※この作品はR-18です。

MOD盛り盛りのスカイリムでドヴァキンの従者プレイ~雇い主が万年発情期なんだが~   作:Ingwelsh

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第16話:俺が帰るにはシャウトが必要なようです

~世界のノド~

 

 

「さて……トージよ。

 お主をこのMonahven(モナーヴェン)、世界のノドにわざわざ呼びつけた理由は他でもない。

 私は、お前がMeyz(メイズ) Wah(ワー) Lein(ライン)、この世界にやって来た瞬間を、この目で見たのだ」

「それは本当ですか!?」

 

 思わず顔を上げた俺の瞳を見つめ返して、パーサーナックスはゆっくりと頷いた。

 予想していなかった。俺がこの世界(ニルン)にやって来た瞬間を、ホワイトランの街道で目を覚ます前のことを、見ている者がいるなどとは。

 しかもそれを目撃していたのがパーサーナックスだったとは。

 パーサーナックスはその大きな頭をもたげ、青く澄み渡った空を見上げた。

 

「そう……あれは一週間ほど前のことだったか。

 いつものようにMonahven(モナーヴェン)、この世界のノドの頂上で瞑想をしていた私はShul(シュル)、太陽の光に混じって空から降ってくる光を見つけた。

 その光はふらふらと彷徨う様に揺らめきながらKeizaal(ケイザール)、スカイリムの大地へとゆっくり落ちていった。

 あの時見ていた私には分かる。あの光が纏っていたZii(ズィー)、魂はお前のものと同じだと」

「その降って来た光が、俺だと……あの、太陽の光に混じって(・・・・・・・・・)と仰いましたか?」

 

 俺はパーサーナックスが見上げる空、その空に浮かぶ太陽――この世界だとマグナスと呼ばれる――を眺めた。

 午前の空に輝く太陽は中天にかかろうとしており、その陽光を俺達の上から降らせている。

 パーサーナックスの瞳が太陽に向かい、糸のように細められる。

 

「Geh(ゲー)。マグナスはオブリビオンに開いた最も大きな穴だ。

 お前の魂はオブリビオンの向こう側、恐らくはエセリウスの向こう側から、Lein(ライン)、この世界に引きずり込まれた(・・・・・・・)のだろうと、私は見ている。

 それを成したのがエイドラか、あるいはデイドラか、そこは私の与り知るところではないが」

 

 そうして、独り言のように所見を述べたパーサーナックスの首がぐるりと動き、俺の方に顔が近づいてきた。

 間近に見るパーサーナックスの鱗はゲーム画面で見るよりも艶が無く、ざらついた質感で、細かな傷がいくつも付いていた。

 鼻息がかかりそうなくらいに顔を近づけたパーサーナックスが、ゆっくりと口を開く。

 

「トージよ。一つLoan(ロアン)、質問をしたい。

 お前は、お前の元いた世界、ニルンの外側の世界に、帰りたいか?」

「……はい」

「こちらの世界はお前にとって快適だろう。それでもか?」

 

 俺の心情を見透かしたかのような問いかけに、俺は言葉に詰まった。自然と頭が垂れる。

 確かに快適だ。俺の好みにも合致する、獣人種族も多くいる。結婚して所帯を持つならこちらの世界でもいいかもしれない。

 しかし、元の世界、地球にも、俺の生活があり、居場所がある。簡単に捨てるわけにはいかなかった。

 俺は俯き加減だった頭をぐっと持ち上げ、パーサーナックスの顔を再び正面に見据えて口を開いた。

 

「……はい、帰りたいです」

「そうか……ならばよい。教えよう。

 お前が元の世界に帰る方法だが、Thu'um(スゥーム)、シャウトを用いれば可能かもしれん」

 

 パーサーナックスから提示された答え(・・)に、俺は目を丸くした。もしかしたらぽかんと口も開いていたかもしれない。

 シャウト。主神アカトシュが与え、女神キナレスとパーサーナックスが人間にもたらした、声の力。声秘術。

 ドラゴン語によって紡がれるその稀なる力は強大な力を持つ。

 確か、ソブンガルデからスカイリムに帰還するシャウトがストーリー中でも使われていたはずだ。それを応用すれば、あるいは。

 

「『帰還』のシャウトがありますが、それを使えば帰れますか?」

「Nahl(ナール) Daal(ダール) Vus(ヴス)、か。私もまさにそれについて話そうとしていた。

 Nahl(ナール)は生存、Daal(ダール)は帰還、Vus(ヴス)はニルンを意味する。この三文字目、Vus(ヴス)をお前の元いた世界を表す単語に変えれば、帰還も叶うだろう。

 だが……」

 

 そこまで話して、パーサーナックスは目を伏せた。まるで何かを言い淀むかのような仕草だが、俺にはその理由がすぐに分かった。

 頭頂部にピンと立った耳を掻きながら、首を傾げる。

 

「俺の元いた世界は、俺にしか分からない、ということですよね」

「Geh(ゲー)。この世界の外側を表す言葉が、Lein(ライン)、この世界に存在するかすら、私には分からん。

 そもそも、エセリウスの更に外側に世界があり、そこから訪れる存在がいるなど、この世界の誰もが考え付かないことだろうからな。

 そしてさらに二つ、大きな問題がある。

 まず、人間がThu'um(スゥーム)を身に付けるには、長い、長い時間を必要とすること。そして境界を超えるほどのシャウトを身に付けるには、強大な力を有していなくてはならないことだ」

 

 非常に申し訳なさそうに頭を下げるパーサーナックス。

 そう、ドヴァキンが簡単にシャウトを習得し、すぐに使えるようになるせいでうっかり忘れそうになるが、本来人間がシャウトを習得するには、長い時間の鍛練と学習が必要なのだ。

 初めてドヴァキンがハイ・フロスガーを訪れた時に、グレイビアードからシャウトの講義を受けるのだが、その際にもアーンゲール師に「まるで師のように新たな言葉を覚えていく」「我々が数年をかけて鍛練する内容を、お前は僅か数日で覚えてしまった」と褒めてくれるではないか。

 

 俺はドヴァキン、ドラゴンボーンではない。別にアカトシュに選ばれたりしているわけではない、(変身能力こそ持っているが)普通の一般人だ。

 そんな俺が、そんなハイレベルなシャウトを習得しようと思ったら、一体どれほどの月日を要することか。帰還できるようになる頃にはおっさん通り越してお爺さん、なんてことが起こっても不思議ではない。

 

 と、考え込むような表情をしたパーサーナックスが、俺の身体をじっと見つめる。

 

「Aam?(アーム?)それにしてもお前は、不思議な身体をしているな?

 人間の魂を持ちながら獣の血を流し、多くの混ざりものが混じった身体をしている」

「あー……実は、スカイリムに来て程なくした頃に、ハーシーン様に色々と恩恵を授かりまして……」

 

 俺は恥ずかしさを抑えながら、ハーシーン様から授かった数々の恩恵について、パーサーナックスに説明した。

 獣の言葉を聞けるようになったこと、ウェアウルフになったこと、両性具有になったこと、それによってセックスにより獣の力を取り込めるようになったこと。

 それを話したところ、パーサーナックスは大層驚いていた。デイドラとはいえ一柱の神が、ここまで一人の人間に入れ込むこともそう無いだろうから、無理もないところだが。

 

「そうか、なるほど……それであれば、希望はあると言えるだろう。

 だがそれは、お前が人間ではなくDov(ドヴ)、竜種になることを意味する。肉体だけではない、Zii(ズィー)、魂から竜種になるということだ。

 人間の世界に帰還するために、人間を捨てる。なんとも皮肉な話だが、そうするより他にお前がいち早く元の世界に帰還する手段は無いだろう……」

「魂から、ドラゴンになる……」

 

 その提案に、俺はそれこそ魂が凍り付くような思いがした。

 元の世界に戻るためには、人間を辞めなくてはならない。人間の身体は既に捨て去っているようなものだが、魂までも人間を逸脱しないといけない。

 そんな状態で元の世界に戻ることに、果たして意味はあるのだろうか。

元の世界に戻った時に、俺は元の俺(・)として、天谷(あまや)桐士(とうじ)として生きていけるのだろうか。

 というかそもそも、スカイリムのドラゴンは基本的に不死の存在ではなかっただろうか。元の世界でも、その不死性は健在なのだろうか。

 それに今の俺は人間の姿と獣人の姿を自由に切り替える能力を有しているが、この能力はドラゴンになっても問題なく使えるのだろうか。そして、元の世界でも使えるのだろうか。そうでないと色々と不都合が生じそうだ。

 

 答えが示されたと思ったら、その答えを現実のものにするために多くの犠牲を払わなければならない、という事実。

 俺はその事実に打ちひしがれつつも、帰りたいという思いは捨てきれない。

 人間を辞めて帰還するか、帰還を諦めてこの世界で生きていくか、決断できるようになるには、まだ時間がかかりそうだった。

 

 

 

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