フローレンス・ナイチンゲール。
“光を掲げる貴婦人”、“クリミアの天使”等の異名を持つ看護師の祖。
一般的に知られる癒しのイメージ通り、カルデアでも治療班の指導を行っていた。
そして僅か一週間で、飛躍的に向上する質と引き換えに二桁を優に超える職員が過労と心労で意識を失う羽目になる。
小陸軍省。
ナイチンゲールの異名の一つである。
彼女は誰よりも献身的で、慈愛に満ち、そして不屈にして苛烈な女性だった。
倒れる寸前まで働き続け、倒れても働き続ける。
そしてその異常な献身を、至極当然のことであると他者にも求める。
更に、その知識は生前のものに強く偏っている。
心療や軽度の負傷であれば適切な治療を行うのだが、重症患者が運び込まれると患部の切断で対応しようとする悪癖を見せていた。
「右腕の負傷は激しく、切断が望ましい」
「ここも……駄目でしょうね。左大腿破損。生きているのが奇跡的です。やはり切断しかないでしょう」
「左脇腹が抉れていますが、これは負傷した臓器を摘出して、縫合すれば問題ないはず」
「大丈夫です。それでも生きられます。少なくとも、他の負傷者よりは遥かにマシです」
腕はいいが、必要のない切断手術を行おうとする。
彼女の最優先事項は生きることであり、つまりどうなろうと生きてさえいればいいという極論に走っている。
己がサーヴァントの身であるというのに、魔術を信用していないが故に治癒魔術も拒否。
バーサーカークラスで召喚されているが故に、他者の忠告を聞くことはありえない。
彼女は確かに優秀な看護師だが、彼女のせいで生まれた被害はすでに見過ごせない域に達していたのだ。
たとえそれが善意に満ちていたとしても、被害が出ているからには罰を与えなければならない。
“非常に協力的”な複数のサーヴァントの手を借りて、彼女を鎮圧する作戦が執行された。
「こうしていると、昔を思い出しますね……」
魔術師や魔女の力で意識を弄られたナイチンゲールは、施設内の清掃を行っていた。
多量の消毒液と掃除用具を手に、殺菌消毒を徹底している。
今は男子便所の中で一心に床や壁、便器を清掃していた。
「失礼」
今まさに男性職員が使用している小便器の縁を、ナイチンゲールは消毒液を染み込ませた布で拭いていく。
眼前に男の肉棒が突きつけられる形になるが、彼女は表情一つ変えていない。
「……ん?」
視界の端に映る肉棒に、そこでようやくナイチンゲールは意識を向けた。
激務でシャワーも満足に浴びていない男の肉棒からは、かなりの悪臭が漂っている。
「随分と汚れていますね、清掃と消毒を推奨します」
そう言うと同時に、ナイチンゲールは目の前の肉棒を躊躇いなく己の口に咥えた。
男の驚きに満ちた悲鳴は、あっという間に快楽に塗りつぶされる。
「ん、じゅ、るぅ……」
舌を這わせ、ナイチンゲールは男の肉棒を根元から先まで舐め回す。
皮の下にこびり付いた垢や尿道に残るアンモニアまで残さず己の舌で舐め取り、己の喉奥へと嚥下する。
「やはり汚れが溜まっていますね……忙しいのはわかりますが、清潔に保たなくては病気の原因になりますよ」
詰問するような口調も、その口で男根を舐め回していては淫靡な囁きにしか聞こえない。
「――ッ!」
ナイチンゲールにとっては清掃の一環だとしても、それはどう考えても口淫奉仕だ。
男は絶頂に達し、己の精液をナイチンゲールの口中へと解き放った。
「……ずいぶんと濃い。定期的な射精を進言します」
あくまでも事務的に、ナイチンゲールはそう告げる。
そして何事もなかったかのように、彼女は掃除を再開した。