MOD盛り盛りのスカイリムでドヴァキンの従者プレイ~雇い主が万年発情期なんだが~ 作:Ingwelsh
~スカイテンプルの遺跡~
ウィンターホールドを後にした俺とBeatriceは、北岸までたどり着いて流氷で満たされた海を泳いで渡り、難破したプライド・オブ・テル・ヴォス号の北西に位置する島に上陸した。
流氷が流れるほどの海だから、当然のように水は冷たいし風もある。オオカミ獣人になったから幾分か毛皮でシャットアウトされているけれど、やっぱり寒いもんは寒い。もっと言うなら濡れた毛皮が身体に貼り付いて気持ち悪い。
「うっへ……さむ……」
「やはり冬の海は水温が低いわね。毛皮があってもつらいわ」
ぶるぶると身体を震わせる俺の隣で、Beatriceも腕や腰を振って水滴を飛ばしていた。こういう時、体温の概念を加えるFrostfallとかをインストールしていなくてよかった、と本気で思う。入れてたら絶対死んでいた。
ともあれ、現場に到着である。俺とBeatriceの目の前には古代ノルド様式の小さな遺跡がそびえている。
「それで……ここが、そうね」
「スカイテンプルの遺跡、か……」
スカイテンプルの遺跡。タムリエルの北西、ウィンターホールド地域の中にあるノルドの遺跡だ。道中にはスケルトンが何体もいるが、これと言って脅威に感じるものではない。遺跡の内部も広くはない、どころかびっくりするほど狭い。
「実際は、祭壇があって、小さな部屋があるだけの小規模で、イベントも何もない遺跡だよな?」
「そうね。特に名前付きの敵が出てくるわけでもない……その、小さな部屋の、ドラウグルが出てくる棺」
Beatriceが俺の問いかけに頷きながら、Ra'yeniaから受け取ったメモを見る。書籍の内容を書き記したメモに、件の遺跡への入り方が書いてある。
地上に露出した遺跡の小部屋。立てかけられた棺の床の底。その下に扉。
「そこの裏に……扉が?」
「そうらしいわね。まずはドラウグルを退治するわよ」
俺の言葉に頷きながら、Beatriceがスカイテンプルの遺跡、その小部屋に繋がる木の扉を開ける。遺跡と言うには随分無防備なその扉を開けると、中の棺の蓋がガコンと開いた。
「ヴォォォォ……」
ドラウグルが古代ノルドの片手剣を握りながら、俺に向かって吠えてくる。狭い部屋の中、遠距離から攻撃するのは難しい。すぐさまウェアウルフとしての力を解放し、真っ白な毛皮のウェアウルフに変身する。
「くっ」
「獣化も早く出来るようになってきたわね、トージ。それじゃあ行くわよ」
自分は片手剣を手に握りながら、俺の横に立つBeatriceだ。確かにこの部屋の中で二人してウェアウルフになるのは、色々とつらい。
すぐさまドラウグルが片手剣を振りかぶってくる。向かってくるドラウグルに合わせるように、俺は左手を掬い上げるように振り上げた。
「ガッ!!」
「オォォッ!!」
獣の雄叫びを上げながら爪で切り裂く。リネンラップで固められた皮膚が大きく裂かれて欠片が飛び散った。吹き飛ばされたドラウグルの喉に、Beatriceが剣を突き立てる。
「せいっ!」
「ゴガ……」
その一撃で体力の限界を迎えたのだろう。ドラウグルが動きを止めてその場に横たわる。ただの二撃でドラウグルを倒せるとは、俺も力をつけたものだ。獣化はそのままに、俺は肩の力を抜く。
「ふぅ……倒せたか」
「何も問題はなかったわね。でも、ここからよ」
Beatriceも片手剣を腰に刺しながら笑顔を見せる。そう、彼女の言う通りここからが本番だ。
俺はおもむろに、ドラウグルが収まっていた棺に手をかけた。ウェアウルフの鋭い爪を差し込んでも、棺が外れる気配はない。この棺がそのまま外れたり動いたり、というわけではなさそうだ。
「当然、手で外れたりはしないよな……」
「どこかにスイッチがあるはずよ。探しましょう」
そこから、俺はBeatriceと一緒に小部屋の中を探索し始めた。壁の燭台や机の下、あちこちを探してスイッチが隠されていないか探す。
しばらく探したが、なかなかスイッチらしいものは見つからない。
「うーん……それらしいものはどこにも……お?」
床を探していた俺がため息をつきながら立ち上がると、手をかけていた窓枠の石材。そこが押し込まれる感覚があった。
バタン、と埃を撒き散らしながら棺の底面の板が手前側に倒れてくる。それを見つめながら声を上げる俺だ。
「おぉ……」
「よくやったわ、トージ。これで先に進めるわね」
Beatriceも嬉しそうに尻尾を振っている。道が開かれたのを確認して、俺とBeatriceは遺跡の中に踏み込んだ。
入ってすぐ、下に降りていく階段だ。螺旋を描きながら降りていく中で、俺は遺跡の中を見上げる。
太陽光が入っているからか、思っていたよりも内部は明るい。そしてかなり石材が整っており、空気も乾燥していた。ずっと封じ込められていたというのが分かる。
「本当に、地下に続く遺跡が……」
「かなり古いものだわ……神話の時代に現存した、という話も嘘ではなさそうね」
俺を先導するように階段を降りていきながら、Beatriceも壁の石材に手を触れる。確かに、石材が年季がはいっている。整っていながらも造りについて、かなりの年代を経ているというのが分かる。
ドラウグルが蠢いている様子はない。というか遺跡の時代的に、ドラウグルはいるのだろうか。
「さすがに、この時代の遺跡となると……ドラウグルも、いないな」
「そうね……でも」
俺の言葉を聞いて、Beatriceがぴくりと耳を震わせる。彼女と一緒に俺も耳をそばだてると、なるほど、骨が動くカラカラという音が聞こえてきた。ということは。
「カカ……」
「カココ」
スケルトンだ。階段下の踊り場でこちらを見上げている。頭の骨が竜のようになっており、太く長い尻尾が生えている。アルゴニアンのスケルトン、のようにも見える。
「スケルトンか」
「アルゴニアンのようにも見えるけれど、若干頭骨の形が違うわ。ドラゴンの眷属、というやつかしらね」
再びBeatriceが片手剣を抜く中で、俺は爪を振りかざしながら飛び出した。スケルトンならあれこれ考えるよりも殴ったり、引き裂いたりしたほうが手っ取り早い。
「くそっ、邪魔だ!」
俺の右手が鋭く振るわれて、竜人的なスケルトンの首から腰にかけてを打ち砕いた。ばらばらになって地面に転がるスケルトンの頭骨を、思い切り踏み砕く。
そんな俺を見ながら、片手剣を振り抜いてスケルトンを倒していくBeatriceがにこりと笑った。
「いいわ。だいぶ戦えるようになってきたじゃない」
「そりゃあな、俺もウェアウルフになって長いし」
彼女にチラと視線を投げながら、俺は別のスケルトンに裏拳を食らわせていく。大きな手の甲に骨がぶつかり、相手の頚が外れる音がした。
何だかんだ、このスカイリムにやってきてからだいぶ経つ。スカイリムにやってきて程なくしてウェアウルフの力を授かったのだから、もうこの力はすっかり俺のものだ。
だが、俺はこれからアカトシュの領域に赴いてドラゴンになりに行く。強大な力を持つ不死の生物になりに行くのだ。きっと、今よりも戦えるようになるのではないか。そう期待せざるを得ない。
「でも、この後俺はドラゴンになるんだろう? そうなったら、もっと戦えるようになるかな」
「かも知れないわね。でも期待はしていないわ、なにしろトージは戦いの知識も経験も少ない一般人だもの」
スケルトンを蹴散らす俺にそう軽口を叩くBeatriceだ。確かに俺は一般人だし、ドラゴンになったところで高が知れているかも知れない。ぶっちゃけ元の世界に戻ることが最優先で、強くなるのは二の次だ。
だが、このスカイリムで生きていくためには強くなくてはならない。強いに越したことはないのだ。
スケルトンをすべて倒しきって、俺たちは再び階段を下っていった。先程の踊り場がちょうど中間地点だったのだろう。同じくらいの長さ階段を降りていった俺は、最後の踏み板を降りて床の上に立った。
そこまで広さのない部屋だ。そして階段の目の前に、見上げるほど大きな両開きの、見るからに石造りの扉がある。
「階段が終わった……ここが一番下か?」
「そのようだけれど……ちょっと待ってちょうだい」
俺が後ろを振り返ると、Beatriceが手元のメモを見ながら大きな扉に近づいた。
重厚で重たそうな扉だ。こちら側にカンヌキはない。ということはこちらから向こうには開かないんだろう。
「大きな扉だけれど……取っ手も、鍵穴もないわ」
「確か、Ra'yeniaは『アカトシュの領域への扉が隠されてある』って言ってたよな?」
Beatriceと一緒に扉を見上げながら、俺は小さく首を傾げた。
メモにも書かれている。「扉は隠されている。小部屋にそびえる扉は開かない」と。ならば他の扉を探すことを優先したほうがいい。
「そうね、きっと目に見える形で扉があるわけではないんだわ」
「探してみよう」
俺はウェアウルフからオオカミ獣人に戻って、Beatriceと一緒に小部屋の中を探索し始めた。正直、ここまで来たらウェアウルフ状態を維持している必要もない。
階段の下や壁を探していくが、先程の地上の小部屋よりもものがない分、手がかりが少ない。俺たちはなかなか探すのに難儀していた。
「トージ、どう? 見つかった?」
「いや、何も――」
呼びかけてくるBeatriceに頭を振って、振り返ろうと足を動かした時だ。俺の踏んだ石のタイルが、沈み込む感覚があった。
「ん?」
「ん……トージ、自分の足元、見てご覧なさい」
ふと俺が足元を見ると、Beatriceがその足元を指差した。なるほど、俺が足を乗せているタイルが沈み込んでいる。このタイルがスイッチだったようだ。分かりにくい。
「これは……スイッチか?」
「そうね。そして、ほら」
俺の言葉に頷きながら、Beatriceが一つの壁を指差す。壁の一部がずずず、と音を立てながら動いていた。見るに、そこに扉があったらしい。
「開いた扉は……こっちか」
「きっと、こっちの大きな扉はドラゴン専用なんだわ。だから開かなかったのね」
Beatriceも納得したように腕を組んだ。ここまで隠された形で遺跡が作られているとは、さすがは主神アカトシュの領域に繋がる場所、と言えるだろう。
扉の向こうから、むっとした濃い匂いが漂ってくる。どことなく、精液の匂いにも感じる。
「行こう」
「ええ」
この先に何が待ち受けているのか。ぞくりと背筋に冷たいものが走るのを感じながら、俺はBeatriceと一緒に扉の中に踏み込んだ。