※この作品はR-18です。

【とある魔術の禁書目録】敵役なりのジンテーゼ -Kihara-   作:白滝

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これが最終章なので、少し長くなってます。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

あとがきにて、ちょっとした小話や裏話などしたいと思います。

追記:誤字が多くて申し訳ありません。気付いた限りは修正致しました。


終章 敵役は敗ける All_Bad_End(?)

 駆動鎧(パワードスーツ)の右拳を引く。

 警備ロボットを操作している時とはまるで違う、まるで遊離の手足そのものかのような感触を掴む。まるで産まれた時からこの姿であったかのような、違和感のない事に違和感を感じてしまう程に操作が脳に馴染んでいた。

 第七位の戦闘を思い出す。

 グチャグチャグチャ!!と、脳が電極で掻き回された。

 視界が明滅した。激痛で思考が霞む。脳内信号が狂い、なぜか耳鳴りが響いた。

 そう、脳を壊しているのだ。脳の形を変えてしまうという暴挙とも思える発想を、実現させてしまう狂気のシステム。幻生の『木原』が垣間見える。

 壊れゆく脳と引き換えに、自分の寿命と引き換えに、能力を発現させる。

 掲げるは根性。

 目指すは根性。

 貫きたるは我が根性。

(理屈なんてどうでもいい!!とにかく奴の行動を思い出せ!!できうる限り模倣しろ!!その上で、暴れ馬なこの『Five_over』の『ランダム性』に、指向性を与える!!)

 そうだ。

 脳をグチャグチャに変化させる原始的な方法では、偶然に発現される能力は必ずしも遊離がその時に必要としているものとは限らない。攻撃したい場面で、防御の能力が発現してしまう可能性だってある。

 それを含めた第七位の『ランダム性』の再現なのだから。

 ならばそれに、指向性を与える。

 予測不可能な第七位の行動パターンを推測し、前代未聞な現象を既知の理論と思い込む。

 だからこそ、考えるべき事は考えない事だ。

 イメージと直感に身を任せる。

 引いた拳に思いを乗せた。

 放たれたるは―――――――――

 

『――――――すごいパーンチ!!』

 

 遊離の一声と同時。

 衝撃波が駆け抜けた。

 天井をぶち抜いて亀裂を広げ、呆けて棒立ちしていた恋査を叩き飛ばす。

 まるで大砲を打ち込んだかのような爆発音が部屋を蹂躙した。

 地下五階の天井に衝突した恋査が、そのまま突き破って地下四階まで吹き飛ばされる。

「(ぃ、ぁ――――――――ッッ!!)」

 恋査の呻き声は風にまぎれた。

 余裕は与えない。

 遊離は床を蹴り、ひとっ跳びで上の階へと跳ね上がる。

 そのまま、落ちていた薬品ビンを拾い、恋査に投げつけた。

 脳がグチャグチャと掻き回され、遊離の脳が壊れる。ズキリ、という激痛が走り、一瞬、自分が何をしているのか分からなくなった。

 脳細胞が壊れ、記憶障害が生じ始めているのだ。

(っと、危ねー危ねー!こりゃ、早くしねえと人格まで壊れんぞ!?)

 慌てて頭を―――というか、脳を――――ブンブンと振り、正気を取り戻す。

「遊離お兄ちゃんが元気になった!!私を殴ってくれたぁ!!あハ、あハハハハッッ!!」

 恋査が意識を取り戻す。

 歓喜の声を叫ぶ恋査だが、結局のところ、それは『恋査』の言葉でしかない。

 心の底に眠る『木原相殺』の声を、遊離はもう知っているのだ。上っ面だけの『恋査』の声には、もう耳を傾けない。

 脳細胞の喪失と引き換えに、遊離が能力を手に入れる。

 対する恋査も、編み棒を展開し直し、能力を切り替えた。

 恋査へ飛来する薬品ビンに向けて遊離が殺意を念じた直後、薬品ビンの中身が突如沸騰し、爆発が起きた。

 薬品ビンの中身はただの緩衝液だったのだが、科学的にあり得ないはずの急な突沸によって体積が膨張し、まるで手榴弾の如くガラスの破片を撒き散らす爆弾と化したのだ。

 間近で破裂したガラスの破片が恋査に牙を剥く。

 いくらサイボーグ化された人工義体であろうと、この威力であれば損傷を免れない。

 それを、

 

 轟ッ!!と。

 

 純白の光線が吹き散らした。

 第四位の『原子崩し(メルトダウナー)』。

 ガラス片をまとめて蒸発させ、そのまま純白の光線が遊離に飛来する。

 攻守を一手で行う圧倒的な制圧力。

 破壊力において超能力者(レベル5)随一と評される『原子崩し(メルトダウナー)』の死の光線に対し、遊離が起こした行動は単純だった。

 

 ジャンプして、迫り来る光線の上に乗る。

 

 

「………は?」

 

 ただ、それはそんな簡単に描写できるような規模の現象ではない。

 電子を『粒子』と『波形』の中間の状態で固定させるという事は、質量という概念の存在しない物質の上に乗った、という事だ。

 物理的に、科学的にあり得ない。

「な、どうやって!?」

『根性に決まってんだろ!!』

 第七位の能力は未だ尚、当の本人である遊離さえ見当をつかないが、それでもある程度は遊離の意志へと指向性を与える事に成功している。それが確認できれば、あとは何も考える必要ない。必要なものは、根性なのだから。

 恋査が放った純白の光線の柱の上を、遊離が全速力で駆け上がる。

 慌てて恋査が背中の編み棒を展開する。

 光線の柱が喪失する前に、遊離が上の階へ向けて跳ね上がった。

 それは既に音速。

 一瞬後には、遊離は恋査の目の前で拳を振りかぶっていた。

「はや―――――――ッッ!?」

 編み棒の展開が間に合わず、恋査が咄嗟に両腕を組んで盾にする。

 

 しかし、振るわれた拳が恋査を捉える事はなかった。

 

 恋査の一メートル手前で、遊離の拳が空振りする。

(なっ―――――――――――――ッッ!?)

 遊離が驚いた原因は、恋査が何か能力を使ったからではなかった。そもそも恋査は何もしてない。遊離が勝手に攻撃を空振りしただけだ。

(遠近感覚が狂ってきてんのか!?)

 そう。

 脳細胞を壊しながら脳構造を変形させて『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』を強引に書き換えるこの『Five_over』は、その結果の代償として脳機能を喪失させていく。遠近感覚ならまだいい方で、視覚や聴覚の喪失、記憶障害や人格崩壊、言語機能の喪失なども引き起こされる可能性もあるのだ。

(……道理で『prototype(試作機)』って訳か。第一位から第六位までは、理論上では『Five_over』の製造が可能っつー実験データが出てやがる。だからこそ、幻生の興味は実現の怪しい第七位の製造に向いたって事かよ。ハッ……『木原』ってのはどいつもこいつもクソキモイ感性してやがんぜ)

 遊離の攻撃が空振りに終わる。

 その一拍の隙を、恋査は逃さない。

 くるりと遊離に背中を向けた。

 編み棒の展開は終わっていた。不気味なラフレシアが能力を切り替える。

「こんな事をするのは、遊離お兄ちゃんだけなんだからね!!―――――――くぱぁ」

 そのラフレシアの中心がぱかっと開き、中から純白の六枚の翼が飛び出してきた。

(――――第二位の『未元物質(ダークマター)』ッッ!?)

 質量保存の法則を無視した、莫大な一撃……いや、連撃が遊離を襲う。

 ボクシングのフックのような軌道を描く六枚の翼が、空中で身動きの取れない遊離を鎌のように切り裂いた。

 いや、突き刺さった。音もなく、火花も散らさず。

 まるで蚊が痛みもなく皮膚に針を突き刺すように、駆動鎧(パワードスーツ)型の『Five_over』に、直径一五センチメートルはあろう太い純白の翼が突き刺さったのだ。

 落下する遊離の『Five_over』から、恋査は純白の翼を引き抜く。

「どう?気持ちよかったぁ、遊離お兄ちゃん?」

 六枚の翼で貫かれた駆動鎧(パワードスーツ)の外殻は、なぜか全く損傷はなかった。

 まるで蚊が皮膚に針を刺したかのように。

 そう。

 この地球上、いや、銀河系に存在する全ての物質は、原子といった最小単位が結合し、組み上げられた構造体である。しかし、第二位が生み出すこの世に存在しない『未元物質(ダークマター)』には、原子などという構成単位の概念は存在しない。

 ならば、例えば金属結合の自由電子の移動を妨げる事なく『未元物質(ダークマター)』の粒子が移動する事ができるのであれば、外殻を傷つけずに『Five_over』の中身だけを攻撃する事ができる。

 つまり、盾を傷つけずに貫通して攻撃できる能力だという事だ。あらゆる防備を無効化する貫通力。

 どこまでも細分化でき、どこまでも最小化できる『未元物質(ダークマター)』の応用性にこそ為せる技である。

 遊離が扱う第七位の圧倒的な『非科学』に対抗し、恋査も第二位の絶対的な『非科学』を以てして対応しようとしたのだろう。

 しかし、

 

『甘ぇーんだよ、ボケ』

 

 死んでいなければおかしいはずの人間の声を聞いた。

 第七位の能力は、木原遊離の『根性』は、そんな程度では終わらない。

 無表情だった恋査の表情に、初めて驚愕の色が浮かぶ。

 脳がすり潰されて液状化してもおかしくはないはずの『Five_over』の中の遊離の脳が、声を発する。

『どれだけこの世の物質ではなかろうが、あくまでも物理法則に縛られ、起きる現象を歪める程度の第二位と違って、第七位の能力はそもそも物理法則に縛られねえ!!「木原」たる俺でも解析できず、あの幻生でもこんな擬似的な欠陥品しか作れない程になァ!!』

「ど、どうやって!?絶対に遊離お兄ちゃんの脳ミソを潰したはずだよぉ!!どうして!?」

『よーく俺の駆動鎧の開閉口を見てみろよ』

 言葉に促されるように、恋査は『Five_over』の透明な開閉口に目を凝らした。

 そこには、

「脳ミソが、捩じれてる………ッッ!?」

 つまり、脳ミソをツイストするように捩じって、六枚の羽根の攻撃をアクロバットに回避した、という事だ。球体系である人間の脳を、細長くS字に捩じって回避したのだ。

「ちょ、ちょっと待ってよ!!有り得ないよ、そんな能力!!それってつまり、脳ミソを自分で壊したって事じゃん!!何で喋れて、何で生きてるの!?」

『そういう風に根性を出したからだっつーの』

 理屈なんて知らない。ただ、今起きている現象を敢えて説明するというのならば、脳構造が崩壊しても、第七位の不可思議な能力で存命させている、という事だ。

 能力によって壊れた脳を維持している。その事実はつまり、脳と能力の主体の逆転現象を意味している。どちらがマスターでどちらがスレーブかも不明確な、『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』の定義が危ぶまれる程に異質な能力。

 馬鹿げている。

 話にもならない。

 子どものラクガキような発想だ。

 しかし、その圧倒的に意味の分からない現象を、第七位はどこまでも理不尽に再現する。

 もはや非科学に近い領域で、決定的に異質に。

 そして言われてみれば、確かに第七位『削板軍覇』は、どんな攻撃を受けても「痛い」と喚くだけで、無傷であった。ある種、その再現とも取れる。

 大胆不敵に遊離は告げる。

『そして、たった今、お前の弱点も分かったぜ』

 地下五階へと落下していた遊離が、再び床を蹴って頭上へ跳ね上がる。

 慌てて恋査は編み棒を展開し直す。そのまま、手近に転がっていた金属片を拾おうとした。

 しかし、それを『超電磁砲(レールガン)』として射出するよりも早く、遊離が恋査に追いついた。

 磁力のレールを伸ばす余裕はなかった。

 恋査は方針を変更して、一〇億ボルトの雷撃の槍で遊離に牽制を行う。

 それを、遊離は拳で叩き落とした。

「な―――――ッ!!」

『こいつは別に驚かねーぜ。那由多からできるって聞いてたからな』

 遊離の『Five_over』が蹴りを放った。

 ゴッシャァァァアアアア!!と、金属が凹む凄まじい音が炸裂した。

 恋査が錐揉み状に吹っ飛んだ。

 いくつもの実験台の上を跳ね転がりながら、ホワイトボードに激突して止まる。

「ぐゥ!!……わ、私の弱点!?ないよぉ!!ないって薬味おばあちゃんが言ってたもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんん!!」

 恋査が再び編み棒を展開しようとする。

 しかし、遊離はもはや間合いを詰めようとはしなかった。ゆっくりと駆動鎧の腰を低く落とし、右拳を引く。

『お次は第六位ってか?……「木原」の癖に思考が丸分かりなんだよッッ!!』

 恋査が第六位の能力に切り替わるよりも早く、遊離の『Five_over』が正拳突きを放った。

 

 轟ッッ!!と、衝撃波が駆け抜けた。

 

 吹っ飛ばされた恋査が部屋を四室もぶち抜いて、病院の端の壁へと衝突して崩れ落ちた。義体であろうが、損傷は避けられないダメージだ。

 遊離は恋査に歩み寄りながら、高らかに語る。

 今も能力と引き換えに脳構造を破壊し激痛で気がおかしくなりそうだが、第七位の不可思議な能力によって、なんとか存命させている。

『お前は確かに第一位から第六位までの能力を再現できている。そういう点ではあのババアの実験は成功していると言える。でもな、一つ一つの能力の切り替えに時間がかかり過ぎてんだよ。そのタイムラグが命取りになる』

 欠陥品の第七位の試作機程度で、その能力を対応し切れる程に。遊離は既に、恋査の扱う能力の全てを第七位の能力で圧倒してみせた。

「そんな事、ないもん。そんな、事、……ないもん」

 悔しそうに歯をギシギシと軋ませる恋査は、唾を吐きし散らしながら必死に喚く。

『大人しく諦めろよ、恋査。そして、今から救ってやるからな、相殺』

 遊離が歩み寄る。

 遊離は悲しみの目を向けていた。

 もはや顔なんてなく、表情もなく、目と耳と脳だけの姿となった現状でも、悲壮感が伝わるような何かを諦めた視線を向けていた。

「強いもん!!」

 恋査がバンバンと床を叩き割った。

「恋査は強いんだもん!!」

 悪足掻きのように、編み棒が展開される。不気味に織りなされたラフレシアが、能力を切り替える。

「恋査は……恋査は強いんだもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」

 ふっと、遊離は諦めた。

 楽に殺してやりたかったが、抵抗を示すのであればそれは難しい。

 駆動鎧(パワードスーツ)の拳を握りしめ、恋査に突撃する。

 右腕を振り回し、正拳突きを繰り出した。

 

 

 そして、

 

 直後、吹き飛ばされた。

 

 

『………あ?』

 

 駆動鎧(パワードスーツ)の右腕がひしゃげて、千切れ飛んでいた。

「あハ、あハは、あハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 恋査が笑い声を響かせる。

 理解が追いつかない。

 一体何が、と言いかけて、気づいた。

 そう。

 遊離は確かに恋査の切り替える能力にことごとく対応して見せた。

 しかし、未だ対応できていない能力がある。

「能力の切り替えにラグがあるなら、もう変えなきゃいいんだよぉ!!ぎゃハハ!!遊離お兄ちゃんじゃ絶対に勝てないィ!絶対に勝てない一番強い能力でぇええええええ!!あぎャハハハハッッ!!」

 そう。

 それは、第一位の『一方通行(アクセラレータ)』。

 この世全てのあらゆるベクトルに干渉し変換する、学園都市最強の能力者にして、おそらく、科学によって進化してきた人類の中で最も強い男。

 生態系のピラミッドの頂点に立ち、玉座に居座り続ける不動の覇者。

 もはや核爆弾でも死なないと噂される程に絶対的な、その最強の能力。

『クッソ…ッッ!?』

 恋査が傍に落ちていたコンクリート片を拾った。

 慌てて遊離は身を翻す。

 しかし、身を隠そうと隣の部屋へ遊離が飛び込むよりも早く、恋査が指で弾いたコンクリート片が『Five_over』の左足を貫いた。

 その速度は、既に第三位の『超電磁砲(レールガン)』を超えていた。あまりの速さに、空気抵抗でアスファルト片が空中で粉々に散り、残された衝撃波がそのまま遊離に被弾したのだ。

『ぐ、ゥッッ!?』

 駆動鎧(パワードスーツ)の身体が壊れる事に、別に痛みなんてない。

 第七位の摩訶不思議な能力を発揮するために『Five_over』で脳を自壊させる方がはるかに激痛だ。今更になって自分の身体の有無など頓着しない。

 だが、逃走の足を失ったのは致命的だった。

 片足となってバランスを崩す遊離を追うように、

 

 ダゴン!!という低く重い爆音。

 

 砕けた床の剥き出しのコンクリート鉄筋をさらに踏み潰し、恋査がロケットのように廊下を突き抜けた。脚力のベクトル変化だけではない。その背には、強大な暴風の竜巻のようなものが四つも接続されている。

 遊離が慌てて回避行動を取ろうとし、次の瞬間には目の前に腕を振りかぶる恋査を見て即座に防御に移る。

(――――いくら何でも速すぎんだろォ!?)

 例え遊離が五体満足だったとして、お得意の『免疫崩壊(フィードバック・クライシス)』で肉体をブーストしたとしてもこの運動性能は得られないだろう。

 圧倒的な速度。

 そして、

「どうしたの遊離お兄ちゃんッッ!?さっきまでの威勢はどうしたのぉ!?私を殺してくれるんじゃなかったのぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」

 鍵爪のように開かれたまま振るわれる手は、破壊を撒き散らす必死の一撃だ。

 まるで空間を抉るかのような攻撃の威圧感に対し、遊離はとっさに両手を前に突き出した。腕を組んで盾にするガード姿勢とも違う。両手をジャンケンのパーのようにしっかり開き、その掌を見せつけるように突き出しているような格好。

 目の前に壁があるように振る舞うパントマイムのような滑稽な姿を、恋査が襲う。

 

 そして恋査は次の瞬間、ゴギン!!という金属がぶつかるような異質な衝突音を響かせ、遊離の目の前に本当に発生していた不可視の壁に衝突した。

 

 第七位の『Five_over』で作り出した不可視の壁を盾にしたのだ。

 恋査の手が不可視の壁に阻まれ、遊離の数十センチ手前で止まる。遊離は歯を食いしばり、恋査の攻撃を何とか受け止める。

 だが、しかし。

 バゴッッッ!!!と、その壁さえも破壊されてしまう。

 壁が爆発して余波が遊離を叩き飛ばす。

『ごっ、がァぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』

 自らの能力で自らを傷つけてしまったようなものだ。

(う、ぐゥぅぅうううう………ァあ、ハァ、ハァ……だが、これでいい!こうでもしなきゃ、恋査の攻撃は凌げていなかった!これは必要なリスクだった!!)

 その上で、吹き飛ばされて床を転がりながらも遊離は天井に向けて拳を振るう。

 拳から放たれた衝撃波が廊下の天井を数十メートルに渡って砕き、瓦礫が雨のように雪崩落ちた。

「効かないよぉ、そんな事ぉ!!」

 しかしそれでも、第一位の『一方通行(アクセラレータ)』を有する恋査の前では、雨のように降り注ぐ回避不能な瓦礫の雨も、その肌を裂く一因とはならない。

「ほらァ!ほらほらァ!ほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらァぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 むしろ、逆効果と言えた。

 肌を裂くはずだった瓦礫の雨は、恋査の肌に触れた瞬間にその向き(ベクトル)を変え、まるで銃弾のように遊離へ向けて発射されていく。あまりの速度に瓦礫自身が耐え切れず、粉々に砕けて衝撃波だけが銃弾として瓦礫の雨を突き進んでいく。

 飛来する衝撃波は途中の瓦礫の雨をやすやすと砕きながら弾丸のように一直線で遊離を襲い、『Five_over』の駆動鎧を削り飛ばしていく。

 だが、それは遊離の計算の内だ。

 第一位の『一方通行(アクセラレータ)』を目の前にして攻撃を防ぐ手段など存在しない。

 この能力を攻略するなら、自動防御能力『反射』を一瞬でもいいから貫通し、一撃で昏倒させる奇襲しかない。

 だからこそ、ここで遊離が取るべき行動は「逃走して隠れる」の一択だ。

 天井を崩壊させたのも、攻撃ではなくそのための目晦ましに過ぎない。

 『一方通行(アクセラレータ)』はその強大すぎる威力のせいで瓦礫を粉砕してしまい、遊離との間に大量の粉塵のカーテンを作ってしまっていた。

(どんな遮蔽物を用意したって、『一方通行(アクセラレータ)』の前では無意味。なら、目晦ましで逃げるしかねーのは当然の流れだっつーの!!)

 そのために、衝撃波の弾丸も甘んじて受けた。

 恋査が風の向き(ベクトル)を掌握して灰色のカーテンを吹き払うよりも早く、遊離は片足でジャンプし、崩壊させた天井の上、つまり、上の地下三階へと避難する。

 片足でケンケンする要領で進み、適当な一室に隠れる。

 下の階で、突風が吹き荒れる轟音が響いた。恋査の挑発するような雄叫びが聞こえてくる。

 遊離を見失ったようだ。何とか隠れる事に成功はできたらしい。

 この時間を有効に使わねば、木原遊離に勝機は無い。

(さーって、第一位の『一方通行(アクセラレータ)』。どうやって攻略するかねー……?)

 正攻法で突破するのには無理がある。

 『Five_over』で自壊させている脳も負担が大きく、もはや死ぬまでは時間の問題だ。

 この少ないタイムリミットの中で、恋査に発見されるまでずっと隠れ続けているだけの寿命が遊離はないのだ。

(考えろ!)

 第一位の『一方通行(アクセラレータ)』。

 最強のベクトル変換能力、そして、それが織りなす攻撃の自動『反射』能力。

(考え、ロ!!………あ、レ…………?)

 そこで、遊離の思考にノイズが走った。

 第七位の能力で脳を延命させる状態も、限界がきているらしい。

 と、そこで、

 

 チッ、チッ、チッ、チッ…

 

 と、時計の秒針が針を刻むような、タイマーのような規則的な音が『Five_over』の駆動鎧の中に響いた。

(いや、「ような」じゃねえ!!マジで秒針の音だ!!幻生のクソ野郎、情報の隠蔽のために爆弾を仕込みやがったなァ!!)

 脳機能に一定以上の損傷がみられた場合などに、時限式の爆弾を駆動鎧に積んでいたのだろう。

 遊離が恋査に勝利したとしても、いずれ訪れる脳の崩壊に伴ってタイマーが起動して『Five_over』が粉々に爆散する。遊離が恋査に敗北すれば、脳機能の損傷を検知してタイマーが起動し、遊離の死体(と言っても脳だけの姿だが)ごと『Five_over』を粉々に爆散させる。

 勝っても敗けても、どのみち死ぬ運命だったのだ。

(『脳機能が損傷して勝っても敗けてもどのみち死ぬ』なんて生易しい展開を幻生が用意する訳がなかった!!『勝っても敗けても爆弾で殺す』ってやり方が奴らしい残酷なやり方じゃねーか!!)

 考えてみれば当然だった。

 もし遊離が死んだ後に『Five_over』の機体が病院内に残っていたら、幻生の通信記録が残ってしまい、薬味に『Five_over』の技術を盗まれてしまう。

 この事件の真相たる『Sythesis5(ジンテーゼ:ファイブ)』作戦は、黒幕である幻生が事件の蚊帳の外で安楽椅子に腰をかけ、濡れ衣を着せられた遊離が第七位の『Five_over』に搭乗して『恋査』と殺し合い、幻生が実戦データを秘密裏に測定する、というものだ。

 脳波を測定してタイマー起動する爆弾を仕込んでおけば、この事件の唯一の真相を知っている遊離を殺す事ができるし、『Five_over』の技術漏洩の心配もなくなる。

 一石二鳥だ。

(舐めやがってええええええええ!!この俺を舐めやがってええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!)

 後悔しても、既に遅い。

 幻生の掌の上でピエロに甘んじる遊離に、今さら他の選択肢なんてない。

 結局、遊離は最初から最後まで幻生の見えない糸に操られていただけだ。

 しかし。

 それでも変えられる事実はある。

「おい、音が近いぞ!!」

 廊下を研究員達が走ってくる音が聞こえてきた。偽のアナウンスで地上に誘導していたが、地下から響いた爆音にさすがに勘づいたらしい。それとも、薬味から指示があったのか?

「すぐ下じゃないか?」

「引いた方がいいんじゃあないか?」

「薬味院長からの命令だ!とにかく新兵器『恋査』に加勢しろ!」

「ありったけの警備ロボットを前衛に、銃で弾幕を張れ!!俺達が木原遊離を足止めさせて、『恋査』のチャンスを作るんだ!!」

 それでも、変えられる事実はあるのだ。

 誘導された選択肢の先に残酷な運命を敷かれていたとしても。

 いつだって行動を起こし、可能性を示すのは黒幕ではなく操られた駒自身なのだから………

 

 

 

 地下四階の部屋を全てぶち壊した時点で恋査は気付いた。

「あ、遊離お兄ちゃんは上の階へ逃げたのか!?」

 灰色の粉塵のカーテンを吹き払った直後、てっきり遊離は近くの部屋に飛び込んだのかと恋査は考えていた。

 しかし、いつまで経っても部屋から遊離が現れる事はなかった。おかげで、全ての部屋の壁や器具や機材やらを粉々にぶち壊してしまった。

「む~~~!!遊離お兄ちゃん!!隠れてないで出てきて死んでよぉ!!」

 恋査が頭上の地下三階へと飛び上がる。

 そこは巨大な冷蔵室だった。

 部屋には透析に用いられる機材のような大型の循環器が鎮座しており、輸血用の血液にATP濃度を馴染ませ、一般では一週間しか保存のきかない血液を半永久的に保存できるよう学園都市の技術の粋を集めた一台で数億を超える貴重な機材であったりする。

 また、循環器にはまるで瓶詰め工場ようにベルトコンベアで輸血パックが機械によって詰め替えられており、五日間ごとに輸血パックが循環を受けるよう機械で完全管理されていた。

 と、着地したそんな部屋の数十メートル先に、循環器の上に遊離の『Five_over』が仁王立ちしていた。

「あれ?遊離お兄ちゃんなら、奇襲でもするのかと予想してたけど?ヤケになったのぅ?」

『ハッ、笑わせんなよ。勝機もなしに俺達「木原」が敵の前に顔を出すかよ。テメェに勝算があるように、俺にも勝算があるんだよ――――――見つけたぜ、「一方通行(アクセラレータ)」の対抗策!!』

 言いながら、足で循環器を踏みつけた。

 循環器が破裂して、大量の血液が撒き散らされる。警報のアラームが病院内に響き始めた。

「なにそれ、遊離お兄ちゃんにしては面白くない冗談だね。私、遊離お兄ちゃんは結婚したい程好きだけど、そういうジョークのセンスがないところはあんまり好きじゃないよぉ?」

『ジョークかどうかは、テメェの手で確かめてみな』

 堂々と佇む遊離を前にして、恋査は若干の焦りを感じた。

(『一方通行(アクセラレータ)』に弱点なんかない!!無敵!!この能力を敗れる奴なんていない!それは、第七位にだって同じ!!)

 そうだ。

 第一位は無敵にして絶対な最強の能力。核さえ凌ぐ恐ろしい防御性能を誇る。

 それの、攻略法、だと……?

「じゃあやってあげる!私が、この手で、遊離お兄ちゃんを幸せに(ぶっ殺)してあげるぅ!!」

 恋査の身体が低く沈み、砲弾に遊離に向かって駆け出した。両者を隔てた数十メートルが、ものの二、三歩でゼロまで縮められた。

 まるで水面を跳ねる飛び石のような動きで、恋査は遊離の懐へと潜り込む。二人の間にあったベルトコンベアを紙屑のように引き裂き、弾き飛ばしながら、迫る。

 恋査の両手が合わせられる。

 まるで手錠に繋げられたように手首を合わせた両の双掌が、遊離の『Five_over』の開閉口目がけて勢い良く突き出された。

 そのまま駆動鎧(パワードスーツ)をぶち抜いて遊離の脳を鷲掴み、破裂させようという悪魔のような発想。

 それを、

 

 ビキキキキキキキキキキキキキキキキィィィィィィィ!!と。

 

 氷結音が縛った。

 

「―――――は?」

 という声は、そもそも口から出なかった。既に全身が凍り付いていた。

 脳内の血液さえ凍り始め、演算に支障が出る。

 身体が凍り付き、『一方通行(アクセラレータ)』の能力を発動できないまま遊離の駆動鎧に直撃してしまう。二人はゴロゴロと床を転がった。

「(な――――――ぜ―――――――!?)」

 という思考も回らない。そもそも、脳内を循環する血液さえ凍りつき、演算を行える状態ではないのだ。

 凍り付いた恋査と共に床に倒れ伏し、遊離は思う。

(確かに、第一位の『一方通行(アクセラレータ)』は、運動、電気、熱――――この世全てのベクトルを操る。こいつの『反射』能力に隙はねえ!!)

 だが、それは正確ではない。

 運動。

 ここに付け入る隙などない。例え何かのトリックで『一方通行(アクセラレータ)』の反射膜を貫けたとしても、再演算される第一位の反射膜に対応するなど無理難題である。

 電気。

 ここにも付け入る隙などない。電子の移動さえ掌握する『一方通行(アクセラレータ)』は、そもそも電気量というスカラーさえ間接的に干渉できる程だ。

 

 ならば、熱。

 

 ある。

 

 これには、付け入る隙がある。

 先の二つとは違う、決定的に違う要素が、熱の移動ベクトルには存在するのだ。

 そもそもにおいて、熱量というスカラー量の移動に第一位の『一方通行(アクセラレータ)』が干渉できるのは、原子の運動ベクトルを操作するという間接的な方法を辿るからだ。一見すれば電気量のように電子の運動ベクトルを操作すれば自由に熱量に干渉できるようにみえる。

 だが、違う。

 熱量について考察するならば、この世にたった一つだけ、原子の振動による運動ベクトルが全く存在しない温度がある。

 

 それが『絶対零度』。

 

 -273.15℃。

 原子の振動エネルギーがゼロとなり、完全に動きを止まるその瞬間。

 原子振動のベクトルが存在しなければ、『一方通行(アクセラレータ)』で掌握する事もできないという事。

(第一位の『一方通行(アクセラレータ)』は拒絶の力と言ってもいい。自分に刃向う者に反逆する事はできても、自分から逃げる者を引き留める力などない。破壊する事はできても、守る事には向いていねーんだよ!!)

 遊離は恋査から逃走して部屋に隠れていた時、廊下を通り過ぎた研究者達を皆殺しにして、彼らの身体から電解質の体液を絞り抜いていた。それをこの部屋の循環器に大量にぶち込んで、輸血用の血液のNa+濃度やpHを遊離の脳内の血液と同じ濃度にさせていたのだ。

 そうなれば、操る事も容易い。この部屋一体の大気を自分の『身体』だと脳に錯覚させる。第七位の『非科学的な』能力を以てして、その原子の振動エネルギーに一気に干渉する。

「ま、だ………」

 だが、これは諸刃の剣だった。

 恋査だけではなく、当然、その場に居合わせた遊離自身も凍結してしまう。

 脳内に循環していた血液が、凍り付き始める。能力の演算を行う余裕がなくなる。

 激痛が走った。

(く、so……ガaぁ!!)

 第七位の能力で延命されていた脳機能が、崩壊した。

 もはや再び能力を使用する事など不可能。

 絶対零度を実現していた、第七位の能力が失われた。異常な気温が、元に戻る。

 第一位の『一方通行(アクセラレータ)』で干渉できるベクトルが生じる。

 凍り付いた表情の胸の内で、恋査が勝利を確信した。

 しかし、遊離からすれば、一瞬でも演算を奪えればよかった。

 そう。

 一瞬でいい。

 

 『遊離の脳機能が喪失した』と、『Five_over』に積載された爆弾が検知してくれれば、それでいい。

 あとは、爆弾が二人を死へと導いてくれるのだから。

 

(あバよ、相殺。コwaす事でしカオマエwo救eなkaッタけド、『木原』no癖ニ頑張ッタよnaぁ、俺。先ni地獄デ待ってruゼ……)

 直後、爆弾が爆発した。

 反射を取り戻していない恋査が、爆風に叩かれた。

 まるで軍用のC4爆弾でも積載しているかのような、高威力の爆風が恋査を吹き飛ばす。

 ビキビキビキッ!!とサイボーグの肢体がヒビ割れた。

 頭に搭載された木原相殺の視床下部が丸見えになる。

 爆発と同時、粉々に粉砕された『Five_over』の駆動鎧の破片も飛んできた。

(や、め―――――――――――ッッ!?)

 次の瞬間、破片が丸出しになった恋査の視床下部に突き刺さり、ぐちゅりと醜い音を立てて木原相殺の脳は恋査とともに死亡した。

 

 

 

 

 爆発の一瞬前。

 『Five_over』から転送されたきた実戦データの映像記録を解析しながら、木原幻生は自室のソファに腰をかけ、紅茶を啜っていた。

「ああ、こういう手段で恋査に対抗したのか。しかし、絶対零度において、原子振動のエネルギーがゼロとされるのはあくまで古典力学までの話。量子論が全盛のこの時代、不確定性原理からすれば『零点振動』と呼ばれる格子運動が起こっている事ぐらいは遊離君だって知っているだろうに」

 ニヤリと気持ちの悪い笑みを浮かべて、幻生は冷めた紅茶を美味しそうに啜った。

「ならば、第七位の能力は、古典力学と量子論をすり替えた、という事に他ならない。そもそも、『古典力学』も『現代で主流の量子論』も、科学法則をどういった視点で考えるか、といった差でしかない。たまたま、超能力の理論の証明が量子論の方が都合が良かったって事にすぎないからねぇ……」

 幻生は、普段は細い目をぱっちりと大きく開き、

「第七位の可能性というのは、その辺にあるのかもしれないねぇ……いやはや、遊離君はいい実験データになってくれたよ。感謝してもし切れないくらいだよ……ヒッヒッヒッヒッヒ………」

 

 

 

 全ての惨劇が終わった後、薬味久子は地下三階にて自らの兵器『恋査』の馴れの果てを見下ろしていた。

「薬味さんの『恋査』が破壊されるなんて……いくら相手が『木原』と言えど、信じられません」

 薬味の傍らに佇む男がそう呟いた。

「そんな同情なんて期待してないわ。暗部なら暗部らしく、余計な事情に首を突っ込まずに仕事に専念しなさい。どう?木原相殺の記憶は読み取れたかしら?木原幻生にまつわる情報なら、何でも構わないわ」

 男は、残留思念から情報を取得する読心能力者(サイコメトラー)だった。その能力を暗部に買われ、こうして事件後に殺された人間の死ぬ直前の心情を読み取るのを仕事としている。

「芳しくないですね。病院という死人が多い場所なので、ノイズが多いです。なので、本当に死ぬ間際の心情しか読み取れませんでした」

「それでもないよりいいわ。教えて頂戴」

 そこで、男は少し押し黙ってから、こう呟いた。

 

 

「『「恋査」に操られる私を助けてくれてありがとう、遊離お兄ちゃん。幻生おじいちゃんからは馬鹿にされてたらしいけど、私の中では、遊離お兄ちゃんはカッコいい主人公(ヒーロー)だったよ。今から私もそっち(地獄)に行くからね』、と。この子は幸せそうに、本当にただただ幸せそうに、死ぬ直前にこう考えていましたよ……」

 

 

 

 

 




という訳で完結です。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
私の3作目(「朝起き~」も含めていいなら4作目)ですね。
処女作である「Uncharted_Bible」は1年もかけて7.9万字くらいだったのに、今回はたったの3ヶ月で10万字も書けました。合間に気分転換として短編を書いてたので、けっこー努力してるんだなぁと、たまには自分を褒めてあげたくなります。
……まぁ、作品が面白いかどうか別として(汗)



以下、裏話。


・木原遊離について。
モブキャラを除けば、唯一のオリキャラです。
学生時代に理系だった方ならご存じかもしれませんが、「遊離アミノ酸」などは英語で「free amino acid」と訳されます。つまり、「遊離」って単語は『科学』的には「自由」って意味があるんですよね。「悪役にしかなれない配役」という『木原』の枠組みに縛られない、自由な存在という意味で名前を決めました。
一見するとハイスペックで「俺tuee」に見えますが、勝ってるのは名前のないモブキャラだけで、名前ありのメインキャラには全員にフルボッコにされていますwwそういった点は、「ハイスペックな割に噛ませ犬」な配役の禁書本編の「木原」らしい部分でもあったりします。

・免疫崩壊について
私が考えたオリジナル能力です。説明をうまくできずに悩んだのですが、理解できましたでしょうか?
本編で登場した『〇〇異常(スーパー〇〇)』、『増設(プラス)・〇〇異常(スーパー〇〇)』以外にも、『培養(ペット)・〇〇異常(スーパー〇〇)』という、狂犬病やマラリアなどを自分に感染させて、敵にも接触感染させる、という技もあります。ですが、削板さんが相手だと地味な演出になりそうだったので没案となりました……

・木原相殺について
ひょっこり登場してヒロインかと思ったら、ヤンデレキチガイのラスボスでした。
「恋査-01」として遊離に立ちはだかります。
実はこのキャラはオリキャラではなく、新約4巻にて円周ちゃんの台詞に名前だけ登場します。
「木原」絡みの二次創作ではちょくちょく出て来ますよね、この子ww
恋査が第七位のファイブオーバーに敗けたのは、薬味が恋査の深層心理を抑え込んだ事で、彼女の「木原」が十分に発揮できていなかった、という背景があったりします。

・薬味久子について
新約7巻のような豹変シーンは、わざと作りませんでした。
それを作ってしまうと、それまで頑張ってキチガイ演出してきた遊離のキャラが一気にショボくなっちゃうからです(汗)
この二次創作は「薬味VS幻生」の構図だったのですが、やはり幻生に敵いはしませんでしたねww

・科学結社について
モブキャラ軍団その1です。
……が、禁書本編にもちゃんと登場しています。旧約8巻で結標さんが学園都市の『外』と繋がっていた機関こそが「科学結社」であり、黄泉川さんにボコボコにされてました。

・ブロックについて
ゲスト参戦です。
グループとアイテムは主人公サイド、スクールはイケメルヘン先輩のおかげで注目が集まる、メンバーはレールガンでおいしい悪役として登場。
「あれ、じゃあ、ブロックは……?」と思ったので、登場させたくなってしまいました。
本編では出番ナシの山手が、頭脳キャラとして復活ですww

・削板軍覇について
レールガンに参戦&上条さんとの共闘、おめでとうございます!!
レベル5の中では、一方さんの次であるみさきちの次くらいに好きです。
若干シリアスな展開だったのでうまく動かせた自信はないのですが、書いていて1番面白かったですww

・木原幻生について
「やはり黒幕だったか……ッッ!?」というキャラです。
この二次創作では、ファイブオーバーの研究にも手を出していたという設定で話を進めさせて頂きました。まぁ、なくもない展開だと思います。
それにしても、幻生はやはりチートくさい黒幕だなぁと書いていてしみじみと思いました。

・行間について
理性を捨てて進化を望んだのが科学サイド。逆に、理性を重視して進化を望まなかったのが魔術サイド、両方に染まらず中庸な姿勢なのが一般サイドって感じでしょうか?
こういうアイタタ哲学が大好きな人間なのですが、別にこの章で書いた事を本当に私が思っている訳ではありません。あくまで、演出として過激に書いてみただけですので、誤解なきようお願いします……

・細かい設定について
「免疫崩壊」システムを自身に組み込んだ遊離の体内の免疫グロブリンの代替装置(ナノデバイス)は、メンバーの馬場君が使っているものと同じヤツです。ちょっと種類が違うだけだったりします。
遊離の頭部を解体した「高温補助式シザー」は、PSPレールガンで空き地のカミキリムシこと実生好子が使っていた武器です。
病院内の警備ロボットに搭載されていたマシンガンの「粉砕式弾頭」は、旧約19巻で絹旗が六枚羽に使ったヤツです。
恋査が未元物質で死者の人形を作ったのは、一方さんVS垣根で垣根が妹達の人形を作ったアレの劣化版です。


……そんなところでしょうか。
また目途が立ち次第、新しい作品でも書きたいと思っています。
「朝起き~」は、うん……気が乗ったら書きます(汗)

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。
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