 

 両親を事故で失った時と同じ、全てから逃げ出したあの時と同じだ。ごく最近に立ち直るまで、ミサキはずっと弱い自分から目を背けて生きて来た。ヴァンガードと出会い、少しずつ自分とも向き合い、自分自身を変えようと、変わろうと努力すると決めたはずだった。なのに、また自分は逃げようとしていた……ゲンたちの声援が無ければ、きっと逃げ出してしまっていたいだろう。しかし、もうそんなことはしない。

 強くなりたい……ミサキはそう思った。ファイトの腕前だけでは無い、本当の意味での強さを身に着けたいと心の底から思った。それならば、ここで逃げるわけにはいかない。そうだ、このファイトをお膳立てしてくれた江島やゲン、声援を送ってくれる男性たち、そして自分に教えを授けてくれるタイゾウのため、ひいては自分自身が強くなるために、逃げてはいけないのだ。

 

「タイゾウさん……急に泣き出してごめんなさい。でも、もう大丈夫です!」

 

 涙を拭い、強い心を取り戻したミサキは光を湛えた瞳をタイゾウへと向ける。先ほどまで弱り切っていたミサキが、今までで一番強い姿を見せていることに驚きを隠せないタイゾウに対し、ミサキは自身の想いを表明した。

 

「アタシ、もっと強くなりたい! だから諦めない! 宣言します! アタシは、さっきまでの弱いアタシと決別するために、次のターンのタイゾウさんの攻撃を防ぎ切ってみせる!」

 

「……言うじゃないか。なら、その覚悟が本気だってことを証明して貰おうか。ちなみに、今、君に挿入されているバイブは、ダメージが増える度に振動も抽挿も激しくなる。その状態でまともなプレイングが出来ると思うのかい? 感じる君の姿は、ここに居る男たち全員に視姦されているわけだが?」

 

「わかってる! でも、アタシはそんなことを気にしない! それに今日に限って言うなら、視姦されても……♡♡♡」

 

 自分が追い込まれれば、淫らな姿を晒すことはミサキも理解していた。だが、そんなことに一々心を乱されていては、いつまでも精神的に弱いファイターのままだ。それを乗り越える強さを身に着けるには、その快感と恥辱を耐えきるしかない。

 それに……ミサキは、自分を励まして心を救ってくれた男たちに対して、感謝の気持ちを抱いていた。いつもはスケベでセクハラばかりしてくる男たちだが、今のミサキには自分を優しく見守ってくれる父親の様に見えていたのだ。そんな彼らは自分がいやらしくなればなるほどに喜んでくれる。なら、今日だけは彼らに思いっきり自分の淫らな姿を見せつけてやるのだ。それが、男たちへの感謝の気持ちの証明ともなるのだから。

 

「……どうやら本気みたいだね。なら、少し時間をくれ。集中力を切らせてしまったから、ここからどう動くのかを考える時間が欲しい」

 

「構いません。アタシも泣いて無駄な時間を取らせてしまいましたから」

 

 ミサキに了承を取った後、タイゾウは自分の手札とフィールド全体を見て考えを巡らせ始めた。彼の頭の中では、ここからどのユニットにライドし、どうリアガードを展開して、どの様に攻めを繰り出すのか? その戦略が凄まじい勢いで計算されているに違いない。ミサキもまた集中を高めながらタイゾウの長考が終わるのを待っていたわけだが……そんな彼女の下半身、特に尻は、リズミカルに上下に揺れていた。

 

「んっ♡ ふっ♡ ふぅっ♡ んんっ♡」

 

 じゅぷり、じゅぷり……随分と淫らな水音を響かせる膣は、バイブによって蕩けさせられていた。最初の頃よりもずっと強い快感を感じるミサキの口からは、甘い声と吐息が絶え間なく溢れ出ている。ぷるぷると震えるミサキの尻と快楽に染まった表情はスタジアムの中にある大型スクリーンに映し出され、余すことなく男たちの前に曝け出されていた。

 

「おほ~っ! ミサキちゃん、エっロ! まんこ大洪水じゃん!」

 

「お尻もピンク色で、バイブの抜き差しに合わせてぷるぷる動いちゃってるし、顔も凄くいやらしいよ! マジエロ過ぎでしょ!?」

 

「うっさいなぁ! ごちゃごちゃ言わずに黙って見てなよ! 集中できないじゃん!」

 

「お……? ってことは、ガン見しても良いんだね!? ミサキちゃんの尻も胸も、感じてるエロ顔も、バイブ突っ込まれてるエロまんこも!」

 

「……今日だけは良いよ。好きなだけ見なよ! あの、その……今日だけは、感謝してる、から……♡」

 

「いやっほうっ! んじゃ、遠慮なく!」

 

「うっは~! 本当に良い体してるよなぁ……! AVで見るのも良いけど、やっぱ実物が一番だぜ!」

 

「ば~か! これはイメージなんだっつーの! でもま、普段から裸と変わらない格好してるか……?」

 

「だ~か~ら~! ……ごちゃごちゃ言うなって言ってんの! 好きなだけ見て良いし、どうせ撮影もされてるんでしょ? 今日だけは開き直るから、ファイトに集中させてよ!」

 

「「「は~い!」」」

 

「まったく……しょうがない大人たちなんだから……っ♡♡♡」

 

 男たちの視線が自分の尻に、そしてバイブを咥え込む性器に集中していることを感じ取ったミサキは、何とも言えない高揚感に体を震わせる。自分から見ても良いと言うのは初めてだ、そのことが自分をここまで興奮させているのだろうか? 答えは出ないが、その疑問について深く考えるつもりも無い。ロボットに捕まれている脚と腰は心なしか男たちに突き出される様な格好になっており、より見やすい体勢になっている気がしていた。

 

「おおっ……! ミサキちゃんのケツ穴、見えたぜ……! ひくひくしちゃって可愛いなぁ!」

 

「まんこもぐちゃ濡れでとろとろじゃねえの! あそこにちんこ突っ込んだら気持ち良いだろうなぁ……」

 

「くぅっ♡ んんっ……♡ もう、何言っても黙ってくれないじゃん……♡ わかった、諦めるよ♡ アタシのエッチなところを見て、好き勝手言ってなよ……♡ はうぅっ♡」

 

「おおおぉぉぉっっ!!」

 

 見られている、強い視線を感じる……肌に突き刺さるほどの男たちの視線は、ミサキの興奮をさらに高めていた。口々に囁かれる卑猥な言葉も、耳に残る下卑た笑い声も、全てがミサキの官能を煽っている。バイブの快感とはまた違う気持ち良さを感じ、背筋を震わせたミサキの膣からは、白く濁った本気の汁が勢い良く噴き出して来ていた。

 

(潮噴き……? アタシ、見られてイっちゃったの……? そんな、露出狂みたいなことでイクなんて、変態じゃん……♡)

 

 そんなことを思いながらも、今のミサキの心の中には嫌悪感も拒否感も無い。男たちは自分の痴態を見て喜び、自分は男たちに見られることで快楽を得ている。男たちに視姦されることを承諾した今のミサキにとって、何も問題がないどころかお互いに得しかないこの状況はまさに望み通りという奴だ。

 

(今日だけ、だから……♡ こんなことを許すのは今日だけ……♡ 明日からは怒るし、場合によっちゃ蹴り飛ばしてやるんだから……♡)

 

 こんな痴態を晒すのは今日だけだ。今日は男たちに助けられた。励まされ、慰められ、大事なことを教えてもらった。だから、これはその感謝の気持ちだ。今日だけは恥ずかしい姿を好きなだけ見せて、彼らに喜んで貰おう。明日からはいつも通りに抵抗すれば良い……蕩けた思考でそう思い、見られる快感とバイブの抽挿による快感で愛液を垂れ流すミサキ。しばらくの間、彼女は男たちの前で尻を震わせ続けていたが……ついに、タイゾウの長考が終わる時がやって来た。

 

「待たせたね……それじゃあ、ライドから入ろうか!」

 

「はいっ! よろしくお願いしますっ!!」

 

 今までとは気迫の違うタイゾウの様子に負けぬ様、ミサキも大声で返事をする。一気に膨れ上がった緊張感の中、タイゾウは攻めの布陣を整え始めた。

 

「ライド、『アシュラ・カイザー』! ギフトで得た『アクセル』サークルと空いている前列のリアガードサークルにそれぞれ『バーストライザー』をコール! 最後に『カスタムライザー』をコールする!」

 

 次々と手札からユニットをコールするタイゾウ。ギフトで得た『アクセル』を使い、攻撃ユニットを4体揃えた後、本気の攻めをミサキへと繰り出していく。

 

「まずは『アクセル』サークルの『バーストライザー』でアタック!」

 

「ガード! 『オラクルガーディアン ニケ』!」

 

「続いてブーストを受けた2体目の『バーストライザー』でアタック!」

 

「それもガード! 『サークル・メイガス』!」

 

 最初にぶつけられた攻撃をトリガーユニットで防ぎ、2発目もまた防御する。2枚の手札で2回の攻撃を防いだミサキに対し、観客たちからどよめきが上がった。

 

「3体目! 『ハイパワードライザーカスタム』っっ!」 

 

「『スフィア・メイガス』でガード!」

 

 3回目の攻撃も見事に防ぐ。これでリアガードの攻撃は凌ぎ切ったが、まだヴァンガードである『アシュラ・カイザー』の攻撃は残っている。しかも、『ノヴァグラップラー』が本領を発揮するのはここからなのだ。

 

「……良いのかい? これでミサキちゃんの手札は残り2枚だ。たったそれだけの手札でここからの攻撃を凌ぎ切れるとでも?」

 

「ええ……凌いでみせるっ!」

 

「なら、やってみせなっ! 『アシュラ・カイザー』でアタック時、2体の『バーストライザー』の効果発動! コストを支払って両者をスタンドさせるっ!」

 

 自らの効果で再び攻撃態勢にはいる『バーストライザー』。その雄姿につられたのか、後衛の『ライザーカスタム』も共にスタンドし、再びブーストの構えをとる。そう、これが『ノヴァグラップラー』の真骨頂である再(・)ス(・)タ(・)ン(・)ド(・)に(・)よ(・)る(・)連(・)続(・)攻(・)撃(・)だ。これにより、タイゾウは1ターンに5回もの攻撃を可能としたのである。

 しかも、彼の猛攻はこれで終わらない。『アシュラ・カイザー』のアタックに際し、タイゾウはユニットの更なる効果を発動した。

 

「ツインドライブ、ファーストチェック……グレード3『パーフェクトライザー』をゲット! これにより『アシュラ・カイザー』の効果発動! コストを支払って『ハイパワードライザーカスタム』をスタンドさせ、パワー+10000!」

 

 なんと、驚くべきことに最後の前列リアガードをスタンドさせてしまったタイゾウは、再びリアガードたちによる強烈な連続攻撃の体勢を整え切ってしまった。しかも、それだけでは終わらない。二枚目のドライブチェックで捲れたのは『フロントリガー』、前列全員にパワーを10000+するトリガーだ。

 

(『アクセル』サークルの『バーストライザー』はパワー29000。リアガードサークルの方はブースト含めて27000。最後の『ハイパワードライザーカスタム』は、アシュラ・カイザーの効果を受けて29000。対してアタシが使えるシールドは、インターセプトを考慮してもたった5000……このままじゃ、全ての攻撃を受けてしまう!)

 

 瞬時にパワー計算を行ったミサキは、結論を出すと同時に青ざめた。手札に残っているカードはどちらもグレード3のユニットであり、シールド値0のこのカードたちは防御に使うことが出来ない。つまり、ミサキに残されている防御手段はフィールドに残る『サイレント・トム』によるインターセプトのみだけだ。たったそれだけでは、攻撃を防ぐことは出来ない。しかし、それでもダメージは5……敗北には一歩届かないのだ。

 凌ぎ切れるはずだ……そう思いながらも、ミサキはどこか安全を確信しきれずにいた。何かを忘れている様な気がしてならない彼女であったが、『アシュラ・カイザー』の攻撃によってダメージを受けた瞬間、その思考は霧散してしまう。

 

「うあぁあぁぁあぁあぁぁっっ♡♡♡」

 

 ダメージが2になった途端、ロボットアームの動きが早くなり、バイブの振動も激しさを増したのだ。十分に解きほぐされていたミサキの膣はその快感に大きく反応し、ミサキの体を一直線に突き抜ける衝撃と共に彼女を絶頂へと導かせる。子宮を貫くほどの快感に息も絶え絶えになるミサキであったが、ロボットアームは彼女を絶頂させても動きを止めることはなかった。

 

「はうぅううぅぅうぅっっ♡♡♡ しびれるうぅうぅっっ♡♡♡ アソコがっ♡ びくびくって、とまらないぃっ♡♡♡」

 

 追撃を受け、ダメージを3に増やしたミサキは、ロボットアームがまたしても責めの強さを増させたことに背中を仰け反らせながら叫んだ。バイブの震えは地震でも起きているのではないかと思うほどに強く、抽挿で響く水音はとても大きくなっている。これ以上はもう強くならないだろうと思いながらも、ミサキがその先の快感に期待をしていると――

 

「あぁああぁあぁああぁっっ♡♡♡ うそぉっ♡ イボ、なの……♡♡♡ はあぁぁああぁっっ♡♡♡ ごりごり、してるっっ♡♡♡ アタシのナカがっ、こすられてるぅっっ♡♡♡」

 

 ダメージが4になったミサキは、バイブの周囲にイボの様な突起が出来上がったことを膣壁の感触から感じ取っていた。激しい動きでイボ付きバイブを動かされれば、膣襞の1枚1枚を凄まじい勢いで快感が駆け抜けていく。しかも、その快感が去る前により深い快感を与えられるものだから、ミサキに気の休まる暇は一瞬も無い。イって、イって、イキ続けて……淫らに叫びながら涙と愛液を垂れ流すだけだ。

 

「んおおぉおおぉおぉおぉっっ♡♡♡ ドリルっ♡♡♡ まわっちゃだめえぇぇええぇっっ♡♡♡ イボつきバイブ超振動させながらドリルピストンらめええぇええぇぇええぇっっ♡♡♡ こわれっ♡♡♡ アタシのおまんここわれちゃうぅぅうぅっっ♡♡♡」

 

 そしてダメージ5……ミサキを責めるバイブは全ての機能を開放し、容赦なく彼女を快楽の地獄へと叩き込んだ。抽挿、ドリル回転、イボ、振動……その全てで責め立てられるミサキは、何度もアクメを繰り返してアヘ顔を晒し続けている。愛液は止まる様子がまるで見えず、肛門もひくついたり締まったりを繰り返して体の反応を顕著に表していた。

 

「イクっ♡♡♡ いぐぅぅっ♡♡♡ イクのとまらないっ♡♡♡ だれかとめてえっっ♡♡♡」

 

 『ノヴァグラップラー』の連続攻撃よろしく絶頂を迎え、終わらないイキ地獄に疲弊していくミサキ。しかしこれでミサキは攻撃を防ぎ切り、次のターンを迎えられる……はずだった。

 

「……残念だったね、ミサキちゃん。やはり君はここまでだ」

 

「あ、へ……?」

 

 働かない頭が警鐘を鳴らす。快感によって纏まらなかった思考が、タイゾウの言葉でようやく働き始めていた。そうして、ミサキはある事実に気が付いて愕然とするも時すでに遅し、タイゾウは淡々とカードを動かし、効果の発動を宣言していた。

 

「『ハイパワードライザーカスタム』の効果、攻撃がヒットした時、カウンターブラストと『バトルライザー』をソウルに入れることでリアガードをスタンドさせられる……僕は『アクセル』サークルの『バトルライザー』を選択し、スタンド! そのままアタック!」

 

「あっ……!? ぐぅぅっ!!」

 

 このターン中で3度目の攻撃の時を迎えた『バトルライザー』は、ミサキが防げないほどの力を持って彼女に突撃を仕掛けて来た。どう足掻いても無駄なこの状況の中、ミサキは何も出来ずにその攻撃を受けることしか出来ない。

 6回目のダメージ、それは決定的な一撃だった。ロボットたちに体を支えられていなければミサキはその場に崩れ落ちていただろう。目から涙を零し、悔しさに唇を噛み締め、ミサキは嗚咽と嬌声を口から漏らす。

 

「あ、あぁっっ♡♡♡ 守り切るって、決めたのにぃっ♡♡♡ くや、しいっっ♡♡♡ んいぃぃっっ♡♡♡ あ、はあぁあぁあっっ♡♡♡」

 

――ぱしぃんっ♡ ぱしぃんっ♡

 

 今までよりも前傾姿勢を取らされたミサキの尻に、今まで彼女の腰を支えていたロボットたちの腕が変形した鞭が叩き付けられた。何処か小気味良い打撃音がファイトスペースに響き、それに負けないミサキの嬌声が部屋の中に響き渡る。

 

「おしりぃぃっ♡♡♡ ぶたれるの、気持ち良いっ♡♡♡ おまんこ無茶苦茶にされながらおしりぶたれてっ♡♡♡ 悔しいのに凄く気持ち良いっっ♡♡♡ ああぁっ♡♡♡ 悔しいっ♡♡♡ 恥ずかしいっ♡♡♡ でも気持ち良いっ♡♡♡ 気持ち良いよぉ……っ♡♡♡」

 

――ぐちゃっ♡ じゅぷっ♡ ぶしゅぅっ♡

 

――ぶっ♡ ぶぶっ♡ ぶぅうっ♡

 

――ばっしぃんっ♡ ばっしぃいぃんっ♡

 

 膣を掻き混ぜられる音が、緩んだ肛門から屁が噴き出る音が、尻肉を鞭で打たれる音が、そしてその快感が……ミサキの体の内部で何度も反響する。ミサキの肉体を形作る肉、骨、細胞の一つ一つにまでその快感は染み渡り、ミサキの心の中を快感で染め上げていく。

 ミサキは快感を感じる心を止められずにいた。そして今までで一番の屈辱と快感を同時に感じていた。悔しいのに気持ち良い、気持ち良いのに悔しい……そんな相反した感情がミサキの心を支配し、どっぷりと禁断の快楽に彼女を浸していく。

 いつまでもいつまでも、ミサキは快楽責めを続けられていた。もしかしたらこれが自分への罰なのかもしれないと彼女が思い始めた頃、呆れた様子でタイゾウが呟く。

 

「……まさか君、気が付いてないのかい?」

 

「んひぃいぃいっ♡♡♡ 気が付くって、なに、ぉおおぉおおぉっっ♡♡♡」

 

「はぁ……自分のダメージゾーン、見てごらんよ」

 

「あへ……? あへぇぇ……っ♡♡♡」

 

 タイゾウの言葉に従って視線を下に向けたミサキは、目を丸くしながら絶頂した。捲られていた6枚目のダメージカードは、何とヒールトリガーだったのだ。ミサキは九死に一生を得て、次のターンを迎えることが出来た。自分自身でも信じられない幸運に驚くミサキであったが、観客たちはミサキに対してやんややんやの大喝采を送ってくれている。そして、あのタイゾウすらもニヒルに笑ってミサキに褒め言葉を口にしていた。

 

「やったぜミサキちゃん! 宣言通りに防ぎ切ったぞ!」

 

「ミサキちゃんの気迫が生んだトリガーだぜ!」

 

「まさかここでヒールトリガーを出すとはね……正直に言って予想外だったよ」

 

「どうだい、ミサキちゃん? これだからヴァンガードは止められないだろう?」

 

「あ、ああ、あははははっ♡♡♡ あはははははははははっっ♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 自身の宣言通りに攻撃を耐え凌いだこと、多くの男たちが自分のファイターとしての力を褒め称えてくれていること、ぎりぎりで幸運を掴み取ったこと、そして未だに下半身を快楽漬けにされていること……それら全てが混じり合い、ミサキの精神を幸福感で染め上げた。多幸感に体を震わせ、だらしなくも幸せそうな表情を浮かべるミサキの脳内では、この興奮の全ての原因が暴れ始めている。

 

(認めて、もらえた……っ♡♡♡ ただのラッキーだけど、それでも……アタシをファイターとして、認めてくれたっ……♡ 嬉しいっ♡ 嬉しいッッ♡♡♡ 嬉しくって……イクっっ♡♡♡♡♡)

 

 負け続け、下に見られ、初心者だと言われ続けて来たミサキ。そのミサキが初めてファイターとしての力を評価された。それがまぐれだとしても、圧倒的な実力を持つ者に褒められて喜ばない人間はいない。しかも、今のミサキは男たちに対する感謝の気持ちと快楽で胸がいっぱいであり、その2つが混同して幸福と快楽を同じ物として扱っていた。

 

(そっ、か……♡ 頑張れば、認めて貰えるんだ……♡ 頑張って、強くなって、力を示せば……皆、褒めてくれるんだ♡ 気持ち良くなれるんだ……っ♡♡♡)

 

 諦めなければ、努力し続ければ、賞賛して貰える。そんな当たり前のことを今まで気が付けないほど、ミサキの周囲には彼女を褒める人間がいなかった。頭では分かっていても、それがどれほど嬉しい物なのかを彼女は知らなかった。そして、性の快楽と与えられたその幸福感をここで味わい、一瞬にして虜になってしまった。

 

(もっと褒められたい……♡ もっと頑張ろう……♡ 負けても、良いや……♡ 恥ずかしい目に遭っても、良い……♡ また褒めて貰えるなら、それで良い……♡♡♡♡♡)

 

 そうして、ミサキは快楽と混合した『褒められる幸福』に夢中になってしまった。彼女はその幸福を求め、ヴァンガードファイトの腕前を上げる決意を固める。江島へのリベンジを果たす以外にも『彼らに認められたい』という願望が生まれてしまったミサキは、機械責めに遭う膣と尻を揺らして男たちに見せつけながら、蕩けた笑みを見せた。

 

「アタシのターン、イキますね……♡ んんっっ……♡♡♡」

 

 バイブで掻き回される膣から潮を噴き出し、淫靡に微笑んだミサキは、幸福と快楽、そして自らの強さを求め、タイゾウとのヴァンガードファイトにのめり込んで行ったのであった――。

 

 

 

 

 

 

 

 結局、ミサキはタイゾウに勝つことは叶わなかった。しかし、今までに無い気迫と根性を見せたミサキに対し、『E-ROSS』の男性客は誰もが惜しみない賞賛の言葉を送ってくれた。恥辱を受けながらもその歓声に気を良くしたミサキはイメージの押し付けと連続絶頂によって疲れ切った体を休め、シャワーを浴びて身形を整えた後、初めて『E-ROSS』を上機嫌で後にして、家に帰って来ていた。

 思い返すのはファイトの興奮と機械責めの快感、そしてファイターとして認められた時の幸福感だ。食事の支度をするシンの背中を見ながらも、ミサキは頬が緩むことを隠すことが出来ない。きっと彼は自分こんな表情を見たら「なにかいいことでもあったのかい?」と聞いて来るだろうが、本当のことなど言えるはずも無かった。

 

(もしかしたら、あの人たちも案外悪い奴らじゃない……のかな?)

 

 自分に世話を焼き、励まし、褒めてくれる『E-ROSS』の男たちに対してそこまで思ってしまうほど、ミサキは彼らに心を許し始めていた。良い人間は女子高生にあんな真似をするはずがないのだが、普段の聡明さを失ったミサキの脳は茹ってへんてこな結論を出してしまっている。少しすれば冷静になってくれるのだろうが、心の奥底に刻まれた幸福感は決して消えることはないのだろう。

 そうして、シンが料理を終える頃にいつものポーカーフェイスを顔に張り付けたミサキは、彼と食卓を抱えながら一つの話題を切り出すタイミングを計っていた。他愛のない学校の話や、ヴァンガードについてのことを話した後、ミサキはシンにその話題を切り出す。

 

「ねえ、シンさん。ちょっとお願いがあるんだけど……」

 

 どうしたんだい? と聞いて来るシンに興奮を悟られぬ様に必死に心を落ち着かせる。心臓の音は大きく脈打ち、背中の汗は滝の様に流れているが、そんなことをおくびにも出さない様子で、ミサキはシンに頼みごとを打ち明けた。

 

「……5月2日なんだけどさ……ちょっと、学校サボっても良いかな……?」

 

 高揚する気分と、湧き上がる絶頂感を堪えながら、ミサキはシンの回答をただ待ち続けた。

 

 




文章の書き方やストーリーのアドバイス、またこの様なデッキがあるよ! と言う情報があればどしどし送って下さい。
現状、新アニメをベースに書いており、そのストーリーが読めないため、オリジナルの展開と言う物はそこまで作らないつもりですが(ここまで書いといて何を言っているんだというのはお忘れください)、大筋に関わらない程度のリクエストも募集しております。
皆様の知恵をお貸しください。では、また次回に!
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