「はぁ……本当に来ちゃったよ……」
「やっぱり……2度目のデートでここは無いって感じでしたかね?」
夏の日差しが照りつける中、未希と慧は屋外プールの入口に立っていた。
「私は泳ぐことだって好きだよ。でも、慧くんもそんなにプールで泳ぎたかったのかな?」
「いや……別にそういうわけでも……」
「だったら、どういうわけがあったりするのかな?」
「そ、それは……」
未希の追及に言葉を詰まらせる慧。隠しようのない下心を彼女に見透かされている彼は、ここへ来る道中でも落ち着きを見せる事はなかったのだった。
「もう……そこはウソだっていいから、どうしても泳ぎたかったって言えばいいじゃない。私だって、別にイヤってわけじゃなかったりするんだから……」
「せ、先輩?」
「な、なんでもないよっ!ねぇ、早く入ろうよ。」
「は、はい……!」
言葉を濁した未希に促され、慧と彼女の2人は共に入口の門をくぐるのであった。
「それじゃあ、また後でね。」
「はい、わかりました。」
「うん……あ、水着、どんなのかって、いっぱい想像しておいてね。」
「なっ……!」
「ああ、もう十分たくさん想像しちゃってたかな?」
「くっ……うぅ……!!」
「それじゃあねー」
慧をからかう言葉を口にしながら、未希は女子更衣室へと入っていく。
女子更衣室の中は未希が思った以上に混雑していた。同い年くらいの女子や少し年上らしき女性、子連れの母親、その他多くの老若が着替えている。
「……はぁ。」
未希は小さくため息をつくと、空いているロッカーを見つけ開けると、荷物を入れ、そこから水着を取り出す。
「別に……水着くらい、どうってことないもん……」
そう自分に言い聞かせるようにつぶやくと、上に来ていたTシャツを勢いよく脱ぎ、適当に畳んでロッカー中へと入れる。同じように下にはいていたクロップドパンツも脱ぎ、畳んでロッカーへと収めると、白の下着だけを身に着けた状態となる。
「んっ……」
意を決したように、未希はブラのホックに手を伸ばし、肩にかかったワイヤー外す。するとブラは彼女の腕へと落ちて、形の整った美しい乳房が外気へと晒される。
「……ふぅ。」
一息をつき、続いてショーツへと手を伸ばす。両方の手を腰に当て、ゴムに親指を引っかけると一気に足元までずり降ろすと、尻と面積は然程広くないものの、程よく濃い陰部の茂みが露わとなった。
「はぁ……はぁ……」
下着も全て脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿となる未希。いつも裸となっているシャワー室とは異なり、ここに異性はおらず、同性の人間しかいない。しかし、彼女にとってはそれが自らの羞恥を普段以上に高めるのであった。
「だ、だめっ……!」
呟くように拒むの言葉を口にする未希。年相応かそれよりもわずかに大きな乳房、理想的ともいえる括れたウエスト。そういった女らしい体つきの一方で、女性らしからぬ体つきが、彼女の周囲にいる同性の目を釘付けにする。
「そ、そんなに……見ないで……!」
屋外の練習で出来た日焼け跡、それだけではない、細身ながらも力こぶの出来る腕部、姿勢を良くするだけではっきりと浮かび上がる広背筋、力を入れずとも薄らと6つに割れたことが分かる腹筋、締り上がった尻から伸びる、しっかりとした太股やふくらはぎといった下半身。未希の裸体は、女性らしからぬ引き締まり方をしているのであった。
「やっぱりこの身体……全然、女の子って感じがしないよ……」
顔を下に向け、自らの身体を見つめる未希。彼女にとって、理想的なスタイルと同時に与えられた女らしくない、引き締まり、筋肉の付いた身体は、意識によって変えることの出来ないコンプレックスであった。
「――――」
「――――」
「も、もう……やだ……」
美しくも女らしくない、引き締まった彼女の身体を見つめる多数の視線と、その主たちから囁かれる言葉。未希と同世代ほどの少女たち、一回りほど上であろう女性のグループ、中年の女性、そして幼い子供。その場にいる多くの同性たちが、彼女の裸体を目の当たりにしていた。
「……んんっ!」
未希は落ち着きを見せるように水着のインナーを手に取り、速やかに足を通した。しかし、水着や下着以上に身体へと密着したインナーを穿いた彼女は、その締め付けに股間が反応をしてしまう。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
息遣いが少々荒くなりながらも、下の水着をはいて、上のビキニブラも付けて丸出しであった乳房を覆い隠すと、全裸である時よりは落ち着きを取り戻すことが出来た。
「きっと慧くんが待ってるんだから……早く行かないと。でも……」
好奇と羨望が入り乱れた視線に晒され、火照った身体が醒める気配のない未希。耐えることが難しいと悟った彼女は荷物の入ったロッカーを締めると、彼へ詫びる言葉を口にしながらプールではない方向へと向かった。
「ごめんね……慧くん。」
足早に未希が向かったのは、女子更衣室に備え付けられていた化粧室であった。幸いにも洋式の便座が空いており、彼女はそこへ入り鍵を閉めると、勢いよく水着とインナーをずり降ろし、便座へと腰掛けた。
「私……こんなところでしちゃうなんて……ヘンタイだよ。」
自らを蔑む言葉を呟きながら彼女は、股間の茂みをかき分けて、指で秘部をなぞるように弄り始める。
「んんっ……!んっ、んっ、ふぅ……!んんんっ!」
決して声を漏らすまいと口を結び、喘ぎを押し殺しながら自慰を続ける未希。だが、色欲に支配された身体を、不特定多数の人間が出入りする空間で慰めるという異常な行為に対して、彼女はこれまでにない快感を覚えていた。
「んっ……ふぅ……んっ、んっ、んっ……はぁ……!んんっ……!」
なぞるだけでなく、膣内へ指を挿入して快楽を貪る未希。密室とはいえ公共の場所であることを意識するよう心掛けている一方で、秘部を愛撫する自らの右手は激しさを増していく。
「んっ……もう……早く、しないと……」
そう自分に言い聞かせ、僅かに開いていた足を大きく開くと、膣内に入れていた2本の指を3本に増やし、一心不乱に登り詰めようとしていた。その時
「あっはははっ!なんてひっどい崩れ方してんの!」
「うっさいわね!あんただって人のこと言える顔じゃないっての!」
「……っ!」
外から入ってきた若い声の2人。おそらく会話の内容から察すると、崩れていたメイクを直しに入ってきたのだろう。
「ふぅ……!んっ、んっ、んっ、んっ……!んんんんっ!」
響くような彼女たちの声を聴きながらも、未希は自らを激しく慰め続ける。そして、ついに同性が共にいる空間で彼女は達しようとしていた。
「んんっ!んっ、んっ、んっ……ああんっ……!んんっ!?っんんんんんんんんぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!」
絶頂する瞬間、わずかではあるものの思わず声を上げしまった未希。慌てて開いてしまった口を閉じ、空いていた左手で便座のレバーをひねって水を流し、声をかき消すよう努力をした。
「んんんんんっ!!!!!!んっ……んんっ!……ふぅ……はぁ、はぁ……はぁ……」
達して余韻に浸っている時、既に化粧室の中は水が流れ終わりそうな音がなっているだけであった。
「ふぅ……んんっ……」
自慰で絶頂を迎えた後。未希は愛液で汚れた自らの秘部をきれいにふき取ると、片足に引っかかっていたインナーと水着を穿き、愛液を拭き取った紙を便座に流し捨てて化粧室を後にした。
「あんなことしてたら、絶対に嫌われちゃうよ……あんなにエッチなこと……」
先程まで行っていた自ら行為を思い出しながら、彼女は異性のことを考える言葉をつぶやくのだった。
「ごめーん!遅くなっちゃたよ。」
「あっ……せ、先輩。」
案の定、先に更衣室の出口で待っていた慧を見つけ、未希は侘びの言葉を言いながら小走りに近寄る。
「ごめんね。ちょっとお手洗いに行ってたら時間が掛かっちゃって……」
「い、いえ。大丈夫です。そんなに待っていたわけじゃありませんから。」
「……ん?」
未希の方をよく見ようとせずに会話をする慧。そのことを不自然に思う未希であったが、すぐに理解することが出来た。
「ねぇ……私の水着、どうかな?あまり自信はないけど、ちゃんと見て……ほしいな。」
「は、はい……!」
未希の言葉に促され、慧は彼女の水着姿を直視する。普段の飾り気ない格好と同様に白いビキニを着た未希の姿がそこにはあった。
「ど、どう……かな?」
「良いと……思います。」
「むぅ……本当にそう思ってるの?」
「ほ、本当ですよ!似合っていると思ってますから!」
彼女の問い詰めに褒め言葉を口にする慧。それを聞いた未希がわずかであるが不満そうにしていた顔を綻ばせて、言葉を返す。
「ふーん……まぁ、いいっか。ね、早く行こ?あ、ボートとかレンタルしてる店があるよ。行ってみようか。」
「そうですね。先に行ってみましょうか。」
彼も彼女の言葉に同意し、2人は混み合っている真夏のプールサイドを歩き始めていた。