「よーし!今日はここまで」
放課後のグラウンド、顧問の一声で部室へと戻る。
「おつかれさまでーす!」
陸上部2年生の坂下は部内で唯一の女子部員である。走り高跳びの選手である彼女は学内での交友関係も普通で、部活での練習姿勢にも問題はない。
しかし、彼女には1つだけ大きな問題があった。
部室内に備え付けられたシャワールーム。室内に衝立は無く、6台のシャワーが設置されているだけだが、シャワーを備え付けた部屋はこの1つしかない。つまり、男女共用なのである。
幸いにも部員は20人に満たないため、汗を流すだけならば大した時間は掛からないので、女子部員である未希は一番最初か最後に1人で使えばいい。いいのだが......
「ふぅー、もう汗でベタベタ。早く着替えないと気持ち悪いよー」
男子部員が利用している中、タオルを片手に一糸纏わぬ姿で入ってくる未希。周囲の目を気にすることなくシャワーのバルブを捻り、温水で汗を流し始める。
「んん~生き返るわ~。はぁ~」
全裸の女子が堂々と男しかいないシャワー室へ入ってくるのだ。未希が周囲を気にすることはないが、当然同室の男子部員は意識をする。もちろん目のやり場にも困る。
特に入部して日の浅い1年生はいきなり入ってきた未希に驚いて、逃げ出すように外へ出ることもあった。
「そういえば塩原さ。来週から始まる夏の大会のエントリー受付なんだけど......」
同級生である2年生は多少慣れたのか。正視することを避けていれば、他愛ない会話を行うことは出来ていた。
しばらくすると、入った時にいた男子達は先に上がり未希1人となったが、そこへ1年生の後輩部員が入ってきた。
「あっ、おつかれさまー。今日は茂木がいなくて片付けが大変だったと思うけど、ありがとうね。」
「い、いえ...自分、そんなにまだ練習についていけないので、片付けくらいはしっかりやらないと。」
手で体を洗いながら、用具の片付けで遅れてきた後輩を労いの言葉をかける。
後から入ってきた後輩はばつの悪そうな顔し、前をタオルで隠しながら入ってきた。
「ううん、いいんだよ。走り込みって結構ハードだし、慣れるまで時間は掛かると思うよ。疲れてヘトヘトになっているのに、片付けも1人でやるなんて偉いよ。」
「あ......ありがとうございます。」
そそくさと未希の使っているシャワーから一番離れた場所に向かう後輩を尻目に、彼女はシャワーを浴び終え、部屋を出ていく。
「それじゃあまた、明日もがんばろうね。」
「は、はい!おつかれさまです!」
上擦った声で挨拶をする後輩。こちらを向いて挨拶をしてきた未希に焦りを覚えながら挨拶を返した後輩の下半身のそれは、痛々しいまでに反り返っていた。