牢屋の方を見ると何かを祈ってる奴やこの世の終わりのような顔をしてる奴や顔を赤くしてジッとこっちを見る奴がいる。
熱い視線かな?ww
「どうしたのー?告白シーンを見せてくれる人はいないのかよー?何もキスまでしろとは言ってないぜー?それとも……、度胸がなくてただ捕食されるしか脳のない雌しかいないのかな〜?」
俺は煽る。グサッとくることを平気で煽る。すると、1人手を挙げた。体の色が焦げ茶の短髪不良系男子。
見るからに『黒豹』って感じだなぁ♪
「じゃあステージに上がってくださーい☆」
そういうとみんなの中を割って入りステージ上に立つ。そして一瞬俺を見て睨みそして前を向いた。
おぉー、コワイコワイ。これで俺が捕食される側なら一発で地に落ちてたなww
俺はそのままマイクを渡した。俺はコソコソとレオに話しかけた。
「ごめんな、レオ。ダシに使う感じでやってよ」
「まったくだ…、俺は好きになったやつ以外にこんなことする気はないんだぞ」
「ごめんってwホントにww…けど、お前も顔赤かったよな?」
「あ、あれは…、演技に決まってるだろ」
「わかってるよ♪俺もちゃんと演技だからなw」
「…………………はぁ、アイツに何言われるか………」
ボソッとレオが何か呟いた。聞き取りにくい声で呟くのでジッと見るてると、なんでもないと顔をそらされた。
むっ、気になる…
「おい」
ん?あ……、察しwww
俺は手でどうぞどうぞというように笑顔で言うと、ケッと舌打ちされた。少しだけピキッとしたが、レオによって止められた。
もちろん俺の顔はとても可愛いスッマーイルだゾ♥
「俺は豹月蓮(ヒョウヅキ レン)。1年鷹組だ。おい、お前」
俺に話しかけられた。マイクを風紀委員長から貰ってから答える。
「何かね?」
「あそこからここに連れてくればいいのか?」
「まあ、だってそうでないとね?あんただってランダムは嫌だろ?」
「フン」
答えたのに何かなあの態度は?俺の堪忍袋の緒は簡単には折れないけど、来るものはあるよね?ね?……まぁ、例の如くレオに抑えられてるので何も出来ないけどさ★
豹か黒豹かわからないけど、とりあえずいけ好かないイケメン不良くんはステージから降りて檻の所へ行く。傍から見ると本当に捕食メインで獲物を見定めてるように見える。檻の中にいる人達はみんな怯えた目で下を向いてたり目が離せなかったりと色々いた。
「コイツにする」
その一言で黒服の人が1人を檻の中から出した。中々にイケメンな彼だった。しかし顔は良くても服装がダサいチャラ男。こんな奴を相手にするのかと思った。
なんだろ…。タイプなのかな??
「タイプじゃねぇ。だが朝にちょっとな」
「い、いや…あれは!そういうことじゃなくt」
「あぁ?」
「ヒッ!!」
あ、そういう…。なんかチャラ男さん…どんまい☆
「さて、じゃあそんなチャラ男とあんたはどんなシチュエーション見せてくれるんだい?」
と聞くと。
「は?誰が言うか」
ピキッ。……いや、まだ落ち着け。俺は寛大だろ?レオだって俺を止めてくれてる。こればっかりは今レオに止めてもらってるのを利用しよう。だから落ち着けよ
ちなみにレオや遠くにいる照は俺の変化に気づいてる。それは昔から知ってるからということもあって俺は今、キレそうになってる。これには鬼のレオでも恐れるほどの怖さらしい。俺はその時の記憶がない。それくらいということらしい。
「いやいやいや、これは俺のご褒美だよ?あんたは俺のご褒美に付き合ってくれてる、そうじゃん?…てか、それにこれはBLだよ?ボーイズラブだよ?それに率先して手を挙げたんだよ?あ、そーれーにー?あんた、俺に負けたんだぜ?負けたなら従えよ?負け犬さん★」
あんまり表に感情を出さないようになるべく声を大きくして、いつもの嫌味っぽい感じで言う。これが精一杯の俺からの譲歩。俺はあまり怒りたくない。寛大な心の俺がここで屈するのは、前世の獅子様が泣くというもの。絶対に屈しない。それに何かあればレオか風紀委員長が助けるはずだから。
まあ、その前に俺がキレでもしたらこれ台無しになっちゃうしね?それくらいの脳ミソはあるよな?不良くん★
「……チッ、わかった」
わかってくれたようだ。舌打ちは受け流そう。わかってくれればそれでいい。今はこの気持ちを隠さないといけない。なので俺はいつものケロッとした顔に戻る。
「じゃ!どんなシチュエーションで楽しませてくれるのかい?」
「そうだな。コイツの下手なナンパのやり口を俺が一から教えるつー感じで告白する。それも1つの告白だろ?」
「ほうほう、それが朝の出来事にも関係するシチュエーションならOKだよ。まあ、あくまでBLだからそこを組んだ状態でやってね?」
「言われなくても、そうする」
「じゃあ黒服の人さん!この2人に合う舞台をお願いします!」
そいうとどこからその舞台は来てるのかわからないがステージに配置された。舞台は暗くて人気のない路地裏。そこに連れてこられた何も知らないチャラ男。何を思ってチャラ男を連れてきたのかわからない不良くんの告白シーン。
語りはちゃんと入れるからそれで妄想を膨らませてくれ!ここから、何人かのシチュエーションを見る。俺達は関与できないので、みんなの想像妄想を繰り広げてくれ。あ、ちなみにこれ。作者の伝言な?つーか、俺が関与したら間違いなくカオスになってぶち壊しだからさ!視点は変えないけど、そこだけ把握な?んじゃあ、次が始まるまでの間お楽しみください。ってな☆
「いたっ!テメー、何すんだよ!ここに連れきて!」
「お前、女を弄ぶことがナンパだとか思ってねぇか?いかにも女に手を出したことねぇ顔して、いかにも経験値格下って感じのお前がよ」
「っ!そ、そこまで言うことねぇだろ!俺だって女の1人や2人!余裕で捕まえてるし!つか、弄んでねぇよ!ナンパってのはそういうもんだろ!大体あんた誰だよ!説教するために俺をこんなに人気のないところに連れてきてさ!一体何様のつもr」
ドンッ!!
重低音のような音がチャラ男の耳に届いた。チャラ男はビクッと震えた。恐る恐る見上げる。そこには自分を見下す鬼のような蛇のような捕食するというハンターのような目をした男がいた。チャラ男は身体の震えが止まらずそれ以上何も言えなくなった。
「俺のことも知らなねぇやつがナンパとかしてんじゃねぇよ。俺はそのナンパのノウハウを知り尽くしてるトップだよ。まあ、人によってはボスだの王様だのなんだのってうるさいけどな?お前が街で女を口説いてるのを最初は見てただけだ。けどな、そこからの情報は漏れるものでな?何故か、お前のことを聞くと評判が悪いし女を泣かすと聞く。そんな相手をこのまま放置したら、どんどん被害が拡大していつかは苦情が来てナンパを楽しみたいとかナンパを心から楽しんでる奴までダメにする。だから、今からお前に本当のナンパてのを教える」
「ほ、本当の……ナンパ……?」
言葉の節々から伝わる自分への指摘。チャラ男は怯えながらも言葉にする。ナンパのトップという男をこれからマスターと呼ぼう。そう、チャラ男は心の中でそう思った。
「まずお前のナンパのやり方は古い。お茶に誘うのは問題ないが、言い方が出来てねえ。次に女の肩に腕を回して強引にそっちに連れておこうとする。それを許せる相手ならいいが、用事があるとかで急いでる女をお構いなく連れていこうとするのはナンパというよりそこらにいるチンピラと一緒。お前のナンパはこんなもんだ。お前がナンパした女に聞けば苦情もあればノリはいいけど強引すぎて逆に萎える。というかそもそも、最初から自分の彼女だと思ってる頭が既に無理。といった女達の言葉だ」
「う、嘘だっ!最後には楽しかったって…!」
「それが全部、お前を満足される言葉だとしたらどうだ?」
「……っ!!?」
マスターに自分の悪い部分を指摘されさらに追い打ちをかけるように言うからチャラ男の目から涙がポロポロと流れる。それを見たマスターはチャラ男の頭の上にポンッと乗せる。とても優しく。チャラ男はその手の先の顔を見る。
「それを俺が教えてやるよ。そしたらちったぁマシになるだろ」
そう言うマスターの顔はとてもカッコよく、口元を緩めて笑っている。チャラ男はその顔にドキッとして目が離せない。それから色々、ああすればいいこうすればいいという言葉の伝授が始まった。そして一通り説明してからマスターはこう言った。
「今話したことをお前、実践してみろ。俺を女だと思ってやれ。その後は答え合わせだ」
「わ、わかった…」
そう言って立場を逆にしてチャラ男がマスターに話しかける。
「ねぇ、君!そう、クールで綺麗な君だよ!良ければなんだけど、今からお茶しない?俺、スゲー美味しいケーキ屋があるとこ知ってんだ!めっちゃ美味いの!紹介したいから一緒に行かね?」
「……じゃあ行く」
チャラ男の言葉に乗るマスター。しばらくしてもそのケーキ屋にはたどり着かない。あるのは周りがラブホばかりの人気のない場所。
「……ねぇ、いつになったら着くの?歩き疲れたんだけど」
「あぁ、着いたよ。ココ!」
クールで綺麗な女の人が見たものはケーキも頼めてお風呂も入れて美容も完備したホテルだった。クールで綺麗な女の人はびっくりして。
「ここって確か、とっても値段が高いところよね?あなたにそんな大金払えるの?」
「…っ、は、払えるよ?だから連れてきたんじゃん?ね?入ろ?奢るからさ?」
「ふーん、なら色々頼もうかしらね」
「う、うん!俺に任せろよ!」
そう言って2人は中に入っていた。中に入ると一般の人間は入れないと思われるようなシャンデリアがあるフロント。赤いカーペットも普通のラブホにはない。音楽はジャズ系の静かな曲が流れてる。すごく落ち着く空間。真正面にいる受付の人に先程言っていたことを受付の人にあれこれ注文して部屋の鍵をもらう。チャラ男と共にその渡された鍵の番号と同じ部屋に入る。
「本当に綺麗なところね?とても好きよ.こういう場所。なんだか落ち着いて本が読みたくなるような空間。それにケーキも美容に効果あるエステもあるなんて、あなたの言ってたことは本当のようね?とても嬉しいわ、ありがとう」
「い、いやー!喜んでもらえてよかったよ!あ、ここ風呂もあるみたいだし先に行ってくれば?俺は待ってるから!」
「そう?じゃあお先に失礼するわね」
そう言って女性はお風呂場へと入っていった。チャラ男はフカフカの布団の上に触って頭を抱える。
「え?え?えぇぇぇ!!?こ、これからどうしろと!?俺こんな風にした事ねぇからこのあとわかんねぇよ!てか、なんだよこのホテル!色々高すぎんだよ!!俺の手持ちが借金軽くいく程の値段って!!……でも、ここで奢るって言ったんだから男を見せねぇと……、いや待てよ?あの女の金から使えば…、払えるんじゃね?」
チャラ男の頭はパニックになっていた。多分いつもこうなのだろう。上手くいった時に何も考えずに行動するからこのあとのことを考えれなくなる。チャラ男が女性の財布に手をかけた瞬間、パンッ!という音が鳴った。その時ハッと我に返るチャラ男。目の前にはあのクールで綺麗な女性ではなくマスターがいた。今ので自分の実践は終わった。ビクビクしながらマスターを見上げるチャラ男。
「返せよ、俺の財布」
「は、はい…、どうぞ…」
財布を取ってチャラ男見下す。怒られると思って固く目を閉じている。胸元の裾を掴みながら待っている。マスターは一息吐いてから言葉を切り出す。
「答え合わせだ」
「は、はい…!」
背筋が凍るような思いでカタカタ震えているが、声を大きくして返事をする。
「出だしはよかった。聞いた話よりはマシという意味でな。ケーキ屋に行くというチョイスもよかった。がここからだ。お前の失敗は」
チャラ男はギュッと胸元の裾を握る。
「まず女を疲れさせた。そこからダメな要因だ。ケーキ屋と言っておきながらラブホに入る。もちろん、そこはちゃんとケーキ屋もあって美容エステも完備したホテルだったとしても下心がある。そして後先考えずに入るもんだから自分の金のことを考えていない。そして最終手段が女の金で払うこと。いかにも自分は持ってますよと言わんばかりに出すが、その金は全てその女からだ。それを確認した上で女と遊び終わる。満足した気でいる。それがお前からくる被害苦情だ」
散々ボロクソに言われて自分がしてきたことを見抜かれてもう何も言葉に出来ないでいるチャラ男。マスターはそんなチャラ男見て自分ならと話し始める。
「最初の出だしはいいと言っただろ?ケーキ屋の話も良いって。俺がするなら近場のケーキ屋、もしくはカフェとか喫茶店とかでお茶に誘う。そこまで値段も高くないし庶民的な場所だ自分の金とも相談はできる。オシャレで有名だけど、値段が優しい所を選ぶ。そうすれば相手も楽しめて自分も楽しめる。そして楽しんでまだ金に余裕があるなら、路上で売ってるクレープとかアイスクリームを食べて過ごす。それだけで女は満たされる。あとはアドレス聞くか聞かないかは人それぞれ。相手からねだられたらそれには応じる。俺がするとしたらだいたいそんなもんだ。簡単だろ?」
「なんていうか……平凡…」
「それだけで女が楽しめたらそれでいい。まあ、これは1つ例であって偏見かもしれんが、少なくとも俺のやり方で苦情や評判が落ちたことは無い。その差はなんだろうな?」
「うぐっ…」
「だがお前の性格とかを考えると大体『強引』がメインになるんだろうな。そういうのなら女を選ぶ必要がある。スリルを味わう系が好きな奴や強引ってのが似合う女とかをな。そういう人間にだったらお前のそれは通じるだろうよ。まあ、そうだな俺がお前みたいに強引系がいいって言うなら実践してやる。すごく簡単なことだ、してやるから想像しろ」
「は、はい…」
チャラ男は言われた通り目をつぶって想像する。マスターは言葉を続ける。
「さっきの路地裏を思い出せ。そこに連れてきたことをな。そこで俺がお前に壁ドンしただろ。そのあとどうするか教えてやる」
チャラ男をそのホテルの壁に追いやり壁ドンするマスター。ビックリして目の前のマスターを見上げる。そして急に胸の鼓動が早まる。何されるのか分からないのに何故か顔も赤くなってきた。
「なあ?お前、こんな所まで着いてきて何の抵抗もなかったのか?男はみんな狼だ、お前もわかってるだろ?それとも、普通よりもこういうのが好きなのか?」
マスターは壁ドンから更に股ドンさて膝でグリグリとさする。これが女なら快楽の渦で頭が混乱し抵抗はしても弱々しくなるだろう。チャラ男もまたそんな渦に巻き込まれている。手でマスターの膝を掴み押さえてる。しかし、マスターはその手ともう片方の手を片手で掴み上に持っていき、壁ドンの定位置に置く。押さえるものがなくなったのでどんどんさするマスター。チャラ男は我慢できず声が漏れる。
「ぁ……あっ……んっ…んん…はっ…」
「声が漏れてるぞ?何だ気持ちいいのか?こんなことされてしかも、外で。誰かに見られるかもしれないのに」
「……はっ…、も、ゆる…っ……ゆる、し…て……っ」
さすられすぎて目がチカチカしてきた。ヨダレも垂れてきて許しを懇願している。マスターはそんなチャラ男を見て一瞬でもキュンとしてしまった。こんなチャラ男は俺のタイプではないけどそれでも一瞬は一瞬。
「なあ、お前」
「は、はひ…?…っん…」
「俺と付き合え」
「……え?…はぁ!?」
されてることよりもそっちにびっかりして、思わず声が大きくなってしまった。マスターは膝でグリグリをさらに強める。
「…あっ!…ご、ごめ…んっ、なさっ……い!…んぁ」
ビクゥッと震え顔を更に真っ赤にさせ謝罪する。マスターはチャラ男の耳元でこう呟いた。
「こんな羞恥を晒して、喘いでるとこ誰かに見られたらお前はどうなる?部屋ならまだしもここは外だ。誰かに確実に見られる場所だ」
「……やっ…、やだぁ…!!やだぁ!!!」
チャラ男の頭も心もズダボロで涙がボロボロ出して頭を横に振る。マスターはそんなチャラ男に今まで一緒に行動してきたが、それも短い時間の中見せたことのない優しい笑みを浮かべるマスター。それを見てチャラ男は釘付けになる。
「嫌だと言いながらもお前のココは素直だな?こんな公衆の面前で羞恥を晒して喘いだ挙句勃つくらい気持ちよくて、しかし誰かに見られるかもしれないっていうスリルは俺しか味わえないぜ?……それとも、もうこのスリルを味わうのも最後にするか?」
優しい笑みでえげつない事言っているが、しかしそれでもチャラ男の中ではもう決まっていた。こんな強引でスリルある体験は今までなく、そしてこれが癖になりそうになってる自分がいることも知ってる。頭を横に振りイきそうな顔だけど、笑顔でマスターに言う。
「こんなスリル…、俺以外しないって、約束してくれるなら…、あんたと……したい……。最後にしたく、ないから…っ」
それを聞いたマスターはクスッと笑って空いてる手でチャラ男の頭を撫でる。撫で方が優しくて気持ちそさそうにしてるチャラ男。頭を撫でながらマスターは左頬に手を添えて改めてもう一度言う。
「俺と付き合うか?」
チャラ男は迷わず。
「…はい…、よろしく、お願い…します」
そして2人は街の光に照らされながらもキスをして晴れて交際していくのでした。おしまい。
うおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!俺の心が歓喜が鳴り止まないぃぃぃぃぃ!!!!長かったけど、スゲー良いシチュエーション!!しかも物語って感じでヤバっ!!もっとこの先が見たくなるくらい感動するっ!!!生BL最高なんですけどぉぉぉ!!!うわぁぁぁぁぁぁ!!!
舞台から降りた頃にはチャラ男は骨抜きにされ目を回してるため足腰立てなくなっていた。不良くんはチャラ男の襟首を掴んで黒服の人に渡してた。マイクを持って俺を見る。
「どうよ?」
「めっっっっっっっっっっっちゃ良かった、完璧。もはや何も言えぬよお主!!いや、不良くん!!」
「俺はそんな名前じゃねえ。自己紹介しただろ」
「え?なんだっけ☆」
「おい(怒)」
「えーーっと…?」
「はぁ…、豹月蓮だ。1回で覚えろ」
「はーい、レンレンw」
「は?レンレン?てか、そのあだ名やめろ」
「感想どうだった?レンレンw」
「そのあだ名をやめろって言ってんだろ。……感想は、まあまあ楽しかったんじゃねぇの?コイツにも一発返せたしな。一応そういう意味では満足した。それだけだ」
「ありがとうございました!!末永くお幸せに!w」
「付き合わねぇよ、バカが!…ったく…」
コントのような話をした後、終わった後のレンレンの顔は本当に満足気だった。
一体朝に何があったんだか…
さて、それから何人かの人がレンレンの後を追うようにそれに合ったシチュエーションで俺の心を満タンにしていく。
あと2組やってもらったら終了しようかな♪
「じゃあ次は風紀委員長、お願いします!」
「え?」
「え?」
「お、俺はやめとく」
「何故です?」
「そういうのに興味が……っ!!」
風紀委員長がそっぽを向いてる隙に風紀委員長の目の前にいた。風紀委員長はビクゥッとして俺を見る。
「なんでも」
「……は?」
「なんでも願いを聞いてくれる、ご褒美タイムですよね?」
「いや、時間も押してるしここら辺で終わっても…」
「そうですか。本当はこんなのは計画になかったですが、風紀委員長だけはじゃあ特別に最後にしてあげますね?ただし、俺が言ったことは必ず従ってもらいますよ?たとえ『ネコ』になっても、です☆」
「え?は!?ちょっ…!!」
風紀委員長が何か言いたそうだったけど、ケロッとした顔で風紀委員長から離れて、前の方に行く。
「さて、風紀委員長がトリを閉めてくれるそうなので次がラストですが、他にやりたい方はいますかねー?」
しーーーーーん……
「なら締め切らしてーー」
「はいっ」
「ん?」
「なっ…」
みんなの注目を浴びながらも俺が何も言わずにステージに立つ男子。照だった。俺達の幼馴染み。一瞬レオが何か驚いてたけど顔みても普通なのでその時は何も気にせずに話を進めた。
まさか、3週間後にあんなことになるとは世も末ですなwwこの時は知らなかったんだから仕方ないけどねw
照が俺のマイクを取ってステージに立つ。そして自己紹介し始める。
「俺は詰蛇照。1年猫組だ。シチュエーションを最初に伝えとく。相手の浮気がバレて再度口説いて告白させるシーン」
マイクを俺にサッと渡した。一瞬レオを睨んだように見えた。一瞬なので俺は頭にハテナを浮かばせながらチラッとレオを見ると苦い顔をしていた。
ん?レオも照も何か俺に隠してる??…ま、いっかw
あ、ちなみにレオのシチュエーションやってないじゃんと思うじゃん?すでに俺の時に出ちゃったから描写はないけど、レオのやった演目は『どこかのゲイバーで知り合った客に告白するシーン』をやってた。これはあっちの要望だったからなー。なんか、夢があってその夢がそういうシチュエーションらしくてレオも嫌々ながらやってたなwwあれは傑作だったww見たいって人は番外編で、もしかすると出すかもだからそっちで見てくれると嬉しいなw
照が見定めしている。すでに演目に出た人と出てない人に分かれていて、出た人はホッとしてて出てない人はビクビクしてる。照は蛇の目で見つめる。その中に目を逸らして面倒くさそうにしてる奴を見つけては照が。
「コイツにする」
と言ってきた。まさか自分が選ばれるとは思ってなかった見た目不良くんだけど、中身がそうでもないように見える男子を連れてきた。目はつり目で鋭そうな猫目。いかにも攻めって感じがする。しかし、あそこにいる以上は攻めであったとしても受けに回る。目だけで見れば猫だけど。
山猫の可能性もあるんだよなぁ…
山猫は小・中型の野生動物。山に生息する猫。通常の猫よりも小さいがハンターのような目をしてるらしい。しかし、照よりも大きい。レオよりは小さいと思うけど、一回りは大きいと言える。もしかすると、オオヤマネコの可能性もある。蛇と力比べすると五分五分だと思われる。
「なんで俺なんだよ…」
と呟いてるくらいだ。
「照が攻めで面倒くさそうな不良くんが受けなのかな?」
「そうなるな」
「面倒くさそうな不良くんって呼びづらくないか?」
「名前知らないし」
「同じクラスなのに知らないのな」
「自己紹介してないですしおすし☆」
「はぁ、猫山大軌(オオヤマ ダイキ)な」
あ、オオヤマネコの生まれ変わりさんだ☆
「じゃあ大ちゃんね?w」
「……なんか嫌だけど、さっきのよりはマシだからそれでいいよ…」
大ちゃんに盛大なため息を吐かれたけど気にしない。
さて、名前もわかったところで続き行きましょう♪黒服の人達がすでにスタンバッてるしw
それじゃあさっきのように、スタート!あ、名前はさっきの呼び名じゃなくてちゃんとした名前になるから安心しろ〜?んじゃ、楽しんで妄想しましょう♪
バタンッ!!
ドアの音が鳴り響く。照が大軌を引っ張り大軌はなぜこうなったのかがわからないでいる。発端は街のホテル街に近いホストやゲイバー等の娯楽施設が豊富なところで2人はばったり会った。照はある特別な買い物がてら散歩。大軌は男も女も連れて街を闊歩していた。それを見た照が無理矢理そこから連れ出した感じだ。
「おいっ!何に怒ってんだよ!?」
「…………」
「おいってb」
「うるさい、静かにしろ」
「……っ!」
ドスの効いた低音ボイスで言った。振り向かずに。しかしキレていることはわかる。大軌はため息を吐いた。そのため息を聞いたか否か、大軌の腕を思いっきりベッドに突き飛ばす。
「うぐっ!」
「…………」
突き飛ばして間もなく照は大軌に詰め寄った。気配もなくまたがり、相手の腕を膝で押さえつけて、そして手には包丁を握っていた。大軌はギョッとしてもがく。しかし首元に当てられたため身動き取れない。
「質問に答えてもらう。いいな?」
拒否権のない声。大軌はできる範囲で頷く。
「まず1つ目、あそこで何してたの?」
「………友達と、遊ん」
「最初から嘘つくんだな?」
鼻の上まで真っ黒な影を浮かべながら大軌を睨む。逸らしてた目を向けた時その目を見た瞬間、身体の震えが出てこれは今までで1番危ない目だと自覚した。しかし、思ってることが言葉に出来ないのか違う言葉が口から溢れる。
「本当に友達となんだって!」
「ふーん?」
「信じてくれって」
「それ何回目?」
「っ!………えっと、何回目だったかn」
「質問はまだ続いてるからな?ちゃんと答えないなら、質問を変えてやろう」
「……へ?」
すると包丁を自分の首元に当てる。刃のついた方を首に。大軌は今、自分の置かれてる事の重大さを理解した。これはダメだ。これは許せない。そう思った。
「な、んの…冗だ」
「冗談?」
「っ!!」
照の首から少し血が出ていた。大軌はもがいた。しかし、固定されて動けない。睨みながらも涙がボロボロ出る。
「なんで泣くんだよ?お前が」
「やめてくれ…、照…」
「何をやめるんだ?」
「自分を傷つけるな…、頼むから…」
「大軌が答えることによってはしない。けど、答えによってはやるから」
「……!」
よく見るとやってることが凄すぎてそっちに集中してしまっていたが、包丁を首当ててる手が震えてる。微妙に身体も震えていて、本気なのかもしれないけど照も怖いと思ってるみたいだった。きっと血が出てるそれも痛いだろう。大軌は素直になろうと思った。
「何が聞きたいんだ…?」
「今日あそこで、本当に友達と遊んでたのか?」
「遊んでた」
「女とも男ともくっついてか?くっつく必要ないくらい密着しながらか?」
「そ、そういう時もあるよ…」
「浮気してたんだな?」
「……っ…、ごめん、してた…」
直撃くらって謝った。素直になると決めてたから。すると、それを聞いた照はその包丁を大軌の首の横にグサッと刺した。あと数ミリ近かったら血が出そうなところに刺した。ビクッと震えながら横の包丁を見つつ照の顔を見た。
「大軌」
「な、何…?」
「お前は俺のこと好きか?」
「お、おぅ…、好きだよ…?」
「浮気するってことは俺のこと飽きたのか?」
「っ!し、してたのは謝る!けど、飽きてはいない!それにあんたのそんな顔が見たくてしたわけでもない…。……ごめんなさい…」
「……今日、何の日かわかってないよな…?」
「………?」
尋問していくにつれて照の声が身体とともに震えていて最後に質問した答えが返ってこない事にイラついたけど、それよりも涙がボロボロ出て必死にこらえてる。大軌はそんな姿を見て必死で考える。が、どう考えても思いつかないしわからないらしい。
「……今日はお前と俺の記念すべき日だ…。付き合って初めての1年、その買い物をしに来たのにお前はそれさえも忘れて、俺とのことなんてどうだっていいように遊んでて…、俺がどんな思いでいたかなんてお前は知らないんだろうなぁ…?記念日も忘れるくらい遊んでたみたいだけど、楽しかったか?今日すぎれば1年だけど、お前が望むなら……別れようか?」
言葉はスラスラ言えてるが、身体は震え声も震え目からは涙がボロボロ出て、でも頑張って笑顔で話したけど、最後の言葉にブワッと込み上げてきて声に出さないようにするのがやっとのようだ。大軌は初めて照のそういうところを見た。そして同時に思い知らさせた。この人は凄く俺に一途で俺のことしか見ていなくて他の人とか考えていないくらい俺のことが好きな純粋な人なんだと。そんな人にここまで言わせてしまうなんて、俺は男だけど彼女だ。こんな彼氏そうそういない。そう思った大軌はグッと力を入れて膝の固定から逃れ照の頬に手を添えた。
「なぁ、照…。今更こんなこと言っても許してくれねぇと思うけど…、俺はあんたが好きだ。でも、あんたとこんなに長く続くなんて思わなかったんだ。
俺の恋愛は浮気しても許されてたんだ、怒られないし束縛もされない自由だった。けど、あんたは初めてだ。こんな風に俺のことを想ってくれて俺だけを見て、そして怒って束縛してくれた。
本当はさ、すごく嬉しかった。びっくりしたけど、嬉しさの方が上でさ…。正直どうしたらいいかわかんなかったけど、あんたを見て確信した…。俺はあんたから離れられねぇ…。今俺の心も体も全部、あんたの……照のことしか考えれねぇ。
……だから、浮気してた奴が今更何言ってんだってなるかもだけど、照にまた俺は惚れました。俺ともう一度、付き合ってくれませんか?もう、あんたを悲しませることしませんから」
大軌は自分の精一杯の告白を照にした。照は何も言わずに固まってる。照の返事を待って約3分。包丁をポイッと投げ捨てて大軌にギューッと抱きしめた。そして。
「こちらこそよろしくな、大軌!」
「……!」
「次、浮気したら今度こそ許さないからな?」
「あんたを怒らせたら怖いってことがわかったから、肝に銘じとく」
「わかったならよろしい♪」
こうして2人は再度絆を深め1年という、記念日を終えたのでした。おしまい。
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!いい話じゃないかっ!!!感動したぁぁぁぁぁ!!!涙ちょちょぎる話を持ってきやがってぇぇぇ!!!俺の涙腺爆発寸前なんですけどぉぉぉぉぉぉぉ!!!もぉぉぉう!!!2人とも末永く幸せにぃぃぃぃぃ!!!!
会場を見ると目からボロボロと涙を流してる人が多発していて、この2人の幸せを願う奴もいた。演技だったとしても思わせない程に。ただ1人を抜かして。
隣から何故かレオの殺気が…。さっきまで普通だったのに…、なんかあんのかね〜?俺にはわからんちー…
気を取り直して2人に質問する。
「やってどうだった?照w」
「意外と楽しかったぜw初めての演技だったけど、感情を出すのムズいな?アレ…。しかもアドリブだろ?あれが限界だよ…」
「とか言いながらノリノリだったじゃんw」
「まあな…!」
ん?目線が若干レオよりに行ってね?なんか、してやったりみたいな顔してるような…。んー、堂々巡りになるし今は後ででいいや、風紀委員長の件もあるし!
「大ちゃんはどうだった?」
「それなりに楽しめた。暇つぶし程度にはな、演技だし。まあ、恋愛は女の方が良いけどな」
「ここ、女いないし居たとしても教師だしw」
「それな。まあ、偏見はないから。恋愛でそういう男も女も関係なく告られたとしても、コイツみたいな性格の人間がいいな。冒頭部分を抜かして、だけどよ」
「叶うといいな?人生そんな甘くねぇよ?」
「お前に言われたくねぇよ」
感想が終わって大ちゃんは自分から檻の中に入っていった。黒服の人達が出るまでもなく。照も用がなくなったのでそのまま降り、自分の列に戻った。
さて、お待ちかね!風紀委員長の番!誰と組ませようかな〜♪
「ほ、本当にやるんだな…」
「決まってるでしょーよ?」
「……うぅ…」
「これは俺へのご褒美。『なんでも願いが叶う』って聞いてるから、答えてもらわないと。でしょ?」
「言ったが…、俺だってまさかそんな願いが来るとは思わないだろ…。というか、よく恥ずかしげもなくそんなこと言えたな…?」
「そっすか?俺、結構オープンなんでそんなの関係ないッスねーw」
逃げれない風紀委員長はマイクを下に下ろしてそれ以上は何も言わなくなった。俺は誰にやらせようか会場を見回したが、やった人がほとんどで悩んでいる。すると。
「決まらないならあんたがやればいいだろー!」
誰かが叫んで俺を推薦してきた。次々にそうだそうだーと連呼された。俺はうーんと思いながら悩む。
「けど、一応見本で俺やったしな…」
「見本は見本だろー?」
「見本と本番は違うぞー!」
「てかー、本番の方も見たーい!」
という感じで俺にアンコールをしてきたので、仕方なく俺がすることになった。まさか自分が選ばれるとは思わなかったので、何も考えてない。俺は良いことを思いついてみんなに質問した。
「そんなに俺にやってもらいたいならお前らが俺に何かリクエストくれよ?そしたらしてやる。こういうのが見たい、あーゆうのが見たいっていうリクエストな?ちなみに風紀委員長は『ネコ』、俺は『タチ』ってのを忘れるなよ?さ、何がいいか大声で言え!」
ニヤリとした顔は眼光と共に輝き周りの奴らを感化させる。風紀委員長は本当に逃げられないという状態で戸惑いを隠せていない。俺は黒服の人達にある物を持ってくるように指示して、会場の方を見る。
何が来るのか楽しみだなー♪
そう思ってしばらくすると。
「『風紀委員室での禁断告白』が見たい!」
「『空き部屋での密着しながら告白シーン』!」
「『サボり場での告白シーン』が見たい!」
という感じの色々な案が出た。その中に自分の中でグッと来たものがあったのでそれに決めた。それは。
「じゃあそうだな、誰が言ったか知らないけど結構マニアックで気に入ったやつをやろうかな〜♪……てなわけで、『SM倶楽部で言葉攻めされて思わず相手が告白しちゃうシーン』!」
「はぁ!?」
「まあ、風紀委員長を見る限りそんなことされたことも聞いたこともないでしょうから、『少し気になった看板を見つけて好奇心で入って見たらそこは、SM倶楽部で慌てて出ようとしたら誰かに部屋の中に入れられて〜』みたいな設定でやりましょう。本当はみんなの想像を膨らませるために言わないで、即興でやってもらってるんですが、なにしろマニアックですからね?これくらいしないと、あんたの頭の中に入って来れないでしょ?なので、今回だけ特別に設定を言いました。これで少し想像と妄想が半減してしまいましたので、あとは演技で頑張ってもらいますよ?」
「えっ、ちょっ、待っ」
「拒否権は、ない。ですよ☆」
「うぅ…!」
そんなわけで黒服の人達は容赦なく風紀委員長を舞台に立たせた。風紀委員長は少し涙目になりながら、俺が来るのを待っている。
「それでは、SM世界にご案内しましょう♪」
ちなみに、俺の気持ちはやっぱりぶち壊すので無しだよwだから語りでだけで頑張って!と、いうわけで…スタートで〜す!
遊楽街にあるビルの前。ある男は立ち往生をしていた。とても気になるホテルを見つけたからだ。けど、見つけたからと言って入るかは別なのだ。通り過ぎようにも気になっては振り向き戻って、やめようと思ってまた通り過ぎようにも気になっての繰り返し。傍から見れば変な人だったり怪しかったりって感じだった。
「入ってみようか…」
やっぱり好奇心には勝てないのか男は不思議で意味深なホテルビルの中に入っていくのだった。そのビルがSM倶楽部のビルとは知らずに。
「えっと…、何階行けばいいんだ??」
男は入ってすぐにある看板を見た。看板には3階から受付と書いてあった。エレベーターで直行ということで、それに乗って向かう。ピーンという音と一緒に扉が開き目の前にまた扉があった。その扉のドアノブを掴んで中を覗くと見たことのない光景が広がっていた。
「うわぁ…」
男はとりあえず中に入ってキョロキョロしていた。すると、部屋の中から男の声聞こえた。気づかれないように聞き耳立ててると。
『いた…っい…』
『痛いじゃないだろ?気持ちい、だろっ!』
『ひあっ!!…あっあぁ…、は、いぃ……気持ちぃ…でしゅ…んぁっ』
とんでもない場所に来てしまったと思った。すぐにその場から離れて慌ててドアノブを掴もうとした。が、それは実らなかった。気がついた時にはどこかの部屋の中。辺りを見回していると後から声が聞こえた。
「お兄さん、こんな所へ何しに?」
「……お前は…?」
「質問を質問で返さないでくれよ…」
「あ、悪い…」
このビルにある店が気になって好奇心で入ってしまったこと、危ない場所みたいだったから出ていこうとしたという話を彼に話した。そして彼をよく見ると、AVに出てくるような女王様の服装をしてる。男なのにこういうの着るんだなとマジマジ見てしまった。
「気になるかい?」
「え?」
「ここがどういう場所かってこと」
「…………」
好奇心で入ってしまったとはいえやっぱり仕組みを知りたいと思った。だから、戸惑いながらも頷いた。
「ここはね?俺の服装を見るてもわかると思うけど、SM倶楽部なんだよ。ホストやキャバクラ、ゲイバーとか遊楽街にはあっただろ?その中でもマニアックな人が集まる場所、それがここ。あんたは見るからに初心者でこの世界を知らなさそうだから、とりあえず体験コースってことで今日はお金を払わなくていい」
「払う場所だったのか!?」
「そりゃそうでしょうよ。どの店に行ったって金は払う、常識だろ?」
「ココはそういうの無いと思った…」
「……あんた、もしかして金がないの?」
怪訝な顔の彼は男を見つめる。男は慌てて否定した。
「ち、違う!ちゃんと仕事してる身だしお金もちゃんとある!ただ…ここの金額によっては飛ぶかもしれないと思って…」
男はもし金を払えと言われたら、今の残金では払えないと思って困っている。やはり好奇心で入るものじゃないと思ったからだ。彼はそんな彼を見てクスッと笑った。その笑う声が聞こえたので、バッと顔を上げた。
「あぁ、悪い悪い。ほらここ、一応マニアックな店の名前だろ?だから、よくあんたみたいな客が来るんだよ。そんで、そういう人には体験コースってのをオススメしてんの。んで、その体験コースをした後まだここに来たいというなら金額を教えるっていうルールなんだよ。だって、そうでもしないと強引に入れたと思われるだろ?それじゃあここの客商売は成り立たない、だからそういうコースを作ればまた来たいと思った時に金額もわかって来れるだろ?そういう仕組みなんだよ。他の店とは違うだろ?」
「…………」
もっとやばい店なのかと思った。けど、マニアックでもちゃんとした初心者向けの優しいのもあったみたいで男はホッとした。彼がそんな男を見てニヤリと笑ってることも知らずに。それから、お互いの名前を呼ぶために名前を決めることになった。
「え?本名はダメなのか?」
「別にいいんだけど…、ほら!世の中って個人情報があるだろ?それを保護するためにここではあだ名で呼ぶこともルールになってんの。ちなみに俺はミツキで呼ばれてる。あんたは?」
「俺は…」
少し考えたがいいのが浮かばず、本名がダメでも名前をあだ名やニックネームにしてるやつはたくさんいる。そう思うとこの名前にした。
「ロウ…」
「ロウ、か。いい名前だな?カッコよさそう!てか、男っぽくていいな?俺なんて男なのに女っぽいしw」
「……クスッ」
「おっ、やっと笑った。笑った顔は可愛いな?」
「……!!」
一瞬でも顔に出ていたと思うとロウは口元を隠しそして顔を真っ赤にする。ミツキはそれを見て距離を縮めてロウの腕を引っ張る。そして自分の胸元に収める。びっくりしたけどもがく暇がなかったのでキョトンとした顔をしてる。そんな顔で見るもんだから、笑いそうになったのを必死で堪えてるミツキ。
「と、とりあえず体験コースだから軽めにしようか」
「あぁ…」
気を取り直してやり始めるが何もしてこない。ロウが何か言おうとした瞬間、両手首をタオルのような物で縛られた。何事かと思ってミツキをキッと睨む。
「いや、これも体験コースの初心者向けのやり方だよ。上級者は多分、他の部屋でもっと凄いことされてるよ。見てくるかい?」
ニコッと笑って言った。しかしロウは、既に見た訳では無いが聞いてしまってるので頭を全力で振る。アレはおぞましいと思ったからだ。
「なら、これは大丈夫だろ?あ、そうだ。あともう1つ♪」
「……?」
「前向いて〜」
言われた通りに前向く。すると視界が急に真っ暗になり振っても振っても取れない。腕も使えないので本当に身動き取れない。これが本当に初心者体験コースなのか疑われる。
「さて、体験コースだから大体ひとつしか出来ないんだよね。もう少し増やしてもいい気がするけど、ここのルールだから仕方ない。とりあえず準備は出来たから始めようか」
目が見えない手が使えないという状況で始まるのかと思いつつ戸惑いながら頷く。よく考えたら目が使えないということは五感の中で一番働く部位は耳だ。次に働く部位は皮膚。ここはSM倶楽部、そうなるとやることは決まってしまう。
「考え事?」
耳元で囁かれた。身体がビクンッと跳ね上がる。見えていないが後ろから抱きしめられてるということはわかっている。だから逃げることも出来ない。完全に八方塞がり。
「良くないな〜、今はこっちに集中しないと。ロウさんの行動次第では体験コースから外れることもあるんだよ?ここは自分の身と金銭を考えて、ね?」
「わ、悪かっ」
「あー、ここでは……『ごめんなさい』って言うんだよ?」
「!!……ご、ごめんなさい…」
ずっと耳元で囁かれてるので身体がビクンッビクンッと跳ねる。『ごめんなさい』を指摘された時の声は普段の低音よりさらに重たかった。囁きと目隠しというオプションが付いてるからかもしれない。
「そういえば好奇心でここに来たんだよね?」
「っあ、あぁ…」
「どんな気持ちで入ったの?周りの目もあっただろうに…」
「っ!……き、気になった…から……」
「気になるだけで入る人初めて見たよ〜、体験コースをやる人でもだいたいはMな人がここに来るからね?そういうわけじゃないのに入ってくる人は本当にごく希なんだよ?」
「っん…!……そう、なのか…。そ、それは…さぞかっ…し、珍し、いっと……っ、思ったよな…っ」
囁きと吐息が入り交じって話す度に声に出る。他の事を考えさせないようにするやり方の一つなのかもしれない。が、これは結構クるものがある。だんだん体が熱くなってきたからだ。
「それにしてもロウさん、声出てるけど大丈夫かい?もしかしなくても……興奮してる?」
「ひあっ!!……ハッ……し、してないっ!」
徐々にそう感じていたのでまさか指摘されるとは思わず大きな声が部屋の中を響かせる。そしてすぐに気づいて否定した。しかし、それはこの体験コースをヒートアップさせる引き金だとは、テンパってる今のロウは知らない。ミツキは否定した言葉に対して静かに骨格をあげそのまま話を続ける。
「してない?してないだね?ロウさん」
「し、してない…」
「本当に?」
「……ほ、ほんと…に…」
「……そっ」
「……?」
そこから何もしなくなった。ロウはどうしたらいいかわからなくてこっちをチラチラ見てきた。ミツキは離れた位置から話しかけた。
「どうかした〜?」
「何も…しないのか…?」
「何かしてほしいの?」
「い、いや…えっと…」
これも体験コースの一環なんだろうかと思う半分、少しだけ寂しくも感じてる。しかしそのことを言う勇気がなくただひたすら待つロウ。そんな姿を見ながら平然と聞く。
「何もしてくれなくて寂しい?」
「…っ!!」
半分半分に思っていた後者の方を当てられて思わず肩が跳ねる。
「ロウさんって見た目に反して意外と素直だねw」
クスッと笑って優しく頭を撫でた。言い方は気に食わないけど、それでも褒めてくれたと捉えて少し顔を赤くする。見せないように顔はそらした。
「ロウさんが今して欲しいこと、こっち向いてくれたらしてあげるよ?」
「っ!」
それは素直になればしてくれるという意味だろう。普段から素直かといえばそういうわけじゃないけど、今は寂しくて仕方なくすぐミツキの方を向く。
「やっぱり素直だね、ロウさん」
「んっ…!」
急に抱きしめられたと思ったらまた耳元で囁かれてしまった。思わず甘い声を出してしまったロウは、恥ずかしくてミツキの肩に顔を埋める。
「恥ずかしい姿も、今は俺しか見てないからさ?もっとロウさんの乱れた姿が見たいな?」
「そ、それって…っ」
「今回は体験コースだから激しいのとか辛いことはできないけど、それでも快楽の行き方はいくらでもあるからね。だから、こうやって……」
「ひゃあっ!」
首筋を舌で舐めた。五感で敏感な聴覚の次にクるもの、それが触覚。舐めただけでこんな声が出るからついいじめたくなる。服も着てるから出来ることが限られるのもその1つ。ずっと首を舐めてるのもいいかもしれないけど、耳も舐めようかと思い耳を舐める。
「アッ!ダメッ…!そ、こは…っ!」
「耳弱いの?…フゥー」
「アッアッ、よ、わい…からっ…!」
「ふーん?首と耳なら?」
「ひうっ!……み、み……っんあ!」
「されるならどっちを攻められたい?」
「ひあっ!……み、…みぃ…っんん!」
「わかった。じゃあご希望通り、耳攻めてやる」
「ひゃああっ!!」
軽く質問という名の言葉攻めと吐息混じりに言うもんだからちょくちょく声を出して抑えようと理性を保とうとするが最後の重低音で理性が飛んだロウ。
「イイ声で鳴くね?可愛いよ?ロウさん」
「アッ、ああっ、んんあっ!!」
「質問には答えろよ、ロウさん?」
「アッ、ごめんなさ、ひゃうっ!」
声が抑えられず理性も飛んでいるので答える暇がない。しかし重低音で囁かれると謝罪しても声が出る。それの繰り返し。その状態を楽しんでるミツキはさらにヒートアップする。
「こんな風に囁かれて舐められてるからなんだと思うけどさ?ロウさんのココ、大きくなってるよ?」
「っ!!?」
それはロウの下半身を指す言い方。恥ずかしくてさらに顔を赤くするロウ。知ってて言うミツキ。
「感じまくってるせいで気持ちよくなっちゃったんだね?ほら、ツンツンって突っつくと〜」
言うのと全く同じタイミングで突っつく。
「アッ!!ま、まっ…てぇ!!やっ、ひんっ!!」
突っつかれたせいでイきそうになってるロウ。しかしミツキはその1回のお触り以外は耳しか攻めない。さっきのでもっと欲しくなったロウはいつもはしないオネダリをする。こんなところ、知り合いにでも知られたらと思うと恥ずかしくて顔向けできないが今はそんなこと思ってる暇がない。
「……み、ミツ…キ…さ、んっ…」
「ん?何?」
耳を舐めていたミツキは呼びかけに応じて舐めるのをやめる。耳元で話すことはやめないようだ。
「んっ……、耳だけ、じゃ…、物足り、ない…からっ…、下…も…」
「んー、それを具体的かつ正確に言うと?」
これではダメのようだ。もっとわかりやすく言わないといけないらしい。ただでさえ恥ずかしいのにこの上またさらに恥ずかしい言葉を言わなきゃいけないなんて、穴があったら入りたいと思う。しかし、ロウはもう理性という理性をなくしているため声に色気が出て拍車かかっている。
「……み、耳だけ、っじゃ…なく、…んっ…俺の…チンチン、を…さわっ…て、い、イかせて…くだ、さっ…ぃ…っ」
結構具体的なことを言ったと思うのにまだ触ってくれない。何がいけなかったのか困っていると。
「肝心な部分が小さすぎて聞こえなかった。触ってほしいって思ってるくせに言葉にできないなら、このまま放置してあげようか?」
「……えっ…?」
「はぁ…、まだわからないのか?ここではちゃんと自分の意思を伝えない人には放置してるんだよ。その間何してるかっていえば他の客のところに行ってるんだ。客を放置して、ね?」
「……っ…」
ああ、俺はこの男を怒らせてしまったのだろうか。俺はこれでもお前がいうような素直な人間なんかじゃない。同僚や同年代の奴らからもお前は素直じゃないと言われてるのに。好奇心とはいえ入ったのは俺だ。周りの目だって確かにあった。怪しいという目、奇行な目、罵る奴もいたかもしれない。それはヒシヒシと伝わっていたさ。それでも俺はここにどうしても入りたかった。何故だか知らんが入れば自分の何かを取り除けるのでは、なんて思ってたかもしれない。しかし、今の目の前のミツキさんにも俺は今までの奴らと同じく素直になれなかったのかもしれない。だから、呆れてしまったのだ。しかしロウは、今思う気持ちが漏れないように口を噛んでいたのだが小さな声で漏らした。自分自身は気づいていないけど。
「…もっと、素直になれたら……良かったのに…」
……こんなことになるなら、ここに来なければよかったかもしれない。そうすればこんな気持ちなど抱かなかったかもしれない。もう、好奇心で店に入るのはやめよう。ミツキさんだって俺のような素直じゃないやつと話していたって面倒なだけだ。今もそう思ってるはずだし、何より俺とこうして話すのだってもうしたくないと思ってるかもしれない。面倒な相手と接してしまったとか思ってるかもしれない。ああ、俺ってなんでこんなにも生きてて人の役に立てないんだろう。という心の声がモノローグになるほどめんどくさい状態になっていると。
「なんで泣いてるの?」
は?という疑問をおぼえロウはここで初めて自分の状態に気づいた。モノローグを一人淡々としていたため、自分の状況まで把握はできなかった。確かに頬をくすぐるような何かがロウの目から流れている。それが涙なのだと自覚する。ロウはそれを隠すように下を向き顔を隠してしまった。今度は飽きてしまうと思われそうな態度を見せてしまう。ミツキはロウの行動に何かを感じたのかこっちを見ないロウのネクタイを掴み勢いよく引っ張る。いきなりの動作にびっくりして困った顔で見上げる。目隠ししてるので顔の表情は伺えないが。
「……あ、の……」
「ロウさん。あんたがどんな人生を歩んでどんな苦労をしてきたかは、俺にはわからない。ここにいる奴らはそんな私情は聞くこともないし、ただ快楽のためや嫌なことを忘れたいと思う人間がだいたいここに通っている。もちろん、俺達側にもそういう人間はいる。けど、少なくともあんたは俺から見てだけどそういう人間じゃない。ここに来る人間でもないと言っていい。けど、好奇心でもここに来て何かを思ったのなら少なくとも心の奥底では、ロウさんにとっても何かを抱えてて取り除きたいがためにここに来た。それならロウさんの奇行は間違ってないと思うよ。普通はこんなマニアックな場所とか来るよりもバーとかアイドルとかキャバやらに行ってストレス発散がだいたいだもん。ここの路地ならそういう店いっぱいあったと思うよ?でもロウさんは、ここを選んだ。理由は知らないよ?それはロウさんにしかわからない事だからね。それにこれは偏見かもしれない。俺のね?」
「……?」
ミツキはロウに付けていた目隠しを外した。電気でチカチカしてマトモに目が開けられない。しかし、それを覆い隠すようにミツキはロウを抱きしめていた。そしてミツキの話は続く。
「さっきも言ったように、俺はあんたの人生を知らない。だから、偏見だったらごめんね?何を知ったかぶりをーって思うかもしれない。それでも聞いてね?」
ロウは頷いた。何を話されるのだろうと思っているから。自身のことを話すのであればやはり嫌味のようなことだろうかとロウは過ぎる。しかし、今まで聞いてきたどんな人より言葉よりもなにか温かいものを感じる。その気持ちにはまだ気づけないでいるロウのことなど知らず、話をし始めるミツキ。
「まだ短い時間で短い付き合いだけどね?ロウさんはいろんな人にいろんな目でいろんな言葉でいろんな苦労をしてきたって感じるよ。営業スマイルとか自分がやってないことまでヘコヘコ頭下げて、ありもしない噂やらなんやら受けてきたかもしれない。それでも真っ当な生き方でそこにいる。ほら、俺なんてここで働くくらいだよ?マトモじゃないじゃん?でも、あんたは俺やここで働く従業員達よりも真っ当な人生だ。俺はロウさんのそういう人間らしいところ、嫌いじゃないよ?それに素直じゃないっていうけどさ?俺には素直に見えたよ?少なくとも俺のとこに来るお客さんはあんたみたいにちゃんと理性あって、ちゃんとためらいを持ってて、ちゃんと純粋な気持ちを持った人はいない。たとえ好奇心でもね?好きでここに来たわけじゃないのはあんたがここに入って俺の前にたったその時にわかった。だって今までの奴らって俺の格好を見るなり言いよって抱かせろだの抱かれたいだのって、体験無しでヤろうとすんだもん。まあ、ひれ伏したけどね」
良い感じのムードに一瞬でボケが入ってきた。ロウは何を聞かされてるのだろうと混乱する。コホンと咳払いするミツキ。
「そんなことは置いといて。とにかく、俺が言いたいのはロウさんは他の人より何倍、何十倍、何百倍の努力をしてる人だって俺は思う。優しくなりたいでも素直になりたいでもなんでもね?自分のできないこと難しいと思うことを克服しようとしてる。たとえどんだけ時間がかかろうともね。ロウさんはなんだか頑張り屋さんみたいだから、俺からのアドバイスね?……そんなに頑張らなくていいんだよ。時には自分休ませてあげて?もちろん、やる事はしっかりやらないといけないと思う。それはそれ。でもね、身体までボロボロにしちゃったら頑張ることも出来なくなっちゃう。ちゃんと無理なことは無理って言わないといけないよ?成果だけが人生じゃない。ロウさんの人生はロウさんが決めること。それは間違っても否定しちゃあいけない。だけど、もしロウさんがそれが出来なくてつらいと思うなら俺が背中を押してあげる。だから、そんなに思い詰めなくていいんだよ。他の誰もがあんたの苦労や努力を見なくても俺が、見ててやるからさ。な?」
涙がボロボロと流れる。今まで親にも言われたことがない言葉だった。自分の生きてきた人生で一番言われたい言葉だったんじゃないかってくらい心に響いた。何も知らない男が見ず知らずの奴にこんなことを言う。俺の何を知る、俺を見たわけじゃないのに偉そうに、俺のこと何も知らないくせにという言葉が話を聞きながら思っていた。しかし、そんな言葉はミツキのアドバイスによってかき消された。見透かされてた。俺の気持ちも俺の思いも全部この男に見透かされてたのだと悟る。ああ、この男なら俺を受け入れてくれる気がする、俺のこの暗い空間に明かりをともしてくれる、そう思った時には既に言葉にしていた。顔を上げてミツキの顔を見て。
「好きです」
沈黙が走った。なぜ沈黙をするんだと思い自分の言葉を思い出した。ハッと気づき自分の言葉に対して顔を真っ赤にして思わず俯いた。
「………」
ミツキも今言われた言葉に固まっている。今告白された?俺は何か変なこと言ったか?という自問自答を繰り返していたのだ。しかし、改めてロウを見る。自分の言葉に自覚をしたロウの顔は見えないけど、それでも耳が真っ赤だった。ミツキはそんなロウの耳を触る。
「ひゃっ!?」
突然耳を触られて身体がビクンと震えた。そして顔を真っ赤にしたロウが顔を上げてキッと睨む。そんなロウを見てフッと笑った。
「今のもう一度言ってよ。俺耳が遠くて聞こえなかったからさ?」
「き、聞こえていただろっ!もう、言わな」
「教えて?ロウさん」
「ひゃんっ!!み、耳元で、しゃ、喋るな…っ」
「言ったら解放してあげる」
「ひゃうっ!!…わ、わかった!わかったからぁ!」
「何?」
きっとロウは既にわかっていたかもしれない。俺はもうこの人なしでは生きられない。この人なら俺を受け入れてくれる気がする。俺の心はもうミツキさんの虜になってしまったのだと。それからロウはミツキの顔をもう一度見て告白する。
「俺はあなたが好きです。あなたの隣にいたいです。あなたの傍にいたいです。俺はあなた無しでは生きてはいけません。ミツキさんと、結婚を前提に付き合ってください」
それはとてもまっすくな目でまっすぐな想いでまっすぐな気持ち。そんな恥ずかしい言葉を言えてしまうくらいミツキの言葉は影響力があるようだ。ミツキはその言葉を聞いて、優しく笑う。その笑顔にロウはまた顔を真っ赤にして目をそらしそうになるが、それはしないと心に決めていたのでしなかった。試した訳では無いけど合格と頭を撫でおでこと手の甲にキスをして。
「喜んで」
とミツキは笑う。ボンッという音ともに全身を真っ赤に染め上げるロウ。いつの間にかロープで縛られていた両手首は自由で、ロウはミツキにギュッと抱きついた。嬉しそうな顔で2人は幸せに愛を育むのでした。おしまい。
そして会場は静まり、誰かは知らないけど1人の拍手によってみんなが盛大に拍手をし始めた。何人かはバタンキューしてる奴や泣いてる奴、各々思う気持ちをいっぱいに歓声が鳴り響く。舞台から降りた俺達はお辞儀をしてレオのいる所に行く。
「どうだった?やった感想は、密」
「いやー、まさか俺が選ばれるとは思ってなかったけど超楽しかったよ。こういうのも悪くないって思ったねw」
「じゃ、風紀委員長。あんたは?」
「最初はこんな屈辱をと思っていたが、案外楽しいものだな。お、俺としては二度としたくはないがな。けど、ほんの少しだけ何かわからんが救われた気がする。何かはわからんがな。感想は以上だ。それから、腐獅密」
「はい?」
「後で風紀委員室に来い。バイトの件はそこで聞く。わかったな?」
「はーい☆」
そしてワイワイと親睦会という名の新入生歓迎会の目玉を飾る立食パーティーが開催された。そんなこと聞いてない牢屋の奴らはシュンとした顔でそれを見つめている。俺はその視線に気づきながらも何もしない。が、照が思い詰めた顔で話しかけてきた。
「なあ…」
「うん?」
「やっぱりあそこにいる奴らに飯食わずのダメなのかな…」
最初に集まった話を思い返すと確かにそんなことを言われた記憶が蘇る。けど、誰も手を出そうとはしない。たとえ、そこに友達がいてもだ。
「照はしたいのか?」
と俺が聞くと。
「まあ、なんか可哀想でさ…」
「照って見た目と生まれ変わりを別にしても意外と優しいもんな?」
「意外は余計だっての!俺だって好きでこんな風に生まれてきたわけじゃねえよ!ただ、やっぱさ?どういう生まれ方してもさ?人間に生まれ変わったんだからそういう人を見ると助けたくなるじゃん?」
「……。いつも喧嘩早くてガン飛ばしてきた奴を喧嘩と捉えていつも喧嘩してる照くんが、人を助けたいなんて明日は槍か弓矢が降ってくるのかね〜ww」
「なっ…!?それはそう思っただけで…むごっ!」
「否定はしてないだろ?それに、俺もやっぱ気になるし。それにお前の生まれ変わりは蛇でも俺の生まれ変わりは、分かるだろ?俺だって心を鬼にしてアイツらに何も食わせないのはやっぱ、性にあわないからな。何があっても俺が守ってやるから、やろうぜ?照♪」
「……!!お前が味方だと心強いよな、いつも…」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもねぇよ!」
俺と照は自分の皿に持っていけないほどの肉や野菜を乗せて牢屋いる奴らの所へ行く。しかし黒い人達がそれを邪魔する。俺は目で黒い人達の目を見て睨む。すると逆らえないという顔で引き下がった。
「お、お前ら…」
「シッ、静かにな?気づかれたらまずい。って言ってももう気づかれてるかもだけど。まあいいや、とりあえずこれお前らの分な。腹減ってるだろ?俺が許すから食え」
「……!!」
それから腹を空かせた奴らがバクバク食い始める。その中で1人だけ食わない奴がいた。俺はそいつに近づき質問する。
「なんでお前は食わない?」
「腹が減ってねぇからだ」
ぐきゅるるるるるる!!
「…………」
「………………」
「………………………」
3人に沈黙が走った。そして照が。
「お腹すいてるんだろ?」
と聞く。
「空いてない」
と拒否する。しかし、お腹の音は鳴り止まない。俯いて顔を隠す。
「大山大軌」
「!」
名前を呼ばれただけで肩がピクッと震える。
「お前の名前は覚えた。だから食え。腹が減ってんなら遠慮せずに食え」
「俺は別に」
「大ちゃん」
「……!」
「こいつさ?言葉足らずだからさ?こんな風にしか言えないけどさ?」
「言葉足らずっいうな!」
「静かに、照」
「ぐぬぬ…」
照を黙らせてからもう一度大ちゃんの目を見て言った。
「照はな?お前と友達になりたいのよ。けど、こういう見た目だろ?まともな友達は俺と生徒会長になったレオだけなんだよ。だから、大ちゃんとも友達になりたいわけ。見返りとかは求めないからさ?良かったら友達になってやってよ?あ、ちなみに俺は友達の友達は俺の友達だからさ!照やレオに友達ができたらそれは俺の友達☆だから、考えといてやって?なるかならないかは大ちゃんに任せるからさ?な?」
「………考えとく」
「おぉ!んじゃ、この好意は無駄にすんなよ?またな」
そして俺達は牢屋から去った。牢屋の中にいる大ちゃんが俺たちの去り際に「変なヤツら…」と言いながら口元を緩ませていたなんて俺達は知らない。俺達が持ち場に帰ってきた時には既に鬼の形相を浮かべたレオが立っていた。俺は営業スマイル、照は顔を逸らしてる。
「お前ら何してた」
「あはは☆」
「……っ」
「何してたのかって聞いてるんだ」
「えー?何してたっけ?照ー?」
「さ、さぁな…」
「っ、お前ら俺が見てないとでも思ってるんのか?」
「見てたのか?」
「見てた」
「なら、聞かなくてもわかるだろー?」
「お前らがちゃんと自白すれば済んだ」
「いやいや、もうわかってることをわざわざ聞くのも面倒でしょ?てか、何?俺たちの行動間違ってるとでも言うのかよ?」
「………」
「まあ、そうだよな?俺らは獣だけど、お前は鬼。鬼も獣だけど元は妖怪。そして鬼は人間の食い物を強奪し我が物顔で強奪しまくる。それが昔のお前の先祖だもんな?許せないよな?自分の物が他のところに渡る様を見るのはさ?レオ」
照は途中から俺とレオ見てあたふたしていた。
そりゃそうだ。一触即発って感じでまさに喧嘩が始まりそうだからな〜。アイツは人間に恐れられた鬼の生まれ変わり、俺は動物の頂点に君臨するある意味では恐れられた獅子の生まれ変わり、こう見ると俺とレオは似たもの同士。けど、譲れないものだってあるわけよ、レオ
「ーーっ、貴様っ」
おっ、来るか?
そう思った瞬間、照が前に出た。
「密は悪くない。密は俺の言葉に乗ってくれたんだ。俺があそこの奴らも同じ人間に生まれてきた同士。生まれ変わりなんて関係ない。ずっと喧嘩してきてる俺が言うのもなんだけど、それでも昔の人間みたいに差別みたいなことはやっぱり俺は許せなかった。密だって俺を止めた。それでも俺に賛同したからこうなった。だから、密は悪くない」
淡々とした声も少し震えている。ちゃんと見ると小刻みに震えていた。照は蛇、レオは鬼。天と地の差がある。どちらも最強の力を持っているが、それでもレオには負ける。でも俺のために動く照はその時だけかっこよかった。照がこっち見てなにか小声で言った。
「いつもお前に助けてもらってばかりだから、今度は俺が助けてやるよ…、密」
「……!」
俺はびっくりした。まさか照にそんなことを言われるとはと。俺が固まっているとレオと照は既に体育館から姿を消していた。まもなくして生徒会長不在で新入生歓迎会という第一回目のイベントは終了した。
25301文字も書いてたΣ(°д°ノ)ノ
こんなに書いてたなんて正直、驚きすぎて言葉もでないですぜ…