※この作品はR-18です。

獣帝都学園   作:HAL

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※設定では人格の事書いてありませんが、小説内での物語上なので温かい目で見てくださると嬉しいです。



心の傷は何で治るのか模索中、裏の人格生まれる

 

 

静かに目を開けると心配したカズが俺を見ていた。

 

「ど、どうした?ミツ様…?」

 

「カズ、お前俺のことが好きか?」

 

「っ!!…えっ、でも、さっき……」

 

「答えろ。好きか?」

 

「……は、はい…好きです…」

 

「その好きは何を表す『好き』だ?」

 

「え?……えっ、と……その…」

 

友情か恋愛か、それとも慕う思いか。どれだ?

 

「………も、もちろん『慕う』方です…!」

 

「なら、現状を把握する必要がある。お前は『コイツ』の担任なら尚更な」

 

「え?それはどういう……?」

 

カズはハテナを浮かばせる。また切り替わってるじゃないかと疑うカズ。それは顔に出てるのですぐに分かったが、あえて俺は仰ぐ。

 

「お前が疑問に思ってる『切り替わる』を俺に言ってみろ。この場合は『元に戻れ』か?」

 

「……っ…、『元に戻れ』」

 

「仰せの通りに、ご主人様」

 

いつもの動作とともにカチッと切り替わる。しかし、俺は何も変わっていない。むしろそのままだ。

 

「代われてるか?『カズ』」

 

「!!?」

 

いつもなら『猫先生』と呼ぶはずの部分が変わってないことに気づくカズ。しかも声のトーンも雰囲気も何も変わっていない。一体どうなってると俺を見て睨む。俺はそんな目にも動じずカズを見ていた。

 

「この体の持ち主は寝た」

 

「寝た!?」

 

「あぁ、寝た」

 

「寝たってつまり…」

 

「その名の通りだ」

 

「な、なんで…?」

 

カズの頭はハテナしか浮かんでない。それは今の現状についてもハテナだから。俺は全ての記憶があるしどうしてそうなったかも知ってる。原因もわかる。

 

それは全てが全て、主の勘違いでなくともそれに似たような境遇を既に受けているからだ

 

「少し長くなる。だがこれはお前の中に留めてくれ。他言無用だ。それが話す約束だ。いいな?」

 

カズは頷きそして俺と一緒に座る。俺はこの身体の持ち主である、主の全てを話した。家族のこと、バイトでの出来事、これまで記憶喪失案件のこと、全部を話した。全てを胸の内に秘め、全ての痛みを顔に出さずに過ごしてきた主のことを話した。今の気持ちもなにもかも。そしてそれを聞いたカズは目を見開き、涙を流した。同情がくるものなのかはカズにしか分からないことだが、今はそれを聞くことはできない。

 

「これが全てだ。そして主が寝た真実だ」

 

「お、俺の言動が……?」

 

「お前だけの言動だけじゃない。全てのストレスを抱え込んで、本当ならいつ倒れてもおかしくない状況でずっと耐えた。むしろ、俺はそんな主の身体を乗っ取ることは出来ない。守りたいと思う。だが、今の主はもしかすると誰の声も届かないかもしれない。それはこの身体の持ち主をよく知ってる者達でもだ。俺はただ言われた通りにするだけだ。主は俺にこう言った。

 

『誰だかわからんが、俺の身体を好きにしてくれていい。だが、ちゃんと丁寧に扱えよ?俺の大切な身体だからな?それとなんだか疲れた。明日から『俺』がその身体を動かせ。『主』よりも『俺』が動かす方が、保てる気がする。悪い、不甲斐ない持ち主で。悪いが、今の『主』を起こすのは辞めてくれ。癒えるまでここに居させて、お願いします』

 

と。勝手に俺流の解釈に変換してしまっているが、寝る前にそう言っていた」

 

「……………………」

 

カズは沈黙してしまった。教師なのに本当に何一つ自分の生徒を気遣ってやれていないことを痛感する。そして己のしたことを酷く後悔した。

 

「俺のことをご主人様だと思わなくていい。人格になったらそれはもう、個人だ。そして主は勘違いをした。それは紛れもない事実だ。だが、それに関してはどうしようもない。人の言葉はあまりにも少なすぎる。それ故に勘違いが起きる。主が寝る前にお前に言わなかったか?『お前、俺に恋してるのか?』と。聞いてこなかったか?」

 

「き、聞いてきた…」

 

「お前はなんと答えた?」

 

「い、いや、答えてない…」

 

「いや、答えたはずだ。手段はなにも言葉だけじゃない。思い出せ」

 

「…………。…っ…!!まさかっ!!」

 

「お前はもう答えたはずだ。何で答えたか言ってみろ」

 

俺の言葉に目を見開くカズ。そしてそれを口にした。

 

「表、情…?」

 

「お前は俺に対してと主に対しての表情がまるで違った。それは主が勘違いするに値するほどのことだ。お前は俺に対しては顔を赤らめた。主にはどんな顔でいた?どんな顔で拒否をした?………『今から同じセリフを言うから、確認のためにさせてもらいたんだけどいい?』」

 

「…………!!」

 

「主は確認のために俺と同じセリフを言った。そして仕草も何もかも一緒だった。それに関してお前はどの反応で言った?」

 

「……………っ、……!!」

 

「お前は主を否定したんだ。存在を。俺と主の認識を否定した。それは何が残ると思う?結局、人は主の何を求めた?何を選んだ?何を見ていた?」

 

「………っ…、…っ……」

 

「結果、何が残った?主には何が残った?それが主の寝た答えだ。誰かに気づいてもらいたいと思っていればいつだってできた。主を知る者にだって言えた。だが、それをもしてこなかった。まあ、その辺りは俺の口からは言えない。だが、これが現状であり全てだ。後はちゃんと主が起きた時に主の口から話させる」

 

「………、………………」

 

カズの目からは大粒の涙が出ていて、でも声は押し殺している。自分が泣くなんて許さないと言いたげに、自分よりも苦しいほどのことを考えていた奴と比べて自分をその土俵と同じだと思ってはいけないと、そういう顔をしている。

 

「カズ」

 

名前の呼びかけにカズは顔を上げた。

 

「お前は主のことをどう思ってる?」

 

「………、たい、せつな……せい、と……っ、で……、たい、せっ…つな、…ペット……で、……た、いせ…つっ、…な…、ある…じ……さま……です…」

 

「今度主が起きたら俺にやったように、アイツにも同じようにしろ。ちゃんと自分の気持ちを伝えて、今度は支えろ。こんな風に後悔した状態で泣くことがないようにな?」

 

「……はい、ご、しゅ…じん…さ、ま……」

 

「お前へのお仕置きは反省だ。それから主が起きるまではずっと俺だ。だが同じように接しろ。表と裏の区別はしっかりつけ。それからもう1つ」

 

俺は部屋を出る前にカズの後ろにある物を取った。そしてそれをカズの目の前に置き、もう1つのお仕置き言い渡した。

 

「これを自分で尻の穴に入れろ。今日はそれを見てから帰る。それをしたくて呼んだんだろ?しかも、この契約は口実に本命はそれだ。違うか?」

 

「!!!」

 

図星だったようだ。カズがしたいと思ったことは結構マニアックな行為だった。エネマグラというアダルト道具。それは入れた時には何も感じないが、入れた後に力むとそれは抜くまでずっと気持ちいい所を押し、イき狂うほどの代物だ。もしかしたら小型バイブとかの類よりタチの悪い道具だと俺は思う。それを、しかも教師ともおろうカズがそれを持ってるということは、つまりそういうことをしたいという意思表示。

 

今回の不始末に相応しいお仕置きだ

 

カズは下だけじゃなく上も脱ぎ、そして裸になる。それから自分でエネマグラを入れる。自分の気持ちいい場所をちゃんと把握しているのか、力まないようにゆっくり入れて準備をする。それから俺のためにかはわからないが、ゴムで自分の息子を縛り、そして牛乳瓶を自分の息子にはめる。準備ができると俺を見つめる。俺からの合図を待ってるようだった。

 

「力め、カズ」

 

俺の言葉に力む顔をするカズ。そしてちゃんと動作が出たことを自分の気持ちいい所に当たって確認すると同時に、カズは声を抑えられないのか喘ぎ始める。

 

「…あ、ああっん……っ、あ、んあっん……!!」

 

「体制は崩すなよ?カズ。ちゃんと俺に顔を見せろ、感じてる顔を俺に見せろ。できなければイくことすら出来ずにそのまま放置して、明日までずっとその体制にしといてもいい。どうする?」

 

「……あぁあっ、や…っだ……ぁあぁっん、…ちゃ、と……した、がい……ましゅ…うぅっ、んんっ…っ!!」

 

「ちょっとでも崩したら俺は帰る」

 

「っ!!……やぁ、ら、っ!!……んあっんぁっ、ひんっ……アッ、あっ……っ、あぁあっ…」

 

泣きながら頑張って踏ん張る。が、その力みが自分で苦しめる。中でグリグリゴリゴリ動かすエネマグラ。まさに生き地獄。イけない苦しさしかない。しかも自分で枷をつけている。だからずっと喘ぎ続ける。腕がプルプルと震えていて今にも堕ちそうなカズ。しかし、俺はまだよしとは言っていない。だから耐えるが、それは力むのと同じこと。

 

懐かしいな。この眺めは…

 

あの店でもそんな感じだった。今回は体制をそのままで顔もこっちに向けるという固定、その眺めはあの店でしかもあの時は小型バイブを使用してのお仕置きだった。今みたいに耐えることを強いり、そして疲れるまで鳴き叫ばした。

 

同じだが、物が違う。それにこれはカズが望んでそれを、頼み買ったもの。俺が用意したものでは無い

 

無言で眺めているとバイブとは違って止めることが出来ないからか、涙とヨダレを流しながら限界だと言ってくる。腰も自分から振って息も荒い。だが、まだ数分しか経ってない。あの時は休み休みだっただけで実際は休ませる気はない。俺はカズの欲しい言葉をあえて言わずに質問した。この今してる行為とは全く関係ない質問だ。

 

「カズの好きな色は?」

 

「へあっ!?んんっ、はっはっ…っ、…い、よ…れふ…かぁ…っ!?……ああっ、んんっ…、くよ…れ、ふ……っんん……」

 

「なんて?」

 

「……んああっ、……くろっ…でふ……っ!」

 

「カズの好きな食べ物は?」

 

「……はっ…はっ……、あぁっあっ、アッ…っ、……えっ、と……っん…ひぁあっ、んあっ……、……おむ、らい…す……でふ……っんんぅ…!」

 

「オムライス、か。お前のイメージとはかけ離れたものが好きなんだな?」

 

「んあっんぁっ、……っは、っは、……は、いっ……いぃっ、ひんっんんっ!!」

 

そんな感じでカズが欲しい言葉とは関係ない質問を続けた。律儀に答えるカズ。それでも欲しい言葉の気持ちが強くて、俺の質問を押し切って言ってしまった。

 

「カズの好きな言b」

 

「…っ、ごしゅひんさまっ!!」

 

「………、なんだ?」

 

ろくに言葉も言えない呂律でも俺に訴えるように叫んだ。この行為がどういう意味をしてるかわかっててやってるんだと思い、俺はその声に耳を傾ける。今の声でエネマグラも強く反応してゴリゴリと刺激を与える。その強さに耐えながらカズは言う。

 

「…んあっんぁっ、ああっあああっ…!!……さか、やっ…て、……んんっ……、おへ、んな…は、い…っ…。へも、…っも……、はっ、はっ……、アッあっんんっ、……いひ、ら…い……れ、しゅ…っ!!……い、きゃ、へて……くら、しゃ…い……っ!!……おへ、はひ……しま、しゅっ……っ!!あぁあっ、ぁあぁっ…ああっ!!」

 

『逆らってごめんなさい。でも、もう。イきたいです。イかせてください。お願いします』、か。まあちゃんと俺の質問には充分に満たしてくれたし、ご褒美をやるか。耐えたご褒美をな

 

俺はカズに近づいた。カズは今の発言で怒ったと思ったのか、大粒の涙を零していた。体勢も顔も固定だから下を向けない。それでも怒らせたと勘違いして涙が止まらない。言葉に出そうにも喘ぎ以外でない。謝りたいのに謝れない。そんな負の連鎖。俺はカズの耳元で囁く。そしてゴムがついてる所を触った。それが何を意味しているのかは、今のカズの頭ではわからない。混乱していてわかってない。

 

「お前の望みを聞いてやる。俺の合図に合わせ、俺が一言よしと言ったらその時は盛大にイけ。そしたら尻の中にあるやつも俺が外してやる」

 

「っ!!」

 

ゴムを瓶の周りに付けて、盛大にエネマグラを外した。それと同時に耳元で「よし」と言うとカズは言われた通りに盛大に射精した。牛乳瓶をいっぱいにするほど、出た。搾り取るように出た頃には牛乳瓶から溢れ出ていた。まだ体勢をよしとは言ってないので、体勢はそのままにさせている。俺は牛乳瓶を外し零れそうなカルピスを他の牛乳瓶に移し替え、それからカズの息子にティッシュを付けてちゃんと拭いてあげた。その刺激だけでも、少し残ってたのか漏れた。幸いティッシュを被せてたので大丈夫だが、出すとは思わなかった。もう出ないというように体がフラフラし始めていた。後処理を済ませて俺は一言聞こえるように呟いた。それは解放する一言だった。

 

「もう楽になれ。お疲れ様」

 

その合図にカズはバタンと倒れた。息を切らして脱力。肩で息を吸って吐いてる。タオルを探し水を少し含ませてから戻ってきて、拭いていく。いきなり触ったのでビクッと震えた。

 

「……ごしゅ、ひん…さまっ…?」

 

「なんだ?」

 

「……なん、らか……やしゃ、しい……」

 

「主の時の俺と主ではない俺の違いだろう。主の俺へのイメージがいつもしてる感じで、本当の俺が出たことで違いがでたんだろう。主の身長だと俺は不釣り合いかもしれんが、これはこれでいい」

 

「……ごしゅ、ひん…さま…」

 

「なんだ?」

 

まだ整ってない息遣いだが、それでもフルフルと腕を伸ばし俺の心臓辺りの胸に触った。俺はキョトンした顔でカズを見る。

 

「……ふひ…っ、ご、へんな…。おへの、ことわ……たらふ…にゃ、おはへ、の……ここお、お……こはひ、た……。……ひひゃ、まへかや、かもっ…ひへはひ……けよ、…ひひはへ、お、ひはへは…のふぁ……、おへは……。……やん、と……っ、ちゅ、ひふぁ…、…ひゃん、ほ……いふな…?…ほんほーひ…ご、へんな…はひ……、あゆひ、はま……っ…」

 

主、聞こえたか?寝ててわからないか。届いたなら覚えててあげてくれ。カズの、お前の担任の声を。聞きづらいなら、俺が改訳しよう

 

『腐獅、ごめんな。俺の言葉足らずがお前の心を壊した。いや、前からかもしれないけど…引き金を引かせたのは俺だ。次はちゃんと言うな?本当にごめんなさい、主様』

 

だとさ。その気持ちだけはあんたの心の中に閉まってやれ。それも主の仕事だぜ?

 

眠くなったのかカズはそのまま寝てしまいそうだった。このまま何もせずに去ったら風邪をひかせる。それはダメだと思った俺はカズに言う。

 

「カズ、俺はまだ寝ていいとは言ってない。それとも、俺の言葉よりも先に寝る気か?それならもう一度お仕置きすることになるがどうする?今度は優しくない、厳しめでやる」

 

「っ!!」

 

頭を振って眠気を覚ますカズ。それでも眠いのは事実でうとうとし始めた。

 

疲れてるんだから仕方ないが、ここで寝るならベッドで寝ないとな

 

「カズ」

 

「…っ!はひっ!」

 

俺は耳元でドスの効いた声で囁いた。怒ったような口ぶり、名前を呼んだだけだが効果抜群のようだ。ハッと気づいて涙を流しながら謝るカズ。

 

「ごめんなさい、ご主人様っ!!命令があるまで寝ませんからっ!!ちゃんと起きてますっ!!ごめんなさいっ、ごめんなさい…っ!!」

 

「なら、風呂に行け。風呂が終わったら服を着て、それからベッドで寝ろ。そこまでの動作は俺にも用事がある。全部は見てやれない。真っ当にできたのなら、その結果は明日聞く。明日次第ではこのエネマグラをつけた状態で壇上に上がり授業しろ。決して喘ぐな。そして悟らせるな。それが明日の結果のお仕置きだ。それが嫌なら俺の言っていたことは守れよ?」

 

「は、はいっ!ちゃんと従います!!ご主人様っ!」

 

「なら、俺はもう帰る。あとの自分の後始末は自分でやれ。それじゃあな?」

 

「おやすみなさいませ、ご主人様…!」

 

「ん」

 

掌でヒラヒラさせて部屋を出る。それから自分の寮の部屋に向かった。エレベーターの中に入り、ただひたすらに無言で次のことを考えていた。

 

次はトシに会うだったな。俺の雰囲気を感じ取れた後はどうするか、何か言ってきそうだが。それは運命に委ねるか

 

そして3階の1番端の部屋にたどり着く。ガチャと開けようとすると、鍵がかかっていた。鍵で開けて中に入る。用心として鍵を閉めるのは正解だからだ。

 

………、俺は演技ができない。そのままで行くか

 

「ただいま、トシ」

 

リビングで正座をするトシ。結構プルプルしていて何時間もこのままでいたことが分かる。

 

「…お、かえり……っ」

 

何に張り合ってるのかわからんが、まあいい

 

俺はトシの後ろに立ち足をツンと触る。するとその勢いに飛び跳ね、そして地面に落ちる。ジンジンヒリヒリする足に悶絶するトシ。俺はつかさず上に乗り足を掴んで足をツンツンする。全身をビクンビクンさせるトシ。治るまでずっとツンつくした。その度に喘ぎのような声が耐えない。治った頃には何もしてないのに全身をビクつかせてる。息が荒くて苦しそうだ。

 

「トシ、本題に入る」

 

「……!!」

 

そう言うと悶絶は今もしてるがとりあえず座る。正座はちょっとできないので、他の座り方。背もたれに背中をくっつけて足を伸ばす座り方。これでも結構失礼だが、足が悶絶するほどの痺れだったので俺は何も言わない。むしろまだ全身がビクつかせてるのにも関わらず、座ろうという努力を見せたことに免じて許す。

 

「学校件」

 

「っ!」

 

「休んだ理由は?」

 

「……………」

 

言わない。俺はトシの目の前に座る。

 

「…………。トシ、首輪を貸せ」

 

「………?」

 

俺に首輪を手渡したトシ。何をする気だと思う顔で俺を見ていた。俺はそれをゴミ箱の前に立ち、それを捨てようとした。

 

「!!……えっ!?」

 

「いらないだろ?」

 

「へっ!?」

 

「ご主人様の質問に答えない奴は、いらないよな?」

 

「!!ま、待って…くだ…さい!!」

 

「何を待つんだ?ちゃんと待ったぞ?朝も聞いた。それにも答えなかった。今も聞いた、それも答えなかった。なら、主従としてご主人様に尽くさない。それはどういう意味か、わかるか?」

 

「!!!」

 

俺の言いたいことが伝わったのかビクつく身体にムチを打って、首輪を死守。俺を睨むトシ。

 

「なんだその目は?」

 

「っ!!」

 

肩を震わせて涙を流しながら見つめる。俺もトシの目を見て睨む。するとにらめっこゲームに負けたトシは、ビクビクを震えながら首輪を差し出した。

 

「捨てていいのか?」

 

その質問に肩を震わせて、弱々しく頭を振った。

 

「なら、学校の件を話せ。それが出来ないなら捨てる。どちらか、賢明な判断を出せ。お前にとってどっちが大切だ?」

 

「っ!!」

 

余程言いたくないらしい。だが俺も引き下がらない。首輪を捨てない代わりに話せとか、脅迫でしかない。だが、それでも聞くために手段を選ばない。しばらく沈黙が続き、折れたのはトシだった。そしてぽつりぽつりと話し始める。

 

「………結構、在り来りな理由…ですよ…?」

 

「わかった。捨てr」

 

「あっ!!話します!!話しますからっ!!」

 

とても必死に。そして本当に観念したトシは話す。

 

「そ、その……、通常の卒業をしない限りは俺はここを離れることは出来ないのは、わかってると思うが…。俺は20歳、つまり成人してる…。だから実質授業を受けることは出来ない。カリキュラムやらなんやらはもう既にとってるし、卒業するための単位的なのも取ってある。卒業できないのは登校日数が足りないこと。だから、その日数さえ取れれば問題ない。……問題ないんだが…、2年の登校日数はもうとっくにとってあるのに進級は愚か卒業もできない状態だ。それに、それを条件に俺は学校に通ってる。だからとってるなら出来るはずなのに、縛られてる。地縛霊のように…。そしてそれを仕切って支配してるのは教頭か理事長だ。まあ、間違いなくこういう悪役に回るのは教頭だからな。俺がここから出られないのはそれがあるから。そして、その話は誰にも話してないし話せない…。それに、前から言われてるんだ。

 

『学園に足を踏み入れるな。寮に住ま得るだけでありがたく思いなさい。20歳過ぎた大人が、まだこの学園に居るなんて風紀の乱れです。わかりましたね?』

 

んな事言われたら、敷地内はいいとしてそれ以外は息するなって言ってるもんだ!そんな状況で誰かに言えるかってんだ!!」

 

トシは興奮して我を忘れていた。それは不安の煽りや、自分がこの学校に相応しくないって自覚してる状態での指摘。さらに追い詰めるような焦り、そして極めつけが誰かに言えるような相談じゃないこと。たとえそれがご主人様の命令でも無理な話。だから言えない。それをずっと隠してきた。それを俺はあえて脅した。吐き出させるために。主だったらしなかっただろうが、俺はちゃんと聞く。トシの心を。そのどれにも当てはまるような気持ちの整理ができない苦しさを。救うのは難しい。

 

それでも、お前が少しでもスッキリするなら悪役にだってなる。それが俺の主から生まれてきた『正義』。なり方や、やり方は違っても信念は一緒。トシ、もっと吐き出せ。聞いててやるから、全部話せ

 

その後も吐き出した。自分への不満や学校での不安、卒業を貰えない不安等。方向がどんなに曲がって着地地点を見失っていても、俺は最後までトシの話を聞いた。トシの話はさらに曲がりに曲がって教師への不満を言い出した。それにも俺は何も言わなかった。決して口を挟むことをしない。

 

「教頭への評価は噂通りクズな考え方をするやつだ。通常なら2年の状態で卒業はなくとも、単位を全部取っていて必要な出席日数だって満たした。進級くらいはできる。つまり3年になれるはずなのに、それをしない。まるで俺をずっと永遠の呪縛に置き去りにしたいみたいな。……くそっ、許せねぇ!!

 

『おや?まだ学校に出席してんのか?』

 

『20歳過ぎた大人が学生とかウケるー』

 

『留年と浪人だろ?卒業できないで浪人とか』

 

『恥とか考えないのかね?』

 

『学園に来るのも風紀も空気も乱れるというのに』

 

『出席日数もクリアなら、この学園から去ればいいものを。留まるなんて図太い神経だな』

 

このセリフは俺が学園に行くと、ことある事に嫌味を言ってくる教師の声だ。教頭と同じように嫌味を言う。まあ、そんなこと誰かに言ったところで誰も信じない。実際信じなかったし。だから、俺はずっとこの学園に居続けるしかない。もうどこにも居場所がないんだ。学園にもここにも……」

 

頭を抱えてその後は沈黙をする。トシの中で話が終わったようだ。俺はトシを呼ぶ。

 

「トシ」

 

名前を呼ぶとトシは顔を上げる。それから俺はつかさず人差し指でデコピンをした。威力はそこまで痛くないはずだが、それでもトシを我に返らせるには充分な刺激だった。ハッと気づいたトシは俺を見て何か言おうとして、俺はそれを阻む。俺はトシをキツく抱きしめた。苦しくなるほどに。でも、それもトシには気づくのに充分な強さだった。おそらくトシは。

 

「(俺の居場所……、まだ…あった…。ご主人様のそば……、まだ……ある……)」

 

そう思ったからトシの目からは涙がポロポロと流れていた。自分の居場所をちゃんと見つけれた。孤独じゃない。ちゃんと確固たる居場所。ご主人様が与えてくれた『優しい世界』、それをトシは自分で無くしていた。でも、またちゃんと見つけれた。それだけで力が抜けた。それはさっきまで力んでた気持ちが、この行為だけで気づき楽になれたから。トシは声を出して泣いた。話と同じくらい長く泣いた。そして時間をかけて泣き止む。

 

「ごめんなさい…。変な弱音を吐いた挙句、自分を見失って…、最後には泣いて…。弱い所を見せてばかりで、年上って所が1つも無くて…。……俺ってなんで、こんななんだろう……。……居場所も、見失うし……、ご主人様の存在も、忘れ…るし………っ……。っは、っは……っ……ごめんなさい……っ……、ごめんなさい……」

 

そしてまた泣き始める。俺は何も言わずひたすら聞いてる。ひたすら泣かせさらけ出させる。トシが全てにおいてスッキリするまで、疲れ果てるまで。寝かせたとしても明日は、行く場所が決まっている。授業は出れるかわからないが、それが終わるまでは教室には行けない。とりあえずこの時間は誰も起きてない。トシも泣き疲れていつの間にか寝てしまっている。トシを部屋に寝かせに行き、今夜は逆に俺がトシの添い寝役をする。そして一緒に寝る。

 

明日は明日でやることがある。俺のコレよりも先に済まさないといけないことだ。悪いな主…、もうしばらく眠っていてくれ

 

 

朝。まだ6時。俺は起き上がりトシの頭を撫でて、ベッドから出た。それからスマホである人間と話す。

 

「もしもし、要件だけ話します。朝、あなた方が出勤した時にお話を伺いに行きます。少し相談があるので、何か用事があっても聞いて下さい。それでは7時に向かいます。ではまた後で」

 

そう言って電源を切りポケットにしまう。それから朝飯の用意をする。しばらくして30分後にトシが起きてきた。まだ寝惚けている。

 

「トシ」

 

「んー……」

 

「おはよう」

 

「あ?おはよう…」

 

口が悪いのは寝惚けているせいもあるだろう。だが、それを許せるのは主だけ。俺は許すかといえば。

 

「トシ」

 

「あ?」

 

「起きろ」

 

「っ!!?」

 

耳元でドス黒い重低音ボイスで囁いた。答えはNOだった。その一言で寝惚けていたトシは目が覚める。そしてさっきのドス黒い声が頭の中に駆け巡り、最終的には身体を支えきれずに尻もちつく。身体をビクビクさせ、でも俺の顔をずっと見つめる。俺はそんなトシを見下すように見つめる。実際見下すような見方はしてないが、そう思わせるには充分な材料。

 

「……っ、…ごめんなさ…」

 

「トシ」

 

「は、はいっ!!」

 

「起きたか?」

 

「…は、はいっ!!」

 

「ならいい。飯だ」

 

「は、はいっ」

 

「顔洗ってこい。それから食べる」

 

「はい!」

 

主と違い、スマートに終わる。トシは顔を洗いに洗面所へ。俺はちゃぶ台のようなテーブルにご飯を盛った茶碗を置いていく。来たら食べれるようにしておく。トシが洗面所から出てきた。そしてテーブルの前に座り、ご飯を見て目を輝かせる。

 

「じゃ、食べるぞ」

 

「はい」

 

「……、まだ怖いか?」

 

「あ、いえ…。えっと、わかった」

 

若干引き継いでる感はあるが、2人でいただきますをし食べ始める。そして俺はこれからすることを、食べながら話す。

 

「トシ、今からの予定なんだがいいか?」

 

「お、おう…。なんだ?」

 

「俺と一緒にある場所に行く。行ったらお前は逃げるだろうからな、それは言わないが7時に行くと伝えてある。それに間に合うように行く。いいな?」

 

「状況がイマイチ掴めねぇけど、わかった…」

 

「という訳で俺は、ごちそうさま」

 

「えっ?えっ?あ、待っ!?」

 

「お前はゆっくりしてろ、歯磨きぐらいはしておいてくれ。俺は俺で支度があるからな」

 

「あ、わかった…」

 

俺は立ち上がり茶碗を片付け、部屋に向かう。そして部屋に入ったら、スマホを取り出しカズに電話する。

 

「もしもし」

 

『んぁ…?ご主人様…?」

 

「そうだ。お前には先に言っておく」

 

『へ?』

 

「今日、俺は授業を受けれるかわからない。用事を済ませてから行くつもりだからだ」

 

『……どこに行くんです?』

 

「ーーーーー」

 

『え!?……、わかりました。把握しました』

 

「それと、学校は敬語禁止。わかってるな?」

 

『わかってます。今だけです』

 

「わかってるなら、いい」

 

『はい。とりあえずその用事が終わったら来るんですね?』

 

「あぁ、そしたら授業に出る。教室のみんなにもこのことは秘密にする形で、言っておいてくれ。病院という言い訳文句やめてくれよ?」

 

『それはさすがに…。まあ、ちゃんと考えときます。無難な感じに…』

 

「なら、いい。ありがとな、カズ」

 

『!!い、いえ!!お役に立てれて光栄です!!』

 

「あぁ。それじゃあな」

 

『はい!』

 

ピッと電源を切る。そして鞄を持って部屋から出る。手首には昨日、カズに言われた通り腕輪をつけている。トシは頭にハテナを浮かべていた。

 

「どうかしたか?」

 

「な、なんで腕輪??」

 

「あぁ、初日にしくじってな。これは下僕の証だ。そして、その下僕のご主人様がカズ。つまり、猫先生。んー、この場合は猫澤先生か。ということだ」

 

「……………」

 

なんだか不服そうに見つめてくるトシ。無視して話を進める。時間が無いので。

 

「これは学校では付けないといけない。だから、付けていくんだ。そして正式な下僕になった者は、腕輪になるんだと。で、出る準備は?」

 

「っ、あ、えっと。出来てる」

 

「なら、出るぞ。俺も支度はできた。もう行ける」

 

「お、おぅ…」

 

そして自分の部屋に鍵を閉めて寮部屋を出る。鍵を閉めてエレベーターで1階に行き、内兎に鍵を渡して学校へ向かう。

 

「トシ」

 

「ん?」

 

「先生方に会っても『おはようございます』だけ言って、あとは黙ってろ」

 

「お、おう。わかった」

 

その会話は的中する。学校にトシがいるってだけで、嫌な顔や後ろでコソコソ嫌味を言う教師らがいた。トシの表情はあまりいい顔はしていない。が、言われた通り挨拶だけしてあとは黙った。そのまま約束の場所へと向かった。トシは何故こっちに向かってるのか分からなかったが、こっち側に何があるのかは察した。そして言おうとしたトシより先に言う。

 

「勘づいたかもしれんが、黙ってついてこい。そして逃げるな。いいな?」

 

「………っ、わかった…」

 

それだけ言って長い廊下を歩いた。そしてたどり着いた場所は、理事長室だった。トシは言われたから守るが、もし言われなかったら逃げ出していたかもしれない。その察し能力は主の直感だろう。さすがだ。

 

俺は主が居なかったら無理だっただろう。土台があるからできることだしな。感謝しないとな

 

そして理事長室に辿り着く。直前になって帰ろうとするトシ。俺はトシの腕を掴みトシの目を見て睨む。何も言わない。何も言ってないのに気迫なのか圧力なのかわからない空気が漂う。トシは完全に屈服させられ頭を下げる。観念したという顔をしている。俺は『コンコン』とノックする。

 

「入って」

 

と中から聞こえる。俺はドアを開けて。

 

「失礼します」

 

と中に入る。トシはお辞儀するだけ。嫌そうな顔をしてる。それでも従う。渡狸先生はそんな俺達を見て驚く。黒烏さんもだった。

 

「へぇ、驚いた!ルームシェアの相手が狼関くんなのは知ってたけど、まさか懐柔されてるなんてね!」

 

「…………」

 

「………」

 

「………、で。君らの話の前に聞きたいことがあるからいい?」

 

「どうぞ」

 

「狼関くんと一緒にいる君は『誰』?」

 

「??」

 

「え?」

 

理事長は俺に向けて質問してきた。目の前にいるのは腐獅蜜。この人は何を言ってるんだという顔をする、黒烏さんとトシ。核心をついてるようなので答える。

 

「『誰』、か。理由は?」

 

「本当の『腐獅蜜』は、そんな堅苦しくもないし悠長だし、なにより『萌え』のなんたるかを話せる。君がその『萌え』に対して反応しないから、変だなって思ってね。だって入ってきた時に僕達は何をしていた?『腐獅蜜』なら、僕が入るよう指示したら君の傍らにいる狼関くんを置いていくことはなくとも、入った最初の第一声は『生BLだ!!』って叫んでいただろう。だから狼関くんはこっちを見ようとしない。というか最初のお辞儀から後は、目も顔も逸らしてこっちを見ようとしない。それなのに君は嫌なら嫌で顔を逸らすか目を逸らすかすればいいのに、それもしない。それってつまりどちらも無く、君は『腐獅蜜』ではない。いや、そうだったとしても『本当』の『腐獅蜜』ではない。こんな理由じゃあ満足いただけないかな?」

 

「……………」

 

なるほど。本当に見抜いてるわけか。2人にはなんの話しをしているのかもわかってないだろう。実際俺も、記憶が無ければこの人の脳みそは大丈夫かと思っていただろう。そう思わなかったのも、主の記憶や経験等が俺にあったから

 

そうでなければ、こんな理由で見抜かれることはない。通常なら気づかない。

 

つまり、最初から気づいていたことになる。なら、隠していても仕方ないな

 

俺はそう思い、理事長の最初の質問に答える。

 

「俺が『誰』か。だったな?」

 

「うん」

 

「俺はあんたの知る『腐獅蜜』じゃない」

 

「え!?」

 

「なっ!?」

 

「…………」

 

理事長だけ静かで2人はビックリしていた。俺の腕を振り払おうとするトシの腕を軋む音が聞こえるような力で、掴む。痛さで振り解けないトシ。

 

「俺は『主』、表の腐獅密から生まれた裏の腐獅密だ。そうだな、簡単に言えば『切り替わる』時に出てくる裏の性格だ。それはあんたも聞いたはずだ。あれはあくまで主のイメージだ。俺はあそこまで極悪人じゃない。が、それの元であるのは確かだ。そして、俺の主はココに眠っている」

 

俺は親指で心臓がある方の胸を指した。

 

「心という檻の中で寝てる。普通なら出たがるが、主はそれもいいかなと言っていた。つまり、『現実』を放棄したことになる。そして、いつ目覚めるのかは不明だ。主は『起こすな』と、『心の傷が癒えるまでは起こさないで欲しい』と言われている。だから、主の意思に反することは俺はできない。誰がなんと言おうとな。あんたが言うとは思ってないが、理解はしてもらう。そしてこれを世間では『二重人格』だ。ちゃんと理由もある。が、それは今回伏せる。それが本題ではないからな。後日の機会に話すことにする。とりあえずあんたの知りたいことは提示した。本題に入りたいんだが、いいか?」

 

「……………。うん、いいよ。あ、その前に君のことはなんて呼べばいい?」

 

「主と同じ二人称で構わない」

 

「じゃあ密くんね、よろしく」

 

「あぁ、よろしく」

 

話はどんどん進む。トシはこの部屋から逃げないからソファーに座っていいかと聞いてきた。それは黒烏さんも同じで、理事長はOK出したので俺もOKした。2人はソファーに座り頭を抱えたり、目の辺りに腕をつけて寝転ぶ。頭痛がするらしい。

 

「で、本題ってのは?」

 

「俺がしゃしゃり出る案件でないのはわかってるつもりで話す。トシ、いや狼関俊之助はなぜ進級も卒業もしない?なぜこの学校に留まらせる必要がある?なぜ、進級や卒業できる課題をクリアしてるのに留年させる?そして、今置かれてる現状を知ってるかを教えて欲しい。どれか好きな所から答えてくれ」

 

バッと顔を上げるトシ。いきなりの自分の立場についてを話し出す俺にびっくりする。俺は理事長を見て答えを待つ。理事長は話し出す。

 

「まず消去法で話すことは許してもらいたい。その上で話すなら、まず『今置かれてる現状を知ってるか』については噂がある。その噂以外知らない。次に『課題クリアしてるのに留年』については、ちゃんと理由がある。もちろん、授業を受けられない理由以外でまだちゃんと理由がある。最後に『なぜ留まらせるのか』については、課題クリア条件の件が絡んでいるのでそれもちゃんと話す。まず何から知りたい?」

 

「トシ」

 

「っ!」

 

俺はトシを呼ぶ。トシはおずおずと理事長の前に立たせる。そして顔が不安げに変わる。今トシが何を考えているのはわからないが、それでも確実なのは理事長とは話したくないという意思があること。当然俺はそんなこと関係なくトシに質問する。

 

「トシ、お前は何から聞きたい?」

 

「………………………」

 

考えるトシ。少し沈黙からやっと話すトシ。

 

「課題クリアしてるのになんで留年してるのか、留まらせる理由があるのかってのが聞きたい…」

 

そう言うと理事長はトシの目を見て話す。トシは嫌々だったが、それでも理事長の顔を見る。目は見ない。

 

「君は課題クリアしてるというが、本当にそうかな?」

 

「な、何が言いたい…?」

 

「本当に満たしてる?」

 

「満たしたからここに居るんだろうが!!」

 

感情的になるトシ。俺は何もせずにただ見てるだけ。

 

「僕はまだ満たせてないからここに居るんじゃないかな?まあ、君に心当たりがないからそう言ってるんだろうし、ちゃんと話すよ」

 

「……………………」

 

理事長の煽りは結構トシの心を逆撫でする。

 

「君が何故この学園に留まるのか、なぜ留年なのか。単純な話だ。君は学園に出席してるとしても、『授業』の出席日数は取れているのかな?」

 

「!?」

 

「『登校』の出席日数は達成してるだろうけど、『授業』の出席日数が足りない。だから留年する。もちろん、授業が受けられるわけじゃないのは知ってるね?だからそれに出る必要は無い。テストだって受けなくていい。『授業』出席日数さえクリアすれば留年にならない。が、結構な日数を君は取ってない。何年分取ってないだろうね?1年じゃない、さて何年?」

 

「……………………………、2年間……」

 

「うん。最初の1年はちゃんと行けてたよね?でもその後喧嘩に巻き込まれて謹慎処分を出された。どんな理由でも、たとえ誰かを庇っても、授業出席日数は取れない。その分だけじゃなく、君はどんどん学園に行くのをためらった。そして結果、こんなに留年することになった。………心当たりあるよね?」

 

「……っ……」

 

理事長からの正論。言葉にできないトシ。俺は傍観者に徹してるので聞いてるが、何も言わない。

 

「て、ことは……、その授業日数もしないと進級どころか卒業もできないってことか…?」

 

「そうなるね。現実はそう甘くないってことをわかって貰えたならいいよ。でもこれから1年、君が真面目に喧嘩とか受けずに授業を1つでも受けるように徹したら、僕は進級させることを約束するよ。証人は密くん。卒業は3年になるまではできないけど、ちゃんと君が2年間の授業出席日数を取れたら卒業させる。授業態度等はこの際目をつぶるけど、寝てたりしたら授業出席日数はノーカンにさせてもらうよ。あくまでちゃんと授業を出てると言う条件だからね。そこは譲らない。それから喧嘩も今は禁止。もし受けて庇うこともそしてそれを殴ってもダメ。あくまで受け身でね。まあ、受け身でもいろんなやり方があるからさ!要は『当たらなければ』反撃はしなくていいんだから。そしてその喧嘩を吹っかけた者は、もれなく謹慎処分とする。そうすれば君の邪魔をする人は減る。どう?いい案じゃない?」

 

トシは目を見開いていた。

 

「(当然だ。ここまで譲歩するなんておかしい。何か裏があるんじゃないかって思えてくる)」

 

と、思っているだろう。少し沈黙をしてるトシは俺に目を向ける。俺はトシの視線を感じでトシを見る。すると本当かどうかんからないという表情をしていた。俺はトシの代わりに聞く。

 

「その案の答えはトシが言うとして、どうしてそこまで譲歩する?何か裏があるのか?」

 

「…………。譲歩?裏?そんなのはないよ♪ただね、正当な話だと思うんだよ。だって、教師は生徒を晴れ舞台に出させたいだから。つまり卒業をする生徒を見たい。これから始まる新たな人生の糧にして欲しい。誰もが思うこと、その誰かの教師が1人でもいることを忘れないで欲しいからだよ」

 

「……その、『誰か』って誰だ…?」

 

ここまで言っても疑心暗鬼なトシ。理事長はクスッと笑って、もう一度トシを見る。

 

「僕は君を応援するよ。梅ちゃんもね♪」

 

「なっ…!?勝手に私まで入れないでください!?」

 

「え?しないの?応援」

 

「い、いや…しかしですね……」

 

俺の予想、黒烏さんもあの教師達と同じ目をしてる。そして、コソコソとしてきた人。主は友達なのかもしれないが、今の俺にはこの人を友達だとか思うのは無理だな。俺と主は違うから

 

俺は2人の会話に割って入る。

 

「それじゃあ最後の質問だった、『今置かれてる現状を知ってるか』についてだ」

 

「あ、そうだね。それは僕も知らないんだ。あ、伏せられてるとは思ってるからそこは察しがつくよ」

 

ニコッと笑う理事長。しかし目は笑ってない。直談判するくらいだからということだろう。

 

察しの良い奴は嫌いじゃない

 

「なら、まずはこれを聞いてくれ。それから感想を聞かせてもらいたい」

 

何を聞かせるのかと思ったトシ。すると俺が取り出したのはスマホ。トシはアレを思い出す。逃げようとするトシの腕を掴み、そして捻って動きを止める。痛くて苦しそうなトシ。俺はネクタイでもう片方も捻った状態で両腕を縛り耳元で。

 

「引きちぎるな」

 

と囁く。かなりのドス黒い重低音ボイスで囁くので、ビクッと震えたトシはうつ伏せになって倒れた。意気消沈。改めて理事長達に向き直る俺。

 

「さて、再生する。結構長いから心して聞いてくれ。多分、あんたにも当てはまることだから」

 

俺は理事長に話したのではなく、黒烏さんに話した。黒烏さんは顔を逸らして聞き耳だけはした。それだけでも理事長は何か察した上で、再生したトシの怒鳴り声や泣き声、それから悲痛や教師達からの嫌味等、全部が煮詰まったボイスメモを聞かせた。俺もトシも何も言わない。ただじっと待つ。理事長の顔は真面目だった。真面目に聞いてる。何の表情を出さずに。しかし、黒烏さんの方は理事長と違って表情に変化を出す。青ざめたり目を見開いてたり驚いてたりと。我忘れてるトシの状態は色々ねじ曲がってることを聞いてるトシも恥ずかしいのか顔が赤い。自分が何を言っていたかというのを改めて認識する。そして沈黙が長くなった所で、ボイスメモは終了。俺はスマホを回収して理事長達の言葉を待つ。そして理事長は何を思ったのか、真剣な目で俺を見る。

 

「この感想を言う前に、事実か確認する必要がある。まずは密くん、ここに来る途中で職員室にはち会うよね?あそこの教師達は何か言ってた?」

 

「こっちは挨拶するだけで終えたが、あっちは挨拶もろくに返さずそしてトシに向かって『学園に来るなと言われたのに来てる』や『恥知らずが、さっさと寮に帰れ』や『課題クリアしてるんだろ?ならもう逃亡とかすりゃあいいのにな?ギャハハハハ!!』等。無視してここまで来たが、その時そこには教頭はいないがボイスメモに残ってることは事実だ。それでは答えにならないか?」

 

「ううん、ありがとう。じゃああともう1つ、これは梅ちゃんに答えてもらおうかな♪」

 

「え!?」

 

予想外という顔。俺は何も言わずに見ていた。2人の会話を。

 

「梅ちゃんはどう思った?」

 

「な、何がです?」

 

「このボイスメモ」

 

「酷いと思いますよ?えぇ、とっても」

 

「ふーん、じゃあなんで明らかに教師とは違うような話し方のする言葉遣いが出てるのかな?生徒の前に出てないとすると、教師陣から出ないとでないような言葉遣い。それでいてこんな話し方をする人はいない。あって猫澤先生くらい。でも猫澤先生がそんなこと言う人じゃないって僕は知ってる。なら、後考えられるとしたら君も同じ土俵にいたんじゃないの?」

 

「……っ!」

 

言葉を失う黒烏さん。

 

その『言葉を失う』は大きな失態だぞ、黒烏さん

 

何も言い返せない黒烏さんを見て理事長は立ち上がる。それから黒烏さんの腕を掴んで引っ張る。

 

「密くんも、狼関くん連れてついてきて?」

 

俺はトシの腕に付けてたネクタイを外して立たせる。腕を摩りながら俺達も理事長達を追う。

 

「どこへ行く?」

 

「ついてきたら分かるよ」

 

それだけ言ってあとは無言。理事長のその背中には怒りを感じる。本気で怒ってると考えてもいい。黒烏さんの表情は見えないが、少し怯えてるような背中だった。そして着いた場所は地下室だった。拷問器具などが置いてあるわけじゃなく、そこは牢獄だった。鎖の付いた牢獄。そこに黒烏さんを中に入れされた。

 

「狼関くんは見たくない光景になるだろうけど、立会人としてここに居てもらう。それから今の密くんの場合は、『萌え』や『BL』と言ったものはおそらくだけど、本当の密くんと違って耐性はあっても見るのは初めてだよね?興味を持つかとかはどっちでもいいよ。でもその話し相手が今だけいないのは寂しいなっていう気持ちは留めてね。それと狼関くんと一緒に立会人としてそこで見てて。あ、逃げるのは許さないからね?2人とも」

 

「大丈夫だ。既にトシには命令してある。ここに居るように、な?」

 

「は、はいっ…!」

 

何を話したかは秘密だが、トシが怯えて声が上ずったのを聞いて安心ししたような顔になる理事長。それからまた理事長は黒烏さんに向き直る。

 

「梅ちゃん」

 

「な、なんでしょう…?」

 

「『元に戻れ』」

 

「!!…お…仰せのままに…」

 

理事長と黒烏さんの関係がわかった。ただのBLではない、主従でもある。そしてさっきまで黒烏さんの敬語はなくなり、口の悪い不良のような言葉遣いになる黒烏さん。黒烏さんの場合は元々不良っぽい言葉遣いが本命だということ。普段は隠すために敬語を使用してると俺は思った。

 

立場的にも敬語の方が秘書っぽいしな

 

「……ん、だよ……」

 

「脱げ」

 

「は?」

 

「聞こえなかったか?脱げって言ってる」

 

「!!」

 

そして黒烏さんにしか見えない理事長の表情、黒烏さんの表情はとても青ざめそして、怯えてる。ビクビクしながら言われた通り脱いでいく。上半身も下半身も脱ぎパンツだけになる。

 

「パンツも脱げ」

 

「っ!」

 

言われるまま脱ぐ黒烏さん。全裸になった黒烏は少し恥ずかしそうだ。それは俺達がいるからだと思う。人に見せたりするものでもない。風呂以外は。

 

「壁に手を当てろ」

 

言われた通り壁に手をつく黒烏さん。それから理事長は付いてる鎖付きの枷を引っ張り右の枷は左手首に、左の枷は右手首に繋げた。そして下から小さな枷を持ちそれを黒烏さんの息子に繋げた。ビクンと震える黒烏さん。そして理事長の手にしてるのは俺も見たことがある物だった。それはカズの部屋にもあった、エネマグラだった。カズの部屋にあったエネマグラの色や形状は違うが間違いなくそれだった。それを躊躇することなく入れた。

 

「いっ…!?」

 

いきなり入れられた黒烏さん。そしてちゃんと固定したことを確認してから、黒烏さんの尻を思いっきり叩いた。『バシン』という音。そのせいで力んだ黒烏さんはその反動でエネマグラを動かしてしまう。

 

「あっ!!……あっ、ああっ…っんあっ…ああんっ、ひぁっ!?」

 

さらにもう一度『バシン』と叩く。腰が揺れる。また力むの繰り返しをしていると、微弱ながらエネマグラの動きが少し早い。

 

「いったっ!!!…んあっああっ…あああっ、あぁあっ…!!」

 

尻を叩かれるという刺激とグリグリの与えられる刺激に黒烏さんは声を抑えることが出来ない。俺はある提案する。

 

「理事長」

 

「何?」

 

「俺も叩いていいか?」

 

「どうして?」

 

「理事長には言っておくが、俺とトシは主従関係だ。見たらわかると思うが俺が飼い主でトシがペットだ。トシは俺の言葉ならなんでも言うことを聞く。ここにいろという命令ならここにいるし、逃げるなといえば逃げない。嫌々でもちゃんと従う。だが、俺もこの話をトシから聞いた時は心底苛立ちを隠せてない。その1人が俺の中で眠ってる主の友人だったと知れば、俺はその友人である黒烏さんを許せない。だから、俺も叩かせてくれ。ほかの教師にはこういうこと出来ないからな。だから、トシにもちゃんと理解をしてもらうために俺が怒った時どうするか。ちゃんとわかった方がいいだろ?」

 

「なるほど、いいよ。じゃあ叩く度合いは密くんに任せるよ。強くても弱くても僕は許可するよ」

 

黒烏さんもトシも俺を見ていた。黒烏さんは不安げに、トシはキョトン顔で。俺は思いっきり黒烏さんの尻を叩いた。『バチン!!!』という音は地下牢ということもあって振動する。

 

「あああっ!!!」

 

黒烏さんはエネマグラの刺激よりも俺の叩く刺激の方が痛くて身体がガクガクする。理事長もその音にビクッと震え、トシも自分の尻を抑えながら震えた。

 

「まだ1発目だ。尻を叩く時、お仕置きとして叩くならもっと力強くやらないとまた同じ過ちをする。そうなったらやった意味はなくなる。それから、これも必須だ」

 

自分のネクタイを黒烏さんの目に縛る。つまり、目隠しをした。これで視覚よりも聴覚や触覚が敏感になる。それは黒烏さんの心の底から恐怖だと思えるほどのお仕置き。俺はまた『バチン!!!』と同じ強さで叩く。

 

「ああああっ!!!」

 

黒烏さんの尻が今の2回で赤く腫れ上がる。その振動はエネマグラの活気も上がるというもの。さっきは微弱だったが、今度はエネマグラが動いてるとわかるくらいに振動している。グリグリではなくゴリゴリさせている。当たってる所が当たってる所なので、痛みの刺激と快感の刺激を両方に受ける黒烏さん。腰も足も息子もガクガクしたりビクンビクンしたりと震えて、喘ぎが止まらない。さっきよりも感度が上がっているというのは理事長でも分かった。何もされてないのにトシは泣いている。体がガクガク震え怯えてる。

 

「さっ、最後の1発だ。これは理事長がやってやれ。これは俺のペットじゃない。理事長のだ。俺がやったように思いっきりやるといい。気分がスッキリする」

 

「わ、わかった…!」

 

俺はトシの所に戻りよしよしと頭を撫で落ち着かせる。小さな声でごめんなさいを連呼していた。涙がポロポロと流れ純粋に怖いのか震えも止まらない。俺はぎゅっと抱きしめながら理事長達の方を見ていた。理事長は最後だけ自分の本気の力で黒烏さんの尻を叩いた。俺の時とは遠く及ばないかもしれないが、蓄積されてる黒烏さんにはどんなに弱くても痛みは大きくなり強さ関係なく自分の心を潰すのにはそれだけで充分だった。『バシンッ!!』という音と痛みの刺激は黒烏さんの心を潰した。そしてその最後の振動がエネマグラを加速させる。もう充分すぎるほど力を与えた。そして理事長はクルッと回転させこっちを向くように立たせた。

 

「んああああっ!!…ああっ、あっあっ、あああっ!!いああああっ!!」

 

もはや叫んでいる。喘ぎではない。充分に刺激を与えると理事長はエネマグラを外した。理由は枷をつけてるとはいえ、息子から垂れ流れる先走りを見たから。まだ白くて濃厚な物は出てないが刺激を与えるのをやめさせた。それはイけない状態にするだけでも刺激がない状態ではイけないからだ。

 

「……っは、っは…、っは……っ、とめな、いでぇ…」

 

イったわけじゃない。だから刺激を取られ理性を失っている。さっきの尻叩きが効果的面している。理事長が俺のネクタイを外した。急に外すので目がチカチカした黒烏さん。目の前には理事長がいるのを確認すると鎖を引っ張って近くに行きたそうにしている。理事長は1歩も動かない。ネクタイを俺の所に返すために牢屋を出た。それを見た黒烏さんはイきたい気持ちもあるが、理事長が居なくなったことが心細いのか声を大にして理事長を呼び止める。

 

「いやだっ!!…っは、っは…、行かないでっ!!……放置は、やだぁぁっ!!夜狐、ヤコ、…っ…夜狐様ぁっ!!」

 

泣きながら叫ぶ黒烏さん。様付けし始めた。理性が吹っ飛んでいる黒烏さんの目には理事長しか映っていなかった。理事長は無視をする。

 

「このネクタイ洗って返すね。後日、内兎から受け取って?ちょっと僕は、仕事をしなきゃいけないから。部下の失態は上司の責任、後始末は僕がやらないといけないしね?」

 

ニコッと笑う理事長。俺達に向ける目は優しかった。が、黒烏さんや他の教師には少し怖い目をしていた。

 

臆した訳じゃないが、俺の主もああいう目をする記憶がある。なら、それを向けられた者はどんなやつでも怯むというものだ。たとえ無関係な人間でもな

 

黒烏さんはずっと大きな声で謝っていた。俺達にではなく、理事長に。理事長はまた牢屋の中に入って黒烏さんの頬を叩いた。

 

「僕に謝るのはもちろんだけど、僕だけじゃないよね?誰に謝るのが1番最初か、わかる?」

 

「お、俺にとっては夜狐様が最初で、ぶっ!!」

 

また叩かれた。今度は頬に。そしてもう一度後ろに向けさせエネマグラをぶっ刺し、そして息子に二重で枷を付け最後には先端に絆創膏を貼る。それも何重にも重ねて先走りも許さないという感じで貼っていく。そしてもう一度尻を叩くと、その反動で弱々しくグリグリと刺激を与える。さっきので既に敏感な所は弱くても威力を発揮するので、放置するにしてもずっと刺激を与えられる。それを踏まえての弱い叩き。

 

「……ああっ、あっ、んあっ……っん、ぁあっ…」

 

通常の刺激とはいえ身体はさっきと同じでビクンビクンと震えていた。そして理事長は何も言わずに牢屋を出て鍵を閉める。それに気づいた黒烏さんは必死になる。理事長の耳には何も届いていないようだ。俺達も理事長に言われてその場を立ち去る。イけない苦しさと戦う黒烏さんは1人放置されて泣きながら喘ぐのだった。そして地下牢から出た俺達はソファーに座る。そして教師や黒烏さんに代わって、理事長が土下座をし謝った。それには俺もトシも驚いた。そして、黒いスーツの男を呼んだ理事長。

 

「この人は僕の部下だよ。狼関くんのSPだよ。君の授業出席日数を数えてくれる人。これは君への監視もあるけど、教師の監視でもある。この話は誰にもしない。抜き打ちテストのようなものだよ。何か言っていればそれを細かく僕に知らせてくれる。君は安心して授業を受けれるようにしよう。最初は少し違和感があったり、目障りだとか思うかもしれない。それは慣れるまでは耐えて欲しい。でも、これは君のためにしてることだからそれに対しては否定しないでくれ」

 

理事長はニコッと笑う。理事長なりに考えてくれた行為だ。それは有難く使わせてもらうが、1つ疑問が生まれる。それはプライベートのことだ。それを質問すると。

 

「大丈夫だよ。そこまでの監視はない。監視はないけど、1つあるとしたら謹慎処分になるような行いをするかしないかという所だ。その辺りは監視するかもね。まあ、寮内は内兎が見てるしそこにSPは入ってこないよ。そこまでのプライベートにまで監視はさせないから。安心して」

 

という事だった。その言葉を聞いて俺もトシもホッとする。理事長はまだ話を続ける。

 

「こっち都合ってことになるけど、密くんのその状態の話も後日聞かせてもらいたい。何がきっかけでそうなったのか、友人として知りたい。その時はこっちのするべき仕事を終えた後になる。だから、時間かかるけどもしまだ君の状態なら今度は僕が君達の役に立つように動くよ。ここの第1責任者として、そして友人として何が出来るかわからないけどそれでも、僕も助けてあげたいから。いつでも頼って貰えるように努力するから!ね?」

 

本当にこの理事長は良い人のようだ。俺が口元を緩ませ感謝を述べると、嬉しそうにニコッと笑う理事長。それから、この話はお開きとなった。時間はもうお昼だった。半日ここにいたことになる。それから今日の俺達の出席日数だけはノーカンということにしてくれた。トシはとりあえず今日だけは寮に戻るように言われた。俺はカズに出ることを伝えてあるということを伝えた。午後の授業に出る。カバンを持って理事長室を出た。それからトシに話した。

 

「今晩、話し合いをする。日中はSPがいるから良いとしても、助けてくれるわけじゃない。だから今後の計画を立てる。部屋では自由にしてくれていいが、話し合いの時は真面目にな。それからお前の子分である4人にも事情を話す。味方は多い方がいい。お前にとってもその方が気持ちの面で楽だろう。あの4人なら協力してくれる。なら、話し合いの時に部屋に来てもらう。いいな?」

 

「…わかった」

 

承諾をしたトシは頷く。そして理事長室から離れた。SPと共に。幸い今日は朝に教師とはち会ったが今の時間には教師はいなかった。ので、靴箱で靴と上靴を履き替えSPと共に寮に戻って行った。俺はそのまま購買へ行き昼飯を買いそれから教室へ行った。スマホでカズには教室に向かったと伝えといた。それをバックの中にしまい、中に入る。

 

やはり演技は無理だな。何か言われても無視するか、気にしないようにしよう。特にあそこの2人には

 

自分の席に近づきカバンを横にして椅子に座る。そして窓の外を見る。何がある訳じゃないが、その気分だった。不意に話しかけられた。あの2人に。

 

「おはよう」

 

「はよ」

 

「おはよう」

 

照が言ってレオが言った。そして俺も言った。沈黙。

 

正体を隠す必要はどこにもないが、主が隠したがってる気がするからそれを尊重するべきだな俺は

 

買ってきた飯を取り出し食べ始める。

 

主がどんな風に接してきていたかは知ってる。が、そこまでやる気は無い。というか俺にはできない。主とは正反対な人間だからな

 

何も気にせずに食べているとカズが入ってきた。

 

「おぉ、おはよう腐獅。本当に来れたんだな。感心感心!で、次の授業からは出られそうなんだな?」

 

「あぁ。出られる」

 

「そうか、ならいい。それとちゃんと腕輪もしてきてるな。昨日はしてきてなかったからな、無くしたのかと思ったぞ?」

 

「する訳ないだろ、貰ったもんを無くすかよ」

 

「その調子でちゃんと今日から付けてくるんだぞ?また付けてなかったらお仕置きだ。いいな?」

 

「…うっ、わかってる」

 

「それじゃあ俺も支度があるからな、またな」

 

「あぁ」

 

そう言って会話は終了。何食わぬ顔で飯を再開。かと思ったがそうはいかなかった。2人に止められた。目を見開き2人を見る。怪しいという目で俺を見てくる。周りも主じゃないと少し思ったのか見世物のように見てくる。まだ時間的に余裕があるので俺は立ち上がり飯を持って教室を出た。後から照とレオが追いかけてくる。俺は早足で屋上へ駆け上がりそして影になる所で食べ始める。そんな時間経たずに来た2人。俺の思考を読み取って影のある場所に来てから壁ドンしてきた。記憶を見る限りでは2回目。俺は何も気にせずに食べていると2人から話しかけられる。

 

「お前は『誰』だ?」

 

「お前、密じゃないだろ?」

 

理事長の時にも同じようなことが起きた。が、気にする必要は無い。食べ続ける。

 

「話を聞け」

 

「食べるのは後でもいいだろ」

 

「お前らは食べ終えているからそう言えるんだ。俺は食べてないから食べてる。昼休みに昼飯食うのは常識だろ?それとも食いっぱぐれをして欲しいか?飯を食ってない体で授業に挑めと?腹の音で授業妨害されても、お前らが食べさせてくれなかったと言うだけだぞ?それで満足か?」

 

『………っ……』

 

2人は何も言えなくなった。正論だからだ。俺が食べ終わるまで待つことにした2人。俺はゆっくりと食べる。時間をかけて。予鈴がなるまで食べていた。そして本当に予鈴が鳴った時に食べ終えた。

 

「さて、教室に戻るか」

 

「待て!」

 

「話は終わってない!」

 

「お前らは昼になる前から授業に出ているが、あいにく俺は最初から授業を受けてるわけじゃない。話があるなら放課後にしてくれ。そしたら聞く」

 

それだけ言って俺は屋上を出る。教室に向かうように歩いていく。屋上ではレオも照も唖然としていた。アレが腐獅密か?アレはどう考えても違うと思いながらも、レオ達は腐獅密の性格を知ってる。もし、そっちでずっと『演技』してるなら解く必要がある。が、それを解く鍵は自分達にはないと自負している。成す術がない。それでも話をすることくらいはできると放課後にかけて自分達も屋上を出た。そして教室に向かったと思われる。その頃にはもう俺は教室で主の読んでいた小説を読んでいた。それしか読書するものがないからだ。偏見はないし、それなりに色々してきている。そう考えれば変に何か思うこともせずに読める。

 

主はこういう系の小説が好きなんだな。あの理事長が言っていた『萌え』も、俺なりに学ぶか。そしたらもう少し主の役に立てるかもしれない。何かとは言わんが、いつか役に立つ

 

そう思い授業が始まるまでその小説を読んでいた。授業の始まる鐘が鳴り、俺は小説をしまって授業を受ける。真面目にやってる所は他の生徒も教師もビックリしていた。あの2人もビックリしていた。いくら『演技』をしてるとはいえ、こんなに違うのか?という顔をしてる。見世物なのは最初だけ。興味が薄れたらそのうちこういう事もなくなるだろう。

 

興味がなくなるまでの辛抱だ

 

それからあっという間に授業は終わった。そしてカズのホームルームも終えて、解散となった。俺が鞄を持って机の中にあるものを片付けて帰ろうとすると、腕を掴んできた。昼休みの話だろうと察する俺。鞄を持ったまま2人に連れていかれる。その光景も教室にいた奴らは異様な空気を吸っている感覚を覚えていた。教室から出てからはその空気が穏やかな空気に変り、教室に残っていた奴らは正常の空気を吸えて安心しているだろう。そんなことを教室から出た俺達は知らない現状だ。

 

 

しばらくして3人は使われていない空き教室に入った。それから俺を押し倒し、腕を掴まれ身動き取れない状態にされた。その状態から起き上がる俺を見て後ろに両腕ごとネクタイで拘束された。それは照とレオのもので固く縛られた。解けないほどに。抵抗はする気も逃げる気もないがさすがにここまでされると抵抗もしたくなる。が、複雑すぎてできないので早くも断念。

 

何のつもりだ?

 

「これで逃げない」

 

「これで話が出来る」

 

なるほど、そういう事か。俺が逃げると思ってやったのか、単純な奴らだな

 

「だからってここまでやることなのか?俺は何も逃げるとは言ってない。それに放課後なら時間があるだけだ。ネクタイで縛らなくとも、話はできるはずだ。それにお前達はこんなことをする時は、決まって怒ってる時もしくはキレてる時だ。何をそんなに怒ってる?冷静なお前達ならこんなことしないぞ?空き教室だからといって、誰かが入ってこないことだってない。可能性としては低いかもしれんが、0ではない。仮に誰も来なかったとしても、この状況は明らかにお前達が不利だぞ?」

 

『……っ…』

 

よく考えればそうだ。なのにレオ達は話をしたいがために我を忘れていた。それだけ腐獅密が代わってしまったことに、驚いてしまったから。と、この2人からの表情から見て取れる。

 

まあ、それだけ主の事を大切にしてきたならわからなくもない。ここまでされたら、言うしかない

 

俺は一瞬だけ主の眠る檻の前に立った。そして檻の前で対話した。もちろんそれは外の体ではなく内の中。誰もこの会話は聞こえない。

 

主、あんたはこの体を自由にしていいと言ったな?それはこれまで黙ってたことも話していいことになる。それは主の意向を背くことになる。主が寝たことはカズの他にトシ、理事長、黒烏さんが少し知ってる。全部という訳じゃないが、だいたい話した。次の試練は主の幼馴染みである2人だ。2人がなぜ俺と主が代わってるいるのかを知りたがってる。それを明かしていいかを問いに来た。ダメならダメと言って欲しい。俺は主の意向に従う

 

主の口元に耳を当てるととても小さな声で『ダメ』と答えた。もしかすると主の口から言いたいのかもしれない。そう思った俺は。

 

わかった。ダメなら言えないと答える。それが主の意向ならそれに従う。眠ってる所を起こして悪かったな。もう少し寝ててもいいぞ、主

 

俺が檻の中に手を出し主の頭を優しく撫でる。一瞬ビクッと震えたが、少し穏やかな顔つきになった。癒されたという顔だ。俺はその後檻の前から消えて、外の体に戻る。外の体はネクタイを外された後だった。

 

考え直して我に返ったか

 

「密」

 

「密」

 

「なんだ?」

 

「教えて…」

 

「なんで変わった?」

 

「答えない」

 

『っ!?』

 

なぜ変わったか、それは言えない。それは主のことを知ってしまうもの。

 

「ならお前は誰だ?」

 

「腐獅密だ」

 

「それはアイツの名前だ!」

 

「俺は腐獅密だ」

 

『くっ…!!』

 

名前を問われても俺も腐獅密だ。もしあったとしても主から名前をもらってるわけじゃない。それはどっち道、こういうことになる。

 

「アイツはどこにいる?」

 

「答えない」

 

「なんで!!」

 

「なんでも」

 

『………っ!!』

 

どこにいるという質問の答えは『檻の中』。そんなことが言えるわけがない。

 

「お前は何者だ?」

 

「答えない」

 

「答えろよっ!!」

 

「答えない」

 

『っ!!!』

 

『何者か』、それを教えた瞬間に主の意向を背く。そんな核心なことが言えるわけない。そしてどんどん2人は声を荒らげていく。

 

正確には照が、だが

 

2人は聞きたいことが沢山あるのに何から聞けばいいのか、考える余裕もなかった。それは俺が全てにおいて『答えない』を選択しているから。照は俺の襟を掴み、切羽詰まった顔で怒鳴る。

 

「俺達の知る腐獅密を返せ!!俺はお前と話したいんじゃないっ!!お前はアイツじゃないっ!!」

 

「おい、よせ。照…」

 

「レオだって薄々思ってるだろっ!?コイツはアイツじゃないって!!なんでそんなに冷静でいられるんだっ!!俺はアイツと話したい、アイツは俺達のだ!!コイツに渡しちゃあいけないっ!!」

 

「渡したくない気持ちは分かる。二重人格ということもあり得るからな。二重人格は自分の主を乗っ取って悪さをする者も居るくらいだ。全ての人間がする訳じゃないが、例外はない。それに関しては照と同じだ」

 

「だったらっ!!」

 

「だが、根拠もない」

 

「っ!!」

 

「コイツがアイツじゃない根拠はどこにある?アイツの裏の性格は俺達が1番知ってる。それにもよく似てる性格をしてる。一概にコイツがアイツじゃないという可能性も捨てきれない」

 

「っ!!なら、レオはコイツをアイツと捉えるのか…?」

 

「そんなことは言ってない。ただ俺の意見がお前に届くかわからんがそれでもあえて言うなら、根拠の無い否定はアイツを苦しめる。それに俺達はこの歳になるまでずっと関係を隠してきた。今さら、隠し事をされた所で俺達は文句を言える立場にない。それは照だってわかるだろ?」

 

「っ、けど!!だったら答えない理由にはならないっ!!隠し事をしていたのは確かに悪かったと思ってる、それに対して言われたら何も返せない…。でもっ!!返せないけど、俺は『今の』コイツが嫌なだけだっ!!レオがなんと言おうと、俺はコイツを認めないっ!!認めてたまるかっ!!」

 

「照!それはいくらなんでも言い過ぎだ!二重人格の意味を知ってるか?知ってて言ってるなら何も言わないが、知らないで言ってるならお前は『腐獅密』自体を否定してることになるぞ!」

 

「だからなんだっ!!俺はアイツがいいのであって、コイツが嫌なんだ!!二重人格の意味なんて知ったことか!!俺が大切に思ってんのはアイツだ!!アイツのことを心配して何が悪い!!俺はアイツと話したいんだっ!!」

 

「照っ!!」

 

話がどんどん進むな。俺のいない所で。だが、良かったな?主よ。主を否定するという『みんな』の内、『2人』は除外されたぞ?俺よりも主がいいと言うやつが来た。俺からは何も説明できないが、主の癒えた心が立ち向かう勇気と変わった時は俺の事も明かしてくれ。俺は裏として生まれてしまった。消えることも出来るが、主が危なかっ過ぎて消えれない。しばらく留まるかもしれない。それこそ、主を閉じこめた檻の中にずっと、静かに息を潜めている。記憶は置いていく。記憶喪失案件以外は全部な。記憶喪失案件は俺だけが知ってることにする。主がもし必要ならその悲劇も置いておく。必要な時があったら言ってくれ。俺はいつでも、待っていればいつでも消える。主の言葉一つで俺は、それに従う。俺はお前を守る騎士だからな、主の仰せのままに従う者だ

 

レオと照は俺を置いて話がどんどんエスカレートしてた。俺とあるじに対することだったが、また蚊帳の外にされそうだった。俺は一喝入れるために2人呼ぶ。

 

「照、レオ」

 

『ああ!?今は黙ってろ!!』

 

「お前らが黙れ」

 

『!?……っ!!!』

 

俺はレオの頭と照の頭を『ゴンッ!!!』と強打させた。そしてドス黒い重低音ボイスで一喝した。それだけで収まった。照とレオがおでこを抑えて悶絶しているから。言葉に出来ないほどの頭の痛さに、あらぬ喧嘩で曲がりに曲がった話は終わった。

 

大切なのはわかるが、もう少し鍛錬が必要だぞ…。精神かつ心のな…。それではお前達は危ういぞ…

 

深い溜息を吐いてから俺は座った。そして俺も少しだけ脅してみた。

 

「もし、まだ喧嘩するというなら。お前達の関係を知ってたとしても、この息子らが犠牲になるがいいか?」

 

俺は真顔で『ムギュウ』とレオと照の息子を掴み握る。ビクッと震えるレオと照。一瞬の内に血の気が引き、頭を横に振る。俺が息子から手を離すと、即土下座して謝った。

 

あ、息子と言ってもズボン越しだ。萌えの心を折るようで悪いが、ちゃんと言わねば伝わらんからな

 

「それと、お前達からの質問には全て答えることは出来ない。が、あえてこれだけは答える。聞いてくれ」

 

『??』

 

これに関してだけは言わせてもらうぞ、主。『言えない』代わりにな

 

俺はレオと照の目を交互に見て話し出す。真剣な目に2人もちゃんと聞いてくれるようだ。

 

「俺が何者であるか、俺は誰だ、どうして変わった、どうして答えない、については『答えることができない』。俺とアイツは違うと言っていたが『同じ』だ。そして、二重人格でもそうでなくとも乗っ取る可能性があると言っていたが、俺は『守る』。言葉の解釈は自由だが、何が正しくて何が正しくないと判断するのはお前達に任せる」

 

『………』

 

「それから、『ありがとう』。以上が、俺の言えることだ。すまないが、これで勘弁してくれ」

 

俺は最後に正座をしてお辞儀した。それは礼儀として正しいものかはわからない。それでも、今は謝罪もそうだが感謝もある。それを踏まえてのお辞儀。言葉を無くすレオと照。そしてお互いを見合ってから話し出した。

 

「お前の気持ちはわかった」

 

「どんな言葉の解釈も自由だと言ったな?」

 

「なら、俺たちの解釈はこうだ」

 

「答えることが出来ないのは、『今はその時じゃない』。同じなのは、『どちらも腐獅密』だから」

 

「守るは、『乗っ取る人間じゃない』。最後のありがとうは、『自分よりもアイツのことを思ってくれて』だ。これが答えになってるかは不明だ。何せ、勝手な解釈だからな。違うかもしれない」

 

「だけど、もしそれが答えなら俺達は待つよ。お前から聞き出せなかったとしてと、最後には聞かせて貰えるって信じてるから。アイツのつらさと苦しさ、それから心の傷を。アイツが話せるかどうかはわからないけど、それでも待つ。待ってる。俺達の関係を言う前もそうして詮索せずにいてくれたから。待つよ」

 

『それから』

 

2人の言葉はまだ続く。しかし、さっきの喧嘩のような血の気がある話ではなかった。もっと穏やかなものだった。2人は俺と同じようにお辞儀をして話す。

 

「さっきは悪かった。取り乱すような真似をして。そして、お前を否定して」

 

「認めないって言ってごめん。でも、そんなこと言った俺達に『ありがとう』をくれて、ありがとう。あんなこと言った後って少し恥ずかしいけど…」

 

顔を上げ真剣な表情になりハモって俺に言う。

 

『俺達はお前『達』を認める。そして全てを話すその日まで、俺達は信じて待つ。どんなに時間がかかろうとも、俺達は待ち続ける。だから、勇気が出たら俺達に話してくれ。そしたら俺達も『守る者』として、お前達のことをどんな敵からも守る。俺達は幼馴染みであり、大親友だ。それに偽りはない』

 

真剣な表情から笑顔をこぼす2人。俺や檻の中で聞いていた主は、一筋の涙を流す。俺はその涙に気づき、混乱していた。

 

何故だろう…。何故涙が?主の涙か?俺の涙か?わからない…、わからないが…。何に対してかわからなくとも、認めて貰えたことに嬉しいと思っている…。悲痛ではない、歓喜に満ち溢れている…

 

涙を拭いても拭いても流れる。どうしたら止まるのかわからない。2人がそんな俺を見て2人で俺を抱きしめた。優しく包み込むような、そんな感じ。俺は俺自身が初めて泣いた日だった。

 

主ではない俺が泣いていいものかわからないが、だがそれでも二重に嬉しさが込み上げてどうしていいかわからない…。このまま泣き疲れるまで待つしかない…

 

案の定、俺は心の底から泣いた。照とレオが胸の中で泣かせてくれた。声の大きさは押し殺せないが、それでも泣いて泣いて泣きまくった。そして次第に疲れて寝てしまった。それから照もレオも頭を撫でたことは知らないが、俺をおんぶして寮まで送ってくれたという。後でトシから聞いたことだった。それから俺は朝まで爆睡しそのまま起きなかったという。穏やかな顔で眠りの世界へ。

 

 

 

俺の回はまだ続くが、付き合ってくれる人達に感謝する。照とレオを味方につけるのは心強い。もう少し付き合うことにはなるが、それでも応援してもらいたい。俺がどこまでできるかわからないが、まだ課題が残ってる。その課題が終わったら俺の主を救う番だ。ネタバレになってしまっていたらすまない。これからも精進して前に進む。少し間を挟む。俺の話が見たければ1ページ進んでくれ。それではな






ただ裏の性格が人格としてなっただけですが、裏の性格のイメージが少しだけ違うのは、個別として生まれた人格はもう『個人』です。
ですから、表の性格である本物の腐獅密と裏の性格である人格として生まれた腐獅密は同じですが、思考と行動と心までは違います。

小説外の世の中にもそういった人はたくさんいます。
これを読んでくれた方々の中で、二重人格や多重人格をもし見かけたり居たりとかしたら、否定しないであげてください。
どんな理由でも、ちゃんとしたその人のきっかけがあるのならそれを否定するのではなく、肯定してあげてください。
肯定が難しくても、偏見だけはしないであげてください。
それだけでも救われます。
世の中の人は「設定」だの「作り話」だの「全員一緒」だのと罵りますが、その偏見で傷つく人はたくさんいます。
「重い」だの「軽い」だので括りつけれるものではありません。

ですからどうか、現実でも小説内でも二重人格や多重人格を否定、または偏見をするのだけはやめてあげてください。
いろんな人がいます、それだけは忘れないでください。

長文になりましたが、大切なお話でした。
後書きなのに読んでくださってありがとうございます!
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