MOD盛り盛りのスカイリムでドヴァキンの従者プレイ~雇い主が万年発情期なんだが~ 作:Ingwelsh
プロローグ・1
The Elder Scrolls V: SKYRIM(ジ・エルダー・スクロールズ・ファイブ:スカイリム)。
通称、TESV、またはスカイリム。
販売元、ベセスダ・ソフトワークス。
ジャンル、オープンワールド・アクションRPG。
全世界で2,000万本以上を売り上げた、シングルプレイ専用ゲームとしては空前の大ヒット作。
発売から何年も経過した今なお愛される、長寿のゲームである。
このゲームは「MOD」という追加要素を導入することで、ゲーム性を大きく変えることが出来る。
デフォルトで存在しない魔法、武器、敵、種族の追加、機能の拡張、新しいマップやクエストの追加。
そしてアングラな領域だが、年齢制限がかかるコンテンツの拡張も数多い。そもそも残虐な表現がデフォルトの状態で随所にあるため、ゲーム自体に年齢制限がかかっているんだが。
俺――
興味の赴くままMODをバンバン導入し、自分好みのスカイリムを作り上げて、広大な大地での旅を楽しんでいる。
こう言うのも何だが、俗に言うケモナーというやつだ。獣人種族追加系のMODは、目についたものは軒並み入れている。
デフォルトだとタムリエル――TESの世界のことだ――にはカジートと呼ばれる猫獣人の種族しかいないが、俺の目の前に広がるスカイリムには、犬、狼、狐、ウサギ、ブチハイエナの獣人種族も暮らしている。
デフォルトのままではモフ度の足りなかった世界が、実にモフモフの充実した世界になっているわけだ。
そんな状態のスカイリム、俺は今日もキャラクターメイキングで頭を悩ませている。
このゲーム、美麗な3Dが売りなのだが、キャラクターの造形の細かさが凄まじい。MODを導入しなくてもかなり美しい世界を堪能できるが、突き詰めるとそれこそリアルマネーがいくらあっても足りない。
それは自分の操作するキャラクターにも言える話で、顔つき、身体つき、パーツの大きさや配置、非常に細かく設定できる。
インターフェースを改善するMODや、キャラクターメイキングを拡張するMODも導入しているので、調整できる項目はそれこそ山のようにあるのだ。
数十分悩んだ末に、俺の好みにドンピシャなキャラクターが出来上がる。
淡いオレンジの毛並みが鮮やかな、Lykaios――狼の獣人種族――の女性だ。
鋭く光る銀色の瞳と、たわわに膨らむ胸が官能的で、我ながら非常にそそられる。顔の右側面に施された戦化粧もクールだ。
そして出来上がったキャラクターに名前を付ける。名前は前から決めていた。スラスラと入力していく。
「……完璧だ」
完璧だ。口からこぼれた言葉を、脳内で反芻する。
MODの初期設定を済ませ、改めて独房に立つBeatriceの姿を眺める。粗末な衣服の下から除く毛に覆われた手足、豊かな尻尾、ピンと立った耳。
そのあまりの艶かしさに、早速痴態を演じさせたくなるが、ぐっとこらえる俺。こんな薄暗い独房に居させるより、まずは世界に旅立ってもらわねばならない。
ちなみに本来ならばこのゲームは、連行されて馬車で運ばれるムービーからスタートするが、これまたMODによってゲームの始まり方を変えている。
俺はBeatriceを操作し、独房内の女神像に話しかける。
女神の声の導きに従い、自分の行く末をBeatriceに選ばせる……今回は「馬車が襲撃され、取り残されてしまった」ことにしよう。
そして独房のベッドをアクティベートし、眠りにつかせる。これで導入は完了、ゲーム開始だ。
画面が暗転した後に、どこかの道端で壊れた馬車の傍で立ちすくむBeatriceが映る――その筈だった。
暗転したのは画面ではない。俺の視界だった。
刹那、身体全体に叩きつけられるような衝撃が走った。同時に両足に鈍痛が走る。
驚いて目を開こうにも、目が開けられない。なんだ、何が起きている!?
「……て……起き……」
ふと、微かに声が聞こえた。女性の声だ。若い女性……しかし何故だ。家には俺以外誰もいないはずなのに。
「ねぇ……生きてる……目を……」
声はだんだんと大きくなってくる。それに伴い、視界がぼんやりと明るくなってきた。目の前に誰かがいる。俺に呼び掛けているようだ。
そして突然、視界がバッと開ける。俺の視界が一番最初に捉えたものは。
「生きてるんでしょう、トージ! 起きなさい!」
淡いオレンジ色の毛並みに銀色の瞳、顔の右側面に戦化粧を施した、Lykaios。
俺の顔に鼻先をくっつけるようにして、俺に呼び掛ける、Beatriceの顔だった。