※幼馴染み視点
side.レオ
俺が密を見たのは朝、理事長室へ向かってる途中だった。俺は生徒会の集まりで会議をした帰りだった。今日は照にも伝えてあったから、一緒に登校は出来なかった。それは悔やまれるが、その前に。
教室に行かねぇで、どこ行くかと思ったら…理事長室?理事長先生と何か話し合いをするのか?……いや、部外者な俺が口を出すことじゃない。帰ろう
そう思い理事長室から離れた。そして教室に向かった頃にはホームルーム前だった。猫澤先生は既に居て、みんなが一斉に俺を見る。
「生徒会会議か?」
猫澤先生の質問。
「はい。終わった所です。遅れてすみません」
生徒会のモットーは礼儀正しくだった。俺が生徒会会長に一任したのも、何か裏があるんじゃないかと思った。聞いたら単純なものだった。
『君は礼儀正しそうだったから』
そんな理由だった。
俺が礼儀正しい?そんなこと幼馴染みらが聞いたら、笑われるか呆れるか俺を蔑む目で見る。俺はそんな大層な人間でも生まれ変わりでもない。鬼の生まれ変わりが礼儀正しいわけないだろ。と、言った所で誰も信じない訳だが…。照と密だけは違ったな…
俺は席に着いた。それを見届けてから猫澤先生は話を再開した。
「えっと、どこまで話したっけか…。あ、思い出した。腐獅についてだ」
密?
「今朝連絡があってな。学校には遅れて登校するらしい。だから、その登校もいつ来るかわからない。ちゃんとした理由は聞けずじまいだったからな。ったく、下僕が主人より遅く登校するもんじゃねぇってのに……。まあいい。とにかく、そういう訳だ。腐獅が登校してきてら知らせてくれ。どんな理由であれ、主人より遅く登校するという罪は重い。今日も働いてもらうつもりだったんだがらな。まったく…」
そう言って強引にも取れるホームルームは終了した。授業が始まる前の休み時間。俺は照を人のいない階段場所まで連れてきた。
「どうした?レオ」
「密のことについてだ」
「密?猫澤先生が言ってたホームルームの?」
「そうだ」
「何かあったのか?」
「俺が生徒会会議があったのは知ってるな?」
「まあ、昨日聞いたしな?」
「俺はその時、密を見てる。その時ルームメイトの奴もいた」
「な、なんだって!?」
密がトシって呼んでるやつだったな。アイツと何かあったのか?また揉め事でも手に出したか?
「理事長室に行くところを見た。まあ、話までは聞かずに教室に帰ってきたんだけどな。だが、猫澤先生も知らない情報みたいだからな。下手に聞くのはまずいと思ってる。共有として照にも聞いてもらいたかった。俺一人より心強いからな」
「お、俺は別にいいけど…。それは本当の話なんだよな?レオが嘘つくやつじゃないってわかってるけど、信じられねぇ話だな?」
「あぁ、この目で見て尾行までした。結構危ない橋を渡ったのは自覚してる。だが見たものを嘘にしても仕方ない。この情報は照と俺だけの秘密だ。いいな?」
「…わかった」
そんな会話をしてから教室に戻り席に着いた。ちょうど、授業も始まった。
昼休みにもし密が来たら問い詰める。なぜ理事長室に行っていたのかを
ーーそう思ったのに。
……別人か?昼に来た時、何か違った…。密じゃない…、いや…密だけどそうじゃない…。あの裏の性格か?裏の性格にしてはなんだか妙な話し方だった…。……アレはなんだったんだ?
明らかにいつもの密じゃなかった。照も同じ顔をしていた。密はあんな話し方もしてなければ、あそこまで静かで悠長に正論は言えない。もっと砕けた言葉で、もっと明るく、そして宥めるような言い方をする。その欠けらも無いというように、全然密じゃなかった。
じゃあ密じゃなかったら一体誰だ?
そうして放課後。待ちに待った放課後だ。鞄を持った密を見て俺達は密を誘った。そして誰も使わない空き教室を使い、そしてネクタイで縛った。が、また正論で返された。
「こんなの密じゃねぇ…」
照がボソッと言った。確かに俺も薄々そうじゃないかと思った。確信はなかったが今のでわかった。
突き止めてやる!!
そう強く決意した。なのにーー。
『答えない』の一点張り…。突き止めたいのに突き止めれない…。こんなんじゃ埒が明かない…
そう思ってたらついに照が堪忍袋の緒が切れた。我を忘れるほど密に罵倒する。が、少し的を外した状態で話してる。これは暴走だ。明らかに自分制御できてない。それどころか俺と喧嘩になってしまった。曲がりに曲がった喧嘩に着地地点はない。俺も我を忘れて照と大喧嘩してしまっているから。
こんなことしてる場合じゃないのに…
そう思っていたら横から声が聞こえた。喧嘩に夢中だった俺達は気づかなかった。コイツはアイツとは違うはずなのに、どこか似ていると。なぜか懐かしいとも思える瞬間だった。頭を強打されて悶絶する俺達。
痛てぇ…、痛てぇのに…、懐かしい感覚…
次に俺達の息子を掴まれ、それだけで背筋がゾクッとした。密ならやりかねない。俺達の喧嘩の時だけは、喧嘩両成敗として俺達の息子を掴みそして。
「もし、まだ喧嘩するというなら。お前達の関係を知ってたとしても、この息子らが犠牲になるがいいか?」
脅す。いつもこうやって大喧嘩した日は、物騒な脅し方するのにすごく優しかった。俺達はちゃんと土下座で謝った。すると、頑なに答えなかった奴が言葉を発した。俺たちの欲しい言葉ではなかったが、考えさせる言葉を言った。
「俺が何者であるか、俺は誰だ、どうして変わった、どうして答えない、については『答えることができない』。俺とアイツは違うと言っていたが『同じ』だ。そして、二重人格でもそうでなくとも乗っ取る可能性があると言っていたが、俺は『守る』。言葉の解釈は自由だが、何が正しくて何が正しくないと判断するのはお前達に任せる」
俺達は沈黙した。唖然や呆然という言葉が似合う。俺達の考える解釈が間違っていなければ、これは。
「それから、『ありがとう』。以上が、俺の言えることだ。すまないが、これで勘弁してくれ」
これで確信がついた。俺達が曲がり捻った大喧嘩しても、『ありがとう』なんて返す奴はいない。いないが、俺達の生きてきた中でそう返してくれる人は1人しか居ない。それは俺達が1番よく知ってる人。それはーー『腐獅密』だ。
短い時間だが、結構遠回りしてたみたいだな…。ちゃんと言わないと、俺達の気持ちも答えないとな
俺が目だけで照とアイコンタクトすると俺達は同時に密と同じ表情で同じ動作で話す。真剣に正直に、そして誠意を。幼馴染みであり大親友のことを認めるために。俺達は同じ『腐獅密』に言った。ありったけの気持ちを込めて言った。
「お前の気持ちはわかった」
やっとわかった
「なら、俺たちの解釈はこうだ」
お前が俺達の知る腐獅密じゃなくとも
「守るは、『乗っ取る人間じゃない』。最後のありがとうは、『自分よりもアイツのことを思ってくれて』だ。これが答えになってるかは不明だ。何せ、勝手な解釈だからな。違うかもしれない」
そんなことは関係ない
『それから』
俺達にとってお前は
「さっきは悪かった。取り乱すような真似をして。そして、お前を否定して」
お前達は
『俺達はお前『達』を認める。そして全てを話すその日まで、俺達は信じて待つ。どんなに時間がかかろうとも、俺達は待ち続ける。だから、勇気が出たら俺達に話してくれ。そしたら俺達も『守る者』として、お前達のことをどんな敵からも守る。俺達は幼馴染みであり、大親友だ。それに偽りはない』
大切な仲間であり、幼馴染みであり、家族だ!
その時、密の目から涙が溢れてこぼれて流れていた。とても綺麗な一筋の涙。密が気づいた時には混乱していて拭いても涙が止まらない状態だった。俺達は顔を見合わせて密を抱きしめる。大切な人を守るためみたいに。
いつまでも待ち続ける。いつ起きるかわからないが、それでもお前達の中で勇気が出たのなら、その時は…
密はそのまま俺達の中で号泣した。どっちの密も泣いているんだろう。心細い道を歩み続けてずっと仲間欲していた時に、俺達にも出会えた。俺達の前に話した奴が居るらしいが、その詮索はしない。俺達にそれをやる資格はない。ただ見守るのみ。そしていつの間にか密は疲れて眠ってしまった。俺達は涙を拭い、それを誓いとして舐めた。わかっている事だがしょっぱかった。しかしそれは、その味を忘れてはいけない。今まで苦しんできた密の気持ちだ。それはどっちだっていい、事実なのだから。俺はある決意を照に話す。
「照」
「ん?」
「照はどうするかわからんが、俺は密を守る。どんな厄災にも、自然には負けるが人間には勝つ。絶対にだ、そこには照もいてくれたら俺はもっと強くなれる。密を守る為にもそばにいてくれないか?」
「!!」
我ながらこれはプロポーズだ。まだ高校生がプロポーズするって前代未聞ではと思うが、俺は揺るがない。それをOKするかは照次第なのだから。照はビックリして少し沈黙をした後、頬を赤らめそして。
「ついで、みたいに聞こえるけどよ…。俺も密を守りたいのは一緒だ…。だから、その……、っ!…ふ、不束者ですが……よろしく、お願いします……」
照は話の最中にどんどん顔を赤くしていく。それてOKを出してくれた。誓いとして俺達はキスをした。まだ学校で不用心だとわかっているが、それでも信念は揺るがない。それが俺達の絆だから。
絶対に俺が2人を守る。密、お前達も含めてな
それから俺は密をおんぶし、照と共に寮に向かった。それから寮長に事情を話して、3階の密とルームメイトの所へ行った。そして密をルームメイトに渡し、俺達は家までの帰路を歩く。
「密、大丈夫だよな…?」
帰り道の途中、照が呟く。あの誓いがあっても心細いもは仕方がない。俺にだってある。だが。
「大丈夫だ。俺がお前も密も守る。その心細い気持ちはわかるが、そんな気持ちでも俺は幼馴染みとして大親友でもあり、家族を守るのは当然の義務だ。それにいつだってアイツは俺達を守ってくれた。その恩返しになるなら俺は、どんなことだってする。生徒会や風紀委員が邪魔をしても、どっかの奴が密やお前に危害を加えようものなら俺は、それら全てから敵に回したとしても絶対に守る。その信念に嘘偽りはない」
「本当にお前ってさ、昔から変わんないよなぁ?俺が弱音言ってんの馬鹿らしく思えてくる程にはさ…」
照は呆れた顔で話す。しかしさっきの弱々しい感じではなかった。吹っ切れたというような顔をしてる。
「そこまで言われちゃあ、俺だって男だ!お前だけいい顔させる訳にはいかねぇよ!んな、カッコイイ言葉を言われて俺の弱音が馬鹿らしく思うくらいならお前みたいに俺も胸を張って、お前や密を守る騎士になってやるよ!俺の力だけだったら、歯が立たなねぇけどお前に背中を預けれるなら俺だって、どんな強敵が相手でも俺は勝つ。お前の隣に立っても恥ずかしくない男になる。それまで俺も密の言葉が聞けるまで待つ。俺達の絆の心の深さは海より深く空より広いんだからな!」
「それは言い過ぎじゃないか?」
「いいんだよ!俺の名言だ!だってそうだろ?海にも深さは限度があるし、空だって俺達が見る広さは狭いけど鳥みたいに空を飛んだら広い世界がある。そう考えたらさ、この名言間違ってないだろ?」
照の満面な笑顔は悪戯っ子のようだった。俺の愛おしい照。でもだからこそ負けてられないライバル。俺はその笑顔にいつも助けられてるし、力を貰ってる。そんな笑顔を今度は照だけじゃなくて密も守る。照と同じくお前の騎士として、俺も努力する。
見ていなくともお前の助けが欲しい時、お前がいらないと言っても聞いてやらん。お前が俺たちに隠したがることも、これからは全力で聞き出す。俺達ももう隠し事はしない。お前が起きたらこの誓いの話もする。それまでは、お前の話が明かされるまで話さないからな?これでお互いにフェアだな?密
俺達はそれぞれの家に着き、そしてまた明日を迎えるためにお互い寝た。明日から密を守るというその一心で。確固たる思いを叶えるために。
同じ話を何度も何度もした気がするが、それは気にするな。これは俺への決意表明でもある。読者の方からしてみればくどいと思う奴が中にはいるだろう。だが、そのくらいの気持ちがなければ密を助けることは不可能だ。記憶喪失案件が良い例だ、俺達はその実態を見ていない。結果論でしかわからない。そんな現状だからこその決意表明だ。俺の気持ちは自分にも照にもだが、読者の方からも応援をして欲しい。これは物語での、俺達への応援だ。それ以外に望むものは無い。俺達が密を守る騎士として相応しいかも見てもらいたいからな。俺の願いはそれだけだ、他は欲張らない。これからもよろしく頼む。それでは次の視点は照だ、照の気持ちも聞いてやってくれ。ではな
side.レオ end
side.照
俺が密を見たのは昼休みだ。その前から一応レオからは聞いていた。理事長に行くのを見たと。
んだよ…、密が何かやったのか?……いや、ルームメイトの奴もいるって言ってたな…。また何かやらかしたのか?ああ!頭が混乱するっ!
俺は混乱してた。今朝の猫澤先生の話とレオの話が噛み合ってないから。それは数時間前ーー。
「どうした?レオ」
「密のことについてだ」
「密?猫澤先生が言ってたホームルームの?」
「そうだ」
「何かあったのか?」
「俺が生徒会会議があったのは知ってるな?」
「まあ、昨日聞いたしな?」
「俺はその時、密を見てる。その時ルームメイトの奴もいた」
「な、なんだって!?」
密はいつも自分から危ない橋を渡るからな…、いつもの事といえばいつもの事だけどよ…。理事長案件はさすがにやりすぎじゃねぇか??
「理事長室に行くところを見た。まあ、話までは聞かずに教室に帰ってきたんだけどな。だが、猫澤先生も知らない情報みたいだからな。下手に聞くのはまずいと思ってる。共有として照にも聞いてもらいたかった。俺一人より心強いからな」
「お、俺は別にいいけど…。それは本当の話なんだよな?レオが嘘つくやつじゃないってわかってるけど、信じられねぇ話だな?」
「あぁ、この目で見て尾行までした。結構危ない橋を渡ったのは自覚してる。だが見たものを嘘にしても仕方ない。この情報は照と俺だけの秘密だ。いいな?」
「…わかった」
まあ、あの階段前の所での話は偶然尾行してたから見たとかだしレオの言葉は間違ってない。嘘をつくやつじゃねぇしな
けど目の前の密はどう見てもいつもの密じゃない。俺達の知る腐獅密じゃない。
どういうことだ?いつものおちゃらけのおの字もない、これが密なのか?密はこんな硬派みたいな感じじゃない…!ましてや、こんな真顔で正論も言わない!なんなんだ、コイツは!?
密が昼休みに屋上へ行った所まで追い詰めた。なのにそこにはもう俺の知る密は居なかった。放課後まで待つのが苦だった。授業なんてどうでもいいから早く終わらないかなとさえ思った。舌打ちもしそうになったり密じゃないけど、いっその事記憶喪失案件になれたらどんなに楽かとかも思った。
まあ、そんなことになったら俺の場合…全部忘れてレオとの関係もなくなりそうだからしないけどさ…
馬鹿なことを考えるのはやめた。そしたらあっという間に授業が終わった。変な考え事をするより早いことを俺は知った。
てか、今まで俺こんな風になったこと無かったから初めての感覚だなぁ…。そう言えば俺、結構寝てること多かったからないんだなぁ…。レオに超怒られるんだけど…、恋人だからあんまり強く言えねぇ…って、俺は一体何言ってんだ!?てか、それを誰に向けて言ってんだ!!たくっ、しっかりしろ俺の頭っ!!
俺とレオは目でアイコンタクトし、2人で密を教室から出た。俺達も鞄を持って密を連れ出した。
てか、こんな奴に『密』って呼んだりとかしたくねぇ!!なんたってこいつは…、俺達の大切な大親友じゃねぇからだ!別人に大親友の身体を使わせてるだけでも嫌だってのに、我が物顔でいるとか有り得ねぇ!!絶対身ぐるみ剥がして正体を暴いてやる!!
そんな決意で俺とレオは使ってない空き教室を使って、密に成り代わってる奴を拘束する。さすがに抵抗するようだったが一足先にネクタイで締めあげる。早くも断念したようで、こっちが有利かと思いきや、また真顔の正論で返してきた。
こんなの密じゃねぇ…
この気持ちがまさか、レオの耳に聞こえるように呟いてたとは知らなかった。そして俺達の質問はことごとく答えてはくれなかった。何を質問しても『答えない』の一点張り。何も話さない。
なんでだよ…。お前は答える義務があるだろうが!!
俺はついに短期間とはいえ溜まりに溜まったモンが堪忍袋の緒が切れて俺は我を忘れる。ひたすら怒鳴りひたすら叫ぶ。そしてレオと喧嘩するハメになった。
俺はレオと喧嘩する気はねぇのに…、ついカッとなって流れるように、しちまった…。こうなった時にいつも止めてくれる密は今ここにはいな…
そう思ったその時、一瞬で俺達は床に転げ落ちる。何があったのか、おでこが焼けるように痛い。それくらいの衝撃があった気がすると思った。まだ俺が混乱してる中、下半身に嫌な予感がした。そしてその密の皮を被った奴は俺達の息子を掴んでいた。んで一言。
「もし、まだ喧嘩するというなら。お前達の関係を知ってたとしても、この息子らが犠牲になるがいいか?」
一気に血の気が引いた。つまり俺達が付き合ってることを知っている。それは俺達の知る密しか知らないはずの情報。それを密の皮を被った奴が知ってる。
しかも、この感じ…。俺達の知る密じゃなきゃ、こんなに懐かしい感覚だとか思わねぇ…。けど、なんでだ?本当に懐かしく思う…。いつからだったんだ?こんな気持ちや、感覚を忘れちまったのは…
そう思いつつ俺達は土下座して謝った。さすがに息子が戦意喪失だけじゃなく、再起不能までされたら俺達生きていけない。それだけは絶対に嫌だ。すると密の皮を被った奴は俺達に顔をあげるように言ってきた。そして優しく、凄く穏やかな声で言葉を発した。
「俺が何者であるか、俺は誰だ、どうして変わった、どうして答えない、については『答えることができない』。俺とアイツは違うと言っていたが『同じ』だ。そして、二重人格でもそうでなくとも乗っ取る可能性があると言っていたが、俺は『守る』。言葉の解釈は自由だが、何が正しくて何が正しくないと判断するのはお前達に任せる」
なんだか強調してる部分があるように聞こえる。レオは多分すぐに分かっただろう。俺より頭がいい奴なら聞いた瞬間に分かるかもしれない。そしてそれの言葉はまだ続いた。
「それから、『ありがとう』。以上が、俺の言えることだ。すまないが、これで勘弁してくれ」
『ありがとう』…なんて、言われるとは思わなかったな…。散々俺もレオもコイツを蚊帳の外に置きつつ、罵倒しまくってたのに…
俺とレオはお互いを見あった。そしてレオも同じことを考えていたことを、目で悟った。俺は目をつぶり腹を括った。そして俺達は密の皮を被った奴と同じように真剣な目付きになる。認めざるおえない。正真正銘、『腐獅密』なんだと。そして俺達は密の皮を被った奴の言った言葉の答え合わせのように言う。
たくっ…、そういうことかよ…
「どんな言葉の解釈も自由だと言ったな?」
本当にお前は昔からどんな時でも遠回りだな…?
「答えることが出来ないのは、『今はその時じゃない』。同じなのは、『どちらも腐獅密』だから」
んな言い方してたら誤解されるぞ?俺みたいに…
「だけど、もしそれが答えなら俺達は待つよ。お前から聞き出せなかったとしてと、最後には聞かせて貰えるって信じてるから。アイツのつらさと苦しさ、それから心の傷を。アイツが話せるかどうかはわからないけど、それでも待つ。待ってる。俺達の関係を言う前もそうして詮索せずにいてくれたから。待つよ」
お前……いや、お前らにこれが伝わるなら何度も誓う
『それから』
俺もよ、結構遠回りしちまったけどさ?
「認めないって言ってごめん。でも、そんなこと言った俺達に『ありがとう』をくれて、ありがとう。あんなこと言った後って少し恥ずかしいけど…」
今ならハッキリわかるぜ?
俺達は頭を上げた。一度謝る時に下げてたのをもう一度、密達の心に届くように目を見てハモった。
『俺達はお前『達』を認める。そして全てを話すその日まで、俺達は信じて待つ。どんなに時間がかかろうとも、俺達は待ち続ける。だから、勇気が出たら俺達に話してくれ。そしたら俺達も『守る者』として、お前達のことをどんな敵からも守る。俺達は幼馴染みであり、大親友だ。それに偽りはない』
この想い、受け取ってくれ!!そして信じろ!!お前らは1人じゃねぇんだ!!俺達がいるだろ!!
心も言葉も密達に伝えた。それが通じたのか密の目から一筋の涙が流れた。それはとても美しく、綺麗な涙だった。俺はそれに魅入ってしまった。気づいた時には密が拭っても拭っても涙が止まらない状態だった。俺もレオも同時に密を抱きしめた。
そんなに溜め込んでたのか?言えないもん持ってるくらいならさっさと吐き出しちまえばいいのに…
そうして来なかったのは、少なからず俺達も関わっている。その理由だってちゃんと知ってる。1番よくわかっているから。
これからはちゃんと隠さずに言うからな!けど、まずはお前の苦しみを聞くまでお預けだ!今はめいいっぱい泣けよ!俺達が背負ってやるからな!
そしていつの間にか密は眠っていた。俺達は優しく頭を撫でて俺はレオにも聞こえない声で呟く。
「ゆっくり眠れ。おやすみ、密」
それから立ち上がり寮へ向かいレオと共に3階へ。ちゃんと寮長の許可も得て入る。密の部屋の前まで来てチャイムを鳴らし、中からルームメイトの狼関俊之助に渡す。
あ、名前のフルネームは寮長から聞いた。てか、先輩だったんだな、気にせずタメ口だったけどよ…
そしてよろしく伝えた後、俺達は家までの帰路を歩く。今夜の空は月が綺麗だった。満月だった。帰り道の途中、俺の方が少し早い足で歩いていた。すると少し後ろから声をかけられた。もちろんレオだった。俺は立ち止まり振り返る。真剣な顔をしていたレオ。
「照はどうするかわからんが、俺は密を守る。どんな厄災にも、自然には負けるが人間には勝つ。絶対にだ、そこには照もいてくれたら俺はもっと強くなれる。密を守る為にもそばにいてくれないか?」
「!!」
え?こ、これって……も、もしかしなくともアレだよな…?いや、疑うわけじゃねぇけど、これは…いや、ちょっ、こんな時に!?こんな時になのか!?俺の心の準備も考えずに言いやがったよコイツ!!って、んな事考えてる場合じゃねぇ!!ちゃ、ちゃんと答えねぇとだろ!?いやでも、心の準備が……マジでまだ…
俺は心底混乱していた。ビックリしすぎて思考停止もありえるほどには。今このタイミングで言うのかと、本気で思った。けど、このレオの表情は真剣だ。嘘の1つもない。俺の目を見てプロポーズしたレオ。心の準備は今の今までずっとできてなかった、レオみたいにああいうことを考える時はあった。それを後回しにしてきた結果がこれだ。いざ言われると言葉が出ない。口元が震える。
でも、俺はレオが好きだ。許されるなら日本で結婚したいと思うほどには…
自分で思っておきながら顔を真っ赤にする。けど、勇気はなくとも自分も思っていたことだ。たとえ隅の方に追いやっていたとしても、こうして向き直すチャンスをくれたんだ。ちゃんと答えなきゃレオの顔に泥を塗ったことになる。そんなこと思わせちゃダメだ。そして俺はレオの目を見て言う。口元は震えてちゃんと言葉をはっきりと言えた状態ではなくても、俺の気持ちをレオに伝えた。それは俺の決意でもあった。
「ついで、みたいに聞こえるけどよ…。俺も密を守りたいのは一緒だ…。だから、その……、っ!…ふ、不束者ですが……よろしく、お願いします……」
いざ言葉にするとさらに顔を真っ赤にする。俺はちゃんと素直に言葉が言えたか不安だったが、レオの顔を見たらそれも消えた。レオは自分自身で気づいてるか知らないが、今まで見てきたどの微笑みよりも優しくてそして月に照らされたレオの顔は綺麗だった。そしてそれは俺でも見たことないくらいの笑顔だった。
しばらく歩いていると、急にさっきまで自信満々にあんなこと言ってたのに、いざ改めて思い返すと、密の涙を思い出して心細くなった。俺は揺れていた。
俺らのやるべき事は決まってる。でも、今の密と俺らの知ってる密は別人だ。二重人格でもそうじゃなくとも、密は密。分かってはいるんだ…。けど、涙を見た時魅入って見てたのもあるが…、本音はこれから演技じゃない密が逃げ場のない細い道や乱れた道、あるいは獣道かもしれないってのに…。俺はちゃんと密を守れるんだろうか……
「密、大丈夫だよな…?」
俺は自分の不安を密に置き換えて心配した。けど、レオの言葉で俺はその心細さも消えていく。
「大丈夫だ。俺がお前も密も守る。その心細い気持ちはわかるが、そんな気持ちでも俺は幼馴染みとして大親友でもあり、家族を守るのは当然の義務だ。それにいつだってアイツは俺達を守ってくれた。その恩返しになるなら俺は、どんなことだってする。生徒会や風紀委員が邪魔をしても、どっかの奴が密やお前に危害を加えようものなら俺は、それら全てから敵に回したとしても絶対に守る。その信念に嘘偽りはない」
俺は目を見開く。そして目を閉じフッと笑う。
「本当にお前ってさ、昔から変わんないよなぁ?俺が弱音言ってんの馬鹿らしく思えてくる程にはさ…」
呆れた声。これはレオにじゃなく、自分に対して。こんなにもレオは真っ直ぐ折れずに自分の目標に向かって歩いてる。たとえ茨の道でも獣道でも罠しかない道でも、レオの心は折れないだろう。それに比べて俺は自分で目標を立てときながら、まだ始まってもないのに折れそうになっていた。まだまだ弱い証拠。
「そこまで言われちゃあ、俺だって男だ!お前だけいい顔させる訳にはいかねぇよ!んな、カッコイイ言葉を言われて俺の弱音が馬鹿らしく思うくらいならお前みたいに俺も胸を張って、お前や密を守る騎士になってやるよ!俺の力だけだったら、歯が立たなねぇけどお前に背中を預けれるなら俺だって、どんな強敵が相手でも俺は勝つ。お前の隣に立っても恥ずかしくない男になる。それまで俺も密の言葉が聞けるまで待つ。俺達の絆の心の深さは海より深く空より広いんだからな!」
「それは言い過ぎじゃないか?」
「いいんだよ!俺の名言だ!だってそうだろ?海にも深さは限度があるし、空だって俺達が見る広さは狭いけど鳥みたいに空を飛んだら広い世界がある。そう考えたらさ、この名言間違ってないだろ?」
レオの言葉は、まるで魔法だ。しかも鬼のくせに光であり、太陽だ。それは勝手な解釈にすぎないけど、少なくとも俺にはそう思えた。
だってさ?さっきまで道が細くて歩けるかわからなかった道が、今じゃレオの言葉だけで俺の道はすげー光ってて広くなったんだ!どんな相手だろうと勝てる気になる!俺だって1人で戦うわけじゃないんだ!俺の隣にはレオがいる。今の密は危ういけど密だっている。2人しかいない味方でも、俺にとっては充分すぎるほど恵まれてる。それってすごいことだろ!?
俺はニカッと笑いながら空を見上げた。良い気分の状態で歩く。そしてちょうど俺達の家に着く。
別々の家だけどいつか、密も入れて3人で暮らしてぇな…。そしたら楽しいだろうな…
そう思いながら俺やレオは明日に向けて眠った。明日から密を守るというその一心で。確固たる思いを叶えるために。
俺の時の方が長かったような…。まあ、気にすることじゃねぇな!てなわけで、俺の視点はここで終了だ!俺もレオと同じで決意表明できたと思う!最後のレオの言葉は気恥ずかしくて、思い出すだけで俺の頭でヤカンが沸騰しそうだ…。いや、この発想超古いな…。忘れてくれ…。と、とにかく俺達はこれから密達の騎士になるんだ。俺らの活躍を応援してくれよ!俺も望むならそれくらいだな!欲がねぇのかと言われたら、………まあ、その……、レオとの関係も応援してくれたら…嬉しいかも………って、言わせんなバカ!!そんな訳で!!俺からは以上だ!!またな!!
side.照 end
主人公のお話の時と同じく、視点は章を変えずに書きます。
一応幼馴染みだけの視点をこれからも書くつもりですが、自分がこれ書きたいとかあったら幼馴染み以外でも書くことあるかもです。
その時はよろしくお願いします<(_ _)>