2001年11月某日、帝都城。
そこで、近々行われる佐渡島攻略作戦。甲21号作戦について、会議が行われていた。
「……次に、補給用戦術機、間宮に関しましては……」
「中々の性能だ……」
「確かに……特に跳躍ユニットの出力の高さと推進材の消費の少なさ……」
「本当に、スピリッツの技術には感謝しかないな」
今、佐渡島攻略作戦に投入予定の戦術機の確認の真っ最中らしく、参加している幕僚達はスピリッツに改修された戦術機や、新しく開発された戦術機のスペックの高さに驚いていた。
「そして、これは最近決まった事なのですが……極光も試験と合わせて投入する事が決まりました」
「極光を!?」
不知火弐型・フェイズ3こと、極光。
スピリッツと技術者達により、ブロック構造の全面導入とアメリカが仕掛けただろう発信器の排除。そして、性能向上を果たし、後は実機による実戦試験を行うのみ、という段階であった。
しかし、佐渡島攻略作戦が近い為に、弾薬や推進材の消耗を控えるという動きが出ていて、思うように試験が出来なかったのだ。
「しかし、貴重な実機を失う訳には……」
「構いません」
「殿下……」
一人の幕僚が極光の投入に尻込みしていたら、悠陽が投入を受け入れる発言をした。
「極光の性能を全帝国衛士達に見せて、極光が配備されればまだ戦えるという喧伝に使います……」
「なるほど、士気の高揚ですか……」
「確かに、それも有効ですな」
悠陽の考えを聞いて、幕僚達は頷いた。
確かに、佐渡島攻略作戦の情報が公開された為に、以前よりかは帝国軍の士気は高まり、更には元佐渡島出身の人達の意気も高まっている。
しかし帝国全体で見ると、まだ低いのである。
BETAの上陸以降、帝国軍は負け続けており、国民からの信頼度も落ちてしまっていて、一部では国外脱出をしようとしている人すら居る。
スピリッツの協力もあるが、佐渡島のハイヴを攻略し、佐渡島の奪還を目指すのは、そういった負の流れを断ち切る為である。
「では、極光の試験を兼ねた投入に、異議はありますかな?」
進行役からの問い掛けに、否の声は上がらない。それを確認すると、パソコンを操作し
「続きまして、流用戦術機……攻龍に関する報告になります」
と撃震を流用した新型戦車、攻龍の画像を表示した。
なお、攻龍の名前は採用されたようで、そのまま使用されている。
「攻龍の砲撃能力は、通常の戦車を大幅に超えており、砲撃範囲、火力、弾種……何れも、90式を大きく上回っております」
砲撃範囲に関しては、無反動砲を採用しており、約4km程。更には、弾の装填も自動化されている為に、砲撃手が弾を選択すれば、自動で装填される。
そして弾種は、戦車の時には徹甲溜弾と徹甲弾、粘着溜弾、HEAT、APFSDSという五種類だったが、徹甲溜弾、徹甲弾、粘着溜弾、HEAT、APFSDSの他に、溜散弾、焼威弾、AL弾、虎の子のSー11弾という九種類に増えた。
Sー11弾はまだ製造数が少なく、更に威力もだが爆発範囲が広い為に使用には許可が必要な弾だが、発射されて命中すればその威力は折り紙付きである。
「これ程、多岐に渡る砲弾が……」
「しかも、スピリッツの技術協力により全ての弾の性能も向上している……」
「だからと言って、傲ってはなりません……我々の目的は、第四計画の成功……ひいては、地球を救うこと……香月博士のレポートは、読みましたね?」
悠陽の言葉に、幕僚達は無言で頷いた。
香月レポート、つまりはG弾の運用により起きる未曾有の大災害である。
それを起こさせない為に、アメリカの第五計画は何としても阻止しなければならないし、アメリカの行動も注視しなければならない。
アメリカの行動の注視は、実はスピリッツの協力により既存の人工衛星をアップデートしたり、新しい監視用の人工衛星を打ち上げて、アメリカを監視している。
この期に及んで纏まらない人類に、流石に落胆せざるを得ない。だが、第四計画の成否が地球の行く末を決めるとなるならば、不安要素は出来るだけ排除しなければならないのだ。
「まずは、佐渡島の……帝国の地を取り戻し、大陸奪還への足掛かりとします!」
『はっ!』
悠陽の言葉に、幕僚達は深々と頭を下げた。