真弥がスピリッツに加入した翌日、直哉は真弥のMS適性を調べたのだが
「……なんだ、この数値は……」
直哉は端末に表示されている数値に、驚いていた。
その数値は、驚いたことにコーディネイターの赤服レベルだった。
「反射神経、視認速度、武器の選択……どれも赤服レベル……しかも、アスランに近いレベルだ……」
「そんなにですか?」
今回、直哉の補佐にセツコが居る、直哉はアスランの数値を呼び出して
「比較してみろ」
「……これは……確かに近いですね……ほぼ同数です」
直哉が呼び出したアスランの数値と真弥の数値を見て、セツコも驚いた。真弥はMSに関しては素人なのは間違いないのだが、素人とは思えないのだ。
「これ程となると、選ぶ機体もかなりの物になるな……適性は、機動近接戦闘型か……」
「はい。ビームサーベルを使った戦闘には、目を見張る物があります……」
なんと真弥は、ビームサーベルで相手のビームを弾くというのを初見で成してみせた。しかも、二刀流もこなしてみせた。
こうなると、ビームサーベルを多数搭載した機体を偉いべきだろう。しかも、機動性が高い機体。
「……トルネードでは、確実に無理だな……辛うじて、フェニックスゼロか」
「そのようですね……トルネードでは、レスポンスが確実に追い付きません……」
直哉の言葉に頷きながら、セツコは端末でトルネードやフェニックスゼロのスペックを確認していた。
「……このデータを、AIに入力して最適な機体を割り出しだな」
「ええ……その後に改装の案を纏めて改装……佐渡島に間に合わないかと……」
実は、近いうちに佐渡島攻略作戦が発動される。
日本帝国が発令で、国連軍、帝国軍、アメリカ軍、大東亜連合軍合同で行われる一大反抗作戦になる。
大東亜連合軍は、最近日本帝国から技術供与され、新型機を開発。噂では、
そして、帝国軍も佐渡島攻略作戦で新型補給専用戦術機の間宮を投入する事を決めている。
今回の作戦は、色々と初めて尽くしの試みがあるが、日本帝国は国土の奪還。そして国連軍と大東亜連合軍は大陸の奪還の一歩と考えており、士気は高い。
「……問題は、アメリカ軍か……」
「はい……最新の情報では、アメリカ国内では情報統制をして世論の操作を試みてるようですが……そこは、簪さんと束さんがアメリカのネットに色々な情報を流しているので、失敗しています……ですが、反G弾派の勢力はかなり減少してしまったようで……」
カストール・ディゼル少将の暗殺以降、アメリカ軍内部で反G弾派の将校が次々と不審死を遂げており、反G弾派勢力は勢いは減少。
G弾派が勢いを盛り返しているが、世論は反G弾派に傾いている。
「……佐渡島攻略作戦で、要らん事をしなければいいがな……」
国連軍として投入されている艦艇の過半数は、アメリカ海軍から出向している艦船になる。そして、アメリカ海軍の艦艇と合わせて、今回の作戦に参加する艦艇の約半数がアメリカ軍の艦艇になる。
嫌な予感を覚えるには、十分過ぎた。
「ですが、入手した情報では国連軍の艦艇は第七簡艦隊のようです」
「クゼ提督の艦隊か……もしかしたら、というところかな」
ラウル・クゼ提督はアメリカ軍の中では親日の軍人の一人として有名で、真弥に日本に向かってスピリッツに合流するように教えた人物だ。
信じたいところではある。
「それで、グランド隊はどうなった?」
「はい。機体習熟の最終段階に入りました………後はマーク隊長の判断になりますが……佐渡島攻略作戦には確実に投入可能です」
祐輔率いるグランド隊は、専用機の用意が終わった為に、機体習熟訓練を開始しており、どうやら佐渡島攻略作戦には間に合うようだ。
「よし……グランドのは本人達の意向もあって、スピリッツからは最初の揚陸戦力になるんだったな……」
「はい。帝国海軍海兵隊の海神隊とほぼ同時に投入予定です」
祐輔率いるグランド隊は全員の意志もあり、佐渡島攻略作戦の比較的早い段階で投入する予定になっており、他の隊は作戦の状況により投入する事になっているが
「……多分だが、ハイヴ突入時かな……」
「その可能性が高いかと」
今までの人類側の作戦を解析してみた結果、ハイヴに突入してからが山場になる。
フェイズ4ハイヴの最高到達点は、約地下430mとなる。それ以後は、BETAの予想外の数により押し返されるのが、大体の作戦の失敗の要因となっている。
「……ならば、ハイヴ突入後は電撃戦かまたは…………確か、フェイズ4ハイヴは最深部が地下約1200mか……」
「はい……とはいえ、それも人類側の予想でしかありません……実際、横浜ハイヴはフェイズ3の分類でしたが、フェイズ4ハイヴ並みの深さだったようで……」
横浜ハイヴ攻略作戦が難航したのは、それも要因の一つではあった。人類側の観測からの予想では、フェイズ3ハイヴまではレーザー種は産み出されないと予想している。
これは、エネルギー消費の激しいレーザー種よりも、通常種の量産を優先しているから、と予想されている。
実際、横浜ハイヴまではフェイズ3までレーザー種が現れた事は無かったらしい。
「……佐渡島攻略作戦……いざとなったら、スピリッツは切り札を使うだろうな」
「切り札?」
「ああ……今まで、滅多に使わなかった……破城砲……」
「ローエングリン……!」
アークエンジェルに搭載されている、特装破城砲ローエングリン。今までは放つ際の放射能による汚染を恐れて使わなかったが、スピリッツは実は何度も改良を重ねてきており、最初よりも放射線を抑える事に成功していた。その量は、最初の約5分の1にまで減少している。
簡単に言ってしまえば、核よりも遥かに少ない汚染で済むレベルになっているのだ。
「ただまあ、エウクレイデスのハイパーメガ粒子砲の方が使う可能性は高い……」
「どちらにしても、ハイヴの攻略には有用ですね……それに、BETAの殲滅にも」
セツコの言葉に、直哉は頷いた。
BETAの強みは、その圧倒的数である。
佐渡島ハイヴのBETAの予想総数は、20万以上とされている。
如何に地上に引きずり出して、殲滅するかがハイヴ攻略の鍵となる。
「その為に、新兵器を用意したしな」
「一応、運用はゼノン艦長かカムナ艦長の判断になりますが……」
実はスピリッツも、対ハイヴ用に新兵器を開発し、宇宙に打ち上げている。遠隔操作が可能になっており、その照準はデータリンクで指示出来る。
スピリッツも胡座をかいてるだけではないのだ。
地球を救う為に、全力を尽くす。
武の語った最悪の未来を、実現させる訳にはいかないのだ。