戦闘が終わり、スピリッツと戦術機部隊が互いの無事を確認していた時だった
『マザー1より全機に通達します。こちらに接近する部隊確認』
と通信が来た
接近する部隊が居ることは、全機のレーダーにも反応があったので気づいていた
全機が見た先には、赤い機体
赤い瑞鶴が先頭になって、接近してきていた
その動きから、精鋭部隊と分かる
その近衛部隊は、こちらから一定の距離を取って着地すると
『そちらの所属不明部隊並びに、帝国陸軍機! どうやらお前達が数万のBETA群を殲滅したようだが、所属を言え!』
と言って、長刀を突き付けてきた
すると、一機の陽炎のパイロットが
『今さら来ておいて、何を偉そうに! こちらは、臨時編成中隊の近藤昌也中尉だ! 元は、帝国陸軍第318戦術機甲大隊第3中隊第2小隊だ!』
と言って、無反動砲を向けた
それだけで、近衛軍と陸軍の仲が悪いことが伺える
すると、赤い瑞鶴のパイロットの声を聞いた祐輔が
『紅蓮大佐! 紅蓮大佐ですね!?』
と言って、コクピットハッチを開けた
そして、外に出て片膝を突くと
『自分です! 帝国近衛軍嵐山基地所属第一戦術機甲大隊第二中隊隊長の榊原祐輔大尉です!!』
と所属と官姓名を名乗った
すると、赤い瑞鶴のパイロット
帝国近衛軍第二戦術機甲大隊隊長、紅蓮大三郎大佐が
『貴様……榊原の小倅か!? IFFが無くなったから、戦死したと思っていたぞ!』
と嬉しそうに言ってきた
それを聞いた祐輔は
『はっ! 自分の副官たる常村中尉も居ます!』
と言った
すると、祐輔機の隣まで出た結華も、コクピットを開けて、同じように片膝を突いた
それを見た紅蓮は
『常村の小娘もか……まあ貴様らの戦死を伝えずに済むのは有り難いが……』
と唸りながら、長刀を下ろした
ふと気付けば、唯依達も同じように片膝を突いていた
するとそこに、一機の戦術機が来た
その機体は青に塗装されていて、まるで鎧武者を彷彿させるデザインだった
それを見た唯依が
『まさか、試製98式……?』
と呟いた
『紅蓮大佐、彼等の話聞いてみよう』
その声を聞いて、唯依達は驚愕の表情を浮かべ
『まさか……』
『斑鳩、少佐……?』
とその人物の名前を呟いた
その名前は、祐輔から聞いていた
帝国五摂家が一つ、斑鳩家現当主
『斑鳩少佐……しかしな』
『彼等の活躍ならば、近くの基地が観測していた……数万の前衛BETAを僅か一個中隊規模で突破し、数百体は居た光線種を瞬く間に撃滅。その後反転し、残存機と挟撃……策も見事だが、腕が無ければ為しえない……彼等と事を構えても、こちらの損耗が大きくなるだけだ』
紅蓮が抗議しようとしたら、斑鳩は冷静に、そう告げた
気付けば、斑鳩機は武装を背中のパイロンに保持させたままである
まだ全BETA殲滅が確定した訳ではないのに、そうやってきた
ということは、こちらに敵対の意思は無いと示すためである
それを感じたマークは、コクピットハッチを開けると外に出て
『こちらは、傭兵部隊スピリッツ実働部隊隊長のマーク・ギルダーだ! そちらの代表と話がしたい! こちらも、敵対する意思は無い!』
とオープンチャンネルで告げた
それを聞いた斑鳩は
『承知した。こちらで席を用意させてもらう。暫くの間、こちらが指定した場所に母艦を停泊させて、待機していてほしい』
と言った
それから少しして、上陸したBETA群の全滅が確認されたという報せがあった
それを聞いた帝国各軍は、付近の基地に帰投
スピリッツは母艦に着艦した後、指定された場所に向かった
そこは、横浜の潜水艦隊用の秘匿ドックだった
本来だったら何隻もの潜水艦が停泊出来るのだろうが、今はアークエンジェルとエウクレイデスの二隻で手一杯となっていた
すると、外部の集音マイクが
『なんて大きさだ……このドックだって、狭くはないんだぞ……』
『それもだが、これ程の艦が空を飛んでたらしいぞ……それに、光の弾を撃ってたそうだ』
と警備兵達の声を拾った
それを聞いたゼノンは
「まあ、不思議だろうな」
と呟いていた
艦橋には最低限のクルーが残り、殆どの人員は休憩に入った
特にパイロットや整備士達は、宛がわれた部屋で休むことになった
その中で直哉は、自室として宛がわれた士官室で報告書を纏めていた
そして、一段落したのか背伸びして
「BETA……強靭な歯や装甲に覆われていて、戦術機という機動兵器の装甲を意図も容易く破砕、または食いちぎる……正体や目的は不明……ただし、もの凄い数で侵攻してくるので、部隊連携が必須……今後、訓練の強化が必要と判断する……」
と呟いた
すると、目元を揉みながら
「入っていいぞ」
と促した
すると、ドアが開き
「直哉……」
とシャルロットが入ってきた
ブルーライトカット用眼鏡を外して直哉は、椅子ごと振り向き
「どうした」
と問い掛けて、気づいた
シャルロットの顔色が、悪いことに
そして、思い出した
(そうだった……シャルロットは、京都駅でアレを見ていたな)
京都駅で、シャルロットや直哉が見た光景
それは、京都駅に居た帝国軍の軍人達が奇襲してきたBETAに対して、小銃等で迎撃していたのだが、戦車級が一人の兵士を掴み、食い殺していたのだ
シャルロットはそれを、京都駅の割れた窓から見てしまった
勿論だが、京都駅に居たBETAは直哉達が殲滅
辛うじて生きていた兵士達は、保護
無事なのは先に引き渡したが、重傷な兵士達は治療中である
その兵士達は終始、魘されていた
畜生、バケモノめ……と
「直哉……ボク……ボク……」
シャルロットはそう言いながら、ヨタヨタと直哉に歩み寄った
そのシャルロットを、直哉は優しく抱き締めて
「怖かったな……」
とシャルロットの頭を撫でた
するとシャルロットは、直哉の肩に顔を埋めて泣き始めたのだった