MOD盛り盛りのスカイリムでドヴァキンの従者プレイ~雇い主が万年発情期なんだが~ 作:Ingwelsh
……一ヶ月以上更新が止まっていてすみませんでした(平伏)
第18話:雇い主は有名人と知り合いのようです
~ソリチュード近郊~
ある晴れた日。
ソリチュードに程近い、山間の草地に、一匹のドラゴンが舞い降りた。
ドラゴンは周辺の人々に襲い掛かることもなく、シャウトを発することもなく、その背に乗せていた狐獣人を地面に降ろすと、その身体を熱のない炎で包んでいく。
そして炎が収まる頃には、ドラゴンの姿はそこにはなく、鎧を身に付けた一人の狼獣人が立っているのだった。
「まったく、降りる途中で矢を射かけられて大変だったわ。トージ、貴方と子供は大丈夫だった?」
「俺も子供達も問題ない。急に飛行が乱れたんで、ビックリしたようだが」
そう、Beatriceと、その従者のトージである。
出産を終えておよそ一週間後、ようやくトージの身体が落ち着いてきたので、ハイ・フロスガーを後にしてこうしてソリチュードまで飛んできたのだ。
「怪我をしていないならいいわ、行きましょう」
「あぁ」
そうして何事もなかったかのようにソリチュードの城門への坂道を上っていく俺とBeatrice。
城門の前まで行くと、何やら衛兵たちが物々しい雰囲気で集まっている。
まぁ、無理もない話だ。街の方に向かってドラゴンが飛んで来たら、そうもなる。
しかして衛兵の一人が俺達をみつけて駆け寄ってきた。
「失礼、お嬢さん方。今ソリチュードの街は厳戒態勢なんだ。街の近くにドラゴンが舞い降りて……」
「あぁ、ごめんなさいね。驚かすつもりはなかったのよ」
「はあ?」
申し訳なさそうに眉尻を下げるBeatriceに、素っ頓狂な返事を返す衛兵。
Beatriceの後ろから俺も頭を下げた。
「さっき舞い降りてきたの、俺達なんだ」
「は……はっ!? ど、ドラゴンボーンの方でしたか、失礼しました!! おいお前達、解散だ解散!!」
状況を理解した衛兵がびしっと居住まいを正し、俺達に敬礼してきた。すぐさま後方の兵士たちに声を飛ばしている。
俺とBeatriceのどちらがドラゴンボーンだと思ったか、そこは深く突っ込まない方がいいだろう、うん。
かくしてソリチュードの中に駆け戻っていく衛兵と一緒になって、俺達は城門を潜っていった。
~ソリチュード~
ドラゴンの接近があったため、街の中の空気もピリピリとしているが、それでもソリチュードの街は活気がある。
宿屋のウィンキング・スキーヴァーからは酒盛りをする人々の声と、吟遊詩人の奏でる音楽が扉の隙間から漏れ聞こえているし、市場からは客引きの声がひっきりなしに聞こえてくる。
街の子供たちが元気に追いかけっこしながら俺達の横を通り過ぎていくのを見ながら、Beatriceは迷いなく街の中を歩いていく。
「……やっぱり、ソリチュードの街は平和だな」
「そうね、この街は戦乱とは無縁な方がいいわ。こんなに活気があるのだもの」
ゲーム内で何度も見たソリチュードの街を実際に歩くという、なかなかに得難い体験に感動を覚えながら、俺はBeatriceの後についていった。
市場を通り抜け、塔の横を通り、住宅街の方へと歩いていくBeatrice。何度もゲームの中で通ったことのある道だ。
「こっちの方に来るってことは、目的地はやはりプラウドスパイヤー邸か?」
「いいえ、違うわ。その奥にある
「イスハーク邸……?」
Beatriceの告げた目的地に、俺は首を傾げた。
イスハーク邸。そんな名前の建物、果たしてソリチュードにあっただろうか。
そんなことを考えながら、住宅街の角を曲がると。
「ほら、ここから見えるでしょう? あの大きな建物よ」
「どれ……は、えっ!?」
それはまさしく
プラウドスパイヤー邸と吟遊詩人の大学の奥、ブルー・パレス並に大きな家が、悠然と建っている。
おかしい、俺のスカイリムにこんな建物は存在しなかったはずだ。
呆然と大豪邸を見上げる俺を置いて、Beatriceはスタスタと先に行ってしまう。慌てて後を追う俺だった。
~イスハーク邸~
傍まで寄ると、その巨大さが殊更に際立って見える。
前庭は広々としていて、刈り込まれた植え込みが通路になっている。
立派で豪奢な邸宅はこうして見ると、ブルー・パレスよりも大きいかもしれない。
邸宅の玄関前まで行くと、重装鎧を着こんで槍を手にしたKhajiitの兵士が、俺とBeatriceに鋭い視線を向けてくる。
「イスハーク邸に何用だ」
「ここの託児院に用があるの。
「承知した、中に案内する」
Beatriceの言葉に頷いた兵士が、邸宅のドアを開ける。重たい音と共に中の豪奢な内装が目に飛び込んできた。
そうして兵士に案内されながら、俺とBeatriceは邸宅内を歩く。程なく到着した応接間のソファーに座りながら、俺はBeatriceへと言葉を投げた。
「なぁベアトリーチェ。ラエニヤ女史って、つまり
「あら、やっぱり貴方も知っていたのね? そう、
ラエニヤ・イスハーク。
同胞団のIngridが英雄としてその名を知られているのに対し、彼女は名士としてその名をスカイリムに広く轟かせている。
スカイリムでも指折りの吟遊詩人で、ウィンターホールド大学のアークメイジを兼任し、破壊魔法に関しては他の追随を許さない。
勿論ドヴァキンでもある彼女は、Khajiitへの差別感情が蔓延するこのスカイリムにおいて、ただ一人自由に要塞への出入りを許されているKhajiitだ。
俺もスカイリムプレイ中に、彼女の類稀なる破壊魔法の威力に、幾度となく窮地を救われたものである。
そんな、凄まじく有名人になり、地位を手にした俺のドヴァキンが。
こんな大豪邸で。
託児院を経営している、と?
そんな思案を巡らせていると、応接室に上等な衣服を身に纏った女性のKhajiitが入ってきた。
「お待たせしたわね。ベアトリーチェ、また貴女なの?」
「ご面倒をおかけします、ラエニヤ女史」
入って来たKhajiit――Ra'yeniaに恭しく頭を下げるBeatrice。
俺もBeatriceに倣って、赤ん坊のサーベルキャット獣人を抱きながら頭を下げる。
Ra'yeniaは俺の手の中の子供たちを見ると、小さく目を見張った。
「あらあら。これはなんとも珍しい……ベアトリーチェ、貴女遂にサーベルキャットとの間に子供を孕んだの?」
「女史、その子供を産んだのは私ではありません。隣に居る彼です」
Beatriceの言葉に、見張った目を更に大きく見開くRa'yenia。その視線を受けて俺は、小さく身を縮こませるのだった。