エロはないです。それは次回で。
フィーが忘れてた依頼。それは極短い期間の護衛だった。幸い緊急ではなく、数日後に、とのことなのでよかった。ちなみに、フィーにはお仕置きをしました。慈悲は無い。
「というかだれなのさ。今回の護衛対象」
「それだが、正直言って今回の依頼はきな臭い。非常に怪しいのだ」
「そうなんだ?」
「クライアントとの連絡がとれない。一応他にも身元が確かな護衛会社もこの依頼を受けてるようだから、大丈夫だとは思うが、念のため、裏を洗っている」
「うん、信じてるよ」
「護衛対象は、シャル・クラウドだ。最近いきなり頭角を出し始めたご令嬢ってやつだな。家の教えで護身術や剣道を習っているらしい。どうやら殺人予告があったらしくてな。内容は、ああこれだ。一週間後、日をまたぐ頃、この家で人が死ぬ。そういう予告だ」
「そのシャルってコの両親は?」
「外国で会社を立ち上げているらしい。名前からして外国出身だしな。最近大当たりして名が出始めた、とのことらしい。この家で、と書いてあるのだからその親に危害を加えることはまずあるまい。そう考えて、日本に残したひとり娘の護衛を頼みたいらしい。期限は二日。正確には一日半だな。というのも日をまたぐ頃、というのがいつなのかがわからないからだ。一週間後になった直後の夜かその日の午後の夜かがわからないから、前日のうちに待機していて欲しい、ということらしい。あまり目立ちたくないから二つか三つの護衛会社から単独で、なおかつ強い人間が欲しいらしいだからお前の所有物を連れて行くことはできないな」
「せっかくだから新しい子を何人か連れて行きたかったんだけど。うーん、話を聞く限り面倒だけで、そういうタイプの護衛としては大変じゃないけど……」
ここでいったん区切った。
なにか違和感を感じる。なにか。
思いつくままに言ってみよう。間違っていたら指摘してくれるはずだから。
「なにか引っかかったから思いついたことを言ってみるよ。その家、防犯どうなってるの?」
「監視カメラは門番はいるらしいが、どうも和風が好きなようで、あまりそういう機械を好まないらしい」
「ご令嬢さんなんでしょ? メイドとかは?」
「もし巻き込まれたら忍びない、その日の前後は材料や簡単な掃除だけさせて家に帰らせるそうだ」
「ん? 今、なんか……」
なんだろう? なにか、引っかかってるんだけど。
………………………あ。
ひとつ、思いついた。
「ね、父さん。もしかして………………の可能性は?」
「…………可能性は、あるな。よしいいところに気づいた。そこを中心に調べてみよう」
そう打ち切って依頼の準備を進めた。
どっちにしろ、僕は守るだけだ。
護衛対象も、自分も、ね。
そうして期日が来た。
って言い方するとへんな感じがする。
「で、なんであなたがここにいるのよ?」
「いきなり物騒だね。えっとたしか、葵佐奈さん、だったっけ?」
「ええ、そうだけど。あなたは斑咲紫苑だったかしら?」
「そうだけど、いい加減僕の名前をフルネームで呼ぶのやめてくれないかな。僕もいつものとおり、佐奈さんって呼ぶからさ?」
「そうね、善処するわ。じゃ、紫苑くん、で、いいかしら?」
「別にいいけど、さっきから ? ってつけるのやめない?」
「偶然でしょ?」
「うん、そうなんだけど言いたくなることあるでしょ?」
「わからなくも無いけど、そろそろこの会話やめない?」
「そんなに話したくないってことかな?」
「ちょっと違うけど、あなた今日来るのが初めてでしょ?」
「そうだけど、案内してくれるの?」
「ええ。私は数日前にメイドとしてきて地理はちゃんと覚えてるからね。地図で覚えきったっていうなら別だけど?」
「なるほど、だから今メイド服着てるんだね?」
「うるさいわよ。紫苑くん、案内されるかされないか、はやく決めてくれない?」
「案内されるよ。葵さんは別会社の中では割と信用してるからね。ライバルつぶすために不意打ち! とかしないだろうからね?」
「そうそう、もっと私に頼っていいのよ?」
「そうだね、とりあえず頼らせてもらうよ」
そういって ? が最後につきまくった話は終了した。
簡単に説明しよう。
この子は葵佐奈。他の組織のエージェント。
容姿は結構整ってる黒のサイドポニー。
戦闘能力は、そこそこだけど、十分戦える範囲だ。武器は、僕の見た限りじゃ非殺傷の麻酔銃を使っているのを良く見る。
後は変装とかそういった技術が高い。コミュニケーション能力が高いため、潜入任務なんかで周囲と打ち解けて、対象とできる限り近い位置で護衛しているから、一緒の場所になったときは、彼女が対象の近く、僕が遠めで怪しい人の確認、と協力することが多い。
とはいっても仲はそこまでよくない。悪くは無いけど、飽くまで仕事関係ではいいと思うけど。
詳しくは知らないみたいだけど、うちの黒いうわさなんかを知ってるみたいだから怖い。この子は今のところ抱くつもりないけど。
まぁそもそも僕の麻酔銃とかを使ってるわけでもない、ちょっと危険な、それでいて周りを少し巻き込んでもおかしくないやり方をよくは思ってないみたいだけどね。
案内してもらいながら、その道や、なにがあるかを記憶しながら彼女と会話をする。
「今回は変装してないんだね」
「上からの指示で協力する相手に顔を見せておいて協力しやすくするように、って。いつもはよくここに来る本当の、ちょっと頭の弱そうなメイドの子に変装しているわ。その子は、うん。簡単に言いくるめられたわ」
「よくその子働けるね」
「そう思うわよね」
少し笑うけど、ため息をつきたがっているのがわかる。
変装であほの子演じると疲れるんだろうね。
僕の場合そんな苦労無いけど。やり終わった後に転がりたくなるけど。
「あ、変装のことだけど。今日の夜から、というかもう誰もいないからね。だから変装を解いて、間違われないように後で護衛対象とも顔合わせをするのよ」
「そっか、親がこっそり、じゃなくてもうわかりきってることだから」
「そういうことよ」
雑談しながらも大体散策が終わった。細かいところまで教えてくれたし。
結果、僕は例の可能性の確立が、より高まったことを察した。
その日の夜。予告が届いてから一週間後の夜。午前の夜か午後の夜かちゃんと書いておいて欲しかったけど、一応、犯行予告の時間十分前だ。
顔合わせはキンクリで。シャル・クラウド。銀髪碧眼のロリっ子だった。髪の毛は腰まで届くポニーテール。
見た目は季衣といい勝負。ですをよくつけるかわいい感じの子だった。
「紫苑さん、でしたっけ」
「クラウドさん」
「シャルでいいですよ」
「じゃあシャルさん。こっちはいつ暗殺者が仕掛けてくるかわからないんですから、出てこないほうが助かるんですけど。危険ですから」
「いえ、部屋にこもっていても、巡回してるあなたたちの隙を突いて侵入してくるかもしれないのですよ? 部屋にいても落ち着きませんから、あなたたちガーディアンの傍にいたほうが安心です」
「そうですか」
辺りを常に警戒しながら、散策を続ける。
そして、ある一角にさしかかった時、ほんの微かに足音が聞こえた。
佐奈さんの足音じゃない。というか彼女は今別の場所にいるはずだ。
視線をそっちに向けると、微かな音が止まった。足を止めたらしい。
今日は満月のおかげで明るいし、ここは中庭が近いから電気をつけずに周囲を観察できる。
そして、僕の目は、暗がりに一つの影を見つけていた。
「シャルさん、止まって」
「っ!」
「どちらさまかな? とりあえず明るいとこまで来てくれないと、暗殺者と間違えちゃうかもしれないよ」
暗がりに向かって呼びかける。しばらく待つと、見覚えの無いメイドが現れた。
「申し訳ありません。大事なことを忘れていましたので、戻ってきたのですが、危険だということは聞いていたので、つい話をするのも憚られまして……」
そういいながら歩み寄ってくる。極々自然に。
こっちからも歩を進める。
「そうなんだ、大変だね。なんだったらその大事なことってのを教えてくれないかな?」
「構いませんよ。それは……」
そういって数歩の距離まで近づいたところで、袖を振った。
瞬間、ナイフが飛んでくる
ぱしっ、からん!
指で受け止めて足元に落とす。その間にもう一本ナイフを構えて突撃してきた!
「あなたを殺すことですよ!」
構えたナイフを僕の心臓に向けて突き出してくる、けど。
「遅い」
そもそもとして、怪しい人間に隙をみせるわけが無い。
いつぞややったみたいに手首を掴んで勢いを利用して背中から地面にたたきつけ、ナイフを剥ぎ取って遠くに投げる。
「あっさりすぎ。気絶は、うん、確かに気絶はしてるね。……ふむ?」
これで終わりとは考えがたい。正直囮だろう。他になにを狙うつもりなのか、なんとなく。
わかってきた、かも。
「この子、シエスタ?」
「知ってる子ですか。とりあえず、大丈夫ですよ」
「そ、そうですか。でも、なんでこの子は、私を殺そうとしたんですかね」
「それはわかりませんが、手錠も持ってますし、とりあえず後ろ手に拘束しておきましょう」
手錠をかけて辺りを再確認。
意識を集中して音や気配、匂いにも気を配るが特に異変は無い。
「その、紫苑さん。すこしいいですか?」
「なんですか?」
「その、もう少し、近くによっても、いいですか?」
「……いいですよ」
少しだけ、でも確かに近くに寄ってくる、シャルさん。
怖がってるような態度に、少し笑ってしまう。
それに安心したのかなんなのか、すぐに踏み込んで、近づいてくる。
それに対して、僕は――――――
―――――――――隠し持っていたナイフを思いっきり振りぬいた。
瞬間、金属と金属がぶつかり合う音が聞こえ、僕のナイフははじかれた。勢いのまま転がると、さっきまでいた位置にナイフが飛んでくる。
「これは、まさかよけられるなんて思ってなかったですよ。……いつからです?」
「犯行予告の時点でおかしいって思ってたよ」
「そんなに前からですか」
「だっておかしいじゃないか。一週間後の夜、この屋敷で誰かが死ぬ。なるほど、今重要な命を狙われてもおかしくない人はシャルしかいない。だから護衛をつける。なるほど、わかりやすいね」
でも、だからこそおかしい。
そういった。
「だってそうだよね。消去法でシャルが狙われることがわかるような予告。でもなぜそんなわかりづらい表現をしたのか。最初から『一週間後にシャル・クラウドを殺す』でよかったはずなんだ。だから気づいた。これは違う人を狙っている、と」
「そんなの決め付けじゃないですか」
「理由は別にこれだけじゃないよ。なぜかクライアントと連絡がつかない。なぜか屋敷から出なかった護衛対象。なぜか他の人は返した。なぜか護衛を少ししか雇わなかった。そして、なぜか他の人の生活の後があること!!」
「そこまで気づいていたですか!?」
「そして、決め手になったのは、さっきのメイドの言葉。『あなたを殺すことです』、だったかな?」
「…………」
「暗殺者は君を狙っていなかった。にも関わらず君はこういった。『なぜこの子は私を狙ったのでしょうか』って。そこで確信に変わったよ。完全にね。予告の殺人は、君や屋敷の人間の死じゃなくて、それを護衛しに来た、護衛対象に隙を見せる、護衛者の死だってことがね!」
言い放つ。
それでも、凛とした態度を崩さない。
「それで、私を追い詰めたつもりですか?」
「他に仲間がいるとは思えない。いや、いたとしても生活の後を見るに後一人か二人。その程度なら対処できる」
「そうですか。では」
ばっと銃を構えてまず構えているナイフを弾き飛ばそうとした、瞬間。
そのナイフをしまって大きな声をだした。
「きゃあぁぁあぁっっーーーーーー!!!!」
「っ!? ちっ、失敗した!」
失敗した。そういわざるを得ない。
今の状況は明らかに護衛対象を殺そうとしている暗殺者の図にしか見えない。
失敗した。そう、失敗した。
引き金を引く前にどこからともなく佐奈さんが現れた。当然銃を構えている。
「助けてください! この人が!」
「大丈夫です、命は守って見せますから!」
「……」
次の瞬間
シャルが後方に跳んで、銃弾を避けた。
その銃弾は、麻酔弾。当然、僕は麻酔弾なんてもってきていない。
つまり
「な!?」
「話はずっと聞かせてもらっていたわ!」
「だから言ったでしょ、失敗したって。僕だけの手柄にするつもりだったのにさ!」
「法の裁きを受けなさい!」
二対一。その状況で、それでもシャルは冷静さを保とうとしていた。
素早く身を翻すとこちらの銃弾を避けながら立てかけてあった日本刀を構えた。
試しに撃つと、今度は避けるのではなく、日本刀ではじいた。
「負けないですよ。二人とも殺してやるです!」
「やってみなさい!」
「組織の情報を吐いてもらうからね!」
ユダの掟。裏切りは許されない。
クライアントも、依頼の内容も偽り。つまり裏切り。
情報を吐かせて壊滅させなければいけない。
「はっ!」
「っ!」
「このっ、甘く見ないでよっ!」
日本刀、この子の身の丈に合っていないからそこまでじゃなければよかったんだけどね。
銃弾を弾いたところからナイフよりもこっちがメインなんだろうけど。
素早く振る剣はほとんど隙が無い。撃っても弾かれてしまうから、中々倒せない。
でも、長物なら長物で、やりようはある!
懐まで行く勢いで距離をつめる。
「っ、甘いです!」
当然それを迎撃しようと剣を振ってくる。
「予測済みだよ!」
左に避ける。当然、中途で剣を横に振って追撃してくる。転がるようにしてそれを避けると、挟み撃ちの形になる。
これが、目的、じゃない。
挟み撃ちはただしただけじゃ、
「そう簡単にやらせないです!」
斜め飛びですぐに戻される。
僕が狙ったのは、挟み撃ちじゃない。
「っあぁ!?」
石の庭園に落とすこと。
もちろんそれを追って僕も庭園に降りる。
「日本刀、に限らないけど、近接ってのは足を踏ん張らないとあんまり力でないよね。木のところは摩擦が強い加工がしてあったから踏ん張りやすいだろうけど、そっちよりはこっちのほうが踏ん張りづらいよね。いくらなんでもこの石の庭園にまでそんな加工、する訳が無い」
「なっ!?」
「大体、使っているのが銃なのに挟み撃ちなんかしたら、こっちにあたるでしょ」
「そこまで考えていたの?」
「むしろなんで考えないの?」
「あったまきたですよ!」
「悪いけど、僕がここに君が来るようにしたのは、踏ん張りを少しでもなくすため、だけじゃない。ここは、僕の領域だよ」
ここにきた理由。それは、ここは大量に武器となるものが転がっているからだ。
「なにを言ってるですか?」
「僕の奥の手だよ。奥の手、というにはたくさん使ってるけど、ね!」
足元に落ちている石を引っつかんで投げつける!
いきなりのことで、防げずに当たった。
「っあ!?」
「力は込めてないけど、それなりに痛いでしょ? 武器が無くても任務が達成できるように、こういう技術を磨いてたんだよ」
そういいながら、またいくつか拾う。
「かく乱ですか? その程度、私は(びしっ)……!」
「さっきのは隙を見せないように力を込められなかったけど、僕の技はね、石つぶてじゃない。指弾だよ」
指弾。わかりやすくいえば指を銃として石やビー玉なんかを弾丸としてぶつける技。
もちろん普通は手がダメになりかねないし。飽くまで弾くだけだから射程は短い。
けど、僕はこれの修練を人一倍やってきた。射程は5mくらいだけど、その範囲なら弾いたものによるけど、鉄でもへこませられる。
「ここが和をイメージとした屋敷でよかったよ。僕が特に戦いやすい場所だからね」
「そんなものがなんになるですか!?」
「武器が体力のある限り無制限。それで十分」
また石を弾く、一気に連発しても当たらないから、一発ずつ、、狙い撃ち。
もちろん、これは牽制だ。
「私を忘れないでよね!」
「鬱陶しいです!」
麻酔弾で狙う佐奈さん。
こちらに集中すると、麻酔弾。麻酔弾に集中すると、指弾で集中が途切れてしまう。
けど、これじゃ千日手だ。一人で僕等を暗殺しようとしたあたりからわかっていたけど、結構強い。
最後の奥の手を使うほどじゃないけど、どうにか打破したい。しょうがないから二つ目の奥の手を使うことにした。
というわけで、足元の石を思いっきり拾って空に投げた。
「っ!?」
「紫苑くん!? なに、はっ!」
結構近くにいた佐奈さんも咄嗟にシャルから距離をとる。瞬間石つぶてが降り注いだ。
「いったぁ!!」
こんなもの、拳銃と比べたら意味もないようなもの。
でも、一度に降り注ぐ分、避け辛いし集中をきらす。連続で纏めて投げたから、結構邪魔だし。今までこんなことする相手はいなかったのか、動きが鈍い。
そこに、僕が突撃する。
「っ!?」
「チェックメイトっ!」
当たる石なんて無視して必死に剣を振るってくる。
そう、それが狙いだ。後ろに飛びのきながら、懐からあるものを取り出して、剣の軌道にのるように、懐からあるものを投げる。
それは、剣に斬られた瞬間、炸裂した。
「ふぇ、みゃあぁあぁーー!!! げほっ、からっ、い、たぁっ! げほっ、えほっ、臭いっ、前が、えほっ、ふぁ…………(ぱたり)」
「勝った」
「……ええー」
炸裂したもの、それは。からしやにんにくその他もろもろ目を傷めたり鼻が曲がりそうなものを大量にトッピングした上で粉末状の睡眠薬が撒き散らかされるもの! うちのドクターが作った。しかも奇跡的な調合で後遺症にはまずならない。なっても治療できるのがドクターのすごいところ。
はっはっは。まぁちょっと臭い落としたりするのに疲れるけど、それはやっぱりドクターが作った超匂い消しでなんとかなる。
「最初からこれ使えばよかった。でも倒したのは僕だし、この子は僕が引き取らせてもらうよ」
「ちょっと待ちなさいよ。あなた、それをどうする気?」
「決まってるでしょ? 情報を聞き出して、組織を壊滅するんだよ」
「させないわ」
「させない? 無理だね。そういうことを言うときは、もっと周囲に気を配らなきゃ」
「え?」
「おやすみ」
連絡していたユダからやってきたフィーが後ろから手刀を落として気絶させた。
そもそも護衛には向いてるけど戦闘能力が高いわけじゃない。その上僕に注意を向けすぎていた。
それじゃあフィーには気づけない。
「でもフィー? 僕のお仕置きを解いてくるのはだめだよねぇ」
「そ、そんなこと、言われても」
「任務だろうと僕の命令は絶対だよ。帰ったら、お仕置きは延長だね」
「うぅ」
お仕置きの内容。それは、僕が任務から帰るまで、胸にローター、秘所とお尻にバイブを入れて生活すること、だった。
もちろん拒否権はない。さっきまでつけてたみたいで顔も真っ赤だけど、慈悲はない。
というか他の人のお仕置きってもっときついからなぁ。
それはともかく。
「んじゃ、他の人もいるかな?」
「そう。じゃ、その佐奈って子、丁重に、傷をつけないように、元の組織に戻して。父さんに言えばわかるから」
「らじゃ」
「後、そこで倒れてるメイドと粉まみれになってる子を縛っておいて。二人とも、僕の所有物だから」
「また、増える?」
「そうだね。そろそろ許容もなくなってきたかな」
「!?」
「大丈夫だよ。飽きてきた子がいるからさ。戦えないのはともかく、媚びるからさ」
「?」
「あ、言ってなかったね。僕はね、裏切る子はいらないけど、媚びるだけの子もいらない。覚えておいてね」
「らじゃ」
「まぁ戦えないのはともかく、働けないのは色々問題だけどね」
さて、言うことは言ったし、地下にいこうか。
探索したときに見つけた、訳じゃない。ある意味探索中なんだけどね。
向かったのは、シャルの部屋。
到着した部屋で、まっすぐにタンスに向かう。
開いた中を探ると、予想通りにスイッチがあり、押したら壁が動いて階段が現れた。
「ここの太さは、うん。空いたスペースはここだ」
一応麻酔銃を構えて下にいく。いつもは使わないけど、持ってないわけじゃない。
かつ、かつ、という音が響く。暗いから音が頼り。音の反響具合で広さを確かめる。
人は、二人。広さは、それなりの部屋の大きさ、かな。
そしてその先に扉を見つけた。この向こう、か。
光が漏れている。
引くタイプの扉。下手に空けたらまずいかな?
というわけでノック。不意打ちされないように開けてもすぐに見れない位置に移動。
「ん、誰? シャルかしら」
扉を開ける、誰か。
開けた瞬間、わずかに見えた顔に銃を突きつける。
「っ!?」
「エージェントだ。関係者、かな」
「…………ああ、そう」
「へぅ、え、詠ちゃん?」
「わかってるわよ。ここにいるのは、ボクと月だけよ。確認してもらっても良いわよ」
妙に落ち着いてる。
普通、動揺を隠せないと思うんだけど。
「不思議そうね。一応は従ってたけど、ボクたちはあいつらの味方じゃないわ。だから、予想通り負けてくれて助かったわ」
「予想通り?」
「あいつらは人の話を聞こうともしない。そのくせ、ボクが失敗すると、犯そうとして、挙句月まで……」
「それで、逆に倒してもらおうと?」
「ま、そういうことね。ボクが望むのはボクと月の身の安全。それと引き換えに組織の情報をあげるわ」
「…………いいよ。安全は保障してあげる。とりあえず、拘束させてもらうよ」
「抗ってもしょうがないから従ってあげる。ごめんね、月」
「へぅ、い、いいよ。私のために」
いい友情だね。でも無意味に、なるかもね。
そうして、暗殺者は退けて、僕は四人、所有物を手に入れた。
結果として何人かは公衆行きになっちゃうけど。しょうがないよね。どうせモブだし。
ああ、調教が、楽しみだなぁ。
詠ちゃんの一人称ってボクでしたよね?
間違ってたら修正します。