シャルティア・ブラッドフォールンは、さば味噌という名の一人の男を愛している。
かつて次々とお隠れになった至高の御方々。それは、自身の創造主であるペロロンチーノ様さえ例外では無かった。
最後の一人となっても未だ御残りになって下さっている、自分達ナザリックのシモベの存在価値を保障して下さる。ただそれだけでも法悦に浸るほどに、奉謝の祈りが全身を満たす。ああ本当に、なんと有り難く、なんと慈悲深き御方だろうか。彼の御方のためならば、この身を惜しむ事など無い。それはナザリックの全てが胸に抱く誠の心だ。
だというのに。
あれほどまでに女として強く求められるなど、考えてもみなかった。
欲する心を隠さぬ熱い視線と、乱暴でさえある雄の振る舞い。
死者にこそ欲情する己の性質を問い、つまりはこの身に
ただの一度だって情事における自分自身を見栄え良く飾れぬまま、女としての私を必死に求めてくれた格好の
それだけでもう全てが満たされていた筈だった。
なのに、冒険者として外部に出向く際の、ユリ・アルファに預けられた伝言が更に私の胸を高鳴らせる。
『ユリっ、シャルティアに「俺も好き」って伝えといて! ――いや自分で伝えるとか絶対無理だから! ホンっト無理だからね!? お願いしますマジで!! おら行くぞナーベおらっ! 押し倒されたくなきゃキリキリ走れっ! ……なに、全霊をもって務めます? 何を言ってるんだお前は???』
実は物陰からその御言葉を直に耳にしていたのだと、彼の御方は知らないけれど。
あの言葉があったからこそ、十日余りの長い時間を寂しく感じる事も無かった。
二度目の伽の翌朝に、枕元で輝く指輪を手にした時は、アンデッドでなければ間違い無く心臓が止まって、至福の境地に至ったまま、己が生命を終えていただろう。
リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン。
この手にする日が来るなんて、数多居るシモベ達の一体誰が想像し得ただろうか。
幸せだ。
幸せだ。
幸せ過ぎて、毎日毎日意味も無いのに至高の指輪を磨いては一人でにやにや笑ってしまう。
――だけど、こういう日が来るという事も、ずっと以前から知っていた。
女としての幸福だけに
そうと理解した上で、それでも、短くも美しい夢を見てしまった。独占、していたのだ。身勝手極まる、我侭を叶えてしまっていた。何時壊れても良い、と覚悟した上での事ではあるが。
だから良い。何も、何一つとして彼の御方を否定する理由など見つからない。
ただ。
少しくらいは、泣いてしまっても良いだろうか。
あとで独りでこっそりと。たった一度だけ。
それくらいは、
――だと言うのに我慢一つし切れなかったのは、我ながら実に情けない話ではあるが。
□
「――私も、薄々勘付いて居んした」
「!?」
我等アインズ・ウール・ゴウンの有するギルド拠点、ナザリック地下大墳墓。
その内部。とある廊下の片隅で、俺はちんこ出したままの格好で正座して、怒れる美少女吸血鬼シャルティア様の御言葉を賜ろうと待ち構えていた、のだが。
先の言葉、俺は一時己の耳を疑った。
まさか気付かれているとは思わなかった。マジで。
何時だ、何時バレた。今更浮気を誤魔化す気など全く無いが、そこだけはちょっと気になっている。
「以前、挙動不審な
「なにしてんのアイツら????」
守護者連中にはバレバレだったと言うのか。この俺の、
下半身丸出しのまま、その場に頭を擦り付けて土下座する。日本古来の謝罪法である。
謝って許してくれるかと言うと、男女間の揉め事ゆえに、互いの上下関係を加味したとしても微妙な所だ。立場を傘に着て好き放題やって来たのだが、悪い事だという自覚くらい、俺にもある。自覚した上で一切自重しなかっただけで。
ゆえに頭を下げる。言葉は不要、誠意とは言葉ではなく土下座である。フルチンで頭を下げる程度、シャルティアと決定的な破局を迎えるより全然良い。尻も出ているが気にしない。
だって俺を好きって言ってくれたの、この子だけだし。ラナー? 員数外です。
セックス・レポートという悲劇の一件からこうして覚悟を決めるまで随分と時間は掛かったが、指輪を渡した件、一生ものの深い意味は無いと自分で自分に言い訳したが、かと言って軽い気持ちだったわけでも当然無い。男女の恋愛とかマジで縁が無かったので良く分からないけど、俺なりに真剣に考えてきたのだ。
ナザリックの主として、
大丈夫、もう原作キャラもそんなに数残ってないし、ここで全部終わっても心残りは無いZE☆
と、この時はそう思っていた。
「さば味噌さま」
「はい」
「わたしは、あなたが好きです」
途端に罪悪感が湧いてくる。先程までの、実に数千倍の苦しみであった。
冷静に正面から言われると凄く胸にくる。何だコレ、直で告白されたのに嬉しくないぞ。
しかも口調。口調が、意識して作った廓言葉じゃない。彼女の本音、本気の言葉だった。
「だから、良いんです」
そう言って、シャルティアが笑った。
好きだから全てを受け入れ許すのだと。
ちょっとだけ涙を流しながら、
なので、俺も笑って口を開いた。
「しにます」
――これが、第二次ナザリック事変の始まりである。
□
「ああ、やっと戻って来れた。戻って、来ちまったなあ……」
見上げた先には黒光りする巨大な要塞。一目で分かる、軍事都市カルネの中枢だ。
後ろを振り返れば自分の仲間、フォーサイトのメンバーであるイミーナとロバーデイク。自分もそうだが、三人揃って手足が欠けていたり、隻眼だったり、装備以外の目に見える範囲のそこら中が包帯塗れだったりと、嘘一つ無い
本当に治るんだろうな、と この傷を付けた奴等に対して敵意を抱く。
だが、結局のところ俺達の側に選択権など全く無い。
「アルシェは、無事でしょうか」
「無事じゃなかったら どうしてくれようかしら……」
「妹二人と一緒に居たのは俺等も見たんだ。まずは顔を見に行こうぜ」
ロバーデイクとイミーナが顔を俯けたまま呟くのを、殊更明るく言い返す。
二人の口振りにも苦味が混じり、しかしどうしようも無いという、厳しい現実に対する諦観も見えた。
生きているだけでも喜ぶべきだ。今は敵愾心も抱けるが、再びあの墳墓に戻されれば即座に心が折れるだろう。それを、俺達は皆知っている。否定したくても否定出来ない。かつて味わった恐ろしさが骨身に沁みて、今でも眠る度に夢を見る。
肉が、俺の身体が。イミーナの、ロバーデイクの、人としての形が融ける夢。
こちらを見上げながら絶叫するアルシェの、絶望に満ち満ちた顔を憶えているのだ。
「
口にする言葉にも力が無い。不足だ、と言われてもう一度あの地獄に戻されたらと思うと、眦から涙が零れてしまう。仮定に対する恐怖だけで、大の男が、一端のワーカーが本気で泣きそうになっている。
情けない、と震える拳を力無く握り締めれば、傍らのイミーナが指の欠けた手で俺の背中を摩ってくれた。片足の無いロバーデイクも、まるで皆で寒さを凌ぐかのように、その大柄な身体を間近に寄せてくれている。それが、情けないのに有り難かった。
ワーカー仕事はもう無理だ。仮に許可が出ても、二度と危険には挑めない。心が、俺達三人の精神の支柱が、粉々に砕けて形も無かった。立ち直れる日は、絶対に来ないと言い切れる。
空は青く、太陽は眩い。この
けれど俺達がもう一度笑える日が来るなんて、夢の中でさえ思い描けないままだった――。
□
かくして第二次ナザリック事変は終わった。
「恐怖公には悪い事をしたな……」
いや、本当に悪い事をしたな。本当に酷い有り様だった。あとでちゃんと謝らないと。
コキュートスの守護階層も、あんなに大きな雪達磨作っちゃって申し訳無い。至高の御方が御作りになられたのだー、とか喜んでたけど、景観損ね過ぎだろう。此処は悪党の巣食う
仮面被った無言のガゼフとクレマンティーヌも、後者に至っては途中分身とかしてた気がするし本気で意味が分からない。あれも俺が悪いのだろうか。
ありがとうパンドラズ・アクター。お前のあの、大見得を切った説得と献身には流石の俺も心を動かされたよ。俺の中の迷いは、確かにあの時お前に断たれた。
「ふふっ」
思わず微笑み、それに伴って腰を突き出す。
ぅあ、と小さく女声が漏れて、返る締め付けに俺も、ンアーッ、とちょっと喘いだ。……ちょっとじゃないなコレ。と射精しながら首を振る。
ナザリック地下大墳墓、第九層ロイヤルスイート。
大浴場で湯船に浸かる俺の上で、紺色のスクール水着を着た元ワーカー、アルシェ・イーブ・リイル・フルトが必死に腰を振って、主人である俺を喜ばせようと奮闘していた。パチャパチャお湯が顔まで跳ねてくるのはちょっとウザイけど。
向かい合ったまま腰を振り、時折彼女の身体を
思わず手を伸ばして控えめ気味の胸を揉むと、んんっ、と気持ち良さそうな反応が返る。
これが演技だったら世も末ですよ、と俺は満足気に頷いて、水着越しの乳首をコリコリと扱いた。
浮気は許された。
許しを与えてくれたシャルティアが泣いちゃったので、それに驚いた俺が丸二日くらい個人的に暴走したけど、シモベ達の命を懸けた頑張りによって今は完全に復調している。なのでセックスをしていた。
今現在ナザリック地下大墳墓内では俺とシャルティアの結婚式の準備が着々と進められていたりするのだが、特に拒否する理由は無い。なので今はセックスをしている。
つまりは、お祭り騒ぎに気疲れしたので、休憩がてら大浴場に足を向け、途中で見つけたアルシェを連れ込み心のリフレッシュに努めている、という状況なのだ。
「俺がエロい事するの止めると思ったかっ!! 俺も思ったよ、オラァ!!!」
「ぁあっ!! ごっ、主、人、さ、まっ、あ!!!」
断じて二日
けれどまあ、あれだ。うん。開き直った。
この世界に来てから毎日開き直っている気もするが、細かい事は気にしない。
再度の射精で、緊張の途切れた俺の全身が弛緩する。上に乗って腰を振るアルシェも、先程からの上下運動で疲労が溜まり過ぎたのだろう、ぐったりと俺の胸板に身体を預けて力を抜いた。スクール水着を着た金髪
「ぁ、御主人、様……、んっ」
「もう少し休んでて良いぞ、アルシェ」
「……はい」
ちんこだけピクピク動かしながら、湯船で湿った金髪を撫で付ける。
ピンク色に火照った肌が実に可愛らしい。指でこすると すべすべしていた。俺の太腿に ふにっと乗せられた水着越しのお尻だって負けていない。まんこの中で幾らでも先走ってない先走り液が吐き出せそうだ。
「御主人様、」
「んー?」
そういえばまだ尻尾を付けていないな、と原作ファンにあるまじき己の失態を反省していると、腕の中のアルシェが俺を見上げて呼んでいた。うーむ、上目遣い可っ愛いなコイツぅ!
「妹達の件、ありがとうございました。それに、
「俺は、約束を守る男だ。――可愛い
なーんて、かつてのレイプ中その場の勢いでした口約束を一時忘れていた事など おくびにも出さず
呆と、こちらを見上げてくるアルシェの頬に触れるだけのキスを落として、無駄な脂肪の無い彼女の背中に腕を回すと抱き締める。力を抜いて俺に身を預けてくる金髪美少女って、本当に良いものですね。ぶっちゃけ妹達とかフォーサイトとか、俺は命令しただけで実際はシモベ達がやってくれたんだけどー!
あ、フルト家に関しては適当に屋敷内へ
正直、異世界版家庭板案件とか俺には荷が重い。最低限アルシェが当初予定していた以上の送金は行ったので、あとの事は
そうやってのんびりし過ごしていると、やがてアルシェが自発的に腰を振り出す。おっ、エロい事したいんか?
「御主人様っ、わた、しっ、頑張り、ます、からっ!」
自分から奉仕してくれるなんて、この子も随分と変わったものだ。
最初は嫌々やっているのが丸分かりで、それが逆に良かったのだが、こういうのもまた良しだ。姉妹とフォーサイトを平穏無事に過ごさせるだけで俺の好きに出来る元貴族令嬢とか、最っ高に滾るじゃないか。なので射精する。
「今度、お前に良く似合う尻尾を付けてやるからな、アルシェ!」
「はいっ、はいっ! 付けて下さい、アルシェにっ、御主人様の、しっぽ!!」
従順な、従順過ぎる少女の台詞に気持ちが高ぶって激しく腰を振りながら射精する。
お湯の中で体勢を入れ替え、その後も俺は時間を掛けて、たっぷりとアルシェの肉体を味わうのだった。
SAN値が回復しきっていない内に優しく接して篭絡する知将さば味噌(深く考えてないだけ)。