第一話 対魔忍としての活動.1
此処は日本のとある町のとある学園。此処では優秀な対魔忍を育成していた。
その中でも一際、異質な雰囲気を醸し出す青年が一人。
彼の名は 望月
彼は今、ある対魔忍二人とチームを組み、潜入調査へと向かおうと準備を行い、二人からの報告を待っていた。
そして時間だけが過ぎていたその時、
突然ガラッ、と教室の扉を勢いよく開いて入ってきた人物が一人。
「ヤッホー
と、突入と同時に幻月に背後から抱き付く対魔忍の女性。
彼女の名は─
後に女性対魔忍最強と称される人物の妹だ。
彼女は既に対魔忍スーツと呼ばれる特殊スーツに身を包んでおり、見るものからすればかなり際どい格好だ。
「はぁ、...さくら、いい加減にしてくれ。」
幻月はさくらの行動にまたか、と頭を悩ませた。
実は、幻月はさくらとは同期で共に仕事をしたりするなどの仲なのだが、彼女自身、頭が抜けている為。このような子供っぽい悪戯を幻月相手によくやっていたりする。
「いいじゃん別に、減るものでもないでしょ?」
(減るわ!....俺の理性という名の鎖が、今にも解き放たれそうだわ!)
と、この二人は何時もこんな感じであり。周囲からも、まるで夫婦漫才をしているようにしか見られていないのだった。
(もう俺も我慢の限界だ。...理性的な意味ではない方の意味で。)
幻月は今度は自分がさくらをからかってやろうと思い、さくらの方に顔を向ける。
「さくら。」
「うん?何、幻月?」
「俺はお前が好きだ。」
「......え?」
幻月がさくらをからかうために嘘の告白をする。
(戸惑ったな、さくら。...さぁ、どう返してくる?.....どうせさくらのことだ。スルーするに決まってる!)
と、考えているとさくらは、
「え、ええと。.........そ、そうなんだ。私の事...好きなんだ....。」
「え?」
幻月は自分の耳を疑った。
決して聞こえなかった訳じゃない。たださくらの反応が思っていたものと違い、戸惑ってしまったのだ。
「任務の事で幻月を呼んでこいとさくらに言っておいた筈なのに、お前達は一体何をしているんだ。」(呆)
すると今度は教卓から声が聞こえた。
振り替えるとそこにはさくらの姉─
「アサギさん。」
幻月はアサギの方に顔を向ける。一方のさくらはというと、
「
いまだに幻月が言い放った言葉を復唱しながら放心状態のままだった。
「おい幻月。お前、さくらに何を言ったんだ?」
「あー.....実は、」
幻月はアサギに全てを話した。それが冗談で言ったということを踏まえて。
するとアサギは顔をひきつらせて「それは.....マズイな。」
と、呟いた。
「え?何でです?.....さくらは何時もふざけて俺に抱きついて来るんですよ。だから俺は同じように冗談で言っただけなんですけど....。」
と、ばつが悪そうに答える幻月。
(幻月の奴...まだ気付いてなかったのか。)
実は、さくらが何時も幻月に抱き付くのは彼女なりの愛情表現、要するにさくらは幻月に好意を寄せていたのだ。
それを幻月は何時もの悪ふざけと受け取っていた為にこのような展開になってしまった。
「....というわけだ、さくらのこと、宜しく頼んだぞ幻月。」
「いやいやいや!いきなりそんな事言われても....というかこっちも冗談で言った訳ですし。...それに俺、他に好きな女性が居ますからね?.....だからさくらには悪いけど......」
「あのブラコン忍者か。」
「な、何で知ってるんすか!?」
アサギの言うブラコン忍者とは幻月が本当に好意を寄せている女性。─秋山 凛子のことだ。彼女も幻月達とは同期で、幻月は彼女の善き理解者でもある。
「そんなのお前を見ていれば分かる。...でもさくらのこともあるしな、うーん。そうだな........あっ、いっそのこと二人ともモノにするとかはどうだ?」
アサギからのトンでもない提案に幻月は驚く。
「いやいや、駄目ですからね?現代社会において一夫多妻制度は認められていませんからね?」
「なら、さくらのことを諦めるか?であれば聞いておきたい。お前はさくらのこと、どう思ってるんだ?」
「ど、どうって.....それは、」
アサギの質問につい戸惑ってしまう幻月。
(さくらのこと、どう思ってるか、か。...今まで俺は仲の良い親友ぐらいにしかさくらのことを見てなかったな。...でもなぁ、同期でどちらが良いかと聞かれたら、それは、)
自分もまさかここまでさくらの事で悩むとは思わなかった。自分は凛子一筋だと思っていたのにまさかここまでさくらの事を考えていたとは思わなかったからだ。
「なら、決まりだな。...取り敢えずその話はまた今度だ。今はそれよりもだ、」
アサギはさくらの元まで歩くと、さくらに一発。張り手を与える。
「痛い。...ってあれ?お姉ちゃん?.....何でここに?」
さくらは何が起きたか分からず、ふとアサギを見る。
「はぁ、お前が直ぐに戻ってこないから様子を見に来たんだ。」
「え?....あっ、そうだ。」
さくらは我に帰ると直ぐに幻月に向かい合う。
「今から任務の内容を説明するってお姉ちゃんが呼んでたんだよ。」
「それで、直ぐに連れてくるように言われていたが、俺の不適切な発言によってさくらが思考停止してしまったからアサギさん自らこっちに来たと。」
そういうことだ。と納得するアサギ。別に不適切じゃないのに。と少し頬を膨らませるさくら。
「分かりました。...それで、場所と俺の役割は?」
幻月が今までのお気楽な雰囲気から一変し、まるで今から誰かを殺しにいく殺し屋のような雰囲気に変化した。
「....その切り替えの早さ。...何処かの誰かさんにも見習って欲しいものだ。」
と、さくらを見るアサギ。さくらは気付いてないようだが、
「....場所は魔都 東京のある一角。幻月、お前には先ずそこに潜入して情報を探って来て欲しい。」
「....了解した。」
その一言だけを告げると、幻月は直ぐ様対魔忍スーツに着替え、姿を消した。その様子は、まるで煙のようだった。
「さて、私達も幻月の後を追うぞ。」
「うん。」
こうして幻月にとって忘れられない最初の任務が始まった。そしてこの任務を境に、幻月はこう呼ばれるだろう。
最強の対魔忍──《