神霊。
それは世界の伝承に語られる神々の総称である。
当然、その力はサーヴァントとは比較にならない。
通常であれば召喚すら不可能。
聖杯を超える力を持つのが神霊だ、彼らを召喚できてしまえば聖杯戦争など根底から成り立たない。
無論、何事にも例外は存在する。
イレギュラーに事故を重ね、偶発的に発生した特例。
このカルデアにも、二人、いや一人の神霊が召喚された。
ステンノとエウリュアレ。
ギリシャ神話に名高い地母神。
メドゥーサを含めた三姉妹で、彼女らは完全に同一の存在であった。
だが末妹のメドゥーサが誕生時のミスにより成長してしまい、個性を得た彼女たちは完全に同一の存在ではなくなった。
しかし性格や感性は同一、肉体も全く同じであるために両者の区別をつけることは非常に難しい。
閑話休題。
問題は、カルデアに神霊が召喚されてしまったという事実。
彼女たちを抑え込む術を、カルデアは一切所有していなかったのだ。
カルデアが追及していたのは、あくまでサーヴァントを使役する手段。
神霊の制御手段など、難易度が跳ね上がるどころの話ではない。
気まぐれで世界が滅ぼうとも、彼女たちは妖しく笑うだけなのだ。
カルデア職員たちは未知の未来に恐怖した。
「なんだいなんだい、ここに頼りがいのある大魔女がいることを忘れてはいないかい?!」
だから、それは誰も計算などしていなかった偶然だ。
つい最近、自発的にカルデアの備品へと堕ちた一人の魔女がここまで全霊でカルデアに助力するなど誰だって予測できるはずがない。
それは奇跡と呼んでもいいだろう。
神霊二柱を一切の死人なく制圧、無力化に成功したのだから。
「呼び出された神が君たちで助かったよ、これが天照大神やネルガルだったら流石に終わっていた。あくまでも君たちは守られるための神だ。直接的な戦闘力は無いに等しいからね」
制圧を完了した魔女は、歌うような声色で二人へと語りかける。
疲れたというように肩を大げさに回し、ふぅ、と大きくため息をついた。
「君たちの恐ろしさはあくまでも、男を惑わせる偶像として完成された存在であることだ。女である私に魅了は効かないし、油断した隙にその神格を封じ込めるだけでいい」
一発勝負の賭けだったけどね、と。
魔女はひそかに浮かんだ冷や汗を拭き取りながら二人へと近づいた。
ステンノとエウリュアレは、両者共に同じ拘束を施されていた。
言葉で惑わされないよう、口枷によって発言は封じられている。
四肢は神格を封じる魔女謹製の鎖で縛られ、おまけに魔力を遮断する首輪まで嵌められている。
神性と霊体化を封じられた彼女たちは、ただのか弱い乙女にまで弱体化していた。
「説得は不可能。無理やりに抑え込んだんだ、心象も最悪だろう? だから、この処置は当然というわけさ。安心したまえ、彼らはとても優しいからね」
魔女は笑って、二人を“定位置”へと配置する。
そこは使用禁止の札で常に封鎖された、男子便所だ。
個室の洋式便器に、ステンノとエウリュアレは縛られた。
二人は抱き合うように体を絡めさせ、下半身を突き出している。
用を足す恰好で座るステンノに、エウリュアレが覆いかぶさるような体制だ。
身に纏うドレスは当然剥ぎ取られ、二人の小さな胸や秘部が丸見えになっている。
魔女は二人の拘束を、より扇情的に映るように調整した。
ステンノの足をM字に固定し、半分寝転がるような深さで便座に座らせる。
右腕は左腕と。
左腕は右腕と。
右足は左足と。
左足は右足と。
ステンノとエウリュアレの四肢を繋ぎ合わせ、鎖を締め上げる。
エウリュアレの尻が必然的に持ち上がり、男を誘うように突き出された。
神霊の制御は不可能。
かといって、魔女の力で存在を抑え込み続けるだけではただ不利益にしかならない。
ならば結論は一つ。
彼女らはこのカルデアの備品として有効利用するために配置されたのだ。
今日も利用者は後を絶たない。
男は彼女たちに魅了され、その欲望を肥大化させる。
今日だけで二桁を超える職員の精を受け止めた二人の膣からは、大量の精液が零れていた。
病的なまでに白い肌は精液で全身が染められている。
口を塞がれ声も出せない状態だが、隙間からは弱々しい呻き声が絶え間なく漏れ聞こえていた。
コツン、と靴音が響く。
新たな利用者の来訪に、二人の体が小さく跳ねた。
個室の扉が開かれ、一人の職員が生臭い臭いに顔をしかめる。
気だるげな様子で脇に置かれたホースを持ち、蛇口を捻った。
「──ッ!」
「──ッ!」
勢い良く飛び出た冷水で、二人の体が洗浄される。
凍えそうなほどな温度の水は、痛いほどの勢いで彼女たちの全身を洗い流す。
神でもなければ、人の扱いでもない。
ただの備品として、彼女たちは扱われている。
ステンノの膣内に、ホースの先端が挿入される。
口端からは涎と共に呻き声が漏れ、彼女に与えられた刺激を物語る。
「ウ、グゥッ……!」
容赦なく再び蛇口が捻られ、噴き出た水がステンノの膣内を盛大にかき回す。
濡れた顔に溶けこむように流れた涙に、本人以外は気づかない。
「ひ、アァ、ひぃ……」
気を失う直前まで精神を削り取られた影響か、ステンノの股からは本人の意思とは関係なく黄色の液体が流れ落ちた。
理性だけでなく肉体の制御も満足に行えないことを証明するように、その液体はエウリュアレへ少量の飛沫を飛ばしつつ便器の中へと吸い込まれていく。
「ギ、ゥゥ……!」
同様にエウリュアレの膣も、乱雑に洗浄された。
涙と涎、それと新たに漏れだした愛液以外を綺麗に落とし、ようやく男はズボンを下ろす。
小さく細いエウリュアレの腰を両手で包むように掴むと、大きくそそり立った男根を彼女の膣へと一気に最奥まで挿入した。
「──!」
声にならない悲鳴。
急速に侵される体内の痛みに、何度も経験しているはずの体は慣れることがない。
体温を保つ自慰の道具として、エウリュアレは使用されていた。
「ウ、ウゥッ……!」
勢いよく放たれた精も、痛みに麻痺した感覚ではぼんやりと感じるだけだ。
何かが出たとしか感じない脳内も、薄れる意識に混じってうまく働かない。
そして己の意思とは関係なく、彼女たちの膣は一度の絶頂程度で男を離さない。
より強く締まる膣に、出したばかりだというのに男の肉棒はより固く勃起していた。
彼女たちは男に守られ、奪われ、犯される存在として完成している。
何度性交を繰り返そうとも、最上の肉体は劣化することなく男を受け入れ続けるのだ。
結局男はエウリュアレに四度、ステンノに三度の精を放つまでその欲を止めることはなかった。
「ふむ、そろそろ意識も朦朧としてきたか」
さらに数日が経過したころ、魔女は二人の前に立っていた。
もうこれは必要ないと、口枷を外し二人へ問いかける。
「まだ人の言語は話せるかな? いや、甘く見ていたよ。君たちが男へと放つ魅了の力をね。無意識に発動しているだけでこの有様だ。過剰な施設の利用で職員の作業効率は二割近くも低下したんだ。流石に上層部も見過ごせないみたいで、ここに来る回数と時間には制限がかけられた」
つまりは待遇の改善さ。
魔女は薄く口元を歪ませると、彼女たちを見つめ続けた。
「う、ぁぁ……」
「うぅ……」
ステンノもエウリュアレも、口が自由になったというのに人の言語を発することはなかった。
ただ虚ろな瞳を浮かべながら、涎と尿を垂れ流している。
完全に壊れた。そう確信したからこそ、魔女は彼女たちの拘束を緩めたのだが。
魔女は二人の体を縛る鎖を外すと、首輪に連結させた。
ペットのリードのようになった鎖の端を持ち、軽く引っ張る。
自由になった四肢を大地に預け、二人は鎖に引きずられた。
「もはや二足歩行も不可能か。君たちはこれから各所へ出向いて奉仕をするんだ。その方が効率がいい。反抗の危険がない以上、こんな隔絶された場所に置いても不便なだけだしね」
二頭の家畜を連れ歩く魔女。
頼りない四足歩行で魔女に追従するかつての女神の姿は、もう誰から見ても麗しき女神などとは呼べないだろう。
無論人のようにも見えない。
犬や猫でも過大評価だ。
甲高く呻き声を漏らしながらのっそりと歩くその姿は、まるで醜く吠えながら精という餌をねだる豚のようだった。