基本的に、カルデアでは協力的なサーヴァントほど優遇される。
反抗すれば罰を与え、従えば報酬を与える。
単純な飴と鞭は、単純であるがゆえに効果的だ。
酒や宝程度で英霊が従うのならばカルデアにとって願ってもない。
だが、一部サーヴァントは扱いに困る。
カルデアではなく、マスター個人に忠誠を誓っている場合だ。
英霊牛若丸や清姫はその例外的サーヴァントである。
彼女たちはマスターのために戦い、カルデアに協力している。
マスターが善良であったことはカルデアにとって幸福だった。
しかし、問題はマスターが彼女たちを制御できていないことにある。
過ぎた善意やすれ違い、時代の隔絶による価値観の相違。
そうした原因で起こるトラブルはいつも職員たちの頭を抱えさせる。
現在ではそうした一時的なトラブルには軽度の罰で対応していた。
乱暴に例えるなら、宿題を忘れた生徒を廊下に立たせるような形である。
彼女たちも反省はしているのだろう。
罰を粛々と受け入れ、それが終わればしばらくは大人しくなる。
まぁ、しばらくすれば同様の問題を再発させるのだが。
彼女たちはまたもや、軽度の問題を起こした。
故に罰を。
日頃から己を主に忠実な犬と呼称する彼女たちは、一日限定で犬となった。
カルデア内の廊下で、二匹の犬が散歩をしていた。
牛若丸と清姫は、四つん這いの恰好で廊下を歩いている。
服を一切纏わず、全裸の恰好。
牛若丸が白、清姫が黒の首輪を身に着け、尻尾を模したアナルビーズを尻穴に挿入しただけの姿で、二人は犬のように並んで歩く。
当初は彼女たちのマスターが手綱を握る予定だったが、むしろ喜びを感じてしまうという理由でマスターは待機。一般の職員が二人の首輪に繋がった鎖を握り、引っ張っている。
四つん這いで歩く二人の速度は極めて遅い。
慣れない動き、それも尻穴を刺激され続けている状態だ。
普通に歩いているだけの職員にもついていけず、結果彼女たちは鎖で首輪を引かれ、半ば引きずられるような形で進んでいく。
鎖の金属音が、静かな廊下に響く。
雌犬の荒い息、尻尾の振動音、ぺたぺたとした足音。
それらはとても小さな音だが、羞恥と興奮で感覚が鋭敏化している二匹の犬の耳にはとても大きな音に聞こえていた。
四肢を動かす度に体内でビーズが動き、彼女たちへ快楽を提供する。
決して強い刺激ではないのだが、敏感に反応する体が二人の歩みをさらに遅くする。
「これ、は……か、体、が……!」
「んっ……うぅ……!」
初めての感覚に、二人は戸惑ったように体をよじる。
顔を赤らめ息を荒げる姿に、職員の興奮が増していく。
服の下で膨張する己の肉棒を認識した職員は、鎖を手放すと二人を置き去りにして歩き出す。
遅れた側に罰を与えると宣告し、職員は早足で去っていった。
「──んッ!」
「――ひ、ぃぃ!」
同時に、二人の体内でビーズが振動を開始する。
突然の刺激に二人は四つん這いの恰好を崩し、地面へ倒れ伏してしまう。
陸に打ち上げられた魚のように踠く二人。
だがしばらくの後、両者は競うように前へと進みだす。
罰と、言っていた。
職員の笑みを見れば内容の想像はつく。
主以外に体を捧げるなど御免被ると、両者は四肢を動かし前へと進む。
もはや犬のように歩くこともできず、這うように二人は進んでいた。
「ふぅ、んぅ……!」
「あ、あぁ……!」
地面に擦れる乳首が、快楽を増幅させる。
まるで蛞蝓が這った跡のように愛液が地面に残り、雌犬の痕跡を残している。
彼女たちがゴールに到着する頃には、廊下は洪水のように濡れていた。
結局、罰を受けたのは牛若丸だった。
道中で絶頂し数分意識が途切れ、気が付いたころには清姫がゴールしていたのだ。
散歩中に眠ってしまった雌犬を躾けるため、職員は肉棒を露出させ牛若丸へと突き出した。
「ん、じゅ、うぅ……」
散歩を終えるまで、犬に拒否権はない。
躊躇いながらも牛若丸は肉棒を咥え、奉仕を開始する。
絶え間なく注がれる刺激で牛若丸の興奮は非常に高まっていた。
意図せずとも奉仕は激しさを増していく。
「──ッ! んん、んぐっ……」
あっという間に職員は射精し、牛若丸の喉奥に己の精を注ぎ込む。
命令通りに牛若丸はそれを一滴残らず飲み込むと、それを証明するために大きく口を開いた。
見目麗しい女を支配している感覚に囚われ、職員の興奮がさらに高まった。
しかしこれは仕事だ。
待機していた清姫に声をかけ、散歩が再開される。
丁度七割程度の散歩が完了したころ、おずおずと清姫が声を上げる。
「そ、その……どうも体が冷えてしまったようで……」
清姫はもじもじと体を揺らし、顔を更に赤く染めていた。
長時間全裸で活動したことで、尿意が高まったのだ。
幸いすぐ傍にトイレの入り口は見えている。
しかし今の彼女たちは犬なのだ、人間用の施設など使わない。
職員は清姫を廊下の端に誘導し、命令する。
予想はしていたのだろう。
清姫は諦めたように廊下の壁へと向かい、ポーズをとる。
四つん這いの体勢から片足を上げると、股から黄色の液体が溢れ出す。
「うぅ……!」
羞恥心と放尿による解放感。
それらが混じり合う感覚に、清姫の体が小刻みに震えていた。
マーキングを終えると、再び散歩が再開される。
犬へと近づく感覚に、清姫と牛若丸は恐怖を抱く。
だというのに、二人は確かに感じていた。
それから更に数十分後、ようやくゴールに到着した。
ようやく罰も終わりかと、二人はほっと息を吐く。
常に振動し続ける尻尾のせいで繰り返し絶頂していた二人は、強い疲労を感じている。
慣れることなど微塵もない羞恥の波は、二人の顔を茹だった蛸のように赤く染め上げていた。
職員は罰の終了を告げると、首輪を外し去っていく。
仕事を終え、別のサーヴァントで沸き上がった欲望を発散でもするのだろう。
もう犬のように這う必要もない。
二人は早速立ち上がろうとしたのだが。
「――あ、れ……?」
「な、なんで……」
立ち上がれない。
小鹿のように震える足は己の体重すら支えることができないでいる。
体を強引に起こしても、すぐにふらつき、無様に倒れてしまう。
長時間に渡る姿勢の強制は二人の体幹を完全に崩していた。
愛玩動物としての振る舞いは完全に肉体へと刻み込まれていたのだ。
焦って立ち上がろうとし、そして転んで振り出しに。
その様は赤子のようで微笑ましくもあるが、二人の表情は次第に青く染まっていく。
そう、もうすぐ夜が明ける。
予定以上に長引いた罰は日が変わっても継続されていた。
今は人気の無い廊下も、すぐに職員たちが現れるだろう。
つまり、大勢の前に現在の醜態を晒す羽目になる。
それだけは御免だと、二人の焦りは増していく。
だが現実は非情だ。
結局、彼女たちは無様な現状を寝起きの職員たちに目撃されることとなる。
二人の。いや、二匹の悲鳴が、早朝のカルデアに木霊した。