※この作品はR-18です。

トータル・イクリプス ファーイースタンフロント   作:ロートシルト男爵

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色々キナ臭くなってきてます(後半サービス回。


第15話 陰謀

 

 

 

 

 

翌朝。

時刻は1030。

俺は自室にて、いつもより遅めの朝を迎えた。

寝不足、深夜の戦闘、負傷、ヘンリクの死、正体不明の刺客からの逃亡劇。

いかに心身共に頑丈な俺でも、昨日の出来事で蓄積した疲労の処理が追いついていないようで、とてもではないがいつもの起床時間に起きてベッドメイキングなど出来なかった。

尤も、真夜中に俺に叩き起こされ治療を強要された哀れな当直軍医曰く「入院の必要はないが暫くは安静にしてくれ」とのことなので無理して普段のルーチンワークをこなす必要はない。

第一、俺の左手は三角巾と硬いギプスで固められているため、両手を使って行う殆どの事は今は出来ない。

今さっき見舞いに来たクリスカとイーニァにその事を伝えたら、「まぁそれは大変」とばかりに身の回りの事は大体手伝って貰えた。

勿論朝食も上げ飯にしてもらい自室で摂ることにしたが、特にイーニァの方はよほど心配したのかスプーンを手にしながら俺に摂食の補助——所謂「はい、あーん」をしようとしてきたため「右手は普通に使えるから大丈夫」と丁重にお断りしておいた。

 

俺はとりあえず盆の上のグラスに注がれたケフィールと紅茶で喉を潤しつつ朝飯の粥(カーシャ)やカッテージチーズ(トヴァローク)のプディング(ザペカンカ)をスプーンでつつきながら、昨日のことについてあれこれ考え始めた。

 

わざわざ騒ぎになりやすい営門での待ち伏せ、凶器は明らかに我が国の軍用ナイフ、示し合わせたかのような増援、いかに銃規制の緩い米国でも一般人が持っている筈のない消音器(サプレッサー)付きの銃。

 

単なる物盗りの可能性は、まず有り得ない。

ソ連側の工作員を装った米軍側の陰謀……?

いや、ならばなぜ同じ西側の人間であるアルゴス小隊の整備兵——ヘンリクを殺したのか……。

 

考えれば考えるほど自分の認めたくない結論に近づく。

この件、やはり我がソ連側が一枚噛んでいるかもしれない。

となると、危ないのは柵の外ではなく、むしろ今俺の居るソ連領側——柵の中ということになる。

 

ふと、目の前の皿とグラスに目がいき、俺は反射的に指を喉に突っ込もうとする。

 

「いや…もし毒入りならとっくにやられてるか……」

 

 

食中毒に見せかけた毒殺はモンゴル帝国の支配時代から続く我が国のお家芸で、国内外を問わず政治家や外交官、軍人を含む多くの人間が同じ手口でやられている。

 

だが、暗殺する側の立場から考えれば不特定多数の将兵が食事を摂るビュッフェ形式の食堂に毒の入った食べ物や食器を混ぜるのは無理だし、第一それをイーニァやクリスカに運ばせるとは考えにくい。

 

昨日の様子から判断するに狙われていたのは明らかに俺。銃口が紅の姉妹に向けられたのはあくまで彼女らを庇おうとした俺を撃つ為だろう。

故に、ピンポイントで俺だけを殺したいならソ連が生んだ最高傑作たる紅の姉妹が誤って死んでしてしまうリスクを踏むような真似は出来ない筈だし、そんな事が起きれば我が国の国益に反するに決まっている。

 

しかし……何故俺なのだ……。

 

元ボリシェヴィキの祖父、元ソ連戦車兵の親父を持ちながらも、旧トロツキー派の末裔という、今の世ではあまり良いとは言えない出身成分であることに加え、今までの俺自身の生き方を振り返れば恨みも妬みも軽く自己破産出来る程度には買っている。

だが、極東やシベリアで十分な武功を挙げ、衛士を育て、果ては共産党上層部のお墨付きまで得てイーダル試験小隊の一員としてこの計画に参加する俺を殺す事に何の意味があるのか…。

仮に上層部がグルになっての計画だとして、そんな反革命的行為の汚名を被るようなリスクを負ってでも連中が得たがっているものは何なのだろうか……。

 

 

 

「イーダル試験小隊、サンダーク中尉、入ります」

 

 

朝食を食べ終え、イーニァとクリスカに食器を下げてもらってから食後の一服を決め込んでいると突然ドアがノックされ聞き慣れた声が扉越しに耳に届く。

 

「入れ」

 

俺はサンダークに入室を促し、奴の敬礼に対し答礼をしてやると、自分の座るベッドの3歩前に立たせた。

 

「昨日は災難でしたな……少佐」

 

「まるで他人事だな…中尉」

 

「いえいえ、貴官は我らがプロミネンス計画の貴重な一員。貴官という貴重な人材を失っては困るのは私ですから」

 

「……成る程、少なくとも貴様は俺の敵ではないようだな………何か分かったか?」

 

「ええ、まず営門前で死亡していた国連軍の整備兵——ヘンリク・ポニャトフスキ軍曹の体内から我がソ連製の9×18mmマカロフ弾が検出されたと西側から報告がありました。やはり少佐の予想通り、黒幕は我々の側に居るようです」

 

「……やはりな…しかし何故俺が…」

 

「……あくまで私の推論という前提で聞いてください」

「ああ、続けてくれ」

「ソ連共産党上層部の中には、現書記長の政策方針に反して、西側との戦術機の共同開発に反対する守旧派がいるのはご存知ですね?」

 

「ああ。よく知っている。なにせここに来るまでの今までの俺の仕事は、そいつらの命と利権を一日でも永らえさせるようなもんだったからな」

 

共産党内の保守派——その多くは軍人や官僚で占められ、直接前線に出てBETAと戦ったこともない制服組のロシア人が殆どだという…。

彼らは未だに歩兵や爆撃機、火砲や戦車等自国軍の旧式兵器を過信し、78年のパレオロゴス作戦で既存の兵器がBETAに対し一定以上の戦果を挙げる事がないと知るまで頑なに西側由来の技術である戦術機の配備を拒んできた連中だ。

流石に国土を丸々失った今となってはそんな古臭い考えに取り憑かれている者も消えただろうが、アラスカの地に逃げ延びて尚自国の戦術機生産技術を過信し、一時的ではあるが長い外交努力の末ようやく手にした西側との架け橋から螺子を一本ずつ抜くような真似ばかりしている。

彼らと我々の小目標は凡そ一致している。

それは国土の奪還だ。

だがその手段と、国土奪還後の大目標——国家戦略の時点で既に袂を分かっている。

彼らはあくまでも自分達の技術力のみで国土が奪還出来ると信じており、極東を起点にシベリア、ウラル以西からバルト海に至るまでの国土をBETAから奪還した暁には米国との再戦——即ち新冷戦を望んでいる。

そのため自国の保有する戦術機技術の西側への流出防止を理由に本計画に横槍を入れてくるのだ。

しかし、俺は「技術流出の防止」という理由さえ、後付けの口実に聞こえる。

彼らは怖いのだ。83年のベルリン、そして91年のウラジオストクの再現がこのアラスカの地で起こり、己の蓄えた利権が手元から失われることを…。

 

市場経済、議会制民主主義、思想の自由、基本的人権……。

 

自由主義陣営の総本山たる米国と地続きになったことで我が国の人民達の間に、俺たちのようなエリート軍人を通じて新技術と共にそうした新しい概念が膾炙し、「マルクス=レーニン主義」「階級闘争」「発展段階説」なる、この国で聖書のごとく信じられる種々の概念が実際は何も生み出すことのないただの絵空事であると判断されるのは時間の問題である。

故に彼ら赤い貴族(ノメンクラトゥーラ)は「BETAに勝つ」という志を西側と同じくしながらもその為に必要な「人類の団結」——即ち「東西間の協調」には何があろうと反対するのだ。

皇帝や貴族、臨時政府のブルジョワ達の脂肪太りの土手っ腹を突き崩してきた自らの銃剣が、今度は自分達の腹を切り裂きにくることを恐れるがために…。

 

「なるほど、なら話は早い。私はおそらくこの一件、保守派の陰謀ではないかと睨んでいます」

 

「同感だ。だが俺を殺す理由は……」

 

「中央戦略開発軍団のロゴフスキー中佐が保守派に属している事はご存知ですね?」

 

「ああ、奴とはカムチャツカで面識がある。今の極東戦線に光線級が滅多に出現しないのをいいことに、戦術機が普及した今でも尚航空機による爆撃を偏重してる石頭だ。奴がクロの可能性もありうる」

 

「しかし一方で、彼は我がП(ペー)3計画の推進派です」

 

「ああ、俺がここに来たのも奴の手招きだ……いや待てよ?もし奴が俺を殺したりしたら、俺という触媒を失ったイーニァ達はどうなる⁈」

 

「……あまり考えたくありませんし、そんなことをして何になるのかは私の知り及ぶ所ではないのですが、おそらく彼らの狙いはそれかもしれません」

 

「何てことだ…。俺はどうなっても構わないが、あの子達に何かあれば…」

 

「最悪、殺処分もあり得ますね。しかし随分な思い入れですな。実験動物風情に対して父親などとは……」

 

「………この場で貴様を組み伏せて二、三発ぶん殴るのも出来なくはないが、片手だけだと骨が折れるのでやめておこう……」

 

「ぜひそうしてください。人形達の事もあります。私としても貴重な触媒に不養生で死なれたら困りますから」

 

「減らず口を」

 

「まぁ何はともあれ人形達共々身の安全には気をつけて下さい。心ばかりの信頼の証として、基地内には我々側管轄下の特殊部隊(スペツナズ)も見張りにつけておきましょう。何かありましたらすぐに報告を。では」

 

いつものことで大分慣れて来たが相変わらず散々なサンダークの物言いに腹を立てつつも、俺は形ばかりの敬礼をベッドの上から行い、退出する奴の広い背中を見送った。

 

 

 

 

 

ふと、身体に不快なべたつきを感じる。

飛行訓練、深夜の全力疾走、そして負傷と、目まぐるしく変わる状況についていけなかった俺は治療を受けてから自室に帰るなり外出着のまま布団に横になってしまった。

勿論シャワーなど浴びていないし、汗やら血やらその他身体から滲み出る色んな液が下着に染み込んで膠のように身体に張り付いている。

端的に言って、非常に気分が悪い。

 

風呂は…やめた方がいいな。とりあえず着替えて身体でも拭くか……。

 

俺は負傷したばかりの左腕になるたけ衝撃を与えぬよう注意しつつゆっくり白のタンクトップを袖から外し、ベッド下にある洗濯カゴ代わりのバケツに放り込む。

 

次は下か……。

まずキャンバスベルトのバックルを外し、外出着のズボンをベッド上に放り出す。

その後片手でPX品の味気ない紺色のパンツの裾を掴んで、ゆっくりと足を外す。

片腕の負傷は今回が初めてではないが、やはりやりづらい……。

俺が懸命にまだ動く右手に鞭打っているうちに、パンツの裾から股ずれを起こしてやや赤くなった鼠蹊部、髪と同色の毛、ズルムケのアレが露わになり、生まれたままの姿になる。

 

洗面器にタオルをぶち込み、流しにもって行って水を汲み沈める。

 

所謂冷水摩擦だ。あのレーニンも獄中で欠かさずしていたというロシア伝統の健康法で、風呂に入れない状況でも皮膚の衛生状態や血行に良い影響を与えるらしい。

 

準備は出来た。後は絞って身体を拭くだけ——しまった。今の状態でタオルを絞るのは不可能だ。

俺はびちゃびちゃのタオルの入った洗面器を抱えながらベッドに再び腰掛け途方に暮れる。

 

そんな時——。

 

ガチャリ

 

「なっ⁈」

 

ふと扉が開け放たれ自室に2つの人影が飛び込む。

 

保守派の刺客——だったらまだ対処のしようがある。

枕の下のマカロフはいつでも撃てる状態だ。

しかし、俺の部屋にノックもせずに押し行ってきたのは刺客ではなく、紅の姉妹の二人だった。

 

「お、お前ら…何いきなり入って来ているんだ!上官の部屋への入室要領くらい分かるだろ!」

 

「え〜、めんどくさいじゃん。それよりパパ、おふろにはいれなくて困ってたんだよね。わたしたちが拭いてあげる」

 

「結構だ。第一俺の裸ばっかりそんなに見るな恥ずかしい」

 

俺は手近な毛布で下半身を隠しながら二人をシッシッと手で追い払う。

 

「うむ、裸を見られたという点で言えば初対面の時、私達はノックもせず入ってきた父さんに既に見られている。だからこれでおあいこ…ということになるな」

 

「ぐぬぬ……確かに…」

 

痛いところを突く。

こいつら、俺が色々吹き込んだからとはいえ最近口達者になった気がせんでもない。

しかしこれ以上言ったところで彼女らは一歩も引かないだろう。

どうせ一人じゃ出来ないんだ。多少気恥ずかしいがここは二人の好意に甘えよう。

 

「ほらほらパパ。えんりょしないで。クリスカとわたしきれいにしてあげるから」

 

イーニァとクリスカは俺が先程手にしていた洗面器の中から濡れタオルを2枚取り出し、適度に絞っておしぼりを作り、手に持って俺の近くに寄る。

 

「イーニァは前を頼む。私は背中を拭くから」

 

「うん。まかせて」

 

俺は、背中にクリスカ、目の前にイーニァとサンドイッチ状態のまま二人に身を清められる。

この状態、己の皮膚から一箇所一箇所悪いものが剥がれ、自らの身が清められる感覚が気持ちいいものの、クリスカが動く度に背中に彼女の柔らかな胸が押し付けられるし、イーニァが胸や首を拭きに近寄る度に、シャワーを浴びたての彼女の髪から立ち昇る少女の香が鼻腔を侵食する。

 

二つの女体に挟まれながら身体を清められていくうちに、昨日の一件で疲れ果てた筈の下半身には渾々と血液が充血していく。

 

「えっ…?うわぁ……パパ、ここすっごく腫れちゃってる……だいじょうぶなの?」

 

「こ…これはその……」

 

「違うよイーニァ。男の人はね、前の私たちみたいな気持ちになると、ここが大きくなるんだ」

 

「へぇ〜。じゃあわたしたちも、前パパがしてくれたみたいにきもちよくしてあげなきゃね」

 

「お、おい待てお前ら——ッ⁈」

 

男性の勃起の様子を初めて見たのか、イーニァが興味深そうに俺の息子をその柔らかな手で触ってくる。

俺はその戒めから逃れようと身体を揺らしたが、まず第一に片手は負傷中。それに加えて先程背中を拭いていたクリスカもいつの間にか服を脱ぎ、下着の黒いTバックのみ身につけた状態で俺に抱きつき、がっちりと肩から俺の身体を固定する。

 

「そうそう、上手だよイーニァ。もっと口も使って、根本から先まで綺麗にするんだ」

 

「うん。パパ、きもちいい?」

 

イーニァが手のしごき運動に加え亀頭に舌を這わせる度に、俺は耐えきれなくなった快感を逃がそうと腰を後ろに引こうとするが、背中からはクリスカが、その細い身体のどこにそんな力があるのかがっちりとホールドしているため徒労に終わった。

 

「くそっ、お前ら…シャワーも浴びてないのに…汚いと思わないのか⁈」

 

「うん?きたなくないよ。ちょっとなまぐさいけど、それでも大好きなひとのだから」

 

「そ、それならいいが……。——っ⁈」

 

亀頭と竿の快感に加え、耳に甘い刺激が走る。

振り向けば、クリスカが背中から俺の耳を舐めながら抱きついていた。

 

「普段から怖そうな顔をしている癖に、耳が弱いとは意外だな」

 

耳元に伝わるクリスカの囁きと吐息。首筋から背骨にかけて走るゾクゾクとした快感、拙いが甘い竿への刺激、亀頭に這うイーニァの舌の温かさ。

 

それら全てに耐えられなくなった俺は、クリスカに抱かれつつイーニァの口内に盛大に射撃した。

 

 

 

「白いの、いっぱい出たな。気持ちよかったか?」

 

「……ああ」

 

射精後にどっとくる気怠い身体をクリスカの胸に委ねると、彼女が耳元で優しく囁いた。

 

「うえぇ…にがい」

 

「……苦いなら無理して飲むなよ…」

 

足元では這ったままのイーニァが俺の出したモノをゴクリと飲み干し、顔をしかめていた。

 

 

「うん、でも飲んだほうが、パパを忘れずにいられそうだから」

 

「…ありがとう。お前は優しいな」

 

俺は竿を再び咥え尿道に残った精液を吸い出すイーニァの銀の髪を優しく撫でてやる。

彼女もまた頭を撫でられ、嬉しそうに微笑んでいた。

 

 

 

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