※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

122 / 147
佐渡島攻略作戦 3

佐渡島ハイヴ攻略作戦が始まり、約30分が経過。

 

「ウィスキー連隊、損耗率20%。予定通り旧高根市にてBETA群を誘引中。作戦継続に支障無し」

 

「エコー連隊、損耗率18%。現在旧澤渡市にてレーザー級を駆逐中。作戦継続に支障無し」

 

「大東亜連合軍、現在揚陸地点にて間宮の護衛中。間宮の準備が出来次第、ウィスキー連隊に合流予定」

 

天照の艦橋に、次々と友軍の情報が入ってきており、それを確認した悠陽は

 

「作戦を第4段階へ移行!」

 

「作戦の第4段階への移行を宣言する!」

 

作戦は、いよいよ問題点の第4段階に入った。

第4段階は、大気圏降下兵団(オービットダイバーズ)によるハイヴへの突入になる。

今まで幾多の衛士達がハイヴ攻略を夢に見ながら突入し、壊滅していった。

人類の敗北の象徴たるハイヴ。

だが今回は、今までとは違う。

 

「小沢提督、スピリッツの皆さんに」

 

「はっ! 信号弾、青、黄、黄、三発!」

 

「了解! 信号弾三発、撃ちます!」

 

小沢提督が指示した数秒後、天照の上空に三発の信号弾が打ち上げられた。それを確認すると

 

「全軍に通達! 指定範囲内には、決して入るな!」

 

と告げた。

場所は変わり、スピリッツの母艦。

 

「信号弾確認! 青、黄、黄の三発です!」

 

「拡散ハイパーメガ粒子砲、発射用意!」

 

エウクレイデスが浮上し、艦底部の巨大な砲口に光が集まっていく。

 

「エネルギー充填率、85%……90%……95%……!」

 

「範囲内の友軍の離脱を確認! 何時でも撃てます!」

 

エレンの言葉に、カムナは頷いて

 

「拡散ハイパーメガ粒子砲………撃てぇ!!」

 

カムナの号令の直後、光の奔流が放たれた。

エウクレイデスもガタガタと揺れるが、視界はフィルタリングされていても真っ白に染まる。

砲撃は短い時間だったが、効果は劇的だった。

地上を埋め尽くす程に居たBETA群は悉く居なくなり、動いているのは無数だけだった。

拡散ハイパーメガ粒子砲は、サイコガンダムの拡散メガ粒子砲の技術を転用して開発した物で、地表を埋め尽くす程に展開する対BETA群用に用意した。

データ上では広範囲のBETA群に対して非常に有効、とは出ていたのだが、実戦運用は初めてだった。

 

「……やはり、ハイヴ本体には大したダメージにならんか……」

 

「はい。マスドライバーも兼ねてるようですから、表面の電磁波により威力は減衰されているかと」

 

カムナはBETAより、ほぼ無傷のハイヴを睨んでいた。事前のデータからも、ハイヴに対しては有効打にならない、とは出ていたのだが、やはり期待してしまう。

その時

 

「地中に異様な熱源を探知! ……この熱紋は初めてです!」

 

「レーザー種ではないのか?」

 

「確認しているレーザー級と重レーザー級より、遥かに高い熱です!」

 

クリスティナは報告しながら、メインモニターにその情報を表示させた。

確かに熱は遥かに高いが、それよりも気になるのはその大きさだった。

 

「すぐに戦術データリンクに回せ! それと、友軍全軍に警告するのも忘れるな!」

 

「はい!」

 

カムナはメインモニターに表示されている、敵の大きさに

 

「フォート級以上だと……?」

 

と呟いた。

天照に戻り、艦橋

 

「小沢提督! 殿下! スピリッツより緊急入電!」

 

「何事か」

 

「ハイヴ直下に、異様な熱源を探知! 警戒されたし!」

 

「異様な熱源だと?」

 

小沢提督が首を傾げた直後、警報音が鳴り響いた。

 

「知らせよ!」

 

「ハイヴ直下、E5ゲート付近に異様な熱源! これは……ありえません! 重レーザー級以上です!」

 

一人のオペレーターが言った直後、ハイヴ付近に巨体が姿を現した。

 

「バカな……!? ここからでも、見えるだと……!?」

 

小沢提督が驚いている間にも、その巨体の三つある頭の三つの目が光り始めていた。

 

「新しいレーザー種だと!?」

 

「対レーザー爆雷、連続投射! 広範囲に放て!!」

 

小沢提督の指示と同時に、天照両弦の爆雷投射機から次々と対レーザー爆雷が放たれ、空中で炸裂した。

その直後、視界が真っ白に染まって天照が激しく揺れた。

 

「殿下!?」

 

「私に構わず、被害の確認を!」

 

小沢提督が悠陽を気遣うが、悠陽はアームレイカーを強く掴んで耐えた。

 

「被害報告!」

 

「損傷軽微! 天照の運航に支障ありません!」

 

「装甲板、全武装異常ありません!」

 

「甲板に居た何名かが、目が見えないと報告!」

 

小沢提督の催促に、次々と報告が入ってくる。

それを聞いて

 

「負傷者の収容、急げ! それと、新種のデータ収集を忘れるな!!」

 

と指示を下した。

その時になり、ようやくモニターが復帰し、小沢提督と悠陽は新種を見た。

新種はハイヴ間近に居るというのに、モニターでなくとも、天照からもその巨体が分かる。

 

「……バカな……フォート級以上はある……」

 

66mあるフォート級以上の巨体に、先ほどのレーザー照射。明らかに、今までのレーザー種を超えている。

 

「観測班から、新種は優に100m近い巨体との報告です! 更に、重レーザー級とおぼしき目が全部で9つ確認したと!」

 

「9つだと!?」

 

オペレーターの報告に、一人の参謀が驚愕の声を挙げた。重レーザー級一体でも、十分に厄介だと言うのに、その目が9個もあるという。単純計算では、9倍の威力を出せる事になる。

 

「全軍にあの新種……仮称ヲ号標的を最優先!」

 

小沢提督が指示した数秒後、第一戦隊から砲撃が放たれた。勿論標的は、新種。ヲ号標的だ。

しかし

 

「そ、そんな……!」

 

「撃墜率……100%!?」

 

ヲ号標的を狙って放たれた全ての砲弾が、全てレーザーにより撃墜されたのだ。

今までのレーザー種では、あり得ない数字だった。

何故ならば、レーザー照射が重複していたり、展開していた重金属雲により減衰したりしていたからだ。

しかし直前まで展開していた重金属雲は、全て蒸発。そして、重複していなかったのだ。

 

「小沢提督! 一部部隊が、レーザー吶喊を開始しました!」

 

「支援砲撃を絶やしてはなりません! たとえ全て撃墜されようが、戦術機部隊がヲ号標的に近付けるように!」

 

「はっ! 全艦、砲撃開始!」

 

小沢提督の号令の直後、第一、第二戦隊は一気に砲撃を開始した。次々と放たれ、ヲ号標的に迫る砲弾。

しかしその悉くが、空中で撃墜されて、その威力は発揮されない。

だがそれでも、戦術機部隊に対するレーザー照射をさせない為に砲撃を続けた。

 

「ヲ号標的を、何としても撃破せよ! でなければ……作戦が破綻する!」

 

今現在、降下を始めている筈の降下兵団だけでなく、近づきつつあるスサノヲ弐型。

最初の照射をヤられたら、確実に降下兵団は全滅する可能性が高く、スサノヲ弐型はどうなるか分からない。

その時

 

「提督! 遠距離通信ならびに広範囲戦術データリンクが繋がりません!」

 

とオペレーターから報告がされた。

 

「なんだと!?」

 

「ヲ号標的に吶喊した部隊との通信が途絶! 更に、戦術データリンクが見えません!」

 

オペレーターの報告に、悠陽が

 

「近接(ローカル)でも構いません! 最前線の情報を入手するのです!」

 

と指示を飛ばした。

すると小沢提督が、ヲ号標的の上に出来ている重金属積乱雲を見て

 

「あの重金属積乱雲が原因でしょうか……」

 

と呟いた。

 

「分かりません……しかし、スピリッツのあの広範囲砲撃で重金属雲が減っていて助かったのかもしれませんね……」

 

拡散ハイパーメガ粒子砲が撃たれる前は、佐渡島全域を覆うように重金属雲が出来ていたのだが、砲撃した後は所々に残る程度になっていた。

もし拡散ハイパーメガ粒子砲が撃たれていなかったら、今より更に悪い電波異常が起きていたのは確実だった。

 

「最接近した、第4戦術機甲中隊が……一瞬で全滅!?」

 

「なんだと!?」

 

「バカな……!? 今のは、衝殻による攻撃だと!? あれは、フォート級の攻撃方法だぞ!!」

 

拡大表示されたメインモニターで見えたのは、ヲ号標的を倒す為に吶喊した撃震・改の一個中隊が10本以上の衝殻でほぼ同時に撃破されたのだ。

 

「あれ程のレーザー照射だけでなく、大量の衝殻による攻撃……遠近兼ね備えた個体……!」

 

「他の戦術機部隊は!?」

 

「ヲ号標的と共に新たに出現した師団規模のBETA群により、足止めされています! 支援砲撃も届かず、思ったより減らせないようです!」

 

どうやら、ヲ号標的の周りには新しく出現した一万近いBETA群が展開しているようで、中々近付けないようだ。

 

「何としても辿り着け」

 

と参謀が言った直後、サブモニターにゼノンの顔が映り

 

『あのデカブツ、こちらに任せてもらう』

 

と告げた。

 

「そういえば、見たのはエウクレイデスだけ……アークエンジェルはどこに……」

 

悠陽がそう言った時、天照の右側の海面が盛り上がって海上に現れた。

 

「天照の近くに居たのか……!」

 

アークエンジェルは実は、作戦が始まる前から天照の真下に潜航しており、アメリカから守っていたのだ。

 

『これより、特装破城砲を撃つ! 射線上の友軍全軍に退避するように通達を!』

 

「聞こえているな! すぐに伝えよ!」

 

「しかし、遠距離通信が……」

 

「光りによるモールス信号だ! 教練を受けた者なら、気付く!」

 

「了解!」

 

一人の兵士が外に出ていき、オペレーター達は通信で離れるように伝えた。

その間、アークエンジェルはローエングリンの準備をしながら前線に対して支援砲撃を始めた。

前線部隊を後退させる為に、退路を作り始めた。

少しすると、後退が始まった。

後退距離が500に迫ろうか、というその時

 

「ヲ号標的、熱量急上昇! この温度は……最初のものと一致します!!」

 

「極大照射か!!」

 

「初期照射、本艦ではありません……アークエンジェルです!」

 

「まさか、離れていたのは誘引する為に!?」

 

海中から出たアークエンジェルは、砲撃しながら天照から離れていた。その理由は、ヲ号標的の照射を誘引する為だと考えれば納得だった。

そして、二度目の照射が放たれた。だがその極大照射をアークエンジェルは、アンチビーム爆雷を前方に集中展開する事で耐え、後退距離が800を越えた直後に、アークエンジェルから閃光が放たれた。

アークエンジェルから放たれた閃光は、見事にその威力を発揮。ヲ号標的の上半分を消し飛ばしたのだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。